クラウド型WAFとは
クラウド型WAFとは、インターネットを通じてクラウド上で提供されるWebアプリケーションファイアウォールのことです。企業内に専用のハードウェアを設置する必要がないため、ハードウェアの購入やメンテナンスが不要で、導入コストや運用コストを削減できます。
WAFとは
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からWebサイトを守るためのセキュリティサービスです。特に、ECサイトや会員制Webサイト、インターネットバンキングなどで、個人情報やクレジットカード情報を入力する際のセキュリティ対策として効果的です。
WAFの種類
WAFには主に、以下3つの種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
種類 |
設置形態 |
特徴 |
クラウド型 |
インターネットを経由してWAFの機能を利用する |
3種類のなかでもっとも低コスト、短期間での導入が可能。カスタマイズなどの柔軟性は劣る。 |
アプライアンス型 |
WAFの専用機器をWebサーバの前に設置して利用する |
買い切り形態で定期的なサブスクリプション料金の支払いが不要。専用の機器を導入する必要があるため初期費用が高い。 |
ソフトウェア型 |
既存のWebサーバにWAFのソフトウェアをインストールして利用する |
アプライアンス型よりも初期費用を抑えられ、クラウド型よりも柔軟性が高い。1台のWebサーバに対して1つのWAFが必要。 |
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クラウド型WAFの仕組み
一般的にクラウドWAFでは、「シグネチャ」を用いて不正アクセスを防止します。「シグネチャ」とは攻撃アクセスのパターンや通信の手法、ウイルスなどのデータをまとめたものです。このパターンに一致するアクセスがあった場合に、通信可否の判断をします。
シグネチャを用いた不正アクセス検知方式には、「ブラックリスト方式」と「ホワイトリスト方式」の2種類があります。
- ■ブラックリスト方式
- 許可しないIPアドレスやドメインをシグネチャに定義する方式です。一致する通信を拒否することによって、不正アクセスを防止します。特定の悪意ある攻撃に対して迅速に対応できる反面、新たな脅威や未知の攻撃者には対応が遅れる可能性があります。管理が比較的簡単であり、特定の攻撃者をターゲットにする際に有効です。
- ■ホワイトリスト方式
- 許可するIPアドレスやドメインのみをシグネチャに定義する方式です。一致しない通信をすべて拒否することで不正アクセスを防ぎます。すべてのアクセスを厳密に制御できる一方、管理が複雑でホワイトリストに載っていない合法的な通信も遮断される可能性があります。新しい正当なアクセス先の追加が必要です。
なお最近では、シグネチャ以外に「スコアリング」や「AI(人工知能)」を用いた検知方式も見られるようになりました。WAFの仕組みについては以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
クラウド型WAFで防げる攻撃
クラウド型WAFは、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃に有効です。具体的には以下のような攻撃を防御できます。
攻撃 |
内容 |
SQLインジェクション |
攻撃者がデータベースに対して不正なSQLコードを挿入し、データを盗み出したり改ざんしたりする攻撃 |
クロスサイトスクリプティング (XSS) |
悪意のあるスクリプトをウェブページに注入し、ユーザーの情報を盗む攻撃 |
クロスサイトリクエストフォージェリ (CSRF) |
正規ユーザーが意図しない操作をウェブアプリケーションに対して行わせる攻撃 |
分散型サービス拒否 (DDoS) |
大量のトラフィックを送りつけてウェブアプリケーションをダウンさせる攻撃 |
ディレクトリトラバーサル |
攻撃者がウェブサーバーのファイルシステムを不正にアクセスするため、ファイルパスを操作する攻撃 |
OSコマンドインジェクション |
攻撃者がウェブアプリケーションを通じて、サーバー上で不正なシステムコマンドを実行する攻撃 |
改行コードインジェクション |
攻撃者がHTTPヘッダーや他の入力フィールドに改行コードを挿入し、不正なデータを注入する攻撃 |
クラウド型WAFのメリット
クラウド型WAFは、費用面や運用面でメリットがあります。以下で詳しく解説します。
簡単・短期間で導入できる
クラウド型WAFはインターネット上で提供されるため、従来のような専門の機器を導入する必要がありません。そのため、低コスト・短期間で導入が可能です。ベンダーと契約し、ネットワークの設定変更を行うことですぐに利用開始できます。
専門家が必要ない
