健康管理システムとは
健康管理システムは、従業員の健康情報を集約・管理し、最適な健康サポートを提供するためのシステムです。
健康管理システムには、多彩な機能が搭載されており、これらの機能を活用することで、健康経営の実現に近づきます。
具体的には、以下のような機能があげられます。
- 健康診断管理機能
- 産業医・保健師との面談管理機能
- コンディション管理機能
- 健康データ分析/評価機能
- 労働基準監督署への報告書作成機能
機能は、利用する各社製品によって多種多様です。目的にあった機能を持つシステムを導入するためにも、まずは幅広く情報を集めることが必要になります。
なぜ健康管理システムが必要なのか
前提として、健康診断は会社の義務として位置付けられており、さらに従業員数50名以上の企業には、産業医設置やストレスチェックの実施が義務付けられています。
その点を踏まえて、そもそも「何のためにシステムを導入するのか」を明確にしておくことで、社内稟議を通す際にもスムーズに進めることができるでしょう。大きく2つの観点からその必要性を説明します。
現代社会の健康課題
現代社会には運動不足やストレス、不規則な生活など、健康を損なう要因が数多く存在します。代表例としては、運動不足が引き起こす生活習慣病の増加やストレスによるメンタルヘルスの悪化(精神疾患)が挙げられます。
従来、健康管理は従業員個人が実施するものと考えられていましたが、従業員の健康保持・増進が企業全体のパフォーマンスに大きく影響することが明らかになった現在では、健康経営の実施は単なるコストではなく会社を成長させる投資であるとされ、健康経営に取り組む企業が増加しています。
健康管理の効率化
健康経営の実現にあたって、従業員の健康をサポートすると決意したものの、健康診断のデータや日々の勤務状況、健康状態を把握・管理するには莫大な時間を要します。
従業員数が増えれば増えるほど業務が増える姿は容易に想像がつくのではないでしょうか。
健康管理システムの導入のメリット
健康管理システムによってもたらされる利点は、大きく2つあります。
健康データの管理と分析
健康管理システムの利点は、従業員の健康に関する情報のデータ化を通じて、業務効率化や埋もれていた有所見者の発見が可能になることです。従来であれば、紙やエクセルで管理する企業が一般的でしたが、膨大な数の健診結果に目を通して、有所見者を見つけ出すのは大変な業務工数が掛かります。
健康管理システムを導入することで、個人に紐づくデータを一括管理できるだけでなく、ダッシュボードにて社員のコンディションを可視化、分析することもできるようになります。
健康管理の体制構築
健康管理システムでは、健康診断結果をデータ化するだけでなく、ストレスチェック機能によりサポートが必要な従業員が可視化されます。
その機能を利用すれば、適切なタイミングで面談を組んだり、産業医・保健師面談の設定を促したりと、スムーズにネクストアクションにつなげられます。こうしたフォローアップ機能を活用することで、健康管理が形骸化するリスクを払拭できるでしょう。
健康管理システムの主な機能
健康管理システムには、業務の効率化や健康課題の発見を実現する機能があります。
個人情報管理機能
従業員の名前・住所・職種・保険情報などを管理します。以下の管理項目を設定できます。
- ■特殊健診
- 特殊健診が必要な場合も明記することができます。特殊健診とは、特定の有害物質を業務で使用する場合に、義務化されている特殊な検査です。
- ■特定保健指導
- メタボ診断と呼ばれ、内蔵脂肪型の肥満の原因と言われている生活習慣の改善を指導することを指します。
- ■健診結果
- 一般的な健康である人の平均値を基準値とよびます。総合判定によって基準値からどのくらいの差があるのか容易にみることができます。
- ■保険指導履歴
- 従業員が、産業医などの保健指導者からネットを通じて効率よく指導を受けることができます。従業員は、PCだけでなく携帯電話・手紙・FAXからの指導も可であるケースがあります。
個人IDを付与することで検索をスムーズに行うことも可能です。管理者側が、従業員別のデータの参照をすることも容易になります。逆に、診断したデータを匿名にしたり、診断内容を一部だけ閲覧制限やマスキングしたりできる機能もあります。
レポート作成機能
常時50人以上の労働者がいる場合、企業は「定期健康診断結果報告書」を作成し、労働基準監督署に報告しなければいけません。健康診断をしたら、終わりではなく、個人結果表を作成のうえ、健康診断を行った結果をレポートとして提出する必要があるのです。
参考:労働安全衛生規則〈労働安全衛生法〉第52条 | e-Gov法令検索
産業医関連機能
