感情労働とは
感情労働とはビジネスにおいて、自分の感情をコントロールして相手の期待に応える働き方を指します。労働を分類すると、感情労働以外にも肉体労働や頭脳労働などに分けられます。感情労働はどのような職場で発生するのか、また感情労働の従事者(感情労働者)にどのような影響を与えるのかについて解説します。
自身の感情を抑えて顧客に対応する労働のこと
感情労働は、表面上相手に好まれる表情や仕草が求められます。一方で負の感情をおさえ、明るい感情を表現することで、自分自身の感情をコントロールする必要があるでしょう。したがって、笑いたくなくても笑顔で接するなど負の感情を自分自身でコントロールし、対応する必要があります。
看護師や介護士、客室乗務員などの職種に多い
感情労働が発生する職種で多いのは、接客を伴うサービス業です。特に多く見られる業界は、医療業界・航空業界・ホテル業界・飲食業界・小売業界・コールセンター業界などが該当します。なかでも、医療業界の看護師や介護職は、専門的な知識や体力も必要となるうえ、感情労働も求められる負荷が高い職種です。
メンタル不調につながる可能性がある
感情を無理にコントロールすると、大きな精神的ストレスがかかります。そのような状態が長く続くと、燃え尽き症候群やうつ病・アルコール依存症・ギャンブル依存症のような病状に悩まされる人も少なくありません。顧客満足を追求するために感情労働が増えると、顧客に対しては高品質なサービスが提供できますが、従業員側の精神状態が不安定になるリスクも無視できません。
感情労働の仕事を行う従業員へのサポート方法
会社や経営者は、感情労働を行う従業員へどのようなサポートを実施すればよいのでしょうか。具体的な対策について解説します。
従業員へのストレスチェックや研修を定期的に実施する
感情労働のストレスは、労働者自身も気がつきにくく、気づいた頃には悪化しているという問題があります。仕事熱心な従業員のストレスに気づかず、精神状態の疲弊やメンタルヘルスの不調を招けば、企業にとっても大きな損失です。
まずは、ストレスチェック制度を導入しましょう。事業者は従業員に対して、医師による心理的な負担の状況を把握するためのストレスチェックを定期的に実施しなくてはいけません。定期的なストレスチェックは、感情労働を行う従業員のストレスの早期発見に有効です。また必要に応じて、労働環境の改善などにも努めましょう。従業員には感情労働のストレスを認識してもらい、対処法を従業員に教育する研修も定期的におこなうべきです。
仕事量の改善を図る
感情労働者が多い企業は、より労働時間を適切に管理する必要があります。労働時間が長いほど、それだけ心身に蓄積する疲労やストレスが増加します。また、長時間に及ぶ労働は、生産性を低下させ、モチベーション低下による離職につながる恐れもあるでしょう。
従業員は感情のコントロールから解放され、リラックスする時間が必要です。そのために一人ひとりの仕事量を見直して適切な業務分担をすることで、労働生産性を高められます。
従業員がケアを受けやすい環境を作る
従業員がケアを受けやすい窓口を設けたり、職場環境においても相談しやすい雰囲気を作ったりする必要があります。企業としてどのようなストレス対策を行っているのかを従業員に周知して、必要があればいつでも対応できることを認知させ、利用ハードルを下げましょう。感情労働が多く発生する現場で、誰を従事させるのかを見極める必要もあります。必要に応じて配置転換の検討も行うべきです。
感情労働で従業員がストレスを溜めないように注意しよう
感情労働を行う従業員に対するサポート方法としては下記3つを紹介しました。
- ・従業員へのストレスチェックや研修を定期的に実施する
- ・仕事量の改善を図る
- ・従業員がケアを受けやすい環境を作る
感情労働で従業員がストレスを溜めないように、企業としてケアする体制を構築しましょう。