リモートアクセスツールとは
リモートアクセスツールとは、会社以外の場所で使用しているPCやスマホなどのデバイスから、インターネット回線や電話回線を通じて、社内システムにアクセスできるようにするシステムです。
リモートアクセスツールを活用すると、社外からでも社内のシステムやファイルにアクセスでき、社内にいる時と変わらない環境で業務を行えます。近年では、リモートワークの推進や、場所や時間に縛られない働き方を実現するために、リモートアクセスツールを導入する企業が増えています。
以下の記事では、リモートアクセスの仕組みやメリットについてより詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
リモートアクセスツールの機能
リモートアクセスツールには、主に以下のような機能が搭載されています。
- ■遠隔操作機能
- 社外で使用しているPCから社内のPCにアクセスして遠隔操作できる機能。
- ■ファイル転送機能
- 社内外のPCの間でファイルのアップロードやダウンロードが行える機能。
- ■ユーザー管理機能
- ユーザーごとにネットワークやアプリへのアクセス制限を設定したり、認証方式を設定したりできる機能。
- ■アクセス管理機能
- ユーザーのアクセス履歴や接続デバイス履歴などを記録し管理する機能。
- ■セキュリティ機能
- データの暗号化や2段階認証、多要素認証など、不正アクセスや情報漏えいを防ぐための機能。
- ■メッセージ・メール機能
- 社内のPCに届いているメールやメッセージの閲覧、返信が行える機能。
リモートアクセスの機能についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
リモートアクセスツールの選定ポイント
リモートアクセスツールを選ぶ際は、以下のポイントに注目して比較してみましょう。
接続先
リモートアクセスツールの接続先は大きく分けて、サーバアクセス型とクライアントアクセス型の2種類があります。接続先によって特徴が異なるため、どちらか自社に適しているのか事前の確認が必要です。
- ■サーバアクセス型
- 遠隔地にある端末から、社内に設置しているサーバにアクセスする方法。
特に社内で使っているPCを外に持ち出す際に有効。ただし、端末に社内のデータが保存される可能性もあるため、ダウンロードの制限をかけるなど、情報漏えい対策が必要。
- ■クライアントアクセス型
- 遠隔地にある端末から、社内に設置しているデスクトップPCに直接アクセスする方法。
基本的に、社内にある固定化したデスクトップPCの電源が入っていれば、社外にいても社内にいる時と同じ操作が可能。ただし、MacとWindowsのようにアクセスする端末に種類の差があると利用できない可能性もある。
接続タイプ
リモートアクセスツールは大きく分けて、「社内LAN延長接続タイプ」「Webアプリ限定接続タイプ」「PC遠隔操作タイプ」の3つの接続タイプがあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、業務内容やワークフローによって相性のよさも異なるため、特性を理解することが大切です。
社内LAN延長接続タイプ(VPN接続)
社内のLAN環境に社外から接続できる仕組みを構築する方法です。外部から、VPNという仮想的な専用線を介して社内LAN環境に接続し、リモート操作を可能にします。
社内で利用している環境をリモートでも再現しやすい点がメリットです。一方で、設備を自社で用意する必要があるため、他のタイプと比べて導入コストが高い傾向にあります。
Webアプリ限定接続タイプ(セキュアブラウザ方式)
Webアプリを利用してリモートアクセス環境を構築する方法です。PCやスマートフォンのアプリを利用し、画面共有を行って操作権を付与します。
メリットは手軽にシステムにアクセスできる点です。一方、ブラウザ上で動作するアプリ以外は対応していないため、社外での業務が限られてしまう可能性もあります。
PC遠隔操作タイプ(リモートデスクトップ)
インターネットを通じて社外のPCから社内のPCにダイレクトで接続する方法です。社内PCのデスクトップ画面を社外の端末に転送して、遠隔操作します。データは送信せずデスクトップ画面のみを転送しているため、クライアントPCにデータを残さない点がメリットです。一方、インターネット回線の通信速度に影響されやすい点がデメリットだといえるでしょう。
PC遠隔操作タイプは別名、リモートデスクトップとも呼ばれます。リモートデスクトップとリモートアクセスは混同されがちですが、リモートデスクトップはリモートアクセスの一種です。
セキュリティ対策
リモートアクセスツールを選ぶ際に、必ず確認したいのがセキュリティ対策です。リモートアクセスは社外からのアクセスとなるため、不正アクセスやデータの持ち出し、情報漏えいのリスクが少なからず高まります。そのため、十分な対策が行われているツールを選ぶことが重要です。
具体的には、なりすまし防止に役立つ多要素認証機能や、ログや接続履歴を監視して不審な動きを検知する機能、画面キャプチャを制御し情報の持ち出しを防止する機能などが搭載されているかを確認しましょう。
また、セキュリティ対策に有効な機能として、通信の暗号化が挙げられます。リモートアクセスツールにおける通信の暗号化には、主に以下のようなプロトコルが利用されています。
- ■PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)
- インターネットなど信頼度の低い経路でも安全に通信できるよう、VPN(仮想専用ネットワーク)を構築する際に用いるプロトコル。Microsoft社によって提唱されたため、Windowsとの親和性が高い。
