電子帳簿保存法の導入手順
電子帳簿保存法に即して自社に電子化を導入する場合、どのような手順を踏めばよいでしょうか。5つのステップに分けて解説します。
1.課題・目的の明確化
まずは、電子帳簿保存法の導入によって自社が何を達成したいのかを明らかにしましょう。それにより、電子化する書類や導入すべきシステムが変わってきます。例えばコンプライアンス・ガバナンス強化や、テレワークの生産性向上、ペーパーレス化によるコストカットなどがあるでしょう。
2.電子化する書類の洗い出し
次は、電子化する書類を洗い出します。自社が抱えている課題を踏まえ、どの書類を電子化すべきなのか考えましょう。
例えば、経理業務の効率化を目指すのなら、各種申請業務に関する書類を電子化するとよいかもしれません。一方、重要な書類を安全に保管したいのなら、機密情報も含む書類を電子化し、十分なセキュリティ対策を施すのが有効と考えられます。
3.業務フローの設計
書類を電子化すると、業務フローは変更を余儀なくされます。例えば、これまで紙の書類で行っていた経費申請などを電子上で行うのなら、申請方法も変更せざるを得ません。データの保存方法やシステムの操作方法なども、考える必要があるでしょう。
これらを踏まえて、導入後に混乱が生じないよう、業務フローを設計します。
4.システムの選定・導入
書類を電子化するには専用のシステムが必要です。そのため、次はシステムを選定・導入しましょう。
この時に気をつけなければならないのが、電子帳簿保存法に対応しているかどうかです。電子帳簿保存法では、スキャン時の解像度や日付の入力などについていくつかの要件が定められています。これらに違反することがないよう、要件を満たした製品の選定が必要です。
また、システムによって備わっている機能もさまざまです。自社が電子化したい書類に対応しているのか、セキュリティ機能はどうかなど、導入目的と照らしあわせて最適な製品を選びましょう。
5.税務署への申請
電子帳簿保存法において重要なのが、税務署への申請です。書類の電子保存をはじめる3か月前までには税務署に申請し、承認をもらわなければなりません。直前に申請することがないよう、綿密なスケジュールを組んでから行動に移しましょう。
また、申請書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
参考:電子帳簿保存法関係|国税庁
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電子帳簿保存法を導入するメリット・デメリット
帳簿の電子保存を導入するメリットとデメリットは以下のとおりです。メリットとデメリットを踏まえ、自社でどの帳票を電子化するかよく検討しましょう。
電子帳簿保存法の導入メリット
- ●保管スペースの節約
- ●検索性の向上による業務効率化
- ●印刷コストの削減
- ●セキュリティの強化
電子帳簿保存法の導入デメリット
- ●電子化・保存するためのシステム導入費が必要
- ●法律要件にもとづいた管理ルールが必要
- ●サーバダウンやシステム障害のリスクがある
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電子帳簿保存法の導入事例
電子帳簿保存法の導入事例を2つ紹介します。
- ■電子帳簿保存法対応の専用ツールを導入し書類管理が改善された例
- ある銀行は、2015年の税制改革に伴う電子帳簿保存法改正をきっかけに、専用ツールを導入しました。それまでは、経費精算をすべて紙媒体で行っていたといいます。溜まった書類は書庫に保管し、探す際は目視で確認しなければなりませんでした。
しかし、システム導入後は業務が効率化。導入直後は新たな体制への混乱もありましたが、今では定着しているようです。
- ■請求書の電子化に成功した例
- ある企業は、月間1万件以上発行される請求書に問題意識を抱いていました。一部の請求書の発行や送付は外部の業者に委託していましたが、膨大なコストが発生していたようです。そこで、BtoB向けの請求書管理システムの導入を決断しました。
導入に対して賛成の声が多数あり、取引先からの理解も得られスムーズに電子化を進められたようです。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の電子化・保存を認めた法律です。1998年の施行以降、法改正が度々実施されています。
電子保存対象となる書類の一例
電子保存の対象となるのは、以下のような国税関係の書類です。
- ■国税関係帳簿
- ・仕訳帳
- ・現金出納帳
- ・売上帳
- ・売掛金元帳
- ・固定資産台帳
- ■国税関係書類
- 決算関係書類(スキャナ保存不可・電子保存可)
- ・賃貸対照表
- ・損益計算書
- ・棚卸表
- 取引関係書類(スキャナ保存可・電子保存発行のみ可)
- ・領収書
- ・請求書
- ・契約書
- ・見積書
- ・納品書
保存方法における3つの要件
現在は以下の3つの方法での電子保存が認められています。
- ■電子帳簿等保存
- 電子計算機器を使用して帳簿や国税関係書類などの書類を作成し電子的に保存
- ■スキャナ保存
- 見積書や請求書など紙の書類をスキャンし、データを保存
- ■電子取引データ保存
- EDI取引・メールデータ・電子契約など電子的に授受した取引情報をデータで保存
参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁
2022年1年の電子帳簿保存法改正内容
最新では2022年1月に法改正が行われ、以下のような点で変更点があります。
- ・事前承認制度の廃止
- ・スキャナ保存における適正事務処理要件の廃止
- ・タイムスタンプ要件の緩和
- ・検索要件の緩和
参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁
2022年1月に改正された電子帳簿保存法の詳しい内容は、以下の記事で詳しく解説しています。
電子帳簿保存法を導入し、業務を効率化しよう!
国税庁の発表によると、電子帳簿保存法の導入企業は年々増えています。電子化のメリットも徐々に認知されてきているため、今後もこの流れは続くと考えられます。5ステップの導入手順を踏まえて電子帳簿保存法を導入し、業務を効率化しましょう。