入退室管理システムを導入する目的の整理
導入を検討する際は、まずセキュリティ強化と業務効率化のどちらを重視するのか、目的を明確にしておくことが最初のステップです。目的によって、優先すべき機能が変わります。
セキュリティ強化を目的にする場合
不正入室の防止や、入退室の履歴を記録して事後に確認できる体制を整えたい場合は、認証方式の強度や、履歴の保存期間・検索のしやすさを確認することが選定のポイントです。複数人が同時に入室する共連れへの対策機能があるかも、あわせて確認しておきましょう。
特に機密情報を扱う部屋やサーバー室を管理する場合は、入退室の記録を誰がいつ確認できるかという権限設定の柔軟性も重要な確認項目です。記録の改ざんを防ぐ仕組みが備わっているかも、あわせて確認しておくと安心です。監査対応が必要な業種では、記録の出力形式や保存年数が社内規程を満たすかどうかも、あわせて確認しておきましょう。外部監査を受ける機会がある場合は、必要な記録をすぐに提出できる状態にしておくことも準備の一つです。
業務効率化を目的にする場合
鍵の受け渡しや来客対応にかかる手間を減らしたい場合は、スマートフォンやICカードでの解錠、来訪者向けの一時的な入室権限発行機能があるかを確認しましょう。勤怠管理システムと連携できれば、入退室の記録を勤怠データとして活用できる場合もあります。
複数拠点を運営している企業では、拠点ごとの権限設定を一元管理できる管理画面があると、本社担当者の業務負担を軽減できます。遠隔から解錠や権限変更ができる機能も、業務効率化の観点で確認しておきたいポイントです。来客対応が多い企業では、受付担当者が離席していても遠隔解錠できる機能が、業務負担の軽減につながる場合があります。
解錠方式の選び方
入退室管理システムには複数の解錠方式があり、それぞれ特徴が異なります。設置場所や利用者の属性にあわせて、適した方式を選びましょう。
ICカード・スマートフォン認証の特徴
ICカードは既存の社員証と兼用できる場合があり、導入時の運用負担が比較的少ない方式です。一方でカードの紛失時には、速やかに無効化する運用ルールが欠かせません。
スマートフォン認証は、カードの発行や再発行の手間を減らせる場合がありますが、従業員のスマートフォン所持を前提とする点に注意が必要です。私物端末を利用する場合は、業務利用に関する社内ルールもあわせて整備しておくとよいでしょう。バッテリー切れや機種変更時の対応手順も、あらかじめ決めておくとトラブル発生時にも落ち着いて対応できます。
生体認証・暗証番号方式の特徴
顔認証や指紋認証などの生体認証は、カードやスマートフォンを持ち歩く必要がなく、なりすましのリスクを抑えやすい方式です。ただし導入コストが比較的高くなる場合があるため、設置箇所を絞って導入するといった工夫も検討材料の一つです。マスク着用時の顔認証精度など、実際の利用環境に近い条件でのデモを依頼して確認しておくと安心です。
暗証番号方式は導入コストを抑えやすい一方、番号の使い回しや漏えいのリスクがある点に留意が必要です。定期的な番号変更のルールを決めておくと、リスクを軽減しやすくなります。複数の解錠方式を組み合わせて導入し、重要度の高い部屋には認証方式を重ねる運用も、検討する価値があります。
既存システムとの連携で確認したい点
入退室管理システムは、他のシステムと連携させることで活用の幅が広がります。導入前に連携できる範囲を確認しておきましょう。
勤怠管理システムとの連携
入退室の記録を勤怠管理システムに連携できれば、打刻の代わりとして活用できる場合があります。ただし、入退室のタイミングと実際の勤務開始・終了のタイミングが一致しない場合もあるため、運用ルールをあわせて整理しておく必要があります。
連携方法は製品によってAPI連携やCSV連携などさまざまです。自社で利用している勤怠管理システムとの連携実績があるかを、導入前に確認しておくとよいでしょう。連携実績がない場合でも、データ形式を合わせることで連携できるケースがあるため、ベンダーに個別に相談してみることをおすすめします。
防犯カメラ・セキュリティシステムとの連携
防犯カメラと連携することで、入退室の記録と映像をあわせて確認できる場合があります。異常なアクセスがあった際に、映像記録とあわせて状況を把握できる体制は、事後の原因確認に役立ちます。
連携できる製品の組み合わせは限られる場合があるため、既存の防犯カメラやセキュリティシステムがある場合は、対応可否を事前にベンダーへ確認しておきましょう。新規に両方を導入する場合は、同一メーカーでそろえることで連携設定の手間を減らせる場合もあります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で入退室管理システムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
社内ルールの整え方
システムを導入しても、権限管理や運用ルールが整っていなければ、想定した効果を得にくくなります。導入時にあわせて整備しておきたいルールを紹介します。
権限設定と発行・失効のルール
