生産計画とは
生産計画とは、製品の生産量・生産時期に関する計画を指します。計画には、生産に要する原材料・部品も含まれます。また生産工程だけでなく、製造から出荷に至るまでの日程が対象です。これらの生産計画をもとに、資金計画や人事計画などを立てるのが一般的です。
また生産計画はその方法により、2つの種類にわけられます。
- 【押し出し方式】
- 生産計画を基に作業計画を立て生産する「押し込み生産」のための生産計画法。事前に立てた計画どおりに作業することを前提としている。計画どおりに進めやすい反面、変化に弱く、余剰在庫が出やすい。
- 【引っ張り方式】
- 後工程から前工程へ物を引くように製品を製造する「引き取り生産」のための生産計画法。製品を製造する量やペースは、最終的な後工程である顧客が決めることになるため、過剰在庫が出にくい。
生産計画の立て方
生産計画は大日程計画・中日程計画・小日程計画に分けて立てられます。それぞれの立て方を詳しく見ていきましょう。
1.大日程計画の作成
企業の方針や生産方式などによって具体的な期間は異なりますが、一般的には3か月~1年間における計画を指します。過去の実績などを基に受注量や納品量を予測し、それにもとづいて以下のような計画を立てます。
- ■予測した生産量を達成するための設備投資計画(生産能力計画)
- ■新製品の開発や現製品の改良計画
- ■長期の人員計画
2.中日程計画の作成
中日程計画は1~3か月を対象とした計画です。毎週~毎月のペースで見なおすのが一般的です。実際に受注した内容を基に、製品を製造する量やペースを計画します。また、計画した製品製造量を達成するために以下の計画も立てます。
- ■生産能力計画
- ■人員計画(シフトなど)
- ■月別の生産計画
- ■原材料・部品の調達計画
3.小日程計画の作成
小日程計画は1週~1か月間を対象とした計画です。毎日~毎週のペースで見直します。各部門で具体的にどのような作業をするのか決定し、いつまでにそれを完了するのかを決めます。
小日程計画は大日程計画・中日程計画と異なり、これを基に実際の作業を行わなければなりません。そのため、前述した計画よりも細かく複雑な設計が求められます。具体的には、以下の点に考慮して作業計画を立てます。
- ■生産能力(設備・人員)
- ■生産性
- ■治工具
- ■生産ライン
- ■ロット分割・結合
- ■ロット番号
- ■製造条件
これらをすべて考慮して最適な計画を立てるには、高度な知識や経験が必要です。
生産計画の作成における課題
生産計画を立てるのは、簡単ではありません。企業で課題となりうる、代表的な例は次のとおりです。
- ■市場の動向を計画にどう取り入れるか
- ■納期の変更などに柔軟に対処できるか
- ■販売計画を反映できるか
- ■在庫計画とうまく連携できるか
- ■生産の負荷をどう調節するか
- ■人員計画や原価計画との関係はうまくいくか
- ■資材調達はどうするのか
- ■品質に問題が生じた際の対処はどうするのか
上記のように、生産計画は考慮する点が多く、場合によっては過去の実績などのデータも参考にする必要があります。状況に則した生産計画を立てるには、常に正確なデータにアクセスできる環境が欠かせないでしょう。
生産計画を最適化するポイント
状況に則した正確な生産計画を立てるにはどうすればよいのでしょうか。
生産計画に用いるツールの見直し
最適な生産計画の立案・進行には、ツールの活用が欠かせません。生産計画に使われるツールには以下があげられます。
- 【PERT図】
- 各工程の全体的な把握が可能。図式化されているため、ボトルネックとなっている部分を見つけやすい。
- 【ガントチャート】
- 作業進捗を棒グラフ状で視覚化。各工程と日数の管理がしやすい。
- 【生産管理システム】
- 生産スケジューラや資材所要量計画(MRP)が搭載された製品などがある。生産計画とあわせて生産管理全体の効率化が可能。
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4Mの適切な管理
4Mとは「Man・Machine・Method・Material」のことで、製品生産に必要なリソース「人・設備・手順・原材料」を指します。これらが「いつ」「どのくらい」必要になるかを明確化・準備しましょう。それぞれの詳細は以下のとおりです。
- 【人】
- ラインを回すために必要な人員の数や求められる技術、工数などを計画します。その計画を基に、シフトの作成や新しい人材の採用を進めます。
- 【設備】
- 求められる設備や必要なタイミング・ライン、システム構成、数量、稼働時間などを準備します。不足があれば発注し、過剰な場合は新たな営業につなげます。
- 【手順】