産業医設置が義務付けられている従業員50名以上の企業には必須の機能です。
具体的には、就業判定対象者一覧化機能や産業医意見書検索機能など、産業医の業務を効率化する機能もあれば、面談対象者の設定や、面談設定と面談実施など産業医との連携をサポートする機能もあります。
過重労働管理機能
長時間労働によるストレスの増加や生産性の低下に課題感を持たれている企業におすすめの機能です。対個人はもちろんのこと、部署別の労働時間を分析することで負担が掛かっている組織を見つけ出すことにも活用できます。
独自アンケート機能
独自のアンケートの作成から回答収集までが可能な健康管理システムもあります。健康診断では見えてこない、職場の人間関係への不満といった組織課題の現状を把握することができます。より深層部分まで理解をし、従業員の働く環境の改善を目指す企業におすすめの機能です。
健康管理システムの選び方
健康管理システム導入成功には、自社の目的に即したシステムの選定が不可欠です。特に、機能性や外部システムとの連携、提供形態がポイントとなるので、以下で詳しく解説していきます。
機能性
自社が求める機能があるかを細かくチェックしましょう。
先ほど解説した機能は一部になるため、必要な機能と不必要な機能を整理することをおすすめします。
外部システムと連携
健康管理システムを人事システムや勤怠システムとAPI連携することでより効率的に従業員情報を管理することができます。
後から連携したくなったでは遅いため、導入の段階で他部署との兼ね合いも検討しておくことが必要になります。工数はかかりますが、事前に他部署で使っているシステムや今後の方向性をすり合わせてみましょう。
提供形態
健康管理システムの提供形態には、大きくクラウド型やオンプレミス型があります。
クラウド型は、既存のテンプレートを使う形になるため、導入スピードが早い一方で、カスタマイズ性が落ちる懸念があります。
オンプレミス型は、自社固有のオペレーションにあわせたシステムの設計が可能ですが、開発費用と開発時間を要することに注意しなくてはなりません。
以上のポイントを踏まえて、最適な健康管理システムを選びましょう。
おすすめの健康管理システム紹介
特におすすめの健康管理システムをご紹介します。
製品・サービスのPOINT
- 2分のサーベイで会社への愛着や人間関係など5つの指標を可視化
- 組織の状況とケアが必要な社員がひと目でわかる
- 社員の性格情報とかけ合わせて見ることで取るべき打ち手がわかる
株式会社リーディングマークが提供する「ミキワメ ウェルビーイング」は、短時間のサーベイを用いて社員の"心の幸福度(ウェルビーイング)"を可視化するサービスです。このサービスは、社員の性格情報と組み合わせることで、より効果的な人事マネジメントが可能になります。特に、採用やマネジメントの改善に有用なデータを提供することが強みです。組織全体のウェルビーイングを高めることができます。
《Carely(ケアリィ)》のPOINT
- 人事・労務・産業保健スタッフ向け
- 健康診断、ストレスチェック、過重労働、産業医面談を管理可能
- 強固なセキュリティ下で安全データ管理
株式会社iCAREの健康管理システム「Carely」は、人事労務と産業保健スタッフの業務を効率化するクラウド型の健康管理システムです。管理者向けのダッシュボードを活用することで、健康労務のリスクや進捗状況が一目でわかります。また、従業員の健康情報をデータ化して一括管理することで、細かいタスクに足を引っ張られる問題を解消します。システムは年間100回以上の無料アップデートを提供し、法改正への対応や最新機能を追加コストなしで利用できます。これにより、より使いやすく、安心して業務を行えます。
《ハピネスパートナーズ》のPOINT
- 全拠点・全従業員の健康情報をクラウド上で一元管理・分析
- 「EBHS(エビス)」機能で組織の健康課題と改善施策を自動で分析
- 東証プライム上場エムスリーグループが健康経営を総合的に支援
エムスリーヘルスデザイン株式会社が提供する「ハピネスパートナーズ」は、社員の健康管理を効率的に行うクラウドシステムです。経産省が推奨する健康経営を実現するためのインフラツールとして開発され、強固なセキュリティで個人情報を保護しています。全国の支店や支社の社員の健康情報を一元管理することで、健康状態の経年比較やデータ活用が容易になります。また、社員向けの専用サイトとメール機能を通じて、健康意識の向上を促しています。導入がスピーディーで、システム導入費・管理費が不要なため、トータルコストも削減できます。
製品・サービスのPOINT
- 事務作業時間大幅削減!本来やりたい産業保健業務に時間が取れる
- 導入時も導入後も圧倒的な低価格!