クラウド型WAFの運用面でのメリットは、ベンダーに運用を一任できることです。不正通信や攻撃パターンを定義した「シグネチャ」の把握や更新もベンダー側で行ってくれるため、セキュリティ専門のスタッフを雇う必要がありません。また、メンテナンスもベンダーがクラウド上で実施するため、社内での実施は不要です。
短期利用ができる
クラウド型は短期利用ができるのも特徴です。解約手続きも簡単にできるため、臨時のキャンペーンサイトやプロジェクトサイトなど、短期的に利用するサイトのセキュリティ対策もできます。
クラウド型WAFのデメリット
クラウド型WAFにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。主に、サービスの質・機能をベンダーに依存する点です。
クラウド型WAFはベンダー側で自動更新や管理が行われるため、カスタマイズの柔軟性に欠ける場合があります。そのため、導入時には製品をよく比較し、自社のセキュリティレベルにあった環境を維持できるものを選定することが重要です。
柔軟性を求めるのであれば、アプライアンス型やソフトウェア型のWAFを利用するという手も考えられます。以下の記事では、アプライアンス型やソフトウェア型のおすすめ製品も紹介しているのでぜひ参考にしてください。
クラウド型WAFを導入する際の比較ポイント
自社に適したクラウド型WAFを導入するために、留意すべき3つのポイントを解説します。
費用
WAFを導入する際は、導入時のコストだけでなく運用コストもどの程度になるか確認しておきましょう。
クラウド型は、ベンダーによって料金形態が異なります。トラフィック量によって料金が異なる場合もあれば、トラフィック量に関わらず固定の場合もあります。性能やサービスのバランス、サイトの規模を踏まえ、導入費・運用費をすべて含んだコストを比べるようにしましょう。
セキュリティレベル
WAFのセキュリティレベルは、検出精度や防御範囲に大きく影響します。どの程度の詳細なルールセットを提供しているか、ゼロデイ攻撃や持続的脅威(APT)に対する防御力があるかなどがポイントです。さらに、WAFが提供するレポート機能やリアルタイムでのモニタリング機能も、セキュリティレベルを把握する上で重要です。
セキュリティレベルが高ければ、より強固な防御が可能になり、Webアプリケーションを安全に保てます。
シグネチャの更新頻度
WAFは、特定の攻撃パターンや脅威を識別する「シグネチャ」をもとに攻撃を検知・防御します。サイバー攻撃は日々進化しており、新しい脅威が次々と登場しています。シグネチャが古いままだと、最新の攻撃を見逃すリスクがあります。
そのため、シグネチャの更新頻度が高いWAFを選ぶことが、最新のセキュリティ脅威に対抗するために不可欠です。更新が自動化されているかどうか、またその頻度がどの程度であるかを確認することで、常に最新の防御状態を保てます。
サポート体制
WAFは、外部からの攻撃を防ぐ最前線に位置しています。WAFにトラブルが生じると、Webアプリケーションが攻撃にさらされ、データ流出やサービス停止といったリスクが発生します。高品質なサポート体制があれば、問題が発生した際に速やかに対応可能です。
具体的には、サポートスタッフの常駐状況やトラブル解決にかかる時間を把握しておきましょう。さらに、トラブルの原因調査を行ってくれるかも、あらかじめ確認しておくことが大切です。
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《Cloudbric WAF+》のPOINT
- 特許取得のロジック&AIエンジンを搭載、高い攻撃検知力
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攻撃遮断くん(株式会社サイバーセキュリティクラウド)
製品・サービスのPOINT
- あらゆる規模のWebシステムへ導入できる最適なWAFを提供。
- DDoS対策プランや定額制プランなど多数のサービスプランを提供。
- 自社開発だからできる手厚いサポート体制。
《SiteGuard》のPOINT
- システム環境に応じて3種類から選べて様々なWebサイトに適応
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- 国産メーカーならではの自社対応で、迅速かつ高品質なサポート
以下の記事では人気のWAF製品を多数紹介しています。各製品の特徴や提供形態の違いがひと目でわかる比較表もあるので、自社に最適な製品選びの参考にしてください。
まとめ
クラウド型WAFは初期・運用費用を抑えたセキュリティ対策を可能にします。しかし、WAFの運用や管理はすべてベンダーに一任するため、セキュリティの性能は選定したベンダーに左右されるでしょう。
製品を選定する際はセキュリティレベルや性能、コストのバランスを十分に検討することが大切です。まずは気になる製品の資料請求をしてみて、製品について詳しく知ることからはじめましょう。