エンタープライズサーチとは
エンタープライズサーチとは、企業内のあらゆる情報を横断検索できるシステムのことです。企業内の膨大なデジタルデータから目的の情報を探し出す作業は、時間も手間もかかるものです。エンタープライズサーチでは、システム・データベース・クラウドサービス・ファイルサーバー・Webサイトなど、さまざまな場所に存在するデータを一括で検索できます。ファイルもExcelやWord・CSV・PDFなど、種類を問いません。インターネット検索エンジンのような手軽さで検索でき、該当のデータも瞬時に提示します。
以上の性質をもつことから、エンタープライズサーチは業務効率化や社内ナレッジの共有などに威力を発揮するでしょう。また、ナレッジマネジメントや文書管理システムの一部として提供されることもあります。
エンタープライズサーチの歴史
エンタープライズサーチが登場したのは、2000年代初頭のこと。しかし、当時はまだビジネスのデジタル化が進んでおらず、使用範囲は限定的でした。その後、企業向けPCシステムの普及にあわせて、エンタープライズサーチが社会に浸透していきます。情報検索はシステムごとに行う必要があり、手間がかかったためです。
企業のデジタル化が一気に進んだ2010年代では、企業におけるデジタルデータも膨大になりました。よりいっそうの検索性が求められる時代になったといえるでしょう。エンタープライズサーチ製品の性能もさらに向上し、近年ではAI技術の搭載も珍しくなくなりました。自然言語処理や機械学習など、従来ではありえなかった技術により、エンタープライズサーチはますます便利な検索ツールとして、あらゆる業界で活用されています。
エンタープライズサーチの機能
エンタープライズサーチには、スピーディーな検索・表示を可能にするさまざまな便利機能が搭載されています。以下で基本的な搭載機能を解説します。
検索機能
構造化データと非構造化データを問わず、フォルダ名やファイル名・文書内のテキスト(全文検索)・画像・動画も対象として検索でき、わずか数秒で結果を表示します。文書管理システムとは異なり、複数のシステムやサーバをまたいでの横断検索も可能です。
日時やファイルなどの詳細条件を指定して検索する詳細検索機能や類似データにも対応する類似検索機能、表記ゆれを補正するあいまい検索機能、検索対象範囲を指定できる絞り込み検索機能、自然文検索機能など製品によりさまざまな検索機能が搭載されています。
サジェスト機能
検索補助機能ともいい、検索窓に入力したキーワードをもとに候補ワードを表示します。過去に検索されたキーワードや検索数の多いワードデータなどをもとに表示するため、効率的に検索できます。正確な名称を忘れた、絞り込むキーワードが思いつかないといった場合にも効果的な補助機能だといえるでしょう。
サムネイル機能
検索結果の画面で、キーワードを強調して表示する機能です。検索キーワードとその前後のテキストを表示するため、ファイルを一つひとつ開いて確認する手間が省けます。
アクセス権限管理機能
ユーザーや部署単位で検索権限を設定できる機能です。一部の従業員のみに閲覧が許可されたデータなどにアクセス制限を設定すれば、権限のないユーザーは閲覧ができません。情報漏えいのリスクも抑えられ、セキュリティ面で安心です。認証機能を搭載した製品もあります。
情報収集機能 (RSS機能)
RSSとは「Rich Site Summary」の略で、必要な更新情報や新着情報を配信できる技術のことです。製品によっては、このRSS機能が搭載されているものもあります。例えば、企業内でよく検索されるサイトを登録しておけば、更新内容をすばやくキャッチアップできます。
エンタープライズサーチを導入するメリット
先述した搭載機能をもとに、エンタープライズサーチの導入で実現するメリットを解説します。
企業内で情報共有できる
部署を問わず企業内のさまざまな情報を共有でき、従業員同士の確認や連絡といった手間が省けます。昨今のフレキシブルな働き方にも適したシステムといえるでしょう。横断的に情報を取得できるため、新しいビジネスチャンスにもつなげられるかもしれません。
管理機能をもつ製品であれば、検索ログなどから利用状況も把握できるでしょう。どの組織でどのような動き・ニーズがあるのかを分析でき、企業内の環境改善に活かせます。
データ収集時間を削減できる
例えばファイル管理アプリなどでファイル検索を行う場合、結果の表示までにはやや時間を要します。容量や情報量が多いほど時間がかかるのは必然といえるでしょう。しかしエンタープライズサーチは瞬時に検索結果を表示するため、データ検索にかかる時間を大幅に短縮できます。作業の効率化のみならず、コア業務への注力も可能になるでしょう。
セキュリティ対策が可能になる
インターネット上の検索エンジンとは異なり、ユーザーごとに細かくアクセス制限を設定できるため、セキュリティ対策に効果的です。機密情報や個人情報などに検索・閲覧制限をかけることで、情報漏えいや訴訟などのリスクを防ぎます。
容易にシステムを導入できる
導入時は専用サーバを用意し、システムをインストールして設定すればよいので、初めてでも容易に導入できます。簡単な操作性を強みとする製品も多く、導入から運用までのサポート体制を敷いているベンダーもあります。自社の要件にあわせたスムーズな導入が叶うでしょう。
以下の記事でもエンタープライズサーチのメリットを解説しています。詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
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2023.01.17
エンタープライズサーチの特徴と導入メリットとは?デメリットも!
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エンタープライズサーチ導入時の注意点
以上で述べたとおり、エンタープライズサーチはメリットの多いツールです。しかし自社の要件にあう製品を選ばなければメリットを享受できず、業務の効率化も期待できないでしょう。搭載機能や検索精度、サポートの有無などを事前に確認する必要があります。
また、エンタープライズサーチの費用には「買い切り型」「月額課金型」などがあります。データ量やアカウント数などでも料金は変動するため、よく考慮しましょう。
人気のエンタープライズサーチは、以下のボタンから確認できます。資料請求はすべて無料なので、気になる製品は問い合わせることをおすすめします。
エンタープライズサーチの活用方法
エンタープライズサーチには、企業内のデータを検索する以外にもさまざまな活用方法があります。例えば以下などが挙げられるでしょう。
- ●ナレッジマネジメントとして活用
- ●顧客情報データを新商品開発に活用
- ●ECサイト・ヘルプデスク業務の改善に活用
企業内のビッグデータを一瞬で検索できるため、業務の改善や新たなビジネスの発見などにもつながるでしょう。
エンタープライズサーチの活用で業務を効率化しよう
エンタープライズサーチは、企業が蓄積したビッグデータを検索するのに有効なツールです。豊富な機能で検索しやすく、結果も瞬時に表示します。アクセス権限設定も可能で、情報漏えいをはじめとするリスクの低減に効果的です。また、検索効率の向上のみならず、ナレッジマネジメントや新商品開発、ECサイト・ヘルプデスク業務の改善などにも活かせるでしょう。
導入前には搭載機能やサポートの有無、料金体系などを検討してください。貴重な情報資源を活かし、よりよい企業活動につなげましょう。