健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康情報を集約・管理し、最適な健康サポートを提供するためのシステムです。
健康管理システムには、健康データの一元管理や産業医との面談、ストレスチェックサービスなどが備わっています。これらの機能や健康管理サービスを活用することで、従業員の健康管理業務の効率化や健康経営の実現に役立ちます。
以下の記事では、テレワーク・在宅勤務における健康管理について解説しています。テレワーク・在宅勤務を導入している企業で、自社に必要な健康管理について理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
健康管理システムの必要性
現代社会には運動不足やストレス、不規則な生活など、健康を損なう要因が数多く存在します。代表例としては、運動不足が引き起こす生活習慣病の増加や、ストレスによるメンタルヘルスの悪化・精神疾患の発症が挙げられます。
従来、健康管理は従業員個人が実施するものと考えられていました。しかし、現在では従業員の健康維持・増進が企業全体のパフォーマンスに大きく影響することから、健康経営に取り組む企業が増加しています。
また、健康経営を実現するには、健康データを適切に管理・分析し、各従業員の健康状態にあわせたタイムリーな対応の実施が必要です。企業規模が大きいほど健康データは膨大な量になり管理業務が煩雑になります。さらに一人ひとりに保健指導や産業医の受診などの対応を適切に案内するのも難しくなるでしょう。健康データの収集が十分にできていても、データを有効活用し従業員の健康維持・増進につなげられなければ健康経営は実現しません。
健康管理システムを活用すれば健康データの管理・分析や有効活用の促進、健康増進対応の効率化を図れるため、健康経営の実現に欠かせないツールとして必要性が高まっています。
健康管理システムの主な機能
健康管理システムには以下のような機能が搭載されており、健康管理業務の効率化や健康課題の発見を支援します。
- ■個人情報管理機能
- 従業員の名前・住所・職種や業務内容のほか、健康診断結果や特殊検診・特定保健指導の該当有無、保健指導履歴や産業医面談履歴などを管理できます。
- ■レポート作成機能
- 定期健康診断結果報告書や産業医面談の必要書類などを作成する機能です。常時50人以上の労働者がいる企業は、定期健康診断結果報告書にて健康診断結果を労働基準監督署に報告する必要があります。
- ■産業医関連機能
- 産業医の業務を支援する機能や、企業と産業医の連携をサポートする機能です。就業判定対象者一覧化機能や産業医意見書検索機能のほか、面談設定やスケジューリング、オンライン面談機能などがあります。
- ■過重労働管理機能
- 残業時間や問診項目から長時間労働対象者を管理する機能です。部署別の労働時間を分析することで負担がかかっている組織の発見にも活用できます。
- ■ストレスチェック・独自アンケート機能
- ストレスチェックの実施や独自アンケートの作成・回答収集が行える機能です。健康診断では見えてこない職場の人間関係への不満など、組織課題やストレス状況を把握できます。
参考:労働安全衛生規則〈労働安全衛生法〉第52条 | e-Gov法令検索
以下の記事では、産業医の必要性と役割について詳しく解説しています。業務内容や産業医との連携の必要性について理解を深めたい方は、あわせて参考にしてください。
健康管理システムをお探しの方へ
ITトレンドでは、健康経営の実現や業務効率化に役立つ健康管理システムを多数掲載しています。この記事では、健康管理システムを以下のタイプに分類して紹介するので、自社への導入検討の参考にしてください。
▼製品を一覧でチェックしたい方はこちら!
