業種ごとに異なるデータセンター要件の概要
業種によってデータセンターに求める要件は大きく異なります。規制・地理的条件・可用性の水準など、自社業種の特性を整理することが選定の第一歩です。
金融業界が求めるコンプライアンスと安全基準
銀行・証券・保険など金融業界では、金融庁ガイドラインやFISC(金融情報システムセンター)安全対策基準への準拠が事実上の必須要件です。特に顧客の個人情報や取引データを預けるため、物理セキュリティ・アクセス制御・監査ログの充実が求められます。
また、基幹システムの可用性要件が高く、99.99%以上のアップタイムSLAや自家発電設備の容量(72時間以上対応など)を確認する必要があります。障害発生時の復旧手順や連絡体制が明確に定められているかも確認しましょう。
医療・ヘルスケア業界のデータ管理要件
電子カルテや医療画像(DICOM)などの機微情報を扱う医療機関では、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への対応が求められます。データの国内保管が原則とされているため、海外サーバーへの保存が実質的に制限される点に注意が必要です。
また、24時間365日の診療継続を支えるため、高可用性と迅速な障害対応が求められます。診療時間外にシステム停止が起きた場合の影響が大きいため、SLA水準とサポート体制の確認は特に重要です。
製造業・物流業における立地とBCP要件
製造業や物流業では、工場・倉庫の近くにデータセンターを置くことで、生産管理システムや物流管理システムとの通信遅延を最小化できます。関西に生産拠点が集中している企業であれば、関西圏のデータセンターを選ぶことでレイテンシを抑えられます。
また、東日本大震災以降、製造業でのBCP意識が高まっており、地震リスクの低い地域(北海道・九州など)への分散配置を検討する企業も増加傾向です。主要工場が停止した際にも基幹システムを継続稼働させるための地理的分散が重要な選定基準となっています。
業種別に確認すべき認証・準拠基準
業種ごとに必要な認証や基準は異なります。施設選定前にチェックすべき代表的な基準を業種別に整理します。
ISO/IEC 27001とSOC2が重要なIT・SaaS企業
ITサービス企業やSaaS事業者が顧客データを預けるためのデータセンターでは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001の認証取得が重視されます。加えて、米国発のSOC2(Service Organization Control 2)は海外顧客への説明責任を果たすうえで有効です。
これらの認証を取得している施設は、第三者機関による定期的な審査を受けており、セキュリティ管理の水準が客観的に保証されます。認証の有効期限や審査機関の信頼性も併せて確認しましょう。
流通・小売業が注目すべきPCI DSS対応
クレジットカード情報を扱う小売・EC業者では、PCI DSS(クレジットカード業界のセキュリティ基準)に準拠したデータセンターを選ぶことも重要です。PCI DSSに対応した施設では、ネットワーク分離・アクセスログ管理・侵入検知など、カード情報を守るための仕組みが整備されています。
非準拠の施設を使用した場合、カード会社からの制裁(取引停止・罰則)のリスクがあります。施設選定時に「PCI DSSに準拠した環境を提供しているか」を確認し、必要に応じて準拠支援サービスも提供している施設を選ぶと安心です。
公共・自治体向けデータセンターの考え方
自治体や公共機関では、政府情報システムのセキュリティ評価(ISMAP)に登録されているクラウドサービスとの連携を前提としたデータセンター選びが求められる場合があります。また、国内法に基づく情報管理の観点から、データの保管場所が国内に限定されることが重要な条件の一つです。
公共調達では、価格だけでなくセキュリティ基準や実績が重視されます。実績として官公庁・自治体への導入例があるかどうかも確認するとよいでしょう。
業種別に異なるデータセンター移行時の特有課題
業種によって、データセンター移行時に直面する固有の課題があります。自社の業種特性を踏まえた移行計画を立てることが重要です。
金融・保険業での移行時のシステム停止ゼロ要件
銀行・証券・保険など金融業界では、ATMやオンラインバンキングなど24時間稼働が必要なシステムが多く、移行時のシステム停止が事実上許容されません。このため、アクティブ・アクティブ構成での並行稼働や、段階的なトラフィック切り替えなど、ゼロダウンタイム移行の手法が求められます。
金融系システムの移行は専門的なスキルが必要なため、移行実績のあるSIerやコンサルタントを活用することが一般的です。施設側の技術担当者も交えた事前の技術確認を徹底して行いましょう。
医療機関での診療時間外移行と患者データ保護
