請求書業務の流れ
請求書業務とは、サービスや製品を提供し購入者から代金を回収するための業務を指します。取引の証明として発行する請求書には、締め日までの取引をまとめて請求する「締め請求」と、取引の発生ごとに請求する「都度請求」2種類の請求方法があります。
請求書業務のフローは、以下のとおりです。
- 1.請求額の確定
- 2.請求書の作成・発行・承認
- 3.請求書の印刷・捺印・宛名作成
- 4.請求書の郵送
- 5.請求書の入金チェック・督促
請求書処理の課題点
経理担当者が頭を悩ませる請求書処理には、どのような課題があるのでしょうか。コストや管理面の観点で解説します。
コストがかかる
多くの企業間取引において、紙の請求書を送りあっているのが現状です。大量の紙や印刷するためのインク代、郵送代がかかります。また書類や宛名を作成し、発送までの工程にも時間がかかるため、人件費も軽視できません。取引先企業や案件数に比例して請求書も増加するため、繁忙期はさらにコストがかかるでしょう。
ミスの発生リスク
宛名ラベルの印刷や捺印、切手の添付などに手間がかかります。宛名ラベルの貼り間違いや請求書の入れ間違いなどは、情報漏えいや企業の信用にかかわる大きな問題となるため、慎重に取り扱わなければなりません。さらに、請求書原本と会計ソフトなどへの入力データの突合も必要です。取引企業数が増えるほど、人的ミスの発生リスクは高まるでしょう。
受領後の煩雑な入力作業
請求書を受け取った後の入力作業は、多くの企業で頭痛のタネです。各取引先から送られてくる請求書は形式が異なることが多く、その都度、内容を確認しながら正確にデータ入力する必要があります。特に月末などは請求書が集中します。入力作業に追われることで通常業務にも支障をきたし、従業員のストレスや作業ミスにつながりやすい環境です。
スキャンとファイリングの手間
紙の請求書はデジタル化のためにスキャンし、さらに原本をファイリングする必要があります。これらの作業は単純ながらも手間がかかり、業務効率の低下を引き起こします。適切なデジタル管理システムがない場合、重要な文書の追跡や保管が困難になることもあるでしょう。
管理や保管場所の用意
紙の請求書は、保管する場所が必要です。請求書の保管期間は、法人で7年、個人事業主で5年と定められています。取引企業数の増加に比例して、請求書の保管場所の確保や、ファイリングなど管理に手間がかかるでしょう。
参考:
帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁
請求書保管の法的課題
覚えておきたい点として、2022年施行の電子帳簿保存法の改正があります。この法改正は、電子データとして受領した請求書の紙への出力保存を2024年以降禁止しており、企業にはデジタルデータの適切な管理が求められます。具体的には、紙の請求書はスキャン後の電子保存か原本の保管、電子請求書はそのままの電子保存が必要です。改正法に対応するためには、既存の文書管理システムの見直しが急務です。
しかし、多くの企業では現在も紙の請求書を原本で保管する古いスタイルを取っており、業務効率の低下や、長期的には法令遵守の問題にもつながります。特に、紙と電子の二重管理は、文書の検索性の悪さを生むだけでなく、将来的には法的なリスクも孕んでいます。
参考:
電子帳簿保存法が改正されました|国税庁
請求書処理を効率化する方法
ここでは、請求書処理業務の課題解決や効率化の方法を紹介します。
EDIを活用
EDIとは「Electronic Data Interchange(電子データ交換)」の略称で、企業間取引で発生するやり取りを電子データ化し、発注から支払いまでのフローを効率化するシステムのことを指します。EDIの活用により請求書発行業務だけでなく、企業間取引全体が効率化するでしょう。
しかし、取引のある企業間で同じEDIを導入する必要があります。互換性のあるEDIを企業同士が利用していなければ、メリットを感じられることは少ないでしょう。
請求書発行システムを活用
請求書発行システムとは、メールと郵送のどちらにも対応したあらゆるタイプの帳票を作成できるシステムのことです。入力作業・郵送作業・保管場所の確保など、請求書発行にかかわる手間や郵送コストを削減できます。さらに、人的ミスの防止や、電子データとして書類を保管できます。請求書発行システムの導入で自社が抱えるさまざまな課題を解決し、業務の効率化につながるでしょう。
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請求書発行システム製品を比較紹介
ここでは、2023年上半期に資料請求数が多かった請求書発行システム(Web請求書システム)を紹介します。
《楽楽明細》のPOINT
- 郵便料金値上げ対策にも◎請求書発行にかかる手間・コストを削減
- 電帳法・インボイス制度に対応!平均1.5か月で運用スタート!
- システムとの連携実績が豊富なので、スムーズに導入可能!