【比較表】おすすめの健康管理システム
健康管理システムの導入メリット
健康管理システムを導入することで、以下のようなメリットが得られるでしょう。
- ●健康管理業務の効率化
- ●健康データの活用促進
- ●従業員の健康増進による生産性向上
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
健康管理業務の効率化
従業員の健康データを管理・分析し、健康増進に向けた対応の案内などを行うことは、健康経営実現の第一歩といえます。しかし、全従業員の健康診断のデータやストレスチェックの結果、日々の勤務状況・健康状態を把握・管理するには莫大な時間と労力を要します。さらに従業員数が多くなるほど、業務負担はより大きくなるでしょう。
健康管理システムは健康データの一元管理のほか、データ分析や健康診断の予約、ストレスチェックの実施などが可能です。システム一つでさまざまな業務を一括管理できるため、健康管理業務の効率化や人的コストの削減につながるでしょう。
健康データの活用促進
従来であれば、紙やエクセルで管理する企業が一般的でしたが、膨大な数の健診結果に目を通して、有所見者を見つけ出すのは大変な業務工数がかかります。
健康管理システムは健康データを分析し、コンディションや健康リスクを可視化します。これにより有所見者の発見がしやすくなるほか、従業員の健康状態やストレス傾向のタイムリーな把握が可能です。保健指導・産業医面談の実施促進や職場環境の改善、健康増進を目的とした取り組みなど、効果的な施策の実施にも役立つでしょう。
従業員の健康増進による生産性向上
近年では企業が従業員の健康増進をサポートすることで、活力向上につながり生産性向上にもよい影響を与えるとされています。健康管理システムを導入すると、一人ひとりの健康状態やコンディションを把握しやすくなり、適切な対応を漏れなく実施できるでしょう。さらに健康診断の予約や産業医面談の実施がシステム上で行えるため、従業員の利便性も高まります。
また、健康状態やストレスの可視化により、企業は職場環境の改善や健康支援を行いやすくなります。従業員も企業のサポートを受けることで、健康管理に取り組みやすくなるでしょう。
健康経営のメリットについては以下の記事でより詳しく解説しています。
健康管理システムのタイプ
健康管理システムは製品の搭載機能や特徴別に、以下の3つのタイプに分類できます。自社の利用目的や課題にあったタイプから製品を比較選定するとよいでしょう。
- ■健康データの一元管理に特化したタイプ
- 健康診断の結果や受診状況、外部で実施したストレスチェックの結果などをデータ化し、一元管理するシンプルなタイプ。健康診断の予約や日時設定、受診リマインドなどの機能を備えている製品もあります。
- ■日々の健康状態の把握に役立つタイプ
- 健康データの一元管理にくわえ、ストレスチェックの実施や労務リスクの把握ができるタイプ。従業員の状態が把握しにくい、在宅勤務やテレワークを採用している企業にもおすすめです。
- ■従業員の健康増進にアプローチできるタイプ
- 特定保健指導や産業医面談、健康改善プログラムの提供など、従業員の健康増進に役立つ機能やサービスを提供しているタイプ。収集した健康データをもとに、健康経営の実現へ効果的なアプローチをしたい企業におすすめです。
健康管理システムの選び方
健康管理システム導入成功には、自社の目的に即したシステムの選定が不可欠です。特に、機能性や外部システムとの連携、提供形態がポイントとなるので、以下で詳しく解説します。
自社の利用目的にあった機能を搭載しているか
健康管理システムは製品によって搭載機能が異なります。そのため、製品を選定する際は自社の利用目的にあった機能を搭載しているか、製品資料などで確認するとよいでしょう。
例えば、健康データの管理を効率化しデータ活用を促進したい場合は、個人情報管理機能やレポート作成機能が充実している製品がおすすめです。そのほか、長時間労働によるストレスの増加や生産性の低下に課題を感じている企業であれば、過重労働管理機能が役立つでしょう。
このように自社の利用目的や解決したい課題を明確にし、適した機能を搭載した製品を選定することでより大きな導入効果を得られます。
外部システムと連携可能か
健康管理システムは人事システムや勤怠管理システムなどと連携することで、より効率的に従業員の健康情報を管理できるようになります。
連携可能なシステムは製品によって異なるため、導入検討時にどのようなシステムと連携したいか明確にしておくとよいでしょう。事前に他部署で使っているシステムや今後の方向性をすり合わせ、運用体制を想定して検討するのがおすすめです。
提供形態は自社に適しているか
健康管理システムの提供形態には複数の種類がありますが、代表的なものはクラウド型とオンプレミス型です。それぞれの提供形態によって特徴や料金が異なるため、自社の業務や予算に適した提供形態の製品を導入するとよいでしょう。
クラウド型は、ベンダーが構築したシステムをインターネット上で利用するタイプです。導入期間が短いことや初期費用を抑えて導入できることが特徴です。複数拠点での活用やテレワーク・リモートワークを導入している企業にも適しているでしょう。しかし、月額制の製品が多いため運用費がかかることや、オンプレミス型と比較してカスタマイズ性が劣る場合があります。
オンプレミス型は、自社でサーバを用意しシステムを構築するタイプです。カスタマイズ性が高く、利用目的や課題にあわせた製品を導入しやすい点が特徴です。しかし、クラウド型と比較して導入に時間がかかる、初期費用が高額になるといった特徴もあります。また自社での運用管理が必要になるため、予算や運用体制を検討して製品を選定するとよいでしょう。
従業員の健康維持・増進に役立つサービスがあるか
健康経営の実現には、従業員の健康状態やコンディションの把握だけではなく、健康増進につなげる適切なアプローチが必要です。健康増進に効果的な施策を積極的に実施したい企業には、保健指導・産業医面談が可能な製品がおすすめです。さらに健康状態の改善が必要な従業員に向けて食生活や運動に関するセミナーを提供しているものもあります。
このほかスマホアプリで健康改善プログラムの提供が受けられる製品など、従業員の健康増進をサポートする機能を備えた製品もあります。各社製品の機能・サービスを比較して検討するとよいでしょう。
【比較表】おすすめの健康管理システム
ITトレンドおすすめの健康管理システムを2023年の年間ランキング順に比較表にまとめました。また、この記事で紹介している主要な製品を細かく調査して見えてきた、健康管理システムの特徴や傾向を以下にまとめています。ぜひ製品の比較検討にお役立てください。
- ●すべての製品がクラウド型での提供に対応。オンプレミス型での提供に対応している製品は少数。
- ●ストレスチェックの実施や医師の派遣・面談が可能な製品が多く、健康データの一元管理に特化したタイプは少数。
- ●外部システムと連携してデータを取り込める製品は約3割。ただし、連携できるシステムは製品によって異なる。
- ●約半数の製品が特殊検診の管理に対応。
▶健康データの一元管理に特化した健康管理システム
ここからは、ITトレンド編集部おすすめの健康管理システムの特徴や機能について、詳しく紹介します。まずは、健康診断の受診状況や結果などの一元管理に特化した製品の紹介です。気になった製品は「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加をしておき、あとでまとめて資料請求もできます。
《すこやかサポート21》のPOINT
- 多種の健康データを一元管理し、効率的かつ効果的な運用を実現!