- 健診結果のデータ化から統一まで強力サポート
株式会社エヌ・エイ・シーが提供する「Be Health」は、10年以上のヘルスケアとITの経験を活かした健康管理システムです。このシステムは、事務作業を効率化し、産業保健業務に専念できるよう設計されています。低価格でありながら、必要な機能はしっかりとカバーしています。操作性も考慮されており、初心者でも容易に使いこなせます。多岐にわたる健診データやストレスチェック結果なども一元管理でき、効率的な健康管理が可能です。
《mediment》のPOINT
- 健診・ストレスチェックなど従業員の健康情報をデータ化
- 受診勧奨や産業医連携もシステム内で一元管理が可能
- データ分析で課題を自動抽出し、健康リスクを未然に防止
メディフォン株式会社の「mediment」は、従業員の健康データを一元管理するクラウドサービスです。健康診断やストレスチェックの結果を簡単に管理し、報告書の自動生成や受診勧奨の一斉メール配信など、多くの機能を提供しています。特に、人事・総務担当者が抱える健康管理業務の負担を大幅に軽減します。UIは直感的で使いやすく、多言語や特殊健診にも対応しています。さらに、保健師や看護師資格を持つ社員が提供する専門的なサポートがあり、健康経営をしっかりとサポートします。医療機関での豊富な実績もあり、安心して導入できます。
《HM-neo》のPOINT
- 【健康管理業務はこれひとつ】健康管理に必要なメニューが充実!
- 【健康管理のDX化】紙から電子へ、スムーズに探せる・見える
- 【健康経営を推進】健康情報のクロス分析で組織の早期改善を支援
NTTテクノクロス株式会社が提供する「HM-neo」は多種多様な機能を備えており、健診案内から受診勧奨、健診結果管理、面談記録、労基署集
計、アンケートなど、健康管理業務全般をカバーします。従業員の健康データは一元管理され、Excel/Word/PDFなどの電子データ保存も可能です。これにより、紙による煩雑な管理から解放されます。さらに、「個人カルテ」機能を用いて、産業医や保健師の業務も効率化。健診結果と指導画面を同時に表示でき、未受診者への受診督促や面談該当者への一斉メールも可能です。操作性と拡張性に優れ、カスタマイズも容易です。
インフォコム株式会社が提供する「WELSA」は、企業の健康経営をトータルでサポートするサービスです。従業員の健康状態やストレスレベルを一元管理し、可視化することができます。さらに、健康リスクから生産性を分析し、各種がんや糖尿病などの重大疾病の発症リスクも予測します。これにより、企業は早期対策とリスクマネジメントが可能になります。また、各アカデミアの研究に基づいた分析・予測を用いて、具体的な健康増進施策を提供します。これにより、企業の健康経営の実現がより手堅く、効率的に進められます。
《すこやかサポート21》のPOINT
- さまざまな健康データを一元管理し、「見える化」による業務支援
- 健診担当、医療スタッフから高評価!「安心感」・「使いやすさ」
- お客様のニーズに合わせた機能、設定による効果的な提案
株式会社インテージテクノスフィアの「クラウド型健康管理システム すこやかサポート21」は、社員の健康データを一元管理し、早期に疾病リスクや精神の不調を発見、予防措置を取ることができます。また、健診結果やストレスチェック、残業時間などの健康情報をデジタルデータ化することで、人事・総務・労務、さらには産業医や産業保健スタッフの業務効率も向上します。さらに、多拠点やグループ企業においても、組織単位や利用者の権限、項目単位でデータの閲覧範囲を設定でき、柔軟なデータ管理が可能です。導入支援や運用前の学習会も提供されており、システムに不慣れな方でも安心して利用できます。
《Dr.CHECK》のPOINT
- プロ産業医クオリティーをリーズナブルに提供
- リスク抽出だけでなく、産業医が解決策を指示
- 面談等のオプションも充実で、課題解決まで徹底サポート
株式会社リバランスが提供する「Dr.CHECK」は、企業が抱える健康経営の課題を解決するクラウドサービスです。プロの産業医が健康診断結果や勤怠データをダブルチェックし、具体的な解決策を提供します。これにより、労務リスクや訴訟リスクを削減し、生産性を向上させることが可能です。また、健康に投資することで離職率が低下し、採用にも強い企業を作ることができます。特に、新卒採用において「企業の健康配慮」は重要なポイントとなり、企業イメージの向上にも寄与します。
健診クラウド
株式会社Avenir/株式会社メンタルヘルステクノロジーズ
《健診クラウド》のPOINT
- 煩雑な機能排除!健康診断データの管理業務効率UP
- 人事に代わり、専門スタッフや産業保健師がすべて対応
- 安心・安全のセキュリティで最低限の機能が使用可能!
