リモートアクセスとは
リモートアクセスとは、外出先や自宅など遠隔地にあるパソコンなどのデバイスから、社内のデスクトップPCや社内ネットワークに接続することです。外出先や自宅など社外においても、社内と同様の仕事ができます。
なお、「VPN」や「リモートデスクトップ」はリモートアクセスをするための技術のことです(詳細は後述)。
リモートアクセスの導入で期待できる効果は以下のとおりです。
- リモートアクセスのメリット
- ・業務効率があがる:社外でも社内と同じように仕事が可能、時間の有効活用
- ・従業員の働き方の幅が広がる:働く場所を問わない、育児や自宅療養中の人も活躍可能
- ・コスト削減:通勤にかかる時間と交通費を削減
リモートアクセスはメリットも多く便利な技術ですが、情報漏えいの危険性も高いため、セキュリティ対策が重要です。
リモートアクセスの方法
リモートアクセスを導入する際のポイントは、自社に適した方法でリモートアクセス環境を構築することです。
リモートアクセス環境の構築方法には、「リモートアクセスサービス」と「VPN」があります。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。
VPN(Virtual Private Network )を利用する
VPNとは仮想プライベートネットワークのことです。使用する通信はインターネット回線ですが、特定の人だけが利用できる仮想の専用回線を構築可能です。
VPNは、データの送信者と受信者の間に仮想的なトンネルを作り(トンネリング)、一般的な通信と分離することで安全性を高めます。さらに、送受信の「認証」により、トンネル内への外部アクセスをブロックできます。仮にネットワーク内に侵入されても、通信情報を「暗号化」することで情報漏えいは防げるでしょう。
リモートアクセスサービスを利用する
リモートアクセスするにあたり、社内ネットワークに安全に接続するための機能を備えたツールやソフトを提供するサービスです。専用のリモートアクセス製品を導入し、外出先からリモートアクセスサーバを経由して、社内のネットワークやデスクトップPCにアクセスします。
リモートデスクトップやセキュアブラウザ、API連携などを用いる方法があります。
リモートアクセスの種類と仕組み
ここからは、リモートアクセスの代表的な接続方式と仕組みについて解説します。
- ・VPN
- ・リモートデスクトップ
- ・セキュアブラウザ
- ・API接続
メリットやデメリットも参考に、自社の環境や業務内容と照らしあわせてみましょう。
VPN
トンネル接続により専用のネットワーク空間を作ります。アクセスを制限する「認証」と、通信で使われるデータを保護する「暗号化」によりセキュリティを強化します。
仕組み
社内ネットワーク・サーバと社外の端末の間にVPN(Virtual Private Network)を構築し、VPNを介して社内サーバに接続します。社内LAN端末と同じような環境を実現できるでしょう。なお、VPNの利用には専用ルーターなどハードウェアの設置が必要です。
VPNにはさまざまな種類があります。以下、特徴をまとめたので参考にしてください。
- ■インターネットVPN
- 一般的なインターネット上に構築されたVPN。既存のインターネット回線を利用してVPN環境を構築するため、コストを抑えられます。しかし、不特定多数の人が同時に接続しているため通信の速度が遅くなりやすく、データの盗聴や改ざんのリスクがあります。
- ■IP-VPN
- 通信事業者が独自に構築している閉鎖的なネットワークのため、高水準の通信速度・セキュリティレベルを実現できます。ただしコストは高くなるため、利便性とコストのバランスを見て利用するか判断しましょう。
- ■SSL-VPN
- 暗号化された通信である「SSL技術」を使い、VPNで接続するネットワーク内のデータを暗号化できます。すでに利用しているSSLを利用して安全性の高い環境を構築できるため、コストの削減にもつながるでしょう。
- ■IP Sec-VPN
- VPNで使用されるすべての通信を暗号化して安全性を確保し、高い回線品質を保証するVPNです。環境構築には、通信における送信者と受信者の両者に専用のソフトをインストールする必要があります。利用人数が制限され、高速な通信を実現できます。
メリット・デメリット
- ■メリット
- ファイルのダウンロードや、基幹システムやメールサーバを利用できるなど、社内業務の再現性が高い。
- ■デメリット
- 通信速度が遅くなりやすい傾向にあり、高速な通信が必要な場合、設備を整えるためにコストがかかる。
リモートデスクトップ
リモートデスクトップは、VPN環境を構築しなくても社外から社内にアクセスできます。一般的なリモートデスクトップは「PC遠隔操作型」とも呼ばれます。代表的な製品として、ChromeデスクトップやWindowsリモートデスクトップが挙げられるでしょう。
仕組み
社外の端末から社内の端末に接続する方法です。社内端末のデスクトップ画面・マウス・キーボード情報を社外の端末に転送して、遠隔操作します。社外からでも社内のPCと同じ操作を行えるでしょう。
