PC操作ログとは?
「ログ」とは、航海日誌や記録という意味を持っており、これがITの世界に転じて、システムを構成するさまざまな機器の稼働状況や操作の履歴データを示す言葉として使われています。
「PC操作ログ」とは、「いつ」「誰が」「どのように」PCにアクセスして、「どんな操作を行ったか」を記録したログのことです。具体的には、ファイル操作、ウィンドウ操作、システム操作、印刷操作、アプリケーション操作、インターネット操作などの記録を残すことができます。
PC操作ログを管理することで、不正アクセスがないかどうか、打刻をしたあとPCで仕事を続けていないか、など、さまざまな情報を得て検証することができるようになります。また、PC操作ログを管理されていることを社員が認識すれば、情報セキュリティへの意識が高まるともいわれています。

なぜPC操作ログ管理が必要なのか?
昨今、さまざまなログを取得して、保管・分析することが大切といわれています。なぜPCの操作ログを管理することが必要なのでしょうか。注目されている背景から、探っていきます。
背景①「情報セキュリティリスクの高まり」
最近は、外部からの妨害・不正アクセス、マルウェア感染、標的型攻撃など、セキュリテイにまつわる事故、インシデントが増えています。システムが想定したとおりに機能しなかったり、ネットワーク攻撃によってデータが破損・窃取されたりと、さまざまな被害が出ています。
こうした情報セキュリティリスクの高まりにともなって、PCのログを取得・分析することで、早期発見・早期解決につなげる必要性が出てきているのです。
背景②「働き方改革・テレワークの広がり」
政府が後押しする働き方改革。会社以外の場所で働く、テレワークが注目を浴びています。テレワークや在宅勤務などの制度を導入する企業も増えています。
社外で業務を行うと、情報漏えいの危険性が高まります。具体的には、社用PC端末を紛失したり、無料Wifiから通信を盗聴されたり、とさまざまなリスクが考えられます。そこで、どのようなアクセスがあったのか、把握できるPC操作ログを管理する必要性があります。
また、他の社員に見られていない環境で仕事をすると、成果を出そうと長時間働きすぎてしまったり、打刻をしてから仕事を続けてしまったりと、労務管理上問題になることも考えられます。
背景③「政府による規制への対応」
ログ管理自体が、日本版SOX法(J-SOX)によって義務付けられています。上場企業やそのグループ会社では必ず記録をしなければなりません。
内部統制では、監査を求められるだけではなく、セキュリティポリシーを制定し、その順守が求められます。PCでの操作ログを管理しておくことで、内部統制報告書というレポートをスムーズに作成し、またPCの利用履歴を監視する必要があるのです。
PC操作ログ管理のメリット
さて、PCの操作ログを管理する必要性を説明しましたが、他にも以下のようなメリットがあります。
メリット①「犯人を特定/犯行を予兆できる」
情報漏えいに経営者や情報システム部門は恐々としています。規模によっては企業存続のリスクにもつながりかねません。情報漏えい事件が発生した場合、PC操作ログは犯人の特定が可能です。
PC操作ログ管理システムには、「トレース機能」が用意されています。例えば、機密情報がパソコンにコピーされ、ファイル名を変更され、メールに添付して、社外に持ち出された、あるいはスマートフォンにコピーされた、などという記録をたどることができます。
また、犯人を特定できるとはいえ、事件が起こってからでは手遅れです。そのため、PC操作ログには、犯行の予兆をつかむ機能が搭載されています。内部犯行者は、いきなり成功するとは限りません。何度か試験的に機密情報にアクセスしているものです。
パソコン操作ログは、その端末にアクセス権のない機密情報にアクセスすると、記録に残すと同時にアラートを発します。機密ファイルのダウンロードや名称変更、USBやスマートフォンの接続もキャッチしてアラートを発します。また、不自然な深夜の残業や休日出勤もチェックできるなど、犯行の予兆をキャッチして事件の発生を未然に防止できます。

メリット②「社員のセキュリティ意識が向上する」
情報漏えいの要因の一つにも挙げられるのが、社員が外部に機密データを持ち出して流出してしまう「内部犯行」。一部の企業では、外部からのネットワーク攻撃には厳重に備えていますが、内部犯行は防ぎようがないと諦めていることもあります。
しかし、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)による「組織内部者の不正行為によるインシデント調査」では、「内部不正への気持ちが低下する対策」として、1位が「システムの操作の証拠が残る」、さらに2位も「顧客情報などの重要な情報にアクセスした人が監視される」でした。
つまり、内部犯行の抑止力として、PC操作ログを残すことはとても大きな効果があるのです。
出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「組織内部者の不正行為によるインシデント調査」
http://www.ipa.go.jp/files/000014169.pdf
メリット③「内部統制に役立つ」
ログ管理は、日本版SOX法(J-SOX)で義務づけられており、上場企業やそのグループ企業では必ず記録しなければなりません。
内部統制では、PC操作ログ管理システムで蓄積したログを集計し、レポート作成が可能です。警告検知数の多い端末ランキング、端末の稼働状況、ログの件数、共有フォルダへのアクセス状況、プリンタの使用状況、アプリケーションの使用状況などを一覧にしたり、グラフ化できます。このレポートは内部監査用の資料として提出できます。
また、内部統制で制定するセキュリティポリシーでは、パソコンでのゲームや動画再生アプリケーションの利用を禁止したり、業務に必要のないサイトの閲覧を禁止しています。パソコン操作ログツールはこれらの監視が可能となります。
PC操作ログ管理システムでできること
さまざまなメリットがあるPC操作ログですが、ログを収集・管理・分析できるログ管理システムの機能を紹介します。
ログインなどのPC稼働状況の把握
クライアントPCでどのような操作がされているのか、などを「認証ログ」で把握できます。ログオン・ログオフに加え、スリープモードのオンオフ、ロック状況なども管理します。
ファイルの操作・編集履歴の把握
ファイルの操作ログを取得します。誰が・どのファイルを・いつ操作したのかという基本情報、操作内容、コピー・移動・閲覧・名前変更・削除などの詳細を把握できます。重要ファイルのコピーや削除を検知したり、マイナンバー(個人番号)などの管理対象データを監視下に置くことが可能です。
メールの添付・送信履歴の把握
メールに添付したファイルの情報を取得できます。また、送信した日時や送信先アドレスなども管理できます。
印刷ドキュメントの把握
クライアントPCで印刷された、文書・ドキュメントの情報を取得し、いつどのファイルが何枚印刷されたか、管理します。
社員のセキュリティ意識の向上
パソコン操作ログツールには、アラートを発すると同時に、画面上にメッセージを表示する機能が搭載されています。
ほとんどの企業ではセキュリティ教育を実施していますが、その効果も時間とともに薄れていきます。しかし、機密ファイルをダウンロードしたりコピーした際に、「このファイルのコピーは許可されていません」と画面表示されると、社員はセキュリティの重要性を再認識します。
個人情報の含まれているデータをメール送信しようとすると「個人情報が含まれています。確認をお願いします」と表示されるなど、さまざまな方法でセキュリティ意識向上をサポートします。
【まとめ】リスクに備えてPC操作ログを管理
セキュリティリスクの高まりや、社外で働く社員の環境整備など、あらゆる状況に応じて必要とされるPCの操作ログ。PC上の操作履歴から、さまざまな情報を取得できるPC操作ログ管理システムを活用して、リスクに備えてみてはいかがでしょうか。