ITトレンド上半期ランキング2023(Web請求書・クラウド請求書ソフト)第1位
株式会社ラクスが提供している「楽楽明細」は、あらゆる帳票をWebで自動発行できるWeb帳票発行システムです。帳票の項目やレイアウトを自由に設定でき、請求書や納品書、支払明細や給与明細などに対応しています。CSV形式のファイルはもちろん、PDF化された帳票データもそのまま使用できるので、アップロードに手間がかかりません。
対応機能 |
システム連携・電子請求書発行・請求書配信 |
無料トライアル |
〇 |
価格 |
初期費用100,000円~ 月額25,000円~ |
いい点 情報処理、SI、ソフトウェア 100名以上 250名未満
改善してほしい点 食品、医薬、化粧品 100名以上 250名未満
《請求QUICK》のPOINT
- 月額無料で請求書の作成・発行・入金消込・仕訳出力をデジタル化
- 請求書発行業務にかかる工数を約90%削減することに成功
- 毎月の請求管理が驚くほどラクに!請求~会計まで一元管理が可能
ITトレンド上半期ランキング2023(Web請求書・クラウド請求書ソフト)第3位
「請求QUICK」はSBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供しており、月額無料ではじめられる請求書発行システムです。インターネットバンキングとの連携により、入出金明細をリアルタイムに取得します。さらに、入金消込のアシスト機能も搭載されており、消込作業の工数が大幅に削減するでしょう。督促メールの送付にも対応しているため、スムーズな資金回収が実現します。
対応機能 |
システム連携・電子請求書発行・請求書配信 |
無料トライアル |
〇 |
価格 |
初期費用無料 月額無料 請求書発行50枚まで、ネットバンキング明細取得30回まで |
いい点 情報処理、SI、ソフトウェア 10名以上 50名未満
《ジョブカン見積/請求書》のPOINT
- 誰でもかんたん!クラウド上で請求書の作成が可能
- 一括作成機能を活用することで、大幅な工数削減が実現
- 取引先ごとにレポート作成可能!自動集計でミスや工数も削減
ITトレンド上半期ランキング2023(Web請求書・クラウド請求書ソフト)第4位
株式会社DONUTSが提供する「ジョブカン見積/請求書」は、請求書をはじめ、見積書など各種帳票を枚数無制限で発行できるクラウド見積/請求書発行サービスです。消費税増税や電子帳簿保存法、インボイス制度など法改正にも対応しています。会計ソフトや請求書ソフトとの連携により、入金データや請求金額も自動集計できるため、請求業務の大幅な効率化が実現するでしょう。
対応機能 |
システム連携・電子請求書発行・請求書配信 |
無料トライアル |
〇(30日間) |
価格 |
初期費用無料 月額500円~/ユーザー※最低利用価格2,000円 ジョブカン会計との併用で最低利用価格1,500円 |
改善してほしい点 情報処理、SI、ソフトウェア 10名以上 50名未満
《@Tovas》のPOINT
- 「システム連携(API)」で簡単&シンプルに自動配信を実現
- 「セキュリティ・情報トレーサビリティ」で重要帳票も安心安全に
- 「マルチアウトプット」で配信業務の効率化とコスト削減を実現
ITトレンド上半期ランキング2023(Web請求書・クラウド請求書ソフト)第7位
「@Tovas」は、コクヨ株式会社が提供しているWeb帳票発行システムです。自動配信を容易にするシステム連携機能が備わっています。重要帳票を安心・安全に管理できる「セキュリティ・情報トレーサビリティ」が実装されているのも特徴です。また、マルチアウトプットにより配信業務の効率化やコスト削減も実現できます。
対応機能 |
システム連携・電子請求書発行・請求書配信 |
無料トライアル |
ー |
価格 |
初期費用120,000円 月額10,000円~ |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
改善してほしい点 電気、電子機器 50名以上 100名未満
Web上にアップロードして共有するものや郵送代行に対応している製品など、充実した機能の請求書発行システムが豊富に提供されています。最新資料請求ランキングをさらに知りたい方は、以下のボタンよりご覧ください。
請求書発行システムの選び方
請求書発行システムやWeb請求書システムには、さまざまな製品があります。導入した際に効果を最大限に発揮できるシステムの選び方を紹介します。
自社にあう機能やサービス内容か
請求書発行システムは、多くの機能が搭載されていればよいわけではありません。システムを活用してどのような課題を解決したいのか、導入の目的を明確にしましょう。明確にした課題をもとに、必要な機能を洗い出します。自社に適した製品を導入することで、効果を十分に発揮できるでしょう。
自動化の範囲とデータ連携はどこまで可能か
