スパムメールの目的
誰が何の目的でスパムメールを送っているのでしょうか。様々な対策が講じられても、一向にスパムメールが減少しないのは、そこに確実な「うまみ=利益」があるからです。
まず、送れば送るほど送料がかかる郵便物と異なり、インターネットでのスパムメール送信には追加料金が発生しません。常時接続環境さえあれば、大きな投資なしに「ビジネス」を始められるのです。それでは、その仕組みについて詳しくみていきましょう。
スパムメールの仕組み
スパムメールをビジネスにしている業者は、通常では考えられないような低い返信率でも採算がとれています。大量のメールアドレスが名簿で安価に入手できるため、手当たり次第にメールを送っているからです。
その中で返信してきた数人に対して、高額な課金請求等をして振り込ませることに成功すれば、それだけで投資を上回る収入があるのです。返信率は0.001%を超えさえすれば採算が合う、という試算もあります。
ちなみに日本国内でも2008年、1年半という期間で約22億通ものスパムメールを送信し、約2000万円の利益を得ていた男が「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」違反で逮捕された、という事例があります。男が送信していたのは、出会い系サイトや競馬予想サイトの広告のようです。
出典: ネットトラブル事例 4,スパムメール|宮城県教育研修センター
スパムメールへの返信は厳禁
これはスマートフォン等へのメールに多いケースですが、「配信停止はこちら」といった表記で配信停止用のメールアドレスや配信停止手続きページのURLが記載されていることがあります。残念ながら、こういった配信停止手続きは意味がないばかりでなく、全くの逆効果なのです。
返信はアドレスが使われているサインとなる
スパムメールの送信者は、大量のメールアドレスを名簿で購入し、手当たり次第に送信しています。その中には既に無効となっているアドレス等も含まれていますが、送信者は確認も兼ねてスパムメールを送っているのです。ここで相手から返信があると、そのアドレスが「生きている」と教えてしまうことになります。
これでは、次回以降もスパムメールが送信されてきます。さらに言えば、架空の配信メールに対して配信停止をするという行為は、「詐欺が成功する可能性がある」「カモにできる」と認識されかねません。
実在するサービス名を名乗るケースも
なお、こういったメールが実在のサービス名をかたって、送られてくる可能性もあります。うっかりスパムメールに対して配信停止手続きをしてしまうと、ターゲットにされてしまいます。実際に利用しているサービスやメールマガジンの利用停止を考えている場合は、可能ならWebサイトにアクセスして手続きをするよう心がけることも大切です。
徹底無視が一番安全な対策
スパムメールの中には、一目でそれと分かる件名を付けたものもあります。そういったメールはたとえ興味をそそるものであっても、「徹底的に無視して即削除する」という対応が肝心です。
確かに「主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました」といったような件名でスパムメールが来たら、リンク先のWebページを見てみたくなる気持ちは分かります。「あの芸能人の○○写真が流出!」という件名なら、どうせ写真はないだろうけど、ダメ元で見てみようか、という気持ちになるのも分かります。
しかし、その「ダメ元で見るだけ見ればいい」という行動が命取りになることもあります。そのリンク先のWebページが、表示しただけでウィルスに感染する危険なサイトかもしれないからです。そこから個人情報、さらには会社の機密情報が漏えいしてしまったら、損害額は計り知れません。
この危険はパソコンだけのものではありません。スマートフォンのWebブラウザの脆弱性が発見され、攻撃用サイトに取り入れられる可能性も十二分にあります。どんな内容であろうと「スパムは無視」を徹底しましょう。