電子請求書とは
電子請求書とは、紙で印刷されている請求書をメールやWeb上でやり取りできるように、PDF形式などで電子化したものです。請求書を電子化すると保管が簡単になり、送付作業などを効率化できます。
なお、電子化した請求書をPDFなどの電子データで送付することは法的に問題はありません。また、電子請求書は紙の請求書と同等の法的効力をもちます。税務調査で事実確認が必要な場合でも、メールの履歴や請求書のクラウド保存など、請求の意思表示を証明できるものがあれば証拠資料として認められます。
電子請求書については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類や国税関係書類を電子化し、データとして保存することを認めた法律です。また、電子データ化してやり取りされた場合の保存形式についても定めています。
電子保存の形式は以下の3つがあり、それぞれ対象となる書類は異なるので注意しましょう。
- 電子帳簿等保存
- 電子計算機器を使用して書類を作成し、データのまま保存すること。
請求書や納品書などの取引関係書類や、仕訳帳や売掛帳など国税関係帳簿、棚卸表や賃借対照表などの決算関係書類が対象。
- スキャナ保存
- 紙で発行または受領した書類をスキャンし、画像データで保存すること。
請求書や納品書、注文書などの取引関係書類が対象。
- 電子取引データ保存
- 電子データで授受した取引情報をデータで保存すること。
EDI取引や電子メールによるデータのやりとり、電子請求書や電子領収書の授受にかかるクラウドサービスの利用などが対象。
参考:電子帳簿保存法の概要
|国税庁
2024年1月から請求書の電子化(保存)が義務化
電子帳簿保存法はこれまで度々改正が行われています。2022年1月1日の電子帳簿保存法改正では、電子化してやりとりした請求書は電子データのまま保存することが義務となりました。
2023年12月31日までは宥恕期間が設けられていましたが、2024年1月1日以降は完全義務化とされています。ただし、一定の条件を満たしている事業者に対しては、書面での保存を認める「猶予措置」が適用されます。
令和5年度(2023年)税制改正大綱による猶予措置
2023年12月に終了した宥恕期間に代わり、2024年1月以降は「令和5年度(2023年)税制改正大綱」にもとづいて、新たに猶予措置が設けられました。
電子化対応が困難である事業者は、以下の要件を満たせば、2024年1月以降も電子取引における電子データの書面での保存が認められます。
- ●保存要件に従って保存することが難しい相当の理由があり、所轄の税務署に認められる
- ●税務調査時に要求された電子データをダウンロードできる
- ●出力書面を適切に保存し、税務調査時に提示または提出の要求に応じる
参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました|国税庁
請求書を電子化した場合の電子帳簿保存要件
ここからは、電子請求書を送付・受領する際に押さえておきたい保存要件について解説します。
請求書の真実性を確保する
電子請求書には「真実性」が求められます。「完全性」と呼ばれることもありますが、電子データは紙の書類よりも改ざんしやすい特性があるため、請求書の内容が真実であることを証明できなければなりません。そのため、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
- ●タイムスタンプが付与されたデータを受け取る、もしくは保存するデータにタイムスタンプを付与する
- ●訂正削除の履歴が残る、もしくは訂正削除ができないシステムで授受・保存する
- ●改ざん防⽌のための事務処理規程を作成し運用する
請求書の可視性を確保する
文字が読みとれない書類の電子化は原則的に認められないほか、検索や税務調査を効率よく行えるように、以下の要件を満たすことも必要です。
- ●ディスプレイやプリンタ、システムの開発関連書類などを備え付ける
- ●取引年月日や金額、取引先で検索できるように検索要件を充足する
上記要件を満たすことで、請求書の電子保存が可能になります。
参考:令和6年1月からの 電子取引データの保存方法|国税庁
電子請求書を発行するメリット
請求書を電子化すると、コスト削減や工数削減、セキュリティ向上など多くのメリットが得られます。ここからは電子請求書を発行するメリットについて紹介します。
