Web請求書・クラウド請求書システムを選ぶ前に確認すべきこと
まずは、自社にとってどのようなシステムが適しているのかを判断するための準備が重要です。導入目的や運用体制を整理しておくと、比較時に注目すべき項目が明確になります。
導入目的を明確にする
最初に、自社がWeb請求書・クラウド請求書を導入する目的を明確にしましょう。請求業務の効率化を重視するのか、法制度への対応を目的とするのかによって、重視すべき機能が変わります。
目的が曖昧なまま製品を選ぶと、運用後に機能不足や使いづらさを感じる可能性があります。まずは現状の課題を洗い出し、システム導入で解決したい課題を明確にしておくことが大切です。
取引先や社内フローとの適合性を確認する
Web請求書やクラウド請求書を導入しても、取引先が紙請求書を希望している場合や社内の承認フローが複雑な場合、運用がスムーズに進まないことがあります。
導入前に取引先の対応状況を確認し、社内の経理・営業・総務など関係部門の承認手順を整理しておきましょう。システムが既存フローに合っていれば、移行後の混乱を防ぎやすくなります。
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応状況を確認する
2024年以降、電子帳簿保存法や「適格請求書等保存方式（いわゆるインボイス制度）」への対応が企業に求められています。選定時は、電子取引データの保存要件を満たしているか、適格請求書の登録番号管理や記載事項に対応しているかを必ず確認しましょう。法改正の都度の見直し負担を抑えるには、最新制度に柔軟に追随する更新方針かどうかも要確認です。
参考：電子帳簿等保存制度特設サイト｜国税庁
参考：適格請求書等保存方式（インボイス制度）の手引き｜国税庁
Web請求書・クラウド請求書の選び方の基本ポイント
ここでは、比較検討の際に特に重視すべき基本ポイントを紹介します。コストや操作性などの要素を総合的に判断し、自社の業務に最適なシステムを選びましょう。
料金体系とコストパフォーマンス
Web請求書やクラウド請求書は、初期費用や月額料金のほか、請求書の発行枚数に応じた従量課金制を採用している場合があります。料金だけでなく、コストに見合った機能が備わっているかも重要です。
請求件数が多い企業では、定額制の方がコストを抑えられることもあります。料金プランと自社の取引量を照らし合わせて、長期的なコストパフォーマンスを確認しましょう。
クラウドの安定性とセキュリティ対策
クラウド型システムは、稼働の安定性とセキュリティ対策が信頼性を左右します。通信の暗号化や二段階認証、バックアップ体制、データセンターの冗長化などを確認しましょう。
請求書には取引情報や金額データが含まれるため、情報漏えい対策は不可欠です。提供元が国際規格の情報セキュリティ認証（ISO/IEC 27001など）を取得しているかもチェックしておくと安心です。
操作性と使いやすさ
どんなに高機能でも、操作が複雑だと現場で定着しにくくなります。請求書の作成・送付・承認の流れが直感的に操作できるか、画面の見やすさや検索性が高いかを確認しましょう。
操作性はデモ画面や無料トライアルで実際に試すと把握しやすくなります。担当者のITスキルに左右されず、誰でも迷わず使える設計のシステムを選ぶと運用がスムーズに進みます。
連携可能な会計ソフトやERPの種類
会計ソフトや基幹システムと連携できるかどうかも重要な比較ポイントです。請求データを自動で会計に取り込めれば、転記作業の手間や入力ミスを減らせます。
自社が利用中のシステム群との接続方式（API・CSV・RPA）や、連携で維持されるデータ項目（取引先・部門・品目・税区分）を確認しておくと良いでしょう。請求から経理処理までを一貫して効率化できる設計だと導入効果が高まります。
以下の記事ではWeb請求書・クラウド請求書の価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
Web請求書・クラウド請求書を比較検討するときの注意点
複数の製品を比較する際は、料金や機能だけでなく、実運用を想定した観点で評価することが大切です。ここでは、見落としがちなチェックポイントを紹介します。
請求書送付先の登録・管理機能
取引先が多い企業では、送付先管理のしやすさが重要です。取引先ごとの送付先情報を一括管理できる機能があると便利です。請求書送付方法（メール・郵送・ポータル）を相手先ごとに指定できるかも確認しましょう。請求処理を分担する場合は、担当者ごとの権限設定や履歴管理があると運用が安定します。
カスタマイズの柔軟性と承認フロー設定
企業によって承認ルールや帳票レイアウトは異なります。承認者の段階設定、分岐条件、テンプレート編集などを柔軟にカスタマイズできるかを確認してください。社内ルールの変更や拠点追加にも対応できる拡張性があれば、将来の業務変更にもスムーズに順応できます。外部サービスと連携した自動化（通知・督促）を想定した設計も有用です。
サポート体制と導入後の運用支援
導入後のサポート体制は比較時の重要要素です。トラブル時の対応速度、有人サポートの有無、管理者向けマニュアルやFAQの充実度を確認しましょう。初期設定や社内展開を支援するオンボーディングサービスがあると、立ち上げが円滑になります。社内教育用の動画やウェビナーが提供されているかも定着に影響します。
Web請求書・クラウド請求書を選定する際のコツ
比較を効率よく進めるには、実際に使って確かめることと、将来の変化を見据えた選定が有効です。以下のコツを押さえると、導入後の満足度が高まりやすくなります。
無料トライアルを活用して操作性を確認する
多くのサービスは無料トライアルやデモ環境を用意しています。実際に請求書を作成・送付して操作感を確かめましょう。複数の製品を並行して試すと、画面設計や承認フロー設定の違いが見えてきます。現場担当者にも試用してもらい、定着のしやすさを評価項目に入れると判断がぶれにくくなります。
複数部署での利用を想定して比較する
請求業務は経理だけでなく、営業や管理部門とも関わります。全社利用の可能性を考慮し、部署横断のデータ共有やアクセス権設計を確認しましょう。請求後の確認・承認・入金管理までのプロセスをつなげて評価すると、導入効果を客観的に見極めやすくなります。拠点追加やユーザー増にも耐える拡張性も重要です。
今後の法改正対応を視野に入れる
電子帳簿保存法やインボイス制度は更新が続きます。改正へのアップデートが速い提供元か、対応方針が公開されているかを確認しましょう。適格請求書発行事業者の登録番号を自動検証・更新できる仕組みや、電磁的記録の保存要件に沿ったログ管理があると安心です。
まとめ
Web請求書やクラウド請求書を導入すると、請求業務の効率化や制度対応の負担軽減が期待できます。選定時は、自社の目的や運用体制を明確にし、機能・コスト・サポートを総合的に比較することが重要です。
まずはITトレンドで資料請求して、複数の製品を比較検討し、自社に最適なシステムを見つけてください。
