フォーム作成ツールで企業規模ごとに生じる懸念点
フォーム作成ツールは、企業規模に応じて直面しやすい課題が変わります。ここでは、規模ごとの懸念点を表で整理したうえで、失敗を防ぐための基本的な考え方を紹介します。自社がどの規模の課題にあてはまるか、確認しながら読み進めてください。
| 企業規模のイメージ | 主な懸念点 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 小規模 | 回答件数に対して費用が割高になる | 料金体系と実際の利用量 |
| 中規模 | 既存システムと連携できず手作業が残る | 連携方法とプランごとの制限 |
| 大企業 | 申込の集中や、フォームの管理が難しくなる | 同時アクセスへの対応と権限設定 |
規模が合わないと起こる失敗の全体像を知る
フォーム作成ツールの失敗は、機能の過不足や、料金の見込み違いから起こる場合があります。高機能な製品を選んで使いこなせない場合もあれば、安価な製品で必要な機能が足りない場合もあります。
原因は製品側だけにあるとは限らず、利用者側の運用設計や、連携先のシステムの仕様が関わる場合もあります。単一の原因に決めつけず、複数の要因から確認することが大切です。導入前の確認が、後の手戻りを減らします。
人数ではなく利用の状況で見る
企業規模というと従業員数を思い浮かべますが、フォーム作成ツールでは利用の状況のほうが影響します。作成するフォームの数、月ごとの回答件数、使う担当者の人数が、選ぶ際の目安です。
従業員数が同じでも、キャンペーンを何度も行う企業と、社内の申請が中心の企業では、必要な性能が異なります。自社の利用量を数字で把握しておくと、プランの適否を判断できます。過去の問い合わせ件数や申込件数が、見込みの手がかりになります。
懸念点を事前に洗い出す
懸念点は、導入前に書き出しておくと対処しやすくなります。まず、フォームの用途、想定する回答件数、連携したいシステム、使う担当者の人数の4点を整理しましょう。数字で書けない項目は、仮の見込みでも構いません。
次に、その条件で製品を使った場合に起こり得る課題を挙げ、提供会社へ質問しましょう。課題の整理は、導入の目的を固めることにもつながります。目的の立て方は、課題解決の観点でまとめた記事も参考になります。
回答件数が少ない小規模企業の費用面の課題
回答件数が少ない企業が、規模に見合わない契約を結ぶと、費用対効果が悪くなる場合があります。ここでは、小規模企業や回答の少ない部署で起こりやすい失敗と、避ける考え方を整理します。契約の前に、自社の利用量を見直すきっかけにしてください。
回答件数が少ないと割高になる
製品によっては、月額の固定料金に、利用できる回答件数やフォーム数の枠が含まれます。回答がその枠よりも少ない月が続くと、1件あたりの費用が割高といえます。利用が少ないのに料金は変わらない、という状況です。
特に、申込の受付が季節的で、年に数回しか使わない場合は注意が必要です。使っていない期間も料金が発生するかを、契約前に確認しておきましょう。休止や月単位の契約ができる製品もあります。
高機能なプランが必要とは限らない
50名程度の規模で高機能なプランを選んだ結果、使わない機能が多く、費用に見合わなかったという失敗が考えられます。機能が多いほど、運用を覚える時間や、設定の手間も増えます。
条件分岐や決済、複数人での承認といった機能は、どの企業にも必要とは限りません。現在の業務で使う機能と、将来使うかもしれない機能を分けて、優先度を決めましょう。必要になった時点で、上位のプランを検討する方法もあります。
必要な機能を絞ってプランを選ぶ
プランを選ぶときは、必要な機能を先に書き出し、それを満たす範囲で比べます。月間の回答件数の見込みと、フォームの数、利用する担当者の人数を整理してください。この3点が、料金を比べる際の基本の条件です。
無料のプランや、段階的に拡張できる料金体系の製品もあります。まず小さく始めて、利用が増えたら上位のプランに移る方法も、選択肢の一つです。ただし、移行時に制約が生じないかは確認しましょう。
中規模企業の連携不足と手作業に関する懸念点
100名程度の中規模企業では、フォームの回答を基幹システムや顧客管理に渡す場面が増えます。安価さだけで製品を選ぶと、連携できず手作業が残る場合があります。確認したい連携の方法は、次の4つです。自社の基幹システムが対応する方法を、あらかじめ調べておきましょう。
- ■ファイルでの受け渡し
- CSVなどで回答を書き出し、連携先に取り込む方法
- ■API連携
- システム同士が自動でデータをやり取りする方法
- ■Webhookによる通知
- 回答があったときに、連携先へ自動で知らせる方法
- ■連携サービスの利用