コスト削減
紙の請求書を発行する際は、紙・インク・封筒・送料などのコストが発生します。
請求書を電子化すると、上記コストの大幅な削減が可能です。例えば、毎月1,000件請求書を発行している企業の場合、郵送料だけで10万円程かかるため、年間で計算すると100万円を超えるコスト削減効果が得られます。
また、請求書は保存期間が法律で定められています。法人で7年~10年、個人事業主の場合は5~7年です。紙の場合、保存スペースが必要ですが、電子請求書の場合は不要です。省スペースが可能なほか、保管に要していたコストの削減も期待できます。
工数削減
紙の請求書の場合、作成した請求書を印刷し、封筒に入れて郵送手続きをする必要があります。一方電子請求書は、請求書を電子データで相手に送るだけです。手動作業が大幅に減少し、作業効率が向上します。
また、手作業によるミスの発生も抑えられるため、修正や再発行の手間がかかりません。さらに、検索や管理が容易になり、過去の請求書を迅速に確認できるといったメリットもあります。
セキュリティの向上
メールや紙で請求書を送る場合、誤送信の恐れがあります。そこでおすすめしたい請求書の送付方法が「Web請求」です。Web請求は、Web上に作成した請求書をアップロードし、相手側には請求書にアクセスできるURLをメールで送信します。もし誤送信した場合でも、アクセス前にサーバにアップロードされている電子請求書を削除すれば、情報漏えいを防げるでしょう。
また、メールに電子請求書を添付して送信する場合は、メールのセキュリティが万全でないとサイバー攻撃を受けて、通信データが盗まれる可能性があります。Web請求はセキュリティ強度が高いサーバに請求書が保存されているため、メールシステムよりも安心でしょう。
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請求書を電子化する際に行うべきこと
請求書の電子化をスムーズに進めるためには、業務フローやルールの設定、取引先からの承諾、専用システムの導入などいくつかのポイントがあります。以下で詳しく解説します。
業務フローやルールを設定する
請求書の電子化を実施する際には、まず業務フローとルールの明確化が重要です。現行の請求書処理方法を把握し、
電子化後もスムーズに移行できるようにプロセスを見直します。電子化に伴う承認フローやデータ保存のルール、セキュリティ対策を設定することで、業務の効率化とリスク管理が可能になります。また、従業員への教育やトレーニングも忘れずに行い、全体の理解を深めることが重要です。
取引先の同意を得る
請求書を電子化する際には、取引先からの同意が必須です。取引先に対して電子請求書の導入意図や利点を説明し、理解を得る必要があります。また、電子化に伴うフォーマットや受取方法の変更点についても十分に説明し、
変更後のフローなどをわかりやすく説明することが重要です。契約書や合意書を取り交わすことで、トラブルを防ぎ、円滑な取引を維持できます。
電子請求書システムを導入する
請求書の電子化には、電子請求書システムを用いるのが一般的です。
電子請求書システムとは、請求書の作成や発行作業を効率化するシステムです。電子帳票保存の要件にも対応しており、法的に求められるデータの保存や管理が適切に行えます。なお電子請求書システムは、クラウド請求書発行システムやWeb請求書システムとも呼ばれています。
電子請求書システムを選定する際には、機能性やセキュリティ、サポート体制を確認し、自社のニーズに最適なものを選びましょう。
以下の記事では、電子請求書システムの選び方について詳しく解説しています。また、おすすめの製品を導入目的別に比較紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
まとめ
電子帳簿保存法によって多くの書類の電子化が可能になり、請求書も従来の紙によるやり取りから電子化へと移行しています。電子請求書の導入には、コストや工数の削減など、さまざまなメリットがあります。
ただし、電子化した請求書は、電子帳簿保存法の要件に則って保存する必要があります。要件に則った保存を手間なく適切に行うには、電子帳簿保存法に対応した電子請求書システムの活用がおすすめです。下のボタンから各社製品の一括資料請求が可能なため、導入検討にぜひご活用ください。