【図解】MES（製造実行システム）とは？機能やメリット、主要製品を徹底解説！

MES（製造実行システム）とは

MES（製造実行システム）とは、生産ラインの各製造工程と連携して在庫状況や工程進捗などをリアルタイムに把握し、生産計画にもとづいた作業スケジュールの設計や、管理者への指示出しを行うシステムです。

製造業で生産性向上を図るためには、「人・モノ・時間」といった限られた生産資源を無駄なく活用する必要があります。これを実現するためには、生産ラインの各製造工程に着目した現場視点での管理が必要であり、その中心的な役割を担うのがMES（製造実行システム）です。つまり、MESは限られた生産資源を最大限活用し、生産性向上を実現するためのシステムといえるでしょう。

MESの業務範囲

MESは、製造業における生産管理フローのうち、製造（実行）工程に特化したシステムです。そのため、広義には生産管理システムの一部といえます。

生産管理システムとは、納期や生産数量といった生産に関わる情報を管理し、蓄積したデータから生産計画を立案するシステムです。生産計画・工程管理・品質管理・原価管理などの製造プロセスに関わる範囲から、受注管理・在庫管理・購買管理など製造の前後のプロセスにまでおよびます。つまり、生産管理システムの工程管理を担うものが「MES」と認識するとよいでしょう。

MESの11機能

MESは製造する製品によって必要な機能が異なるため、標準パッケージが存在しません。企業や工場ごとに必要なデータや活用方法を定義したうえで、システムを構築します。アメリカのMES推進団体であるMESAが定義した11の機能は、以下のとおりです。

●生産資源の配分と監視

生産資源を管理する機能。対象は生産装置・工具・技能・資材・その他設備や文書など。資源の予約や割り振り機能が用意されている製品もある。

●仕様・文書管理

作業に必要となるドキュメントを管理する機能。作業指示書・レシピ（配合表）・図面・作業手順書・設計変更などの蓄積や編集を行う。

●設備の保守・保全管理

装置や工具の可用性を確保し、定期保全・予防保全のスケジュールを確定する機能。

●製品品質管理

収集された測定データをリアルタイムで分析し、適正な品質管理を実施する機能。

●作業のスケジューリング

生産計画にもとづいて、詳細なスケジュールを立案する機能。勤務シフトにも対応可能。

●作業手配・製造指示

生産投入を管理する機能。ジョブ・受注オーダ・バッチ・ロットなどの形で作業を開始する。工程内仕掛量の調整機能を提供する製品もある。

●作業者管理

作業者状況を監視する機能。最適な作業割り当ての決定も可能。

●データ収集

各工程内の進捗状況をリアルタイムに収集する機能。自動収集はもちろん、スマートデバイスによる手動収集にも対応可能。

●プロセス管理

生産状況を監視し、作業者の意思決定を支援する機能。

●製品の追跡と製品体系管理

仕掛品の場所と次の作業を把握する機能。

●実績分析

過去の履歴や計画と比較しながら、生産の最新状況を報告する機能。

参考：History of the MESA Models - Manufacturing Enterprise Solutions Association｜MESA International

MESの必要性

経済のグローバル化が進み、モノづくりにおいて優位に立っていた日本も、質の高さだけでは対応できなくなりました。製造業は大量生産から少量多種生産の時代に移り変わり、従来の見込み生産ではなく、適切な生産・在庫計画が求められます。

また、熟練技術者の経験や知識に依存した生産計画を立てる企業も多く、人材不足による属人化の解消を課題とする企業が増加傾向にあるでしょう。そのため、多様な働き方への順応や人手不足の解消、他国との競争力強化には、システム導入による企業や工場のDX化が欠かせないといえます。

MESを導入すると、製造プロセスが可視化され、特定社員の属人的なスキルに依存することなく生産資源配分や人員配置などの細かな管理が可能になるため、国内で導入が広がっています。

