生産管理をエクセルで行うメリット
エクセルで生産管理を行うメリットとして、次のものがあげられます。
- 【学習負担が低い】
- エクセルは多くのビジネスパーソンが使用しているツールであるため、そのまま利用して生産管理を行えば学習負担が低く済みます。関数についてはある程度学習が必要かもしれませんが、まったく新しいツールを導入するよりは心理的なハードルが低いでしょう。
- 【ローコスト】
- エクセルを含むMicrosoft Office製品は、すでに導入している企業が多いはずです。新たに導入する場合も安価であるため、大掛かりなシステムを用意するより安く済みます。
- 【連携が容易】
- エクセルはさまざまなツールと連携できます。ほかのツールからデータを取り込んだり、出力したエクセルファイルをほかのツールで使えたりします。
エクセルは、すでに導入している企業が多いため、すぐに始めることが可能です。
生産管理をエクセルで行うデメリット
エクセルによる生産管理にあるのは、メリットばかりではありません。そこで、次はデメリットを２つ紹介します。
業務効率の低下
エクセルで生産管理を行っていると、その仕様上業務効率の低下を招く可能性があります。代表的な例は以下のとおりです。
- 同時編集ができない
- エクセルファイルは誰かが操作していると、別の人が操作できません。データの確認・編集作業は順番に進める必要があります。誰かがファイルを開きっぱなしのまま忘れると多くの人が困るでしょう。
- 履歴を管理できない
- 誰がいつどのようにファイルを更新したのか、履歴を確認できません。そのため、どのファイルが最新なのか分からなくなります。
- リアルタイム性がない
- ファイルを編集しても、それをリアルタイムに従業員が共有するのは困難です。そのため、データの整合性を確保できず問題が生じる可能性があります。
- 処理速度が低下する
- エクセルファイルはデータ量が増えると処理速度が低下します。特に関数を多用すると速度の低下を招くことがあります。
同時編集ができずに、データ量が増えると処理速度が落ちるため、業務効率が低下します。また、データの整合性がとりづらく、情報管理のしずらさもも課題の1つです。
機能停止のリスク
エクセルファイルは急に使えなくなるリスクもあります。その原因の例を３つ紹介します。
- プログラムが属人化しやすい
- エクセルではVBAマクロでプログラムを作成でき、業務効率化が可能です。しかし、プログラムの設計は設計者しか理解していないケースも多くみられます。そのため、設計者が異動や退職でいなくなるとメンテナンスができないなどの不都合が生じます。
- プログラムを作りやすい
- プログラムを簡単に作成できるのはメリットである反面、大勢の人が手を加えると収拾がつかなくなりがちです。
- バージョンの互換性による問題
- エクセルは定期的に新しいバージョンがリリースされています。バージョンアップによって、古いファイルを使えなくなるリスクがあります。
リアルタイムに更新ができないこと、共有が難しいこと、バックアップが難しいことなど、コストがかからない分手間が増えたりミスやエラーへの対応など工数が増えるリスクがあります。この点を解決できるのが生産管理システムです。
メリット、デメリットを把握してシステムの導入もあわせて検討してみましょう。以下のボタンより具体的な製品を比較することも可能です。
生産管理をエクセルで行う方法
生産管理をエクセルで行うための代表的な方法を２つ紹介します。
ガントチャートを作成して進捗を管理
ガントチャートとは、進捗状況を一目で把握できるようにした図のことです。業務の工程を細分化したものが縦軸、期間を横軸にとり、棒グラフで進捗状況を可視化します。
工場などでの生産管理にはもちろん、それ以外にもプロジェクトの進捗状況を管理するのに使われるグラフです。このガントチャートをエクセルの描画機能で作成すれば、エクセルによる生産管理が可能です。あるいは、無料配布されているテンプレートもあるため、それを利用してもよいでしょう。
関数を使って入力を自動化
エクセルで作った生産管理表（工程管理表）を用いる企業も多く、関数を入力すれば入力や計算作業の自動化が可能です。例えば、データの集計や抽出には以下のような関数が使われます。
- SUM関数
- 週別、月別などでデータを合算する
- AVERAGE関数
- 平均値を算出する
- WORKDAY関数
- 集計データを日単位で算出する
- SUMIF(S)関数・COUNTIF関数
- 製品や顧客ごとに集計する
- VLOOKUP関数・IF関数
- 必要なデータを抽出する
また、表の作成に有用な関数の一例は以下のとおりです。
- MAX関数
- 指定範囲内における最大値を表示する関数。直近の工程完了日などを示すのに使用する。
- OFFSET関数
- 指定した位置にあるセルの内容を表示する関数。特定の工程の進捗などを抽出するのに使用する。
- COUNTA関数
- 指定範囲内で、空白ではないセルの数を表示する関数。タスク数などを示すのに使用する。
エクセルで生産管理する際のポイント
生産管理にエクセルを用いる場合、情報共有や同時編集のしづらさが課題です。そこで、運用のコツを以下にまとめました。
- ●表記方法やデータ入力の時間、担当者などの運用ルールを定める
- ●定期的にバックアップをとっておく
- ●Googleスプレッドシートなど、クラウドサービスを活用する
- ●関係者がアクセスしやすい場での情報共有を徹底する
- ●生産管理システムとの併用を検討する
エクセルの課題を解決するシステムとは
エクセルのデメリットをカバーする方法として、システムの導入があげられます。具体的には、生産管理システムや生産スケジューラ、ERPなどです。
生産計画・工程管理・品質管理など、生産管理に必要な機能は最初から備わっているため、エクセルのように関数を駆使して機能を作り上げる必要はありません。したがって、プログラムの属人化や処理速度の低下といった問題は生じません。また、エクセルでは不可能だった履歴管理や複数人による同時編集、リアルタイムな情報共有なども実現します。生産管理システムを使えば生産管理に関わる多くの業務を効率化できるでしょう。
以下の記事では、生産管理システムのおすすめ製品について、価格や特徴を比較できます。ぜひ参考にしてください。
生産管理をエクセルや専用システムで行い、業務効率を向上！
生産管理はエクセルでの管理も可能ですが、業務効率にかかわる課題点が多いのも事実です。運用のポイントをおさえ、情報共有や複数名での管理がしやすい環境づくりを心がけましょう。
また生産管理システムやERPなどを導入すれば、業務効率化や属人化の解消も可能です。大量のデータを処理が必要であったりデータ共有に課題を感じていたりする方は、エクセルのメリットデメリットを把握したうえで生産管理システムの製品比較もしてみましょう。
テンプレートがあり手軽にはじめられるので、生産管理にエクセルを利用している企業も多いのではないでしょうか。データ集計に関数を用いれば、入力作業を自動化でき利便性は高まります。とはいえ事業が拡大していくと管理するデータ項目が増え、管理業務は複雑になります。エクセルで管理業務の効率を高めていくにも限界があるので、状況に応じて専用の管理システムの導入を検討ください。さらなるIT化を進めることで、生産管理の精度と生産性を高められるでしょう。