商品情報管理システム(PIM)とは
商品情報管理システム(PIM:Product Information Management)とは、企業内に散在する商品に関するあらゆる情報を集約し、一元管理するためのシステムです。
製品のスペックや価格、JANコード、在庫情報といった基本データから、商品画像や説明文、動画、CADデータ、マーケティング資料に至るまで、商品に紐づくすべての情報を「唯一の正しい情報源(Single Source of Truth)」として管理します。
これにより、ECサイトや実店舗、紙のカタログやモバイルアプリ、取引先へのデータ提供など、多様な販売チャネルに対して、正確で一貫性のある商品情報をタイムリーに供給できます。
なぜ今、PIMが必要とされているのか
かつて商品情報は、基幹システム(ERP)や個別のExcelファイルで管理されることが一般的でした。しかし、デジタル化の進展により、企業は以下のような課題に直面しています。
- ●販売チャネルの多角化:自社EC、Amazonや楽天などのモール、実店舗、SNSなど、情報を発信すべき場所が急増した。
- ●情報量の増大:消費者が求める情報が詳細になり、画像や動画など管理すべきデータのリッチ化が進んだ。
- ●更新スピードの加速:市場の変化に合わせて、新商品の投入や価格改定、キャンペーン情報を即座に反映させる必要がある。
従来の手作業やバケツリレー式のアナログな管理では、転記ミスによる誤表示や、媒体ごとの情報の食い違い、画像を探す手間といった非効率が発生し、ビジネススピードを低下させる要因となっています。こうした背景から、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としてPIMを導入する企業が増えています。
商品情報管理システムのメリット
PIMを導入することで、具体的にどのようなビジネス上のメリットが得られるのでしょうか。主な5つのメリットを解説します。
業務効率の大幅な向上とコスト削減
商品情報が一元管理されることで、担当者が情報を探したり、複数のファイルへ転記したりする手間がなくなります。特に、新商品発売時やカタログ制作時に発生していた各部署への問い合わせや、データの突合、修正作業といった「付加価値を生まない作業」を大幅に削減できます。これにより、残業時間の短縮や制作コストの削減につながります。
データ品質とブランドイメージの向上
「ECサイトとカタログでスペックの記載が違う」「古い商品画像が掲載されたままになっている」といった情報の不整合は、顧客の信頼を損ない、返品やクレームの原因となります。PIM導入により、すべてのチャネルに承認済みの最新データが配信されるため、表記ゆれや誤情報掲載の防止が可能です。一貫した正確な情報提供は、ブランドの信頼性を高める基盤となります。
タイム・トゥ・マーケット(Time to Market)の短縮
商品の企画から市場投入までのリードタイムを短縮できることも大きなメリットです。商品情報がシステム上で整備されているため、新商品をリリースする際、ECサイトへの登録や販促物の制作をスムーズに開始できます。トレンドの変化が激しい現代において、競合他社より早く商品を市場に届けることは大きな競争優位性となります。
マルチチャネル・オムニチャネル展開の加速
PIMは、管理しているデータを各チャネルに適した形式で出力・配信する機能を持っています。例えば、自社EC用やAmazon用、卸先用といった異なるフォーマットへの変換作業を自動化できます。これにより、新しい販売チャネルへの参入障壁が下がり、グローバル展開や越境ECへの対応も迅速に行えるようになります。
顧客体験(CX)の向上
顧客は購入前に詳細な商品情報を求めています。PIMを活用することで、スペック情報だけでなく、高解像度の画像や使用イメージ動画、関連商品の提案(クロスセル・アップセル情報)など、リッチなコンテンツの効率的な管理・提供が可能です。充実した商品情報は顧客の購買意欲を高め、コンバージョン率の向上に寄与します。
商品情報管理システムの注意点
多くのメリットがあるPIMですが、導入にはいくつかのハードルも存在します。ここでは、失敗しないために知っておくべき注意点を挙げます。
導入前のデータ整備(クレンジング)が必要
PIMという「箱」を用意しても、そこに入れるデータが汚れていては効果を発揮しません。表記の統一や重複の削除、不足情報の補完など、既存データの整理(データクレンジング)には相応の時間と労力がかかります。導入プロジェクトでは、このデータ整備期間を十分に見込んでおく必要があります。
