ETLツール導入前にによく見られる課題
モバイル機器の普及やIoTの発展を背景に、ビッグデータの時代が到来したと言われています。
膨大で複雑なデータの蓄積の中から、企業の事業戦略に役立つ知見を引き出すためには、「データ分析」が欠かせません。
このデータ分析のプロセスにおいては、まず膨大なデータ群から必要なデータを抽出し、変換・出力する作業が必要です。ETLツールを導入することで、従来は工数がかかっていたこの作業を、非常に効率的かつ正確に行えるようになります。
ETLツール導入前の課題として、以下の3つを挙げることができます。
- ●システムが多様化し、効率的なデータ抽出が難しい
- ●抽出したデータの整形・変化作業に時間を要する
- ●必要に応じて処理を柔軟に変更することができない
ETLによってこれらの課題をどのように解決できるのか、その導入メリットを具体的に見ていきましょう。
ETLの導入で得られるメリットとは?
ここからは、上で紹介した課題をETLでどのように解決されるのか、製品のメリットもふまえながら見ていきましょう。
導入メリット1. 各種のシステムから、効率的にデータを抽出できる
上述のように、分散しているデータを組み合わせながら分析することで、新しい知見を獲得し、可視化することがデータ分析の目的です。
しかし、企業内ではさまざまなシステムが活用されているため、データ分析の対象となるデータは単独のシステムに格納されているとは限りません。そのため、分析作業にあたっては、まずデータソースとなる多様なシステムから横断的にデータを収集する必要があります。
データの抽出手順はシステムごとに異なり、それぞれ知識が必要となるため、これをひとつひとつ手作業で行うことは効率的ではありません。また、従来は、データソースの側に仕様変更があれば、抽出するプログラムも修正する必要があるなど、作業に必要なツールのメンテナンスコストも高くついていました。
ここにETLツールを導入することで、従来は専門知識とコストを要した抽出作業を自動化し、大幅に効率化することが可能になります。
データ分析はデータの蓄積に応じて再び繰り返し行う作業ですので、抽出作業のように定型的な作業を効率化することで、データ分析作業全体もまたスピードアップすることができるのです。
導入メリット2. 抽出したデータを、正確に整形・変換して出力できる
複数のシステムから抽出したデータは、そのまま分析対象とすることはできません。余分なデータを特定の条件にしたがって削除したり、欠落しているデータを補完したり、またシステムごとに異なるフォーマットを変換して同一のフォーマットに統一するなど、これらの一連の「クレンジング」と呼ばれる作業を通じてデータを再整備し、やっと分析する準備が整います。
上に述べた変換作業は、非常に注意深く行う必要がありますが、これを手作業に頼ってしまうと、当然に人為的なミスの危険が伴います。ミスによってデータの品質がひとたび落ちてしまえば、これに続く分析の段階で品質を取り戻すことはもはやできません。
この変換作業にETLツールを用いることで、作業を自動化し人為的ミスを排除することができ、データ変換時の品質を大幅に向上させることができるのです。
導入メリット3. 必要に応じて処理を柔軟に変更できる
データ分析は仮説をもとに進められます。分析結果に基づいて仮説を立案し直すなど、分析プロセス全体の設計が変更され、必要なデータが変われば、抽出、整形・変換の処理内容もあわせて変更し、再度実施する必要が生じます。
かつてETLツールは、プログラミングの知識をもつ技術者が自ら作成していました。しかし、これにはプログラマを確保する必要があるうえ、修正にも時間コストががかかるため、仮説の立て直しはやすやすとできないという問題がありました。
しかし、現在はプログラミング言語を使わず、ビジュアルな開発環境を利用しながら、必要な作業手順をスピーディーに組み立て実行することができるETLツールが登場しています。こうした製品を利用することにより、データのETL作業にかかる時間を大幅に短縮し、そのぶん仮説の立案と検証に十分なコストをかけることができるようになりました。
ETLツールで自社データを活用しよう!
以上のように、ビッグデータを活用する時代において、ETLツールはデータ分析作業の効率化と品質向上のために欠かせないツールであり、今後も大きく発展する製品分野と予想されます。
それぞれに個性豊かなETLツールが登場しているため、特徴を詳しく見比べたうえで、保有しているデータをもっとも効果的に処理、活用できる製品を選ぶべきでしょう。