- 加工・組立・運搬などの作業方法や順番、機械設備の操作方法などを決めます。この計画のいかんにより作業能率が大きく左右されます。
- 【原材料】
- 製品の生産に必要な原材料や部品の種類・数量・規格・使用するタイミングなどを明らかにし、準備します。
ローリングプランの実施
ローリングプランとは、中長期的な計画を周期的に見直して部分的に修正することです。あるいは、修正された計画そのものをローリングプランと呼ぶ場合もあります。
昨今のビジネス環境は変化が激しいため、長期的なスパンで計画を立てると、実態と計画の間に大きな乖離が生じるかもしれません。そこで、ローリングプランを実施し、計画のずれを防ぐとよいでしょう。
生産計画においては、例えば3か月~1年間を対象とした大日程計画であれば、毎月あるいは2か月おき程度に見なおすのがよいでしょう。大日程計画が修正されると、その内容は中日程計画や小日程計画にも反映されます。
この作業を周期的に繰り返すことで、計画初期から実行までの間に計画の精度を高められます。
バッファの設定
バッファとは、ビジネスにおいて「余裕」を指します。製造設備の不具合や、需要の急激な変動、人員の急な欠員など、想定外の事態に備えてバッファを設定しましょう。なお、現場のリソースに応じて設定すべきバッファは異なりますが、具体例として次の項目があげられます。
- 【在庫】
- 想定外の事態による在庫の不足に備え、どこにどのくらいの在庫を配置するかを計画する。
- 【時間】
- リードタイムのばらつきを考慮し、余裕を持って期間を設定する。
- 【能力】
- 計画外の設備稼働やアイドリングを踏まえて施設・人的リソースのバッファを決める。
なお、バッファは短すぎても長すぎてもいけません。短ければ不足し、長ければ優先順位の乱れが生じるためです。実際の状況を踏まえて適切な長さを設定しましょう。
生産管理システムを選ぶ際に確認するポイント
システムの導入形態
生産管理システムは、オンプレミス型やパッケージ型、クラウド型の3種類にわけられます。
- オンプレミス型
- 自社サーバーの構築により自由度の高い導入が実現する方式
- パッケージ型
- メーカーが販売するソフトウェアを購入、各デバイスにインストールして利用する方式
- クラウド型
- ネットワークを経由して利用するサービス、導入側は運用管理が発生しない
それぞれ特徴が異なるため、自社にあった形態を導入するようにしましょう。
操作性とサポート体制
導入するシステムが操作しやすいものであることも非常に重要な要素です。操作性が悪いと、社内で普及させることは厳しいでしょう。またトラブルが発生した際に、継続したアフターフォロー体制が整っているシステムを選ぶことが重要です。
自社にとって必要な機能
業種により、生産方法や生産方式が異なります。例えば、オーダーメイドの一点ものなどの生産方式と、アパレルメーカーにおける多品種少量生産では、必要とされるシステムは異なるでしょう。
生産管理システムの人気製品を紹介
ここでは、生産計画に役立つ機能のある生産管理システムを紹介します。多くの定番製品のうち、IT製品取扱数・カテゴリ数業界一のITトレンド編集部における資料請求ランキング上位製品を紹介します。おすすめ製品を一斉に比較したい場合はこちらの記事を参照ください。
《TPiCS-X》のPOINT
- 国内外で2023社以上の実績(英語・中国語・ベトナム語の対応)
- 一品生産(製番管理)や繰り返し生産(MRP)の機能が充実
- 短納期の対応や、在庫削減を目的とされる企業にお勧めします
株式会社 ティーピクス研究所提供の「TPiCS-X」は、独自のMRPロジックをもち、製番管理オプションとのハイブリッド利用にも対応します。所要量計算や製番によって生産計画を立て、それをもとに部門別ガントチャートを表示できます。
対象従業員規模 |
すべての規模に対応 |
提供形態 |
オンプレミス / パッケージソフト / クラウド |
参考価格 |
1,200,000円~ |
無料トライアル |
◯ |
対応機能 |
製造全般/組立・加工/プロセス製造/生産計画/需要予測/資材管理 |
業種 |
その他 |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
TPiCS-Xのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
自動で計画を立ててくれるので、過剰在庫などの心配がなくなりました。また、生産管理としても全部署が一つのソフトで行うので、発注から出荷までスムーズになります。
|
業種 |
機械、重電 |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