社内運用ルールの定着
PIMは商品企画や開発、マーケティング、営業、広報など、複数の部門が関わるシステムです。「誰が」「いつ」「どの項目」を入力・承認するのか、運用フローや権限設定を明確にする必要があります。現場の理解が得られないまま導入すると、結局Excel管理に戻ってしまうリスクもあるため、導入推進チームによる丁寧な社内調整が不可欠です。
コストと導入期間
高機能なPIMほど、ライセンス費用や導入コンサルティング費用が高額になる傾向があります。また、要件定義から本稼働まで半年~1年以上かかるケースも珍しくありません。自社の課題に対してオーバースペックにならないよう、費用対効果を見極め、スモールスタートで段階的に導入範囲を広げるアプローチも検討しましょう。
商品情報管理システムの4つのタイプ
一口にPIMといっても、製品によって強みや特徴は異なります。自社の目的に合ったタイプを見極めることが重要です。代表的なタイプとして、以下のように分類できます。
EC・マルチチャネル連携強化タイプ
ECサイトやモール、アプリなど、デジタルチャネルへの配信機能に優れたタイプです。各モールごとのデータ変換機能や、在庫連携、API連携などが充実しており、EC事業の拡大を目指す企業に適しています。
カタログ・販促制作効率化タイプ
Adobe InDesignなどのDTPソフトとの連携機能に優れ、紙のカタログやチラシ制作の自動化・効率化に強みを持つタイプです。商品点数が多く、定期的に分厚いカタログを制作しているメーカーや卸売業に向いています。
マーケティング・顧客体験重視タイプ
スペック管理だけでなく、画像や動画、リッチテキストなど、顧客の感情に訴えるコンテンツ管理に優れたタイプです。ブランディングを重視するアパレルやライフスタイルブランドに適しています。
製造・技術情報管理連携タイプ
商品の仕様書やCAD図面、原材料情報など、製造工程に関わる技術的な詳細データまで深く管理できるタイプです。PLM(製品ライフサイクル管理)に近い機能を持ち、製造業やメーカーでの利用に適しています。
商品情報管理システムの選び方・比較ポイント
数あるPIM製品の中から自社に最適なツールを選ぶために、比較検討すべき5つの重要なポイントを解説します。
対応チャネルと連携性(コネクティビティ)
自社が現在利用している、あるいは将来利用したいシステムとの連携性を確認しましょう。具体的には、以下の点を確認します。
- ●利用中のECカート(Shopify、MakeShop、ecforceなど)との連携プラグインはあるか。
- ●基幹システム(ERP)からのデータ取り込みはスムーズか。
- ●主要なECモール(Amazon、楽天など)への出品データ作成機能はあるか。
APIが公開されており、柔軟に開発できるかどうかも、将来的な拡張性を考えるうえで重要です。
管理できるデータの種類と柔軟性
PIMを選定する際は、まず自社の商品データの特性に合った管理ができるかを確認することが重要です。特に以下の点をチェックしましょう。
- ●テキスト情報だけでなく、画像や動画、取扱説明書などのPDFも一元管理できるか(DAM機能の有無)。
- ●多言語対応や通貨対応が必要な場合、それらをサポートしているか。
- ●商品の親子関係(サイズ違いや色違いなどのSKU管理)や、セット商品の管理が容易か。
- ●管理項目(属性)を自社で自由に追加・変更できるか。
使いやすさ(UI/UX)と入力支援機能
PIMは現場の担当者が日常的に利用するシステムのため、操作性や作業効率に直結する機能の有無が非常に重要です。次のような観点で使いやすさを確認しましょう。
- ●直感的に操作できる画面デザインか。
- ●一括登録・編集機能(Excelインポート/エクスポート)は使いやすいか。
- ●入力ミスを防ぐバリデーション機能(必須チェックや文字数制限など)はあるか。
画像の自動リサイズやフォーマット変換機能があると、EC担当者の作業負担を大幅に軽減できます。
導入・運用コストと提供形態
PIMの導入にあたっては、初期費用や月額費用だけでなく、運用を見据えたトータルコスト(TCO)で比較することが欠かせません。あわせて、提供形態の違いも確認しておきましょう。
- ●クラウド(SaaS)型:初期費用を抑えやすく、常に最新機能を利用できる。スモールスタート向き。