株式会社Avenirの「健診クラウド」は、人事部門の負担を軽減するための健康管理システムです。このシステムは、健康診断データの管理はもちろん、メンタルヘルスやストレスチェック、面談管理など、多岐にわたる健康管理業務を一手に引き受けます。特に、専門のスタッフや産業保健師が健康リスクの高い社員を特定し、適切な対応を行うため、人事部門の作業時間を大幅に削減することが可能です。また、初期費用無料で、従業員一人あたり月額100円という低価格で導入でき、高度なセキュリティも確保されています。
《newbie》のPOINT
- 豊富な分析機能で企業の健康課題を多角的に判断可能!
- 健康診断関連業務の完全ペーパーレス化で業務負担軽減!
- 代行サービスやスポット医師面接指導などのサービスも用意!
株式会社マイクロウェーブが提供する「newbie」は、企業の健康管理を効率的に行うためのシステムです。健康診断データやストレスチェック結果を一元管理し、ペーパーレス化を実現します。これにより、健康状態の可視化や課題の明確化が容易になります。ダッシュボード機能で部署や年齢別の健康状態をグラフで確認でき、効果的な健康経営施策の立案が可能です。さらに、健診関連の煩雑な業務も代行サービスがあり、担当者の業務負担を大幅に軽減します。特に多拠点企業にとっては、スポット的な医師面接指導サービスがあり、コストを抑えつつ全拠点でのメンタルヘルス対策が可能です。
健康管理システム導入後の4つのステップ
- ●基本項目を設定する
- ●データの取込・入力を行う
- ●利用目的に沿ってアウトップットの準備をする
- ●ストレスチェック対策
基本項目を設定する
まずは、健康管理システムで管理を行う基本項目を設定します。多くの企業で行っている基本的なものは、定期健康診断です。業務内容や年齢によっては、特殊健康診断、特定健康診査、特定保健指導などを行っているケースがあり、すべての項目を取り込めるよう設定を行います。
データの取込・入力を行う
基本項目の設定が完了すれば、データの取込あるいは入力を進めます。元となるデータは、健康診断の実施機関から入手できます。健康管理システムの多くは、これらのデータフォーマットに対応しているため一括取込が可能です。万が一一括取込に対応していない場合は、手作業での入力が必要なため、対応しているかどうかを今一度確認しましょう。
また、健康管理において、社員一人ひとりの業務状況と照らし合わせることも重要となります。社員の業務状況や職務内容など個人情報の入力も行いましょう。
利用目的に沿ってアウトップットの準備をする
一番重要なステップはアウトプットの準備です。利用目的に沿ってアウトプットすることで、健康管理状況を把握することにつながります。代表的な例を紹介します。
- ◆メタボチェック
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生活習慣病と関連性の深いメタボリックシンドロームと判定された社員をリスト化し、保健指導を行う。定期健康診断ごとに改善したかどうかを確認していく。
- ◆要精密検査・要治療
- 健康診断の結果で医師の指示があった社員をリスト化し、医師の診断を受けた後の経過を確認する。
- ◆健康診断の未受診
- 健康診断を受けていない社員を抽出。業務が忙しいなどの理由での未受診者をゼロにするため、アプローチが可能になる。
健康管理システムは、社員の健康状態を企業が管理するためのツールです。社員の健康を守るため企業としてできることを効率良く進められるよう、アウトプットを整えておきましょう。
ストレスチェック対策
労働安全衛生法の改正により平成26年より義務化されたストレスチェック。対象となる事業所は、心理的な負担の程度を把握するための検査、医師による面接指導、結果に応じて職場改善を行うことが求められています。
一部の健康管理システムは、ストレスチェックに対応しています。個人面談や集団面談などの結果を入力し一元管理できます。また、1ヶ月、6か月といった行動目標や改善目標などを掲げ、職場改善を行うサポート的役割も担います。
健康管理システムの特徴を知り自社に適したシステム選びを
健康管理システムの導入は、その特徴と自社のニーズをしっかりと理解することから始まります。この記事では、健康管理システムとは何かから具体的な導入のメリット、さらにおすすめのシステムまでを解説しました。最適な健康管理システムを選ぶためには、従業員の規模や必要な機能、提供形態を考慮することが重要です。
より詳細な製品情報で比較検討したい場合は、以下の資料請求ボタンから一括請求が可能です。自社に最適な健康管理システムを見つけ、従業員の健康維持やそれにかかる業務効率化を目指しましょう。