- 人事担当・医療職から高評価!立場毎に必要な機能を利用可能!
- 導入前後で変わらないサポート。最後まで伴走いたします!
株式会社インテージテクノスフィアの「すこやかサポート21」は、疾病リスクや精神不調の早期発見・予防に活用できる健康管理システムです。従業員の健康データを一元管理し、健康診断の受診進捗や課題を見える化します。また、組織や利用者権限、項目単位でデータの閲覧範囲を設定できるため、多拠点・グループ企業においても柔軟なデータ管理が可能です。
健康データの紙管理からデジタルデータ化のサポートも受けられるため、管理体制の移行に不安がある企業でも安心して導入できるでしょう。
製品・サービスのPOINT
- 事務作業時間大幅削減!本来やりたい産業保健業務に時間が取れる
- 導入時も導入後も圧倒的な低価格!
- 健診結果のデータ化から統一まで強力サポート
株式会社エヌ・エイ・シー・ケアが提供する「Be Health」は、使いやすさと柔軟性を追求した健康管理システムです。10年以上のヘルスケアとITの知見をいかし、事務作業の負担を軽減し産業保健業務に専念できるよう設計されています。運用にあわせて受診勧奨値を上回る対象者や、服薬していても改善していない対象者の抽出も可能なため、健診事後措置の効率化にも役立つでしょう。
低価格でありながら基本的な健康データの管理・活用に関する機能を網羅しているため、健康管理業務の効率化とデータ活用の促進を重視する企業におすすめです。
▶日々の健康状態の把握に役立つ健康管理システム
ここでは、ストレスチェックや労務リスク判定など、従業員の日々の健康状態把握に役立つ健康管理システムを紹介します。
《Dr.CHECK》のPOINT
- プロ産業医クオリティーをリーズナブルに提供
- リスク抽出だけでなく、産業医が解決策を指示
- 面談等のオプションも充実で、課題解決まで徹底サポート
株式会社リバランスが提供する「Dr.CHECK」は、企業が抱える健康経営の課題を解決するクラウドサービスです。産業医が健康診断結果や勤怠データをダブルチェックし、具体的な解決策の提供と改善のフォローが受けられる点が特徴です。従業員の健康増進への効果的な取り組みを実施しやすくなるでしょう。また、労務リスク・訴訟リスクの低減や生産性向上にも役立ちます。
自社で独自に健康増進への取り組みを行えるか不安な企業や、専門家の意見をもとに効果的な施策を実施したいと考えている企業におすすめです。
《mediment》のPOINT
- 健診・ストレスチェックなど従業員の健康情報をデータ化
- 受診勧奨や産業医連携もシステム内で一元管理が可能
- データ分析で課題を自動抽出し、健康リスクを未然に防止
メディフォン株式会社の「mediment」は、従業員の健康データを一元管理するクラウドサービスです。健康診断やストレスチェックの結果などのデータ管理機能のほか、報告書の自動生成や受診勧奨の一斉メール配信など多くの機能を搭載しています。幅広い業務の効率化に活用できる点が魅力の一つです。
また、特殊健診にも対応し、保健師や看護師が提供する専門的なサポートも受けられるため、健康経営の実現に大きく貢献するでしょう。多言語対応も可能なため、外国人の従業員が多い企業にもおすすめです。
《HM-neo》のPOINT
- 【健康管理業務はこれひとつ】健康管理に必要なメニューが充実!
