工程管理における日程計画の必要性
日程計画とは、納期を守るために、工場でいつ製造するのかスケジュールを立てることです。生産計画とも呼ばれます。具体的には、以下の目的を満たすように計画を立てます。
- 納期や生産数の保証
- 販売計画や顧客の注文を遵守する
- 設備や人員の準備
- 長期的な計画に応じて準備する
- 稼働率の維持
- 工場の能力に見合った仕事量を与える
- 購入手配基準の規定
- 部品や原料の基準を作成する
- 適正在庫の維持
- 重要な製品や材料の在庫を適正に保つ
日程計画を実践すると、納期を保証できるだけでなく、コスト削減も可能になります。

日程計画の分類
日程計画は以下の3種類に分類されます。
大日程計画:必要な資源を用意する
大日程計画とは、3~12か月程度の中長期的な生産計画のことで、中期生産計画とも呼ばれます。計画対象となる期間は長いですが、計画は基本的に毎月作成します。
大日程計画の要となるのは需要予測です。過去のデータや市場調査の結果を基に需要予測をを行い、製品別の数量を予測します。この予測結果に基づいて必要な資源を準備します。
大日程計画の具体的な目的は、人員や機械、資金、設備の準備です。つまり人員計画や資金計画は、大日程計画の一部と言えます。人員計画に基づき、作業員を雇用し、教育を始めます。
中日程計画:作る製品の種類と数を定める
中日程計画とは、1~3か月程度の中短期的な生産計画のことで、短期生産計画や基