- ●オンプレミス/パッケージ型:カスタマイズ性が高く、大規模な独自運用に向くが、初期投資が大きい。
また、ユーザー数やデータ容量、SKU数によって課金されるモデルが多いため、自社の規模感に合った費用感かどうかを事前に試算することが大切です。
サポート体制とベンダーの実績
PIMは導入後の運用・改善を通じて価値を高めていくシステムです。そのため、サポート体制やベンダーの実績も重要な選定ポイントとなります。
- ●導入時のデータ設計や要件定義をサポートしてくれるか(コンサルティングサービスの有無)。
- ●運用開始後のトラブル対応や、活用定着の支援(カスタマーサクセス)はあるか。
- ●同業他社や同規模の企業での導入実績があるか。
特に海外製品の場合は、日本語でのサポート体制や国内商習慣への対応状況、代理店の有無も含めて、事前に確認しておく必要があります。
おすすめの商品情報管理システム比較
ここからは、主要な商品情報管理システムを厳選して紹介します。それぞれの機能特性や強み、得意な活用シーンを比較しながら、自社の商品情報管理の課題解決に最適なPIMを見つけてください。
monolyst(モノリスト)
- AIがカタログを自動解析、転記作業ゼロで商品マスターを作成!
- 商品の仕様/画像/価格を一元管理し、ECテンプレーとで出力
- 商品の仕様/画像/価格を一元管理し、ECやカタログ用に出力
monolyst株式会社が提供する「monolyst(モノリスト)」は、AIを活用して紙カタログやPDF、Excelなどに分散した商品情報を解析・統合し、商品マスタを効率的に生成・管理できるPIMです。手作業による転記やデータ整備の工数を大幅に削減できるため、商品点数が多く、アナログな情報管理からの脱却を目指す製造業や卸売業に適しています。
CIERTO PIM
株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが提供する「CIERTO PIM」は、デジタルアセット管理(DAM)と統合されたPIMシステムです。商品情報と画像・動画データを紐づけて一元管理できるため、販促物の制作効率化に強みを持ちます。ビジュアル重視のブランディングを行う企業におすすめです。
HANABI Data
株式会社エルテックスが提供する「HANABI Data」は、AIを搭載したクラウド型の商品情報管理システムです。ECサイトや小売店向けに特化しており、商品マスタの作成支援や、各モールのフォーマットに合わせたデータ変換を効率化します。直感的なUIで、専門知識がなくても使いやすいのが特徴です。
Centric PXM(旧Contentserv)
Centric Softwareが提供する「Centric PXM(旧Contentserv)」は、PIMを中核に、DAMや商品体験管理(PXM)までを統合的に提供する高機能プラットフォームです。多言語・多通貨対応やグローバル運用に強く、複数拠点・複数チャネルで商品情報を一元管理したい大企業やグローバル展開企業に適しています。
PlaPi
株式会社JSOLが提供する「PlaPi」は、月額定額制で手軽に導入できるクラウド型PIMサービスです。スモールスタートが可能で、特別なITスキルがなくてもドラッグ&ドロップで簡単に商品データベースを構築できます。API連携や公開サイト作成機能も備え、コストを抑えて情報共有を実現したい企業に最適です。
Akeneo PIM
Akeneoが提供する「Akeneo PIM」は、オープンソースをベースとした柔軟性の高いPIMソリューションです。世界中で広く利用されており、豊富なコネクタ(連携プラグイン)により、MagentoやShopifyなどのECプラットフォームとシームレスに連携します。カスタマイズ性を重視する企業や開発力のある企業に適しています。
まとめ
商品情報管理システム(PIM)はデータ管理ツールにとどまらず、企業のDXを推進し、売上拡大と業務効率化を同時に実現するための戦略的な基盤です。ECの強化やカタログ制作の負荷軽減、グローバル展開など、自社が解決したい課題に合わせて最適な製品を選ぶことが成功の鍵となります。
まずは自社の現状課題を整理し、必要な機能や予算感を明確にしたうえで、製品の資料請求や無料トライアルを行ってみることをおすすめします。適切なPIMの導入により、商品情報を「資産」として最大限に活用し、ビジネスの成長を加速させましょう。