MESとERPの違い

製造業では、「MES」のほかに「ERP（企業資源計画）」といった管理手法も利用されています。では、MESとERPとの違いはどこにあるのでしょうか。

MESとERPの違いは、システムの役割や対応する業務です。ERPは生産管理フローにおいて、計画層の効率化を担います。対して、MESは製造（実行）層を支援します。

システムの役割や対応する業務に違いがあるものの、どちらも限られた資源を最大限活用することが目的であるため、互いに連携することで生産と経営のさらなる効率化が実現するでしょう。なお、生産管理システムにはERPやMES機能と連携できる製品も多くあります。以下のボタンより資料請求をして具体的な製品の比較をしてみましょう。

MESの導入メリット

MESを導入すると、以下のようなメリットが得られます。

• ●業務効率化でコスト削減
• ●部門間の連携
• ●属人化の解消
• ●品質向上・不良品の発生防止

業務効率化でコスト削減

MESでは、作業進捗や在庫数のリアルタイムデータの収集が可能です。リアルタイム把握により、非効率な工程や問題を可視化し、生産工程におけるロスを削減します。このようにMESを導入すると、アナログ管理では見えにくい「ムリ・ムダ・ムラ」が発見でき、コスト削減につながります。

部門間の連携

MESの導入により、リアルタイムでの情報共有が可能なため、製造・品質管理・在庫管理・出荷といった異なる部門間の連携が容易になります。部門間での連携がスムーズになると、生産スケジュールの最適化や生産効率の向上、コスト削減などの効果も期待できます。

また、事務所や本社、各拠点の工場といった離れた拠点間での連携も可能になるため、生産計画の変更やトラブルが発生した場合も迅速な対応が可能です。

属人化の解消

製造業において、経験や知識の多い技術者へ依存し、業務の属人化を課題とする企業が多くあります。MESでは、技術のノウハウをデータ化し全社で共有できます。また、各製造工程の生産実績を記録し、実績をもとにした作業手順や注意点などをマニュアル化できれば、業務の標準化と技能の伝承、新人教育などが効率よく行えるでしょう。

品質向上・不良品の発生防止

従来は不良品が発生した際に、どの工程が原因か探すのに時間を要していました。MESでは、製造データの自動収集・分析機能により、不良品が発生した原因を早期に特定できます。また、分析データにもとづき、適切な改善方法がただちに打ち出せるため、品質向上にもつながるでしょう。

以下のページでは、おすすめの生産管理システムを比較しています。自社にあう製品選びの参考にしてください。

人気のMES製品を紹介

MESは、生産管理システムの一部機能として組み込まれているのが一般的です。ここでは、MES機能を搭載した生産管理システムを紹介します。

ITトレンド上半期ランキング2023（生産管理システム）でも上位にランクインしている人気製品を紹介しているため、傾向の把握や比較検討にもお役立てください。

WorkGearシリーズ

モリックス株式会社

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《WorkGearシリーズ》のPOINT

1. 業界最安値の限界に挑戦。生産管理システムがこの価格で。
2. DX化でペーパーレス・現場の見える化を促進
3. ユーザー納得の口コミ。GoodProduct賞受賞

UM SaaS Cloud

株式会社シナプスイノベーション

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《UM SaaS Cloud》のPOINT

1. 多様な生産形態（加工・組立・プロセス生産）に対応
2. スマホ・タブレット・IoTデバイスと連携し多様な入力方法を実現
3. 強固なセキュリティ基盤上に必要な機能の段階導入が可能

i-PROWシリーズ

株式会社DigitWorks

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《i-PROWシリーズ》のPOINT

1. 作業進捗の「見える化」により工場経営をサポート
2. リアルタイムな照会でコスト削減に貢献
3. 見積り・受注から出荷までの工場業務全般をバックアップ

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MESを理解して製造現場の業務改善を進めよう

MESを利用すると、限られた生産資源を最大限活用できるようになり、生産性向上が実現します。MES機能をもつ生産管理システムの導入を検討し、業務全体の効率化や生産性の向上を目指しましょう。

以下のボタンより生産管理システムの一括資料請求が可能です。資料請求した製品を効率よく検討できる比較表も作成できるので、ぜひ活用してください。

中小企業診断士

香川 大輔さんのコメント