データセンターの安全性を確認する方法
データセンターに最も求めることは「安全性」です。この安全性を確認する方法には大きく分けて「ティア」と「データファシリティスタンダード」の2種類があります。
このティアは1から4までの4段階に分かれており、「4」が最も安全性が高いとされています。ティアは日本だけでなく世界共通の基準であり、評価内容には供給される電力経路・自家発電の運転時間・無停電電源装置(UPS)の有無・空調設備の状況などがあります。
この「ティア」はデータセンターの安全性を確認する重要な方法ですが、グローバルな基準であり日本国内の状況を考慮されていません。具体的にはこのティアには地震に関する項目は含まれていません。
そのため、国内のデータセンターの安全性基準として「データファシリティスタンダード」が重視されています。このデータファシリティスタンダードには各基準項目があり、この項目によって国内のデータセンターは安全基準が決まっています。
データファシリティスタンダードとは?
日本の企業であったとしても、海外のデータセンターを使うことはよくあります。海外のデータセンターであればティアが1つの安全基準になりますが、国内のデータセンターを利用する場合は、データファシリティスタンダードが重要な要素になります。ここからはデータファシリティスタンダードについて説明していきます。
日本独自の安全基準
このデータファシリティスタンダードは日本独自の安全基準であり、もともとアメリカの基準を日本向けに日本データセンター協会が制定した内容です。主に建物の構造や地震に対する対策が安全基準に追加されています。
基準項目は大きく6つ
データファシリティスタンダードには以下の6つの基本項目があります。
1.建物
この建物の項目は、地震などの災害に対する強度を測ります。耐震や免震対策を行っているか、火事が起きても火が広がらない構造になっているかどうかが重要になります。また、火事が発生したときにスプリンクラーで消火するとサーバが故障するため、二酸化炭素などのガスで消火する方法を採用することが一般的です。
2.セキュリティ
セキュリティの項目はセキュリティ管理レベルになります。サイバー攻撃の対策や24時間稼働し監視することができるかがポイントになります。
3.電気設備
データセンターでは安定した電源を確保するだけでなく、停電したときの対策も必要です。基本的には1つだけの対策ではなく、受電回線・電源経路・自家発電設備・UPS設備の冗長性が重要になります。
4.空調設備
サーバは複数台稼働すると熱を放出し、熱が一定以上になるとダウンするため、空調によって冷却しサーバを安定稼働させる必要があります。安定稼働させるためには設備を複数用意することが重要で、熱源機器・空調機器の冗長性がポイントになります。
5.通信設備
データセンターに保管されているサーバはネットワークに接続しているため、安定した通信を行えるような環境が重要になります。そのため引き込み経路、キャリアの冗長性がポイントになります。
6.設備運用
データセンターで重要なことは、データセンターの運用方法です。24時間体制の常駐管理により、不測の事態にも対応することや運用マネジメントの仕組みを構築しているかが重要になります。
データセンターの具体的な安全対策とは?
安全を求めてデータセンターを利用しますが、データセンターを有効活用するためにはデータセンターが行っている安全対策を知ることが重要です。ここからはデータセンターが行っている具体的な安全対策について説明していきます。
対策(1)防火対策
データセンターではさまざまな災害や事故などの対策を行っています。
まず、データセンターでは防火対策を行っており、火が広がりにくい構造をしています。また、サーバルームの内装は燃えにくい材料でできており、水ではなくガスによる消火設備が整っています。ケーブルの区画貫通部分には燃え広がらない対策を行っています。
対策(2)防水対策
データセンターにはサーバなど重要な電子機器が保管されているため防水対策は欠かせません。建物の防水をイメージすると大雨の対策を考えますが、洪水などが発生しても浸水しない仕組みが必要です。そのため、データセンターは高い位置に建築されることも多いですが、建物の開口部には防水措置を行っています。
外部からの浸水だけでなく、建物内の水道管が破裂することによる内部浸水の対策を行います。そのため、サーバ室の直上階の床にも防水措置は必要であり、排水管には漏水防止措置を実施します。
対策(3)耐震対策