業務の自動化範囲は、効率化を図るうえでの大きなポイントです。請求情報の入力、エラーチェック、承認プロセスなど、どの段階まで自動化できるかを確認しましょう。また、他システムとのデータ連携がスムーズに行えるかも重要です。これにより、情報の一元管理が可能となり、業務プロセス全体の効率化につながります。
セキュリティ対策がされているか
請求書など帳票では、自社はもちろん取引先に関する機密情報を取り扱います。情報の流出が発生してしまうと、企業の信頼度の低下につながるでしょう。クラウド型のシステムではベンダーのサーバを利用するため、セキュリティ面での注意が必要です。データ送信時には暗号化をして通信したり、内部からの情報漏えい防止のために利用権限の設定をしていたり、強固なセキュリティ対策を施している製品がおすすめです。
操作性がよいか
優れた機能を搭載していても、使いこなせなければ意味がありません。直感的な操作が可能か導入前に確認しましょう。また、管理者だけで導入を決定せず、実際に請求書業務の担当者へ相談することをおすすめします。無料トライアルなどで操作を試したり、無料デモで管理画面を確認できたりすると安心です。
サポート体制が充実しているか
システムの導入後も、継続的なサポートが受けられるかを確認しましょう。特に、初期設定のサポートはシステム導入のハードルを下げ、スムーズな移行を助けます。また、取引先の送付先変更などの日常的な管理業務をサポートしてくれるオプションも、業務効率化に寄与します。
コストパフォーマンスに優れているか
システムのコストは、初期費用やランニングコスト、メンテナンス費用など、複数の要素で構成されます。総コストを把握し、自社の予算とバランスを取りながら、必要な機能を備えたコストパフォーマンスに優れたシステムを選びましょう。
スキャンした原本の保存ができるか
2022年施行の電子帳簿保存法改正により、紙の請求書は原本保管が必要になりました。そのため、選択するシステムでスキャンしたデータの電子的な保管が可能かどうかを確認することも重要です。
自社で効果を発揮できる請求書発行システムについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。製品の基本情報やおすすめの企業などを比較しています。
請求書発行を自動化するメリット
請求書発行システム(Web請求書システム)を導入するとどのような効果があるのでしょうか。代表的なメリットを紹介します。
コスト削減
紙の請求書発行には、用紙・封筒・インク・切手・郵送費などさまざまなコストが発生します。人手や保管用のスペースも必要となり、コストがかかるでしょう。請求書発行システムを導入することで、資材費・郵送費・保管スペースは必要なくなります。また、人件費も削減できるため、請求書発行業務における大幅なコスト削減につながるでしょう。
業務の効率化
紙の請求書発行にかかわる印刷・封入・宛先のラベル貼り・保管など一連の処理は、非常に手間がかかる業務です。手作業ではミスも発生しやすく、確認作業にも時間がかかります。請求書発行システムでは、一連の流れを電子化して手作業が排除されるため、単純なミスを防げるでしょう。
また、取引先に紙の請求書を求められても、郵送代行が可能なシステムであれば対応できます。業務のアウトソーシングで、工数の削減が実現するでしょう。
管理業務の自動化
請求書は発行のみならず、集金の消込・請求状況・未収金状況の確認など、バックオフィスの管理業務も発生します。従来はExcelで管理し、目視で確認していたため時間と手間がかかり、請求漏れなどのトラブルも発生しやすい環境でした。請求書発行システムの導入でバックオフィスの管理業務を自動化できるため、未収金の催促などもシステム側で実行可能です。
情報漏えいや紛失リスクを削減
請求書の印刷には、紛失や情報漏えいの危険性が伴います。特に、顧客から送られてきた請求書を紛失すると、信頼を失うだけでなくトラブルに発展する可能性もあるでしょう。高いセキュリティ性が備わった請求書発行システムは、紛失や漏えいの不安が減少します。さらに、帳票を電子化して安全に保存も可能です。
エコへの貢献
近年、企業の社会的責任として地球環境保全への取り組みが求められています。紙ベースの業務は、紙・封筒・インクなどの資材を使用するほか、保管や廃棄も必要とするため、地球環境に配慮できているかというと疑問が残るでしょう。請求書発行システムは、資材を使用しない地球に優しいシステムです。そのため、企業のペーパーレス化に役に立つでしょう。
請求書発行システムの導入で請求書処理業務を自動化しよう
請求処理業務は、コストがかかりミスの発生リスクや保管場所の確保などさまざまな課題があります。請求処理業務を効率化する方法のひとつとして請求書発行システムの導入がおすすめです。
コストや手間を削減できるメリットから、請求書発行システムは多くの企業から注目されています。また、人的ミスの防止もできるため、企業の信頼度が下がるリスクも回避できるでしょう。解決したい課題を明確化し、自社にあう請求書発行システムを導入し請求書処理業務の改善に役立ててください。