メリット・デメリット
- ■メリット
- 社外端末にデータを残さないため、ウイルス感染や紛失があっても情報漏えいのリスクが低い。ソフトのインストールやWindowsの標準機能を利用するなど、導入が容易。
- ■デメリット
- 4つの方法の中でもっともインターネット回線の通信速度に影響される。また、社内端末を常に起動させておく必要がある。VPNを使用しないため、通信環境のセキュリティ対策を個別にする必要あり。
セキュアブラウザ
セキュアブラウザとは、セキュリティ機能を備えたブラウザです。マルチデバイス・マルチOS対応の製品も登場しており、BYODのセキュリティ対策としても注目されています。
仕組み
社外端末からセキュリティ機能に特化したブラウザを利用して、社内システムやクラウドサービスで提供されるアプリケーションに接続します。
メリット・デメリット
- ■メリット
- 利用アプリケーションやデータ保存の制限が可能なため、データ管理がしやすい。常時接続が不要なため、通信回線の影響が軽微。
- ■デメリット
- セキュアブラウザ上で動作するアプリケーション以外は対応できないため、業務が限られる。
API接続
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェアやプログラム、Webサービス間をつなぎ、連携可能にする仕組みのことです。モバイル端末で気軽にアクセスできるため、利便性が高いでしょう。
仕組み
API連携により社内システムと接続する方法です。クラウドサーバ上で提供されるアプリケーションに直接アクセスし、社内外から操作します。
メリット・デメリット
- ■メリット
- 導入が比較的容易。クラウドサーバへアクセスするため通信回線の影響を受けない。
- ■デメリット
- クラウドサーバに障害が発生した場合、利用できなくなる恐れあり。
参考:ペテレワークセキュリティガイドライン第5版|総務省
なお、リモートアクセスツールの比較検討には以下の記事もおすすめです。機能や価格を比べられるほか、資料請求(無料)も可能です。
関連記事
watch_later
2022.02.24
【2022年版】リモートアクセスツール比較!製品の選び方も紹介
続きを読む ≫
2022年最新!リモートアクセスツール人気TOP3
ここからは、2022年上半期に注目されていたリモートアクセスツールを厳選して紹介します。
《moconavi》のPOINT
- 「端末にデータを残さない」セキュアなリモートアクセス!
- アプリベースならではの高い操作性!
- 1300社、32万ID 以上の導入実績!
ITトレンド2022年(上半期)資料請求ランキング第1位
株式会社レコモットが提供する「moconavi」は、クラウド型MAM(モバイルアプリケーション管理)市場で、4年連続トップを獲得したテレワークプラットフォームです。端末にデータを残さない仕組みのため、BYODにも最適です。salesforceやSansan、サイボウズなど、さまざまなクラウドサービスや社内システムと連携でき、安全な環境で利用できます。
《TeamViewer》のPOINT
- 安定した遠隔操作で移動や出張を減らし生産性を向上
- 情報漏洩対策も万全な状態で、安心のセキュリティ
- 移動を伴ってITデバイスを扱う業務を行っている企業様にお勧め!
ITトレンド2022年(上半期)資料請求ランキング第2位
TeamViewerジャパン株式会社が提供する「TeamViewer」は、OSの異なるデバイスでも遠隔操作できるVPN不要のリモート接続ソリューションです。二要素認証や接続可能ユーザーの制限、接続ログ取得など、セキュリティ機能も充実しています。接続は最高水準の暗号化技術により保護されており、離れた場所の端末やサーバにも安全にアクセスできるでしょう。
《Platform V System》のPOINT
- USBキーを挿すだけで簡単に利⽤可能
- 手軽にシンクライアント環境を実現
- いつでも、どこからでも、社内のシステムに接続可能
ITトレンド2022年(上半期)資料請求ランキング第3位
株式会社三技協が提供する「Platform V System」は、リモートデスクトップ方式のリモートアクセスシステムです。クライアントPCにソフトウェアが内蔵されたUSBキーを差し込んで利用します。クライアントPCへのインストールや設定は不要なため、手軽に利用できる点がメリットです。Windows・Macともに対応可能です。
なお、過去30日間で問い合わせの多かったリモートアクセスツールは、以下ページで確認できます。最新情報を比較検討に役立ててください。
リモートアクセスの活用でビジネスを加速させよう
リモートアクセスは利便性が高いものの、セキュリティリスクの高さについて留意する必要があります。リモートアクセスを安全に利用するために、自社に最適なリモートアクセスの環境構築方法や接続方式を検討しましょう。VPNやリモートアクセスツールを活用して、業務効率の改善やコスト削減を実現してください。