ログ管理でできる情報セキュリティ対策とは?
セキュリティ事故が多発している昨今、あらゆるログを管理することで、セキュリティ対策を実施する企業が増えています。どのような対策ができるのか、ご紹介します。
システム障害を防ぐ
システムへのアクセスが急増したり、ネットワークのトラフィック量が増大したりと、さまざまなシステム障害があります。これらにより、サーバやシステムが停止してしまうおそれがあります。
こうしたシステム障害の予兆を、通信ログの監視によって検知することで、事前にサーバを補強するなどして対策できます。
内部犯行の原因を調査、事前に抑止する
セキュリティ事故の一つに、内部犯行が挙げられます。これは、内部の人間が社外へデータを持ち出したり、不正にアクセスさせたりすることで発生します。
ログを管理していれば、インシデントが発生したときに、いつどこで何が発生したのかを追跡できるため、ログをさかのぼって原因を調査できます。また、ログ管理をおこなっていることを社内に周知することで、操作履歴がログに記録されることが抑止力となって、内部からの不正を防ぐことにもつながります。
外部からの不正アクセスを早期検知する
サイバー攻撃や標的型攻撃、ランサムウェアなど、さまざまな種類の外部からの不正アクセス・ウイルスが増えています。警視庁によると、2017年上半期の相談件数が過去最多になっており、件数は2019年まで横ばいです。多様なソフトで対策を重ねておくことが大切です。
ログ管理では、攻撃者の痕跡を追って原因究明に役立てられることはもちろんのこと、事前に検知したり被害を最小化できたりします。外部からの侵入を100%防ぐ方法は存在しないため、少しでもリスクを減らすことが大事でしょう。
標的型攻撃
標的型攻撃は、特定のターゲットを狙って攻撃する手法です。不特定多数を狙ったフィッシング詐欺などとは異なります。攻撃の対象には企業や組織を狙ったもので、金銭の要求や機密情報の取得など多岐に渡ります。攻撃方法は手が込んでいて完全に防ぐことは非常に難しい攻撃になっています。攻撃を受けてからもしばらく気が付かないパターンもあり、巧妙な手段が取られることが多いです。
ログ管理は、あらゆる部分からログを取得するので、比較的標的型攻撃にも気が付きやすくなります。完璧な防御手段ではありませんが、有効度は非常に高い方法となります。
ログ管理の課題
3つの観点でセキュリティ対策ができるログ管理。しかし、一企業の担当者が膨大なログデータを管理して分析し、さまざまなリスクに備えるとなると大変です。
よくある課題として、以下のことが挙げられます。
- ログがうまく生成されない
- 膨大なログの管理が煩雑になる
- ログ自体のセキュリティ管理が必要になる
- ログ分析のトレーニングを受けていない
- 事前に予知するために常に分析し続けないといけない
このような課題はどこの企業にもよくあることで、せっかくログ管理でセキュリティ対策できるとわかったとしても、対応するのが難しいのです。
ログ管理システムでできること/4つの機能
ログ管理で情報セキュリティ対策ができるとはいえ、ログを取得して保管するだけでも大変ということが分かりましたでしょうか。そこで、情報システム担当者が楽にログを管理できる「ログ管理システム」の機能を紹介します。
ログの収集
最近では企業が管理するPCは、何十台〜何百台といった規模にのぼります。それらの膨大な台数のログを自動的に収集し管理することができるものとして、ログ収集機能があります。この機能があれば、担当者があらゆるデータをかき集めてひとつにまとめる労力はかかりません。
また、収集タイミングも1日1回に固定せず、数回に分けて収集することができるため、機器の故障など収集できなくなった期間の短縮も図ることができます。
さらに、収集するだけでなく、過去何年ものログデータとして、保管したり、分析で活用したりすることができます。長年のデータがあれば、インシデントが起きたあとの対策・再発防止策にも活用できます。
分析・レポート
業務を行っていると、個人情報を扱ったり、企業の極秘情報のデータファイルを新規に作成したりと、日々情報が蓄積されます。
ログ管理は、日々増える情報に対して、だれがいつどこからアクセスしたかをレポートすることができます。万が一、情報漏えいが発生しても、このレポートでログを調べることにより、原因究明や拡散防止が即座に行うことができるので、リスク対策としても重宝されています。
また、業務と全く関係ないことでPCを使う社員がいた場合のチェックも可能になります。明らかに業務に関係ない利用が確認できた際には、その社員限定でPCの利用制限をすることもできます。合わせて、全社員に対する利用制限も検討でき、企業全体としてコスト削減が可能になります。
ログの圧縮
企業の過去何年ものデータが蓄積されている場合、そのデータ容量も膨大なものになります。膨大なものになると、分析に時間がかかったり、そもそもデータの保存するストレージ等の記録装置の容量が大きくなりコスト増大になってしまいます。
ログ管理では、このようなことが発生しないように、ログデータを圧縮して容量を少なくさせ、膨大な数量のデータを軽く扱うことができる様にしています。
また、圧縮されるデータファイルの圧縮回数も設定できるため、1日毎1回の圧縮だけでなく、6時間毎、3時間毎など、データの破損リスクの回避に加え、分析処理のスピードアップもできます。
ログの監視・モニタリング
ログ管理では、ログを監視するモニタリングも可能です。例えば、禁止行為にアラートを出したり、管理者に通知したりすることが可能です。さらにセキュリティ強化をする場合は、ログデータの改ざんの発生を検知する機能も用意されている製品があります。
また、アクセスが膨大でログ情報の容量が急激に増えてしまいストレージなどの空き容量が切迫される状況を未然に防いだり、機器の故障が発生しそうかをモニタリングしログの記録・収集ができない状態になってしまうことを防ぐこともできます。
ログ管理システムで情報セキュリティ対策!
ここまで、ログ管理でできるセキュリティ対策、ログ管理の課題、そして、ログ管理システムの機能をご紹介しました。
セキュリティリスクが高まっている中、十分なリスク対策を実施するためには、まずはできることから着手していくことが大切です。自社に足りない対策方法が何なのか、洗い出して、ログ管理でできることはシステムをうまく活用しながら対策してはいかがでしょうか。