全文検索とは
全文検索とは、ドキュメントやデータベース内のすべてのテキストを対象に、特定のキーワードや文字列を検索する方法です。通常の検索方法ではファイル名やフォルダ名のみを検索の対象にしますが、全文検索ではファイルやフォルダの中身もすべて検索の対象となります。
全文検索の対象となるものの例は以下のとおりです。
- ●ファイルサーバ
- ●メールサーバ
- ●クラウドストレージ
- ●社内ポータルサイト
全文検索の技術は文書管理システムやデータベース、メールアプリなどのさまざまなシステムで利用されています。例えばデータベースの場合、顧客名や製品名、注文番号などのキーワードを使用して関連情報の効率的な検索が可能です。同様にメールアプリでは、受信トレイや送信済みアイテムなどのメールボックス内で特定のメールを見つけるのに使用されます。
全文検索の種類と仕組み
全文検索技術には大きく分けて「grep型」と「索引型」があります。それぞれの特徴を以下で解説します。
grep型
grep型の全文検索は、検索対象のデータを順番に処理しながら、目的の条件やパターンに一致するものが見つかるまで順次処理を行う検索方法です。逐次検索とも呼ばれます。シンプルな仕組みのため、前処理など事前準備不要ですぐに検索できるのがメリットです。一方、データ量が大きくなると検索にかかる時間が増えてしまうので、大規模なデータや高速な検索が必要な場合には向いていません。
索引型
索引型の全文検索は、あらかじめ文書からキーワードを抽出し索引(インデックス)を作成する方法で、大量のデータに対して高速検索が可能です。ビジネスシーンにおいては大量のデータから対象の情報を即時に見つけ出すことが求められるため、grep型よりも索引型の全文検索が採用されています。ただし、索引の作成に時間がかかることや、更新の度に索引の再構築が必要になる点がデメリットです。
なお、索引型全文検索には3つの方式があります。形態素解析方式、N-gram方式、そしてハイブリッド方式です。
形態素解析方式
形態素解析方式は、自然言語の文書から文脈を解析して単語の分解を行い、それをもとに索引を作成する方法です。検索の速度が比較的速く、索引データの量も少なくなるため、データ保存の領域を節約できます。一方で、日本語辞書に登録されていないような単語の抽出が難しく、AIの技術的な障壁も高いため、検索精度が低下する可能性があります。例えば、関連する形での「ワンピ」といったファッション用語、略語が辞書登録できていなければ、検索の漏れにつながってしまうでしょう。
N-gram方式
N-gram方式では、文書を指定された文字数(N文字)の文字列に分割して索引を作成する方法です。例えば、文字数を2とした場合、「長時間の講演」という文字列は「長時」「時間」「間の」「の講」「講演」といった形で分割されます。対象の文字列がどの位置にあるかに関わらず検索できるため、検索漏れが発生しにくくなります。
デメリットは、索引のサイズが大きくなってしまい、検索ノイズが発生しやすいことです。例えば「京都」を検索した場合に「東京都」を含む検索結果が表示される可能性があり、検索式を絞り込む手間がかかります。
ハイブリッド方式
ハイブリッド方式は、形態素解析方式とN-gram方式を組み合わせたものです。メリットは、高精度かつ汎用性の高い検索が可能である点です。デメリットとしては、両方の方式の複雑さを兼ね備えるため、システム構築の難易度が高くなってしまうことが挙げられます。ただし、ハイブリッドアプローチにより、さまざまな言語や文脈に対応する強力な検索システムを構築できます。
全文検索とエンタープライズサーチの違い
全文検索と同様に「エンタープライズサーチ」も情報検索の一分野です。全文検索は、社内すべてのテキスト情報を対象に検索を行うものです。一方、エンタープライズサーチは、テキストのみならず企業内のあらゆる情報源を横断的に検索できるシステムです。
つまり、全文検索はエンタープライズサーチの検索機能の1つであり、より広範囲での情報収集と活用を可能にしたものがエンタープライズサーチだといえます。
エンタープライスサーチには、正確な名称を忘れた場合に効果的な検索補助機能や、検索結果の画面でキーワードを強調して表示するサムネイル機能などが搭載されています。豊富な機能で検索しやすく、結果も瞬時に表示できるため、より検索効率が向上するでしょう。また、ユーザーや部署単位で検索権限を設定できるアクセス権限管理機能もあり、情報漏えいをはじめとするリスクの低減に効果的です。
以下の記事では、おすすめのエンタープライズサーチを比較し紹介しています。選び方も解説しているので、あわせて参考にしてください。
まとめ
全文検索を活用することで、必要な情報を効率的に探し出せます。なお、情報検索の煩雑さや社内ナレッジの共有に課題を感じている方は、エンタープライズサーチの導入もおすすめです。企業内のあらゆるデータを横断的に検索でき、検索効率の向上と情報資源の活用に役立ちます。
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