入室権限を誰にどこまで付与するか、部署や役職に応じたルールをあらかじめ決めておきましょう。退職や異動があった際に権限を速やかに失効させる運用フローも、あわせて整備しておく必要があります。特に退職日当日中に権限を失効できる体制は、セキュリティ上重要な確認事項です。
権限の付与や失効を特定の担当者だけに任せると、対応が滞る場合があります。複数人で対応できる体制を整え、対応履歴を記録しておくことが、抜け漏れを防ぐ対策です。人事情報と連携できる製品であれば、退職・異動のタイミングで権限を自動的に更新できる場合もあり、確認しておく価値があります。
来訪者・委託業者への対応ルール
来訪者や清掃・保守などの委託業者が出入りする場合は、一時的な入室権限の発行方法や、同行者の確認ルールを整えておく必要があります。共連れ防止機能がある場合でも、運用ルールが伴わなければ効果を発揮しにくいため、あわせて周知しておきましょう。
委託業者の入退室記録も一般の従業員と同様に保存し、必要に応じて確認できる状態にしておくと、トラブル発生時の原因確認がしやすくなります。定期的に出入りする業者には長期の一時権限を発行できる製品もあるため、頻度に応じて発行方法を使い分けるとよいでしょう。
コスト面で確認しておきたい点
入退室管理システムは、初期費用と月額費用のほか、機器の保守費用がかかる場合があります。総額での比較が重要です。
初期費用と月額費用の内訳を確認する
解錠端末や配線工事などの初期費用は、設置箇所の数や建物の構造によって変動します。見積もりを取る際は、標準工事の範囲と追加費用が発生する条件をあわせて確認しておきましょう。古い建物では配線工事に想定以上の費用がかかる場合もあるため、事前の現地調査を依頼しておくと安心です。
月額費用には、クラウド管理費や保守サポート費が含まれる場合と、別途契約が必要な場合があります。見積もり時にサポート範囲を確認し、緊急時の対応が含まれているかもチェックしておくと安心です。端末が故障した場合の交換対応や修理費用の扱いについても、契約前に確認しておくとよいでしょう。
将来の拡張性を踏まえて比較する
拠点の増加や従業員数の増加を見込んでいる場合は、設置箇所や登録人数を追加する際の費用体系も確認しておきましょう。契約プランの変更がしやすいかどうかも、長期的な運用コストに影響します。段階的に拠点を増やす予定がある場合は、拠点ごとに個別契約するか一括契約するかによって費用の見え方が変わる点にも注意が必要です。
既存の設備を活かせるかどうかも比較材料の一つです。既存の配線や扉を流用できる製品であれば、初期費用を抑えられる場合があるため、導入前に現地調査を依頼して確認しておくとよいでしょう。複数の候補から見積もりを取り、工事範囲や保証内容の違いをあわせて比較することをおすすめします。
入退室管理システムを選ぶ際に押さえておきたい代表製品
入退室管理システムは対応する認証方式や導入コスト、既存設備との相性によって最適な製品が異なります。ここでは特徴の異なる主要な製品を紹介します。
株式会社日立ビルシステムの入退室管理システム
- サーバー不要(クラウドによる導入コスト低減、維持管理不要)
- オフィス等の物理的安全対策に有効
- 1拠点から複数拠点まで拡張可能
株式会社日立ビルシステムが提供する「株式会社日立ビルシステムの入退室管理システム」は、クラウド対応で管理のしやすさと安定稼働を両立した入退室管理システムです。ビル単位・企業グループ単位での権限管理やデータ閲覧制限を柔軟に設定できるほか、入退室履歴のダウンロード機能により勤怠管理との連携もしやすい点が特徴です。24時間365日のサポート体制を整えており、複数拠点を本部が一元管理する運用にも対応します。
ALLIGATE(アリゲイト)
- いろいろな扉・既存システムからのリプレイスに対応
- 設置工事から24時間365日の保守窓口まで、一気通貫のサービス
- 社内ネットワークの構築不要で導入コストを軽減
株式会社アートが提供する「ALLIGATE(アリゲイト)」は、ICカードやスマホアプリを鍵として利用できる月額制のクラウド型入退室管理システムです。機器レンタル費や通信費が月額料金に含まれ、サーバーの用意が不要な点が特徴です。入退室権限をクラウド上で一元管理でき、ログを勤怠管理業務に活用することも可能です。設置工事が不要で、スマートフォンとWi-Fi環境があれば導入できます。
Akerun (株式会社フォトシンス)
- 世界初の後付け型スマートロックで、7つの特許を保有・出願。
- 20社以上のサービスと連携可能な業界最大級のAPI連携数。
- オフィス、ジム、病院など多様な場所・用途に対応。
カギカン (Qrio株式会社)
- 国内80%以上のドアに対応
- 合カギの即時発行・削除に対応。
- ドアの開閉を検知し自動施錠
まとめ
入退室管理システムの導入では、目的の整理から解錠方式の選定、既存システムとの連携、社内ルールの整備、コスト面の比較までを一連の流れとして検討することが大切です。自社の建物構造や運用体制にあった製品を選び、無理なく運用できる仕組みを整えましょう。比較検討の際は、複数製品の資料を取り寄せ、機能や費用、導入後のサポート体制まであわせて確認することをおすすめします。