- ■IPsec(IP Security Architecture)
- 暗号技術を用いて、IPパケット単位の完全性や機密性を提供するプロトコル。インターネットVPNを安全に実現するために使用される。PPTPよりも安全性を高められるため、秘匿性の高い情報を取り扱う場合に最適。
- ■SSL(Secure Sockets Layer)
- WebサーバとWebブラウザとの通信においてやりとりされるデータを暗号化するプロトコル。元々WebブラウザからサーバにSSL通信できるように開発されたため、外部からのリモートアクセスに向いている。一方で、その性質上IPsecに比べてセキュリティレベルは低い。
製品によって対応しているプロトコルは異なるので、求めるセキュリティレベルに応じて選択しましょう。
【比較表】おすすめのリモートアクセスツール一覧
おすすめのリモートアクセスツールを比較表で紹介します。各製品の詳細情報についてはのちほど紹介しているので、気になる製品をチェックしてみてください。
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リモートアクセスツールを比較
ここからは、各製品の特徴を詳しく見ていきましょう。気になる製品は緑の「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加しておき、あとからまとめて資料請求ができるので、製品選びにご活用ください。
《RemoteView》のPOINT
- いつ、どこからでもwebブラウザから会社や自宅のPCにアクセス
- 自分のPCにあるファイルをリモートPCから簡単に送受信可能
- RemoteWOL2で更に便利に。遠隔地のPCやサーバーを起動可能
ITトレンド年間ランキング2023(リモートアクセスツール)1位
OrangeOne株式会社が提供する「RemoteView」は、多様なネットワーク環境をサポートできるリモートアクセスツールです。環境にあわせた接続権限設定や2段階認証など、セキュリティ性の高さに定評があります。さらに100種類を超える多機能性も特徴です。
提供形態 |
クラウド |
対応機能 |
ー |
参考価格 |
ASPタイプ:初期費用6,000円、年額12,000円 サーバソフトタイプ:要問い合わせ アプライアンスタイプ:初期費用1,080,000円、年額216,000円 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《Flex Work Place》のPOINT
- さまざまなデバイスからデータへのアクセスが可能
- 在宅勤務ユーザーの利便性向上。WindowsPC と変わらない操作感
- 仮想デスクトップインフラと同等の安全性でオフラインでも利用可
株式会社日立システムズ提供の「Flex Work Place」は、モバイル機器にデータを残さないデータレスPC環境を実現するソリューションです。シリーズの一つである「Passage」は、専用アプリのインストールにより、ローカルHDDの不可視化や書き込みを禁止します。またVDI(仮想デスクトップ)とは違い、インターネット接続環境がない場合でもファイルの編集が行える点もポイントです。
提供形態 |
オンプレミス / クラウド |
対応機能 |
ー |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《FLESPEEQ Web Access》のPOINT
- 拠点間、リモートアクセス、クラウドなど様々な接続構成に対応!
- 1人情シスや情シスがいない企業様でも安心な手厚い運用サービス
- まずはお試し!無料トライアルが可能
日本通信ネットワーク株式会社が提供する「FLESPEEQ Web Access」は、増加するサイバー攻撃(ランサムウェア)にも自動ファームウェア更新で対応できるため、
セキュリティ水準の高いネットワークアクセスです。行政や団体のガイドラインにも準拠しています。初期設定や設定変更などの運用サービスもついており、専門サポートチームへ問い合わせも可能なため、1人情シスや情シスがいない企業でも安心です。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
製品・サービスのPOINT
- セキュリティ機能をシンプルにパッケージ化したリモートアクセス
- 小規模かつ低コストで導入可能
- お客様の用途に合わせて、必要な機能を選択して提供可能
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJセキュアアクセスサービス」は、端末にエージェントをインストールするだけで、安全な通信を実現するリモートアクセスサービスです。社外からの通信も、社内と同じセキュリティポリシーを適用できます。ユーザー数にあわせた料金設定のため、コストを抑えた運用がしやすいでしょう。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
対応機能 |
ー |
参考価格 |
初期費用550,000円~、月額980円~/ユーザー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
Online ScreenView
santec株式会社(登記社名:サンテック株式会社) 《Online ScreenView》のPOINT
- 発売2年で導入1,800社突破!中小企業から大企業まで活用
- 導入準備はインストールだけ!誰でも使えるリモートアクセス
- 業界最高レベルの稼働率99.9846%の安定したテレワーク!