医療機関がデータセンターへの移行を行う際は、診察が行われていない深夜・休日に実施するのが基本です。電子カルテや医療画像データの移行には、データの完全性と患者情報の保護が最優先されます。移行中もデータのアクセス制御が維持されているかを確認しましょう。
また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づき、移行後のデータが正確に保管されているかの検証(ハッシュ値による確認など)を行うことが推奨されます。
製造業での工場システムと基幹システムの分離移行
製造業では、工場の生産管理システム(MES・SCADA)と本社の基幹システム(ERP・SCM)を分離して段階的に移行することが有効です。工場系システムは稼働停止の影響が生産ラインに直結するため、計画停止のタイミング(定期メンテナンス)に合わせて移行を実施することで、影響を最小化できます。
工場と本社のシステムが連携している場合は、移行後の接続確認を実際の業務シナリオを使って徹底的にテストすることが重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品と比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデータセンターソリューションの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
業種別おすすめデータセンターソリューションの紹介
金融・医療・製造・IT企業など、各業種の要件に対応したデータセンターソリューションを紹介します。認証取得状況や立地条件を比較して自社に合った施設を選んでください。
御殿山データセンター
- 品川駅より徒歩15分のビジネスに適した環境と利便性に優れた立地
- 安全性が高い地盤で地震・液状化・浸水など災害危険度が低く安心
- 24時間365日の有人監視!堅牢なセキュリティと高水準の運営品質
主要駅から徒歩圏内のアクセスしやすい立地に構えるデータセンターです。免震構造・24時間有人監視を備え、FISC安全対策基準に準拠。専用管理ポータルで機器管理も効率化できます。
IIJデータセンターサービス
- 利便性の高い都市型センター、郊外型センター、海外にも展開中
- 耐震・免震構造、24時間365日体制の設備など万全の体制でご提供
- 構内配線に接続するだけで広帯域バックボーンへ接続可能
全国16拠点と海外にネットワークを持ち、耐震・免震構造を備えた大規模データセンターです。自社クラウドとの親和性が高く、24時間365日の運用体制で企業のITインフラを支えます。
ゼロエミッション・データセンター 石狩(ZED石狩)
- 24/7 カーボンフリー電力で稼働し、脱炭素経営の推進にも貢献
- 地震・津波・洪水のリスクが低い、北海道石狩のデータセンター
- ハウジング/コロケーション対応。運用から障害対応まで一括支援
北海道石狩に位置し、24時間365日カーボンフリー電力で稼働する環境配慮型データセンターです。脱炭素経営とBCP対策を同時に実現でき、地震・津波リスクが低い立地条件も評価されています。
OC1 曽根崎データセンター
- 高品質で低遅延なネットワーク環境を構築
- 大阪駅から徒歩約12分の都市型データセンター
- 最新のファシリティ・セキュリティを誇る新しいデータセンター
大阪都市部に立地し、関西一円に自社ファイバーネットワークを展開するデータセンターです。再生可能エネルギー100%対応のグリーンDCとして、免震構造と24時間有人監視による高い安定性を備えます。
東京・大阪エリア MCDRコロケーションソリューション
- ミッションクリティカルデータの安全性、可用性を担保する設計
- 将来の拡張要件に対応した大容量電源を提供可能
- 大阪中心部から約20km、東京エリアと共に災害リスクの低い地域
東京・大阪に立地するハイパースケール向け高密度データセンターです。ISO27001/SOC2認証取得済みで、1ラック単位から柔軟に利用可能。高いセキュリティ基準と拡張性を両立しています。
IDCフロンティア (株式会社IDCフロンティア)
- ソフトバンクGのデジタルインフラ企業
- 約73%の顧客がマルチインフラ構成を利用。
- 東京府中データセンターは超高負荷に対応
ICC-IDCデータセンター (株式会社石川コンピュータ・センター)
- 電子制御された安全空間にサーバー委託ができる
- いつでも高速かつ安全なネット回線を提供
- 仮想基盤「Vase」導入で動作を軽快に
まとめ
業種別にデータセンターを選ぶ際は、自社が属する業界の規制・コンプライアンス要件を最初に把握することが重要です。金融はFISC準拠、医療は国内保管要件、製造はBCP・立地条件、ITはISO/SOC2認証を軸に評価しましょう。業種の特性に合った施設を選ぶことが、長期的な安定運用と法令遵守の両立につながります。