- 別の連携サービスを介して、複数のシステムをつなぐ方法
連携できず手作業が残る機能不足
回答をCSVで書き出し、基幹システムに手で取り込む運用では、転記の手間と入力ミスの懸念が残ります。回答件数が増えるほど、担当者の負担も大きくなります。担当者が休んだ日に処理が止まる点も、懸念として挙げられます。
連携の機能が限られた製品を選ぶと、導入後に業務の効率化が進まない場合があります。自動で連携したい範囲を、契約前に洗い出しておきましょう。どの項目をどのシステムへ渡したいかを、一覧にしておくと説明しやすくなります。
安価なプランで制限される機能
料金を抑えたプランでは、API連携や詳細な権限設定、データの書き出しなどが使えない場合があります。上位のプランでのみ提供される機能が設けられている製品も見られます。見た目の月額が安くても、必要な機能を足すと費用が上がる場合も考えられます。
必要な機能が、検討中のプランに含まれているかを、機能一覧や見積もりで確認しましょう。追加の費用が生じる場合は、その金額も含めて比較すると、見込み違いを減らせます。
基幹システムとの連携方法の事前確認
基幹システムとの連携は、自社のシステムの仕様にも左右されます。提供会社に、連携の実績の有無や、必要な作業を聞いておきましょう。社内の情報システム部門や基幹システムの担当者にも、受け取れる形式を聞いておくと安心です。
可能であれば、無料トライアルでテスト用のデータを使って試します。データが正しく反映されるか、項目の欠けや重複がないかを確かめると、導入後のトラブルを避けやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でフォーム作成ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
大企業でキャンペーンの申込が集中するときの懸念点
大企業では、キャンペーンなどで短時間に申込が集まる場面があります。処理が追いつかなくなると、受付の漏れや回答者の不満につながるため、事前の備えが欠かせません。ここでは、確認したい要因と備えを紹介します。
申込の集中で処理が追いつかなくなる要因
申込が集中したときの不具合は、複数の要因が重なって起こる場合があります。製品側の同時接続の上限、通知メールの送信の遅れ、連携先システムの処理能力などが、要因として考えられます。申込が増える時間帯に、複数の処理が同時に重なる点も影響します。
回答者側の通信環境や、フォームの入力項目の多さが影響する場合もあります。どこに制約があるかを切り分けて確認することが、対策の第一歩です。原因が分かれば、提供会社への相談も具体的に進められます。
事前に確認したい同時アクセスと送信の上限
提供会社に、同時アクセスの目安や、1日あたりの回答件数の上限、メールの送信数の制限を確認しましょう。上限を超えた場合に、どのような動作になるかも聞いておくと安心です。受付が止まるのか、遅れて処理されるのかで、対応は変わります。
負荷をかける試験は、規約で禁止されている場合があります。自社で試す前に、提供会社へ相談し、事前に実施の可否や手順を確認してください。テストを実施できない場合は、過去の利用状況を聞く方法もあります。
集中する場面の運用ルール
申込が集中しやすい場面では、運用の工夫も有効です。募集期間を分けたり、申込の受付時間を告知したりすると、アクセスの集中をやわらげられます。メールマガジンなど、告知の手段ごとに時間をずらす方法もあります。
障害が起きた場合の連絡の流れと、代替の受付手段もあらかじめ決めておきましょう。先着順の募集では、重複した申込の扱いも整理しておくと、トラブルを抑えられます。回答者に向けた案内文も、あわせて用意しましょう。
組織が大きくなるほど増える管理面の課題
利用する部署や担当者が増えると、フォームの管理や情報の保護が課題です。大企業に限らず、複数の部署で使い始める企業では、次の観点を押さえておきましょう。フォームの数が増える前に、ルールを決めておくことが大切です。
部署ごとにフォームが増えて管理しきれない
部署ごとに別々のアカウントでフォームを作ると、全体の把握が難しくなります。どのフォームが公開中で、誰が管理しているのかが分からなくなる場合があります。古いフォームが残り、誤って回答を受け付けてしまう恐れもあります。
フォームの命名ルールや、公開前の確認手順を決めておくと、混乱を抑えられます。担当者の異動に備え、管理者を複数人置く運用も有効です。公開が終わったフォームを整理する担当も決めておくと、管理しやすくなります。
権限設定と承認の仕組みを確認する
担当者ごとに、フォームの作成、編集、回答の閲覧の権限を分けられるかを確認しましょう。公開前に責任者が内容を確認できる承認の機能があると、誤った情報の公開を防ぐ助けとなります。閲覧できる回答の範囲を絞る設定も、個人情報の保護に役立ちます。