「Online ScreenView」はsantec株式会社が提供しており、高度な圧縮技術を用いて、画面のフリーズや接続の切断などを防止するリモートアクセスシステムです。最低56kbpsあれば、安定した接続ができます。さらに、稼働率は99.9846%で、リモートアクセス業界で最高レベルを誇ります。マルチモニタにも対応している点も魅力の一つです。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
対応機能 |
PPTP、 IPsec、 SSL |
参考価格 |
電話サポートなし:年額13,200円 電話サポートあり:年額19,800円 |
《Splashtop Business》のPOINT
- 30Fpsの高速描写でディレイのないリモート操作!
- 信頼のAWS、GCPを採用した安定的な接続性!
- 利用人数でフレキシブルに変更できる柔軟な契約形態!
スプラッシュトップ株式会社が提供する「Splashtop Business」は、接続先や接続元どちらにおいてもMac OSに対応しているクラウド型のリモートアクセスシステムです。30fpsの高フレームレートで操作できるため、クリエイター業務のある企業に適しているでしょう。また、マルチモニターに対応するプランもあります。
提供形態 |
クラウド / SaaS / ASP |
対応機能 |
PPTP、IPsec、SSL |
参考価格 |
年額15,000円~/ユーザー |
《クラウドデスクトップ》のPOINT
- 世界最高レベルの安定サーバ、AWS採用で安心のテレワーク
- ローカル環境と完全分離!情報漏洩を許さない
- 仮想デスクトップで稼働、在宅用PCがハイスペック機に!
株式会社アイドマ・ホールディングスが提供する「クラウドデスクトップ」は、専用URLからログインするだけで、ブラウザベースのアクセスが実行できるリモートアクセスシステムです。専用ソフトなどをインストールせずに運用可能です。ローカルから完全に分離したアクセスで、データの持ち出しや情報漏えいの防止にも役立つでしょう。
提供形態 |
クラウド / SaaS |
対応機能 |
PPTP、IPsec、SSL |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
マジックコネクト
「マジックコネクト」は、NTTテクノクロス株式会社が提供しているリモートアクセスサービスです。手元にあるデバイスに社内デスクトップPCの画面を呼び出して操作できます。USB型・端末認証型・モバイルの3種類の導入方法があります。
どこでもコネクト
「どこでもコネクト」は、株式会社大塚商会が提供するリモートアクセスツールです。物理的な閉域網もしくは仮想専用線でプライベートクラウド環境を実現します。データの保管を行うサーバはセキュリティが万全なデータセンターに置かれ、24時間365日監視が行われます。
以下のボタンからITトレンドの月間資料請求ランキングを確認できます。人気のリモートアクセスツール製品を比較したい方はあわせてご覧ください。
リモートアクセスツールの注意点
リモートアクセスツールを導入する際の注意点を2つ紹介します。
機密データの情報漏えいに注意する
リモートアクセスツールを活用すると、社内の重要なデータを社外でも閲覧できるため、情報漏えいのリスクがあります。情報漏えいの主な原因は人為的なミスであり、社内のデータを保存したPCなどを紛失して情報を流出させる場合がほとんどです。
そのため、PCを紛失したとしても情報を流出させない対策が必要です。例えば社外で操作する端末を最低限の機能しか搭載しない「シンクライアント」を活用すれば、情報漏えい対策につながります。シンクライアント端末は社内にアクセスできても、データは端末に保存されないため、万が一端末を紛失しても機密データ漏えいの心配がありません。
以下の記事ではおすすめのシンクライアント製品を紹介しています。万が一の場合に備えて情報漏えい対策を行いたい、という方はぜひご覧ください。
勤務時間の管理不足に注意する
リモートアクセスツールの活用によって、出社しなくても仕事を行えるため、ワークスタイルの多様化に対応できるでしょう。
反面、社外での仕事が増えれば、規定の就業時間外にあっても仕事を行えるため、実際の勤務時間がわかりにくくなります。適正な勤務時間の把握ができる体制を整え、適切な勤怠管理を行いましょう。
以下の記事では、おすすめの勤怠管理システムを紹介しているため、あわせて参考にしてください。
自社に適したリモートアクセスツールを導入しよう
リモートアクセスを活用すれば社内・社外の垣根をなくし、多様な働き方を実現できます。ただし、リモートアクセスツールに接続する方法や機能は製品によって異なるため、よく比較・検討して自社に適したツールを導入してください。
以下のボタンからリモートアクセスツールの一括資料請求が可能なため、接続形式や接続先、機能や価格など詳細情報の比較検討にお役立てください。