管理画面の複雑さと操作のわかりにくさ
WAFの使いにくさの中でも、管理画面のUIに起因する問題は日常的な運用効率に直接影響します。
設定項目が多すぎて何をすべきかわからない
特にオープンソースベースや高機能なWAF製品では、設定可能なパラメータが非常に多く、どの設定が自社環境に必要で何を変更すべきかが直感的にわからないという問題が発生することがあります。セキュリティの専門知識がない担当者が設定を始めると、大量の設定項目に圧倒されて初期設定が進まなかったり、誤った設定をしてしまうリスクがあります。設定変更の意図や影響がわかりにくいUIは、運用の属人化とミスの原因になります。
この問題への改善策として、まずベンダーが提供するクイックスタートガイドや設定チュートリアルに従って最小限の設定から始めることをお勧めします。すべての設定を完璧にしようとするより、まず標準的な設定で稼働させてから必要に応じてカスタマイズする段階的なアプローチが、使いにくさの解消に有効です。UI/UXがシンプルで、よく使う機能が前面に出ている製品への乗り換えを検討することも選択肢の一つです。
ダッシュボードで必要な情報をすぐに見つけられない
WAFの管理画面のダッシュボードで「現在の攻撃状況」「遮断件数の推移」「未確認の重要アラート」といった日常的に確認すべき情報を素早く見つけられないと、毎日の確認作業に時間がかかり、運用の継続意欲が下がることがあります。ダッシュボードのカスタマイズに対応していない製品では、自社の運用ニーズに合わせた情報表示ができず、「何を確認すればよいかわからない」という状態になりやすいです。
改善策として、管理画面のダッシュボードのカスタマイズ機能を使い、毎日確認すべき指標(遮断件数・誤検知フラグ・新しい攻撃元IP等)を前面に表示する設定を行うことをお勧めします。カスタマイズ機能がない製品では、WAFのAPIを使って外部の監視ツールやダッシュボードに情報を集約する方法も検討する価値があります。
ルール設定とチューニングの難しさ
WAFのルール設定やチューニングが難しいと、誤検知の対応に多くの時間が取られ、使いにくさの大きな原因になります。
誤検知のルールを特定して修正するのが難しい
WAFで誤検知が発生した際に「どのルールが原因で遮断されたか」を管理画面から素早く特定できないと、誤検知の修正作業が長時間かかり、その間も正規ユーザーへの影響が続くことになります。遮断ログに原因ルールの名前が記載されていない、ルールIDが表示されても内容が確認しにくいといったUIの問題が、チューニングを難しくしている場合があります。
誤検知への対処を効率化するには、遮断ログにルール名・ルールID・遮断の詳細(どのパターンに一致したか)が明示されているWAF製品を選ぶことが重要です。ログから直接「このルールを除外設定に追加する」ボタンで操作できるUIや、例外設定の追加が数クリックで完了する管理画面を持つ製品は、誤検知対応の手間を大幅に軽減できます。
カスタムルールの記述が技術的すぎる
一部のWAF製品では、カスタムルールを正規表現やDSL(ドメイン固有言語)を使って記述する必要があり、プログラミングやセキュリティの専門知識が前提となっています。IT担当者が兼務でWAFを管理する中小企業では、カスタムルールの作成・管理が事実上できない状態になり、WAFを標準ルールのみで運用し続けることになります。この状態では、自社固有のリスクへの対応が不十分になることがあります。
カスタムルールの作成しやすさを重視するなら、GUIベースのルール作成ウィザード(条件を選択肢から選んでルールを作成できる機能)を持つ製品や、よく使われるシナリオ向けのルールテンプレートを提供している製品を選ぶことをお勧めします。テクニカルなルール記述が必要な製品でも、ベンダーのサポートやコミュニティフォーラムで参考になるルール例が公開されていると、独自ルールの作成ハードルが下がります。
