クラウドとは?定義と特徴
クラウドとは、インターネット経由でサービスを利用できる仕組みや考え方のことです。
クラウドの最大の特徴は、インターネット環境があれば所在地に関係なくサービスを利用できることです。業務の効率化のために広く普及しています。ユーザーは必要なときに必要な分だけ、クラウドで提供されているリソースやサービスにアクセスし利用できます。
クラウドの主な特徴
クラウドには次のような特徴があります。
- ■オンデマンド性がある
- ユーザーは必要なときに必要な量のリソースを利用できます。使用容量をあらかじめ見積もっておく計画や、現時点では使わない容量の長期契約が不要で、柔軟な運用が可能です。
- ■広範なネットワークアクセス
- インターネット接続があれば、場所や端末を問わずサービスにアクセスできます。リモートワークやモバイルワークがしやすくなります。
- ■リソースを共有しやすい
- 複数のユーザーが同じ物理的または仮想的リソースを共有できます。リソース利用が効率的になり、工数削減につながります。
- ■従量課金制のサービスが多い
- クラウドサービスは、実際に使用したリソースや容量に対してのみ課金されることが一般的です。初期投資を抑え、運用コストを最適化できます。
クラウドサービスの代表例はWebメール
Webメールは、クラウドサービスの代表例です。
Webメールには、GoogleのGmailやYahoo!メールなどがあり、これらはすべてサービス提供元のサーバにメールが保管されています。そのため、インターネット環境とアカウント情報があれば端末を選ばず利用可能です。
通常のビジネスメールは、メールサーバが自社内にあることが多く、出社しないとメールを確認できません。しかし、Webメールであれば社外でもクラウド上にあるサーバにアクセスし、メールを利用できます。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスは、「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類に分けられます。具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。
SaaS(Software as a Service)
SaaSは「サース」または「サーズ」と呼び、インターネット経由でソフトウェアを提供するサービスです。クラウドサービスの多くがSaaSに該当します。Google Workspace・Chatwork・Zoomなどが代表例です。
SaaSは、基本的にネットワークからアプリケーションまでのすべての構成を提供しています。ユーザーはソフトウェアやパッケージソフトをインストールする必要がなく、手軽に利用可能です。また、常に最新のバージョンを利用できるメリットもあります。
PaaS(Platform as a Service)
PaaSは「パース」と呼び、インターネット経由でプラットフォームを提供するサービスです。Google App EngineやMicrosoft Azureなどが代表例です。企業は自社でアプリケーション開発を行うための完備された環境を使用でき、開発に利用した分の料金を支払います。
PaaSは主に、ネットワークからミドルウェアまで提供しています。自社でプラットフォームを準備する手間やコストを抑え、手軽に開発環境を用意できるのがメリットです。
IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは「アイアース」または「イアース」と呼び、インターネット経由でサーバなどのインフラ機能を提供するサービスです。代表例に、Amazon Web Services(AWS)・Microsoft Azure(Azure)・Google Cloud Platform(GCP)が挙げられます。
IaaSは、プラットフォームよりもカスタマイズ性に優れ、比較的自由に開発を行えるのが特徴です。しかし、運用は自社で行う必要があるため、社内に専門知識・技術をもつエンジニアがいないと扱うのは難しいでしょう。
各サービスの概要や違いについては、以下の記事でも解説しています。
クラウドサービスを利用するメリット
クラウドサービスを有効活用するためにも、どのようなメリットがあるか見ていきましょう。
システム構築時間が短縮
クラウドサービスは自社で用意すべき設備がある程度備わっているため、システム構築時間を短縮できるのが特徴です。
例えば、SalesforceのようなクラウドベースのCRMシステムを導入する場合、アカウント作成後すぐの利用が可能。従来のオンプレミスCRMシステムの構築には数か月かかることもありますが、SaaSなら数日から数週間で運用を開始できます。
ほかにも、PaaSであればハードウェアなどを構築する時間が短縮します。例えば、Google App Engineを使用してWebアプリケーションを開発する場合、インフラストラクチャの構築やサーバのセットアップを省略し、すぐにコーディングをはじめられます。
導入コストの削減
クラウドサービスはサーバやソフトウェアを購入する必要がないため、導入コストを抑えられます。
導入コストには設備投資とエンジニアが開発する工数(人件費)があり、クラウドサービスを利用すればこれらの費用を節約できます。また、クラウドは必要なものを必要な分だけ使えるため、コストの無駄が発生しにくいのも特徴です。
メンテナンスが不要
SaaSのようなクラウドサービスでは、自社でメンテナンスを行う必要がありません。サービス提供事業者が管理・運用を担っているからです。
例えば、GmailなどのSaaSクラウドメールサービスを利用する場合、メールサーバの管理やセキュリティアップデートなどはすべてGoogleが行います。これにより、自社のIT部門の負担が大幅に軽減されます。
専門知識をもつエンジニアがいない中小企業でも使いやすいことも、クラウドサービスが普及した一つの要因といえるでしょう。
クラウドサービスを利用するデメリット
クラウドサービスはインターネット環境に依存するため、通信障害が発生すると利用できなくなるデメリットがあります。ほかにはどのようなデメリットがあるか見ていきましょう。
カスタマイズが限定的
クラウドサービスは事業者がサーバを所有し管理しているため、オンプレミスのように自由にカスタマイズできません。そのため、既存のシステムとクラウドとの連携が必要なときには注意が必要です。
自社で開発するPaaSやIaaSであれば、連携しやすいでしょう。
セキュリティリスクがある
クラウドサービスはメンテナンスやセキュリティ対策もすべて事業者が行っており、セキュリティレベルも依存します。自社でのセキュリティ対策も行えません。
そのため、クラウドサービスを選ぶときはセキュリティレベルをよく確認しましょう。
まとめ
クラウドは使い勝手がよく導入コストも抑えられるなど、多くのメリットがあります。今までコスト面で利用を諦めていた企業も、クラウドであれば利用しやすいでしょう。
ただし、カスタマイズ性が乏しい、セキュリティリスクがあるなどのデメリットも存在します。クラウドの特徴を理解して、効果的に活用しましょう。