国内のデータセンターで必要なものに耐震対策があります。建物自体が地震に対して耐久性が必要になります。まず、建物自体が耐震や免震構造である必要があり、建物の設備は揺れても落下しないように耐震固定します。また、サーバルームの床には地震が起きてもサーバに影響がないように免震床を採用します。
対策(4)電源対策
データセンターの周辺地域に落雷があれば、停電する可能性もあります。そのような場合に備えてUPS(無停電電源装置)を設置する必要があります。また、一時的な対策ではなくUPSよりも長時間電力を供給できる自家発電設備も重要です。
このような停電対策はもちろん、電源の供給が一カ所に集中しないように、日々設備や機器の負荷を管理することも行っています。
対策(5)空調対策
サーバは稼働すると放熱する特性があり、サーバが複数台集中しているサーバルームは熱がこもりやすくなります。
そのため、サーバルームには充実した空調設備を設置する必要があり、電源などと同様冗長化することによる複数台で稼働しています。また、設置された空調設備は室内の温度や湿度を検知し、自動で運転を制御する装置を使用しています。
対策(6)セキュリティ対策
データセンターはセキュリティ対策を万全に行っています。セキュリティ対策には大きく分けて「物理セキュリティ対策」と「情報セキュリティ対策」の2種類があります。
物理セキュリティ対策
物理セキュリティ対策とは、防犯対策のことです。データセンターを狙った脅威はネット上だけでなく、人が直接侵入し情報を盗むことも考えられます。そのため、データセンターでは建物とサーバルームそれぞれで入室管理を行います。
また、サーバルームは窓をなくすことで、破壊されて侵入することを防ぎます。施設内の地図や案内板にもサーバルームの位置を表示しないなどの対策を行います。
情報セキュリティ(ウイルス)対策
データセンターはさまざまな重要な情報を多く保有しているため、サイバー攻撃の標的になりやすいです。そこでデータセンターでは一般企業ではできないようなネットワークセキュリティ対策を行い堅牢性を高めています。また、24時間監視を行い、異常があればすぐに対策を取れるようにしています。
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データセンターを選ぶポイントとは?
ここまで説明したようにデータセンターは安全性を高めるためにさまざまな対策を行っています。データセンターを利用するときには、自社のニーズに合った施設を選ぶ必要がありますが、安全性を確認することも重要です。
ここからはデータセンターを選ぶポイントを説明していきます。
ポイント(1) データセンターの立地場所はどこか?
データセンターを利用し、重要なシステムを保管する場合は、近隣のセンターと遠隔地のセンターの両方を使うことが有効です。
基本的に保管しているサーバのメンテナンスや設定は遠隔でも行うことができますが、現地でメンテナンスを行う必要があるケースもあります。そのため、万が一の事態になったときにでも現場に行けるように近隣のデータセンターを使うことが有効です。
しかし、近隣のデータセンターに保管しているサーバのバックアップを遠隔地に保管することが重要です。地震などの災害の場合、局地的に被害が出るため、被害が集中しないように保管場所を分散させることが大切です。
ポイント(2) データセンター利用の費用対効果はどうか?
データセンターによって実施しているサービスと費用が異なります。そのため、データセンターのサポート体制や立地場所を考慮して自社にふさわしいか判断することが重要です。データセンターのサポート内容と費用を比較し、費用対効果が高いサービスを選ぶことが重要です。
ポイント(3)データセンターの空きスペースは十分か?
現在稼働している自社のサーバも使っている時間が長くなれば、データ量も多くなりサーバを増設する必要が出る可能性もあります。重要なシステムのサーバを保管するときに、サーバを増設する可能性を考慮してデータセンターの空きスペースが十分にあるか確認することが大切です。
▼データセンターの選定ポイントをさらに詳しく!
参考記事:データセンター選定を失敗しない為の5つのポイント
安全性を確認し、自社にあったデータセンターを選ぼう!
ここまでに紹介してきたようにデータセンターはさまざまな対策を行い、安全性を確保しています。しかし、データセンターの所在地や利用料金、セキュリティ対策を考慮してデータセンターを選ぶことが重要です。BCP対策として活用するときには地震の対策ばかり注目されますが、近年では大雨による洪水の被害が多くなっています。
実際に海外では洪水で水没したデータセンターも存在します。データセンターが行っているさまざまな対策を知り、安全性を確認したうえで、自社に最適なデータセンターを選びましょう。