IaaS事業者を選定する前に
パッケージソフトを選んでいるうちに、結果的にSaaS(Software as a Service:ソフトウェアとしてのサービス)になったというケースがあります。これに対しIaaSでは、最初から意識的にクラウドサービスにしようと決定し、その事業者を選ぶことが求められます。
では、何を基準に選べばいいのでしょうか。代表的な3つのポイントと、その他気になる点を挙げてみます。その前に、まずゴールを決めておくこと。自社にとって何が重要なのかを見極めておくことが不可欠です。自社にとっての重要度で優先順位を付け、選定ポイントを確認しましょう。
IaaSサービスの選定ポイント5つ
IaaSの事業者を選ぶ際に重要な5つのポイントを紹介します。
ポイント1:コストパフォーマンス
性能は必須の確認ポイントです。これから構築するシステムに対応するだけの処理能力を持っているか、容量は十分であるかを確認してください。しかし、各社が公表している数字だけでは判定できないこともあります。そこで、トライアルとして試験導入で確認することをお薦めします。
重要なのは、性能に見合ったコストであるかどうかです。低価格に惹かれてIaaSにしたものの、満足のいくパフォーマンスを得ようとすると、予定以上に高くつくこともあります。
ポイント2:開始スピードと柔軟性
IaaSだからといって、即日構築に着手できるとは限りません。中には契約書の交換や請求書等の手続きがあって、時間がかかる事業者もあります。これでは、スピーディな事業開始に対応できません。
また、稼働後の拡張性にも注目してください。CPU処理能力やストレージ容量を拡張したい場合も、諸処手続きが求められると、ビジネスチャンスを失いかねません。
IaaSの魅力はスモールスタートにあります。すぐに始めて、事業が成功したら一気に拡張する。たとえ失敗しても速やかに撤退する。これらが可能な柔軟性のあるサービスであるかを確認しましょう。
ポイント3:セキュリティと安定性
セキュリティが不安でIaaSの利用をためらっている企業が多いかもしれません。ログイン時の認証や操作権限など、十分なセキュリティ機能が用意されているか確認する必要があります。
また、重要なのがデータセンターの設置場所、立地です。東日本大震災以降、特に重視されるようになりました。地震などの災害に強い土地であるか、活断層や液状化のリスクが少ない硬い岩盤の上で、海岸線からも十分離れている、などを確認してください。
さらに、データセンターが遠隔地を含む複数拠点で構成されたサービスであれば、広域災害に対しても安定的な稼働が期待できます。もちろん、建物自体の耐震性、堅牢性も重要です。震度7クラスの地震に耐えられるか、電源や回線の冗長性(二重化)などの設備面も確認しましょう。
ポイント4:操作性
システムを運用する上での操作性も重要です。例えば、サーバーのスペックを増減させる時に専用のコマンドを習得する必要があるのか、あるいは、専門知識がなくても利用可能な管理コンソールが用意されていて、簡単にスペックの変更ができるのか、どちらが良いということではありませんが、自社の体制に適したものを選ぶ必要があります。
ポイント5:サービスの継続性とサポート
IaaSのサービスは事業者がサービスを続けることが前提で成り立っています。突然サービスを終了してしまったり、災害対策を行ってなかったがためにサービスが継続できなくなってしまうこともあります。信頼性があり、災害対策を行っている事業者を選定しましょう。また、サービスを利用する上でサポート体制がしっかりしているかも確認しましょう。
IaaS導入後の運用ノウハウ
次にIaaSの目利きになるために重要なこととして、導入後に求められる運用ノウハウについて触れます。IaaSのメリットは「使いたい時に使いたい分だけ」ITインフラを調達できることです。
ここで「使いたい分」=「必要な分」を見極める目利き力が必要になります。どうしても従来の所有することによって、固定されたインフラの感覚では、ついつい余裕をもった容量やスペックを選択しがちです。しかし、これではIaaSのメリットを活かせません。
初めてのIaaS導入であれば、こうしたノウハウは、実際の運用の中で試行錯誤しながら、目利き力を鍛えることになるでしょう。もし、導入時に不安であれば、以下で紹介するようなコンサルタントの知見に頼るのも一つの方法です。
IaaSコンサルタントに相談する
これらを客観的に判断するのは十分な知識と経験、そして時間が必要となります。初めての場合、これが難しいことも多いのではないでしょうか。そもそも、サービスの仕様を比べるにも、各社で用語が違っていたり、条件が異なっていたりします。かといって、自らベンチマークをつくるのはひどく面倒です。
そのような時にお薦めしたいのが、IaaS選定をアドバイスをするコンサルティングサービスです。すでに客観的なベンチマーク数値を持ち、豊富な経験をベースに選定の協力をする専門の事業者が登場ています。相談者の事業課題を共有し、解決策としてふさわしいIaaSを提案してくれます。
もし、時間的に目利きにはなれないが、IaaSを利用してみたいというのであれば、試してみる価値は大いにあります。また、このようなコンサルタントは選定のみならず構築や運用までトータルに対応するところもありますので、併せて相談してみましょう。
IaaSのサービスを比較してみよう!
IaaSの選定ポイントは確認できたでしょうか。事業者を適当に選んでサポートが終了してしまったら元も子もありません。まず、IaaSを利用する目的をしっかり定めて、事業者を選定するようにしましょう。また、料金体系はサービスによって異なるため、それぞれのサービスを比較する必要があります。
選定ポイントで比較しつつ自社にあうサービスを導入しましょう。一気に比較したい方は、無料で一括資料請求をしてみてください。