TPiCS-Xの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
データを登録して、注文書を発行してしまうと、何らかの修正が発生した場合、複数の画面で処理しないと修正ができない。
|
《WorkGearシリーズ》のPOINT
- 評判・口コミが証明した!!! ユーザー納得の満足度。
- IT導入補助金対象の中小製造業様向け生産管理システム。
- サポートエリアは大阪から青森まで。積極的に現場にコミット。
「WorkGearシリーズ」は、モリックス株式会社が提供する小規模製造業向けシステムです。シリーズ製品のひとつである、MRP在庫生産管理システム「WorkGear-MRP」では、日次~月次生産計画に対応しています。
対象従業員規模 |
10名以上100名未満 |
提供形態 |
パッケージソフト / オンプレミス |
参考価格 |
2,000,000円~/3ライセンス |
無料トライアル |
ー |
対応機能 |
製造全般/組立・加工/プロセス製造/生産計画/資材管理 |
WorkGearシリーズのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
|
基本的なプログラムがありますが、ユーザーに応じて臨機応変に変更してもらえ、その対応が早い。
リモート接続にて、すぐに確認してもらえる。
|
WorkGearシリーズの改善してほしい点 |
★ ☆ ☆ ☆ ☆ 1
|
リピート案件を行うことに対しては、とても使いやすい。
商品情報登録(マスタ登録)が最初はとてもめんどくさいが、一度してしまえばその後はスムーズである。
ただし、毎回1点ものの売り上げや1点物の仕入れをするときはマスタ登録が煩わしく時間を割く原因になっている。
そのため、マスタ登録をしないでエクセル対応なども発生していた。
その他雑経費売り上げなどの項目でマスタ登録ができればよかった。
また、経理上合わない項目は手入力で修正していなって、結局はよくわからない仕入れ品がそのままデータに蓄積されていく。
社内で定期的に見項目の処理が残っているとき調査管理する人は必要かもしれない。
|
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《i-PROWシリーズ》のPOINT
- 作業進捗の「見える化」により工場経営をサポート
- リアルタイムな照会でコスト削減に貢献
- 見積り・受注から出荷までの工場業務全般をバックアップ
株式会社DigitWorksが提供している「i-PROWシリーズ」は、クライアントライセンスフリーの生産管理システムです。見積もり・受注・生産計画・進捗管理・在庫管理・債権債務管理までを一元管理できます。部品加工・組立や個別受注、多品種少量生産に対応します。
対象従業員規模 |
10名以上100名未満 |
提供形態 |
パッケージソフト / オンプレミス / その他 |
参考価格 |
2,500,000円~ |
無料トライアル |
ー |
対応機能 |
製造全般/組立・加工/生産計画/資材管理 |
業種 |
その他製造 |
従業員規模 |
10名以上 50名未満 |
i-PROWシリーズのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
顧客の登録状況やデータが見易く、使いやすい。受発注もスムーズに行え、業務の時間短縮に役立っている。
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業種 |
その他製造 |
従業員規模 |
50名以上 100名未満 |
i-PROWシリーズの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
|
バグが多い。システム内の用語が適切でなく統一されてない。マニュアルが読みづらい。
データベースが貧弱で更新処理で待ちになってしまう。
カスタマイズ時の仕様確認や、リリース前のレビューにもう少し時間をかけていただきたい。
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
より多くの製品から比較したい場合は最新ランキングも参考にしてください。
生産計画を最適化させ、需要変化へ柔軟に対応しよう!
生産計画は、その立て方が難しいともいわれますが、最適化に成功すれば業務効率化や生産性向上が期待できます。属人化のリスクを防ぐためにも、ツールを活用し、業務の標準化を実現しましょう。
以下の記事では、定番の生産管理システムについて、価格・特徴・機能などを比較できます。ぜひ参考にしてください。
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