ログの見づらさとサポートへのアクセスの悪さ
ログが読みにくい・サポートが使いにくいという問題も、WAFの使いにくさの主要な原因です。
大量のログから必要な情報を見つけられない
WAFは大量の通信を処理するため、蓄積されるログの量も膨大になります。ログの検索やフィルタリング機能が貧弱な製品では、特定のインシデントに関連するログを手動で探す必要があり、調査作業に多くの時間を要することがあります。ログのフォーマットが複雑で解読に専門知識が必要な場合も、日常的な確認作業の負担になります。ログが英語のみで提供されている場合も、日本語が主言語の担当者にとっては読み解くコストが増します。
ログの見やすさを改善するには、管理画面の検索・フィルタリング機能を積極的に活用し、よく使う検索条件をブックマーク・テンプレート化することをお勧めします。ログをSIEMに連携して可視化する方法や、WAFベンダーが提供する自動レポート機能を活用することで、毎日のログ確認の手間を減らすことができます。日本語でのログ表示や解説に対応した製品は、担当者の読み解き作業を軽減します。
サポートへの問い合わせがしにくい環境
問題が発生したときにサポートへの問い合わせ方法がわかりにくかったり、回答が遅かったり、英語でのやり取りが必要だったりすると、WAFの使いにくさを増幅させます。特に緊急のインシデント時には、迅速にサポートからのアドバイスを得られないことが深刻な問題につながることがあります。FAQ・ナレッジベース・コミュニティフォーラムが充実していない製品では、自力での問題解決も困難になりやすいです。
WAFの使いやすさを評価する際にサポート体制の確認は重要なポイントです。日本語での問い合わせ対応・電話サポートの有無・緊急時の優先対応SLA(サービスレベル契約)・自己解決できるナレッジベースの充実度を確認することをお勧めします。無料トライアル期間中にサポートに問い合わせてみて、回答の速さと品質を実際に確認することが、製品の使いやすさを評価する有効な方法です。
使いにくいWAFから切り替えを検討する製品を比較する
操作性と管理のしやすさで評価されているWAF製品を紹介します。
Cloudbric WAF+
- 特許取得のロジック&AIエンジンを搭載、高い攻撃検知力
- WAF/DDoS攻撃遮断/API保護/ボット対策/Malicious IP遮断
- 24時間365日監視体制と専門家にお任せのマネージドサービス付帯
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「Cloudbric WAF+」は、WebサイトやWebアプリケーションを保護するクラウド型WAFです。統合ダッシュボードからセキュリティ状況を確認でき、管理画面のユーザビリティにも配慮されています。WAFの管理をわかりやすくし、担当者の運用負担を抑えたい企業におすすめです。
PrimeWAF
- 低コストで導入できるクラウド型WAF
- カンタン設定ですぐにセキュリティ対策を開始
- 初めてでも安心のサポート体制
バルテス株式会社が提供する「PrimeWAF」は、専門的なセキュリティ知識がなくても導入・運用しやすいクラウド型WAFです。管理画面から攻撃状況を確認でき、レポート機能も備えているため、セキュリティ対策の状況を把握しやすいのが特徴です。複雑なWAFの設定や管理に負担を感じている企業にもおすすめです。
BLUE Sphere
- WAF/DDoS防御/DNS監視/サイバー保険がオールインワン
- ドメイン無制限で複数サイトを1つの契約で守る!
- 三井住友海上火災保険「サイバープロテクター」が無償で付帯!
