食品の生産管理は最重要
「日本は食が安全な国である」と言われています。確かに、食品には3分の1ルールがあったり、法整備の充実や監督基準所が整備され、他国に比べれば比較的安全かもしれません。しかし、だからといって日本で食品安全に関する事件が起きていないわけではありません。
大手ファストフード店の異物混入事件
世界展開する大手ファストフードチェーンでも近年異物混入事件が発生しました。このファストフードチェーンでは、代金の返金で対応しましたが、商品を購入した被害者がインターネット上で被害を告白・拡散したことで大炎上してしまいました。
こうした問題が起きると、顧客に実害が生じるだけでなく、企業としての社会的信用を落としかねません。
大手飲料品メーカーの容器破損事件
全国展開する大手飲料品メーカーのペットボトル容器が破損していた、という事件が先日発生しました。同メーカーは容器の密閉性に問題があり、飲んだ顧客に健康被害が発生する可能性があるとして、製品数百本を自主回収しました。
幸い早急な対応で顧客に被害者が出ることはありませんでしたが、もし自社の製品が原因で顧客がけがをしたり、健康被害が生じた際会社が被る被害は甚大です。
大手スーパーのガラス片混入事件
大手スーパーマーケットでも、総菜にガラス片が混入していた事件が起きています。
このケースは、商品を箱詰めする前段階で惣菜を入れたていたガラスボウルが破損していたことが原因でした。顧客からの問い合わせで発覚したこの事件は、その日販売した同じ種類のものをすべて自主回収する、という対応を迫られました。
炎上して大々的に報道される事件以外でも、こうした事件は日々起こっています。食品の生産管理の重要性は今日も非常に高いことがわかります。
食品生産管理の仕事内容
製品の生産計画を行うところから、出荷までを管理することが生産管理の仕事内容です。その工程には、在庫管理や販売管理、品質管理などの業務があります。特に食品製造業の場合は「期限」が重要になってくるため、品質管理や在庫管理を正確に行わなければなりません。
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食の安全を守り抜く生産管理システムとは?
「食品の安心」を維持するのは経営姿勢であり、食品工場の現場のモラルにほかなりません。そして、それを支援するための生産管理システムが必要となります。人間の行動はミスを避けることができないからです。また、詳細な法規制への対応も、生産管理システムなしには困難です。
生産管理システムとは?
そもそも、生産管理システムとは、生産工程におけるさまざまな情報(製品の原価や出荷情報など)一元で管理するシステムのことを指します。納期や在庫、製造工程などの各工程に必要なコストなど、生産における重要な情報をすべて管理します。
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「プロセス製造型」のシステムを導入しよう
すべてのオペレーションを生産管理システムでサポートできる訳ではありません。生産管理システムには極めて多くの種類があり、大きく「組み立て加工型」と「プロセス製造型」に分かれます。食品は後者のプロセス製造型に分類されます。
さらに、プロセス製造型でも多くの種類があり、食品に関しては「食品」専用をうたっている製品もありますし、テンプレートで即戦力として各分野の食品に対応している製品もあります。導入の際には、デモンストレーションを受けたり、SI事業者の実績などを比較しながら製品選びをすることになります。
食品製造業で必要な生産管理システムの機能
ここでは、食品業界には必須とされている主な機能を紹介しておきます。必要な機能を把握していれば、生産管理システムの製品選びを効率的に行うことができます。
■賞味期限
味を損なわずに食べられる期限をあらわすのが「賞味期限」です。賞味期限の古い在庫を残してしまうと、品質低下に直結し、利益を圧迫します。賞味期限の古い順から使う、賞味期限の古いまたは過ぎた材料を一覧する機能があるか確認しましょう。
■消費期限
賞味期限と混同されやすいのですが、消費期限は食品を安全に食べられる期限をあらわします。また、賞味期限は日数が比較的長いのに対し、消費期限は数日です。このため、消費期限には特に気を付けなければなりません。
■保管時の温度帯
多くの食品では保管時の温度帯が定められています。冷凍、冷蔵、常温など定められた温度帯によって管理しなければなりません。
■トレーサビリティ
原材料の入荷から製造、製品出荷までを確実に把握する機能です。自動的に工程を記録しておき、必要に応じて参照できなければなりません。
■在庫管理
製品、中間品、原材料などの在庫を、ロットごと、賞味期限ごとに管理できると便利です。
このほかに原価管理、レシピ管理、委託販売機能、特売単価・新旧単価、QRコードなどの機能を搭載している製品もあります。
■品質管理
製品の品質が定められた水準を保って生産されているか管理する機能です。品質計画と実績を統合して、自社の品質を見える化することができます。
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食品生産管理システムの製品を比較しよう!
食品製造業は食品を扱うため、特に生産工程には気をつけなければなりません。その管理をしっかり行うためにも食品生産管理システムについてご紹介しました。気になる方は実際の製品をご覧になって、自社とマッチする製品を探してみてはいかがでしょうか。
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食に特化した生産管理システムの導入しよう
消費期限や保管時の温度帯、トレーサビリティなど、一般の製造業とは異なる特徴をもった食品業界。システムを導入すれば業務を効率化するだけでなく、品質の向上にも繋がります。「食の安全」を確保するためにも、食品に特化した生産管理システムの導入をご検討ください。