RPAのデモンストレーションで社内を動かした
導入時、まずは関係者を集めてRPA導入プロジェクトを立ち上げ、目的を共有するところから開始した。その際共有した目的は「業務を楽にする」と「業務を標準化する」の2つだったという。
「ITの導入で業務が楽になることは当たり前で、それに加えて業務が標準化されることが重要だと思っています。私は内部統制の仕事も担当していますが、内部統制の考え方の中に、社員が休んだ時、または辞めた時でも通常業務を遂行できる状態を整えておくということがあります。属人化が当たり前になっていると、急遽自分のわからない仕事を任されることもあります。この状況は誰でもストレスになると思います。」(西原氏)
目的を共有した上で、次に実際のRPAの画面と動きを見せ、プロジェクトメンバーとゴールイメージを共有した。
「過去の経験から、より早い段階で『こうなるよ』を見せて、インパクトを与えることが重要だと思っていました。実際ロボで実演してみせるとメンバーから『すごい』という声が上がりました。その後、『だったらあれはどうなんだろう』とか現場から声が出始めました。この状態になれば業務改革や改善は8割方成功したのも同然だと思います。」(西原氏)
これ以外にも、同社では、西原氏が所属する管理部門がプロジェクトの手綱を握り、ある程度の部分までロボを作成、メンテナンスすることで現場側での作業を極限まで減らしたこともプロジェクト成功の要因だった。
入出金業務を自動化月150時間以上の削減に成功
自動化により、1社あたり1~2時間かかっていた作業が、約1分で終わるようになった。人力で対応する部分もあるが、これらを含めても作業時間が30分以下になったという。クライアントは100社以上、1社で複数口座を持つクライアントもいるため、これを含めると毎月150時間以上の効率化に成功した。
「1社につき1~2時間かかっていた作業が、RPAを使うことによって約1分にまで圧縮できました。最後はそれが正しいかどうかを人が確認して、微修正をする。例えば課税対象か対象じゃないか、領収書や請求書の細かい部分等、どうしてもロボには判断がつかない部分は人がやります。ただ、その作業自体は30分もかからないので、全体を通して大幅な時間削減に繋がりました。」(西原氏)