株式会社アイロバが提供する「BLUE Sphere」は、WAFをはじめ、DDoS防御やWebサイト改ざん検知などをまとめて利用できるクラウド型セキュリティサービスです。管理画面や月次レポートから攻撃状況を把握でき、専門家によるチューニング支援にも対応しています。複数のセキュリティ対策をまとめて管理し、運用負担を軽減したい企業におすすめです。
攻撃遮断くん(株式会社サイバーセキュリティクラウド)
- あらゆる規模のWebシステムへ導入できる最適なWAFを提供。
- DDoS対策プランや定額制プランなど多数のサービスプランを提供。
- 自社開発だからできる手厚いサポート体制。
株式会社サイバーセキュリティクラウドが提供する「攻撃遮断くん」は、WebサイトやWebサーバへの攻撃を防御するクラウド型WAFです。日本語の管理画面や分析ダッシュボードを備え、攻撃状況を確認しやすいのが特徴です。WAFの管理や日々の状況把握をシンプルにしたい企業におすすめです。
Cloudbric WMS for AWS WAF
- 世界的な専門機関で証明された高度な攻撃検知能力
- 24時間365日モニタリングとエキスパートによる充実したサポート
- 運用負荷の軽減とコストの削減
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「Cloudbric WMS for AWS WAF」は、AWS WAFの導入・運用を支援するマネージドサービスです。専用コンソールから脅威や運用状況を確認できるほか、ルール作成やチューニングなどの運用業務を専門家に任せられます。AWS WAFの設定・管理が複雑で、運用負担を軽減したい企業におすすめです。
Cloud Application Protection Services
- 包括的なWAAPソリューションをクラウド上で提供
- 独自の自動化ポリシー生成技術
- OWASPトップ10の脅威に対して完全な保護を実現
株式会社アズジェントが提供する「Cloud Application Protection Services」は、WebアプリケーションやAPIを保護するクラウド型セキュリティサービスです。ポリシーの自動生成やチューニングを支援する機能を備え、WAF運用で負担になりやすいルール管理を効率化できます。細かな設定作業を減らし、管理負担を抑えたい企業におすすめです。
Ray-SOC WAF
- 独自AIエンジンで未知の攻撃も検知・ブロック
- マネージドサービス付きなので、管理の手間はほとんど不要
- 月額3.5万円から。日本の技術チームがサポートします。
株式会社レイ・イージス・ジャパンが提供する「Ray-SOC WAF」は、WAFによる攻撃防御とSOCによるセキュリティ監視を組み合わせたサービスです。専門スタッフがログを監視するため、自社担当者が日常的にWAFの状況を細かく確認する負担を軽減できます。管理や監視に手間がかかるWAFから、運用負荷の少ないサービスへ切り替えたい企業におすすめです。
Radware Products
- 未知の脅威や巧妙化するWeb攻撃に対応できる高い防御性能
- AI活用による分析や運用の自動化で運用負荷を軽減
- 大規模攻撃にも対応するグローバル防御基盤
株式会社日立ソリューションズが提供する「Radware Products」は、WAFやDDoS対策、Bot管理、API保護などを統合したクラウド型セキュリティソリューションです。AIによる自動学習・自動防御によってチューニングの手間を抑えられ、インフラの保守やアップデートも不要です。既存WAFの設定や運用に負担を感じており、管理業務を効率化したい企業におすすめです。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWAFの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
WAFの使いにくさに関するFAQ
WAFの使いにくさと改善策についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:現在使っているWAFが使いにくいと感じたら、まず何をすべきですか?
- まず使いにくさの原因を整理してください。管理画面のUI・ルール設定の難しさ・ログの見づらさ・サポートの問題のどれが主因かを特定し、ベンダーに改善の提案や使い方の相談をすることをお勧めします。それでも解消しない場合は、より使いやすい製品への乗り換えを検討することも選択肢です。
- ■Q2:マネージドWAFサービスにすると使いにくさは解消されますか?
- ルール管理・チューニング・ログ監視をベンダーが代行するマネージドサービスを利用することで、管理画面の操作や複雑な設定の必要が大幅に減り、運用の負担が軽減されます。使いにくさが運用工数の問題に起因する場合は有効な解決策です。
- ■Q3:WAFを切り替える場合に注意すべきことはありますか?
- 切り替え時は、現行WAFで蓄積した例外ルールや設定を新しい製品に再設定する作業が必要です。切り替えは現行WAFを残したまま並行稼働で動作確認を行い、問題がないことを確認してから完全移行することをお勧めします。
まとめ
WAFが使いにくいと感じる主な原因は、管理画面のUI複雑さ・誤検知ルールの特定しにくさ・カスタムルール作成の難しさ・ログの視認性の低さ・サポートへのアクセスの悪さです。改善策として、段階的な設定アプローチ・ダッシュボードのカスタマイズ・マネージドサービスの活用・使いやすい製品への乗り換えが有効です。製品選定の段階から操作性とサポート体制を重視することで、長期的に無理なく継続できるWAF運用を実現できます。