権限の細かさは製品によって異なります。自社の組織の構造にあわせて設定できるかを、デモなどで確かめてください。部署単位や、プロジェクト単位で分けられるかも、確認したい点です。
個人情報の管理と監査に備える
フォームで集める個人情報は、個人情報保護法にもとづいて適切に管理する必要があります。閲覧の記録や操作ログを残せるかは、社内の監査への備えとしても重要です。誰がいつ回答を見たのかを追えると、情報漏えいの調査にも役立ちます。
回答データの保存期間や、削除の手順も確認しておきましょう。不要になった個人情報を、速やかに消せる運用が望まれます。情報システム部門や法務の担当者にも、あわせて確認しておくと安心です。
企業規模ごとの運用課題から選ぶ製品
基幹システムとの連携や申込の集中など、規模ごとの懸念点に関わる製品を紹介します。
コラボフォーム
- Excelで作った申込書を見た目そのままWebフォーム化
- 入力内容が社内ワークフローに連携され、転記や再入力が不要に
- 申込書や申請書類をかんたん操作でペーパーレス化
株式会社コラボスタイルが提供する「コラボフォーム」は、社内のワークフローとつながるWebフォーム作成ツールです。受け付けた申込書や申請書は、転記や再入力をせずに社内ワークフローへ連携できると説明されています。フォーム入力情報を関係者に回覧したり、作業を依頼したりできるため、手作業が残りやすい運用を見直す際の材料となる点が特徴です。フォーム埋め込み機能や通知メール・自動返信メールにも対応しており、対象は全ての規模とされています。
WiLL Form
- 専用エディターを使用し初心者でも簡単操作でフォーム作成が可能
- PCとスマホの表示を自動的に切り替えるレスポンシブデザイン
- SSL対応・AWS採用のため多くの個人情報を扱うフォームでも安心
株式会社サパナが提供する「WiLL Form」は、応募フォームの作成に特化したクラウド型のシステムです。PCとスマートフォンの表示を自動で切り替えるレスポンシブデザインに対応しており、申込があると管理者へメールで通知されます。管理画面では応募状況をリアルタイムに確認でき、テンプレート登録やデータ管理にも対応しています。対象は全ての規模とされているため、申込が集中する時期の運用は事前に相談しておくとよいでしょう。
フォームブリッジ (トヨクモ株式会社)
- フォームはコース問わず無制限に作成可能
- 条件分岐やステップフォームで回答率を改善
- マジックリンク/Google/Microsoftアカウント認証に対応
ヘルプドッグフォーム (noco株式会社)
- 誰でも簡単にフォームを作成し、最短30秒で公開可能
- EFO標準搭載で離脱率改善とコンバージョン向上
- 特定IPやフリーメールをブロックし悪質な営業フォームを防止
formstack (Formstack,LLC)
- ドラッグ&ドロップ操作でノーコードのオンラインフォーム作成。
- 送信データを自動で他システム・ワークフローに連携。
- 支払い受付や登録、アンケートなど多用途フォームに対応。
フォーム作成ツールに関するよくある質問
フォーム作成ツールの企業規模の懸念点についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:回答件数が少なくても有料の製品を契約してよいですか?
- A:月ごとの回答件数やフォーム数を見積もり、料金に見合うかを確認しましょう。利用が少ない場合は、無料のプランや、段階的に拡張できる料金体系も選択肢です。
- ■Q2:安価なプランを選ぶと後から困ることはありますか?
- A:API連携や詳細な権限設定、データの書き出しなどが、上位のプランに限られる場合があります。基幹システムとの連携が必要なら、含まれる機能を契約前に確認しましょう。
- ■Q3:申込が集中しても受付が止まらないか心配です
- A:同時アクセスの目安や回答件数の上限、メールの送信数の制限を提供会社に確認しましょう。募集期間を分けるなど、運用面の工夫も有効です。負荷をかける試験は規約で禁止される場合があるため、事前に相談してください。
- ■Q4:複数の部署で使うとき、管理面で注意する点は?
- A:フォームの命名ルールや公開前の確認手順、権限の分け方を決めておきましょう。担当者の異動に備え、管理者を複数人置く運用も有効です。
まとめ
フォーム作成ツールの企業規模にまつわる懸念点は、小規模では費用対効果、中規模では連携不足と手作業、大企業では申込の集中と管理の難しさです。従業員数だけでなく、回答件数やフォームの数といった利用の状況から、プランと機能を検討しましょう。複数の製品の資料を請求して、自社の条件にあうかを確かめてください。

