テレワーク・在宅勤務における健康管理の義務
企業は労働基準法や労働安全衛生法などにもとづき、過重労働対策・メンタルヘルス対策を含む従業員の健康確保のための措置を講じる必要があります。これはテレワーク・在宅勤務を実施している場合であっても同じであり、具体的には、以下のような施策を実施して従業員の健康確保を図ることが重要です。
- ●必要な健康診断とその結果等を受けた措置
- ●長時間労働者に対する医師による面接指導とその結果等を受けた措置
- ●面接指導の適切な実施のための時間外・休日労働時間の算定と産業医への情報提供
- ●ストレスチェックとその結果等を受けた措置
くわえて、企業は事業場におけるメンタルヘルス対策に関する計画である「こころの健康づくり計画」を策定することと定められています。テレワーク・在宅勤務者のメンタルヘルス対策についても、自社内で調査審議のうえ計画に記載し、これにもとづいて施策に取り組むことが望ましいとされています。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
テレワーク・在宅勤務における健康管理の課題とは
テレワークにおける健康管理の主な課題は、精神面と身体面の両方におよびます。具体的な健康管理の課題は、以下のとおりです。
- ■精神面の健康リスク
- オンとオフの切り替えの難しさや意図しない長時間労働、外出の減少による閉塞感などがメンタル不調を引き起こす場合があります。また、コミュニケーションの取りにくさによる孤独感・孤立感も精神面の健康リスクとして挙げられます。
- ■身体面の健康リスク
- 長時間にわたる画面操作や、同じ姿勢で作業を続けることで、眼精疲労や腰痛などの不調につながります。また、運動不足による生活習慣病罹患など健康状態の悪化も身体面の健康リスクの一つです。
- ■労務管理上のリスク
- テレワーク・在宅勤務においても、企業には従業員の身体的・精神的健康リスクを回避するための労働環境を整備する責任があります。自宅での作業環境の整備や助言、労働時間の把握などを適切に行わないと、法令違反となる場合もあるので注意が必要です。
テレワーク・在宅勤務時では、従業員の勤務中の様子や変化を管理者が把握しにくい状況にあります。そのため、このような健康リスクを理解し、いかにして適切な対応を行うかが重要なポイントです。
テレワーク・在宅勤務下における健康管理の対応方法
職場でのメンタルヘルス対策では、以下の3つの予防を円滑に行う必要があります。
- ●一次予防:ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じてメンタルヘルス不調を未然に防止する
- ●二次予防:メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う
- ●三次予防:メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援等を行う
この3つの予防にくわえ、労働安全衛生法などを参考に、作業環境の整備や運動習慣確立のサポートといった身体的な健康リスクの回避にも配慮することが重要です。ここでは、テレワーク・在宅勤務における健康管理の対応方法について具体的に解説します。
従業員の現状を把握する
テレワークを行う従業員の健康状態の把握は、企業側にとって重要な課題です。これには、定期的なヒアリングやアンケート、オンライン会議を通じての健康状態の確認などが含まれます。また、従業員からのフィードバックを適切に受け止め、必要に応じて個別の支援を提供することも大切です。
作業環境の整備を行うための助言をする
企業は、テレワークを行う従業員に対して、効果的な作業環境の整備に関する助言や教育を行わなければなりません。これには、適切なデスクや椅子の選定、照明やモニターの位置の調整など、快適で健康的な作業環境を構築するためのアドバイスが含まれます。
厚生労働省のガイドラインを参考に、従業員に具体的な指導を提供することが推奨されます。
社内でのコミュニケーションを活性化させる
テレワークにおいては、社内コミュニケーションの欠如が孤独感や閉塞感を生む原因となり得ます。最低でも1日1回はチームや部署内でのコミュニケーションがとれる仕組みを作るのが重要です。
社内チャットでの雑談や定期的なミーティングを実施し、従業員同士のつながりを保つことで同じ部署やチーム内の従業員の健康状態にも気を配りやすくなるでしょう。
健康診断やストレスチェックを実施する
企業は年に1回、従業員に健康診断やストレスチェックを実施する義務があります。また、健康診断やストレスチェックの結果をもとに、必要に応じて産業医との相談や個別のフォローアップを行うのが重要です。従業員の健康状態を正確に把握し、適切な支援を行うことで、健康リスクの低減を図れます。
産業医の役割や重要性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
福利厚生を充実させる
テレワーク下での健康管理には、福利厚生の充実が効果的です。運動不足解消のための「ながら運動」プログラム、ジムや運動施設の割引や優待券の提供、健康アプリの導入など、従業員が自宅で簡単に健康管理を行えるような支援があるとよいでしょう。
従業員の健康促進とモチベーション向上が期待でき、企業成長の促進につながります。
従業員の労働時間を正確に把握する
テレワーク・在宅勤務では、仕事と仕事以外の切り分けが難しいことや、管理者の目が届きにくい場所で業務を行っていることで長時間労働になりやすいことが課題となっています。そのため勤怠管理システムやタイムカード、パソコンの使用時間など、客観的な情報を用いて従業員の労働時間を正確に把握することが重要です。
また、企業は単に労働時間を管理するだけでなく、長時間労働による健康障害防止を図ることが求められます。労働時間が長くなりがちな従業員がいる場合は、業務量の確認や注意勧告のほか、身体的・精神的不調をきたしていないか確認して適切な対応を取りましょう。
参考:テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き|厚生労働省
テレワーク・在宅勤務における健康管理の注意点
テレワーク・在宅勤務において、企業は産業医や人事部門と連携して、従業員の健康状態や勤務時間の客観的な把握、およびサポートをする必要があります。しかし、全従業員の情報を正確に把握し、各個人に最適な対応を行うのは非常に手間がかかるでしょう。
テレワーク・在宅勤務を導入している企業で従業員の健康管理業務を最適かつ効率的に行うには、健康管理システムの活用がおすすめです。健康管理システムは従業員の健康診断やストレスチェックなどの健康データを一元管理し、適切なサポートの提供を助けるシステムです。製品によっては健康データを分析し要対応者を割り出せる機能や、産業医の面談や健康増進のアドバイスが受けられるものもあります。従業員の健康維持・増進に役立つ機能・サービスがある製品もあるため、健康経営の実現にも貢献するでしょう。
以下の記事では、ITトレンド編集部がおすすめする健康管理システムを紹介しています。システムについてより詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
まとめ
健康管理システムを活用することで、テレワーク・在宅勤務でも従業員の健康状態を把握しやすくなり、適切な健康維持・増進に向けた対応を提供できるようになります。テレワーク・在宅勤務を採り入れている企業で健康管理業務を改善したいと考えている場合は、この機会に健康管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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