- 【健康管理のDX化】紙から電子へ、スムーズに探せる・見える
- 【健康経営を推進】健康情報のクロス分析で組織の早期改善を支援
NTTテクノクロス株式会社が提供する「HM-neo」は健診案内・受診勧奨や健診結果管理、面談記録や労基署集計など、健康管理業務全般をカバーする健康管理システムです。基本的な健康管理システムの機能にくわえ、従業員が健診・面談予約、健診結果参照するためのWebサイトを提供。さらに、産業医意見書、休業・復職などの申請・承認ルートを管理するワークフロー機能など、多様な機能を搭載している点も特徴です。
また、従業員の健康データや勤務データを一画面で確認できる個人カルテ機能や、独自の基準にあわせて検査値を再判定する判定支援も搭載。産業医や保健師の指導に役立つ機能が充実しています。
製品・サービスのPOINT
- 2分のサーベイで会社への愛着や人間関係など5つの指標を可視化
- 組織の状況とケアが必要な社員がひと目でわかる
- 社員の性格情報とかけ合わせて見ることで取るべき打ち手がわかる
株式会社リーディングマークが提供する「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」は、短時間のサーベイを用いて従業員の"心の幸福度(ウェルビーイング)"を可視化するサービスです。従業員の性格情報と組み合わせることで、より効果的な人事マネジメントが可能になります。特に、採用やマネジメントの改善に有用なデータを提供することが強みで、組織全体のウェルビーイング向上が図れるでしょう。
また、ダッシュボードで組織状況の確認やケアが必要な従業員が一目でわかるほか、上司が取るべき行動や従業員へのアドバイス提供も受けられます。ストレスチェックの結果活用の促進や職場環境の改善を重視する企業におすすめです。
▶従業員の健康増進にアプローチできる健康管理システム
ここでは、産業医の派遣やオンライン面談、健康増進プログラムの提供が受けられる健康管理システムを紹介します。
製品・サービスのPOINT
- 健康労務管理の工数75%削減
- 健康情報のデータ化・可視化 により健康リスクを予防
- 国際規格のセキュリティ認証「ISO27018」を取得
株式会社iCAREが提供する「Carely(ケアリィ)」は、人事労務と産業保健スタッフの業務を効率化するクラウド型の健康管理システムです。管理者向けのダッシュボードの活用により、健康労務のリスクや進捗状況が一目で把握できます。また、従業員の健康情報をデータ化して一括管理することで、煩雑になりがちな業務の効率化が可能です。
さらに年間100回以上のシステムアップデートを無料提供しており、法改正への対応や最新機能を追加コストがかからずに利用できます。
《ハピネスパートナーズ》のPOINT
- 全拠点・全従業員の健康情報をクラウド上で一元管理・分析
- 「EBHS(エビス)」機能で組織の健康課題と改善施策を自動で分析
- 東証プライム上場エムスリーグループが健康経営を総合的に支援
エムスリーヘルスデザイン株式会社が提供する「ハピネスパートナーズ」は、企業の健康経営推進を支援するクラウドシステムです。経産省が推奨する健康経営を実現するためのインフラツールとして開発され、強固なセキュリティで個人情報を保護しています。複数拠点の健康データの一元管理ができるほか、企業の健康課題や解消策・アクションプランの自動分析・提案も可能です。従業員数が多い大規模企業でも健康管理業務の効率化が実現するでしょう。
また、従業員向けの専用サイトと、メール機能を通じた健康意識の向上へのアプローチや健康相談・オンライン診療も提供。さらに健康経営コンサルティングが受けられるなどサービスが充実している点も特徴です。
《newbie》のPOINT
- 豊富な分析機能で企業の健康課題を多角的に判断可能!
- 健康診断関連業務の完全ペーパーレス化で業務負担軽減!
- 代行サービスやスポット医師面接指導などのサービスも用意!
株式会社マイクロウェーブが提供する「newbie」は、企業の健康管理を効率的に行うためのシステムです。健康診断データやストレスチェック結果を一元管理し、ペーパーレス化を実現します。
ダッシュボード機能で部署や年齢別の健康状態をグラフで確認でき、効果的な健康経営施策の立案が可能です。さらに、健診関連の煩雑な業務も代行サービスがあり、担当者の業務負担を大幅に軽減します。特に多拠点企業にとっては、スポット的な医師面接指導サービスがあり、コストを抑えつつ全拠点でのメンタルヘルス対策が可能です。
まとめ
健康管理システムを導入することで、煩雑になりがちな健康管理業務の効率化や、健康経営の実現に向けてより効果的な取り組みが行えるようになるでしょう。健康管理業務に課題を抱えている方や、健康経営の実現が思うように進まないと感じている方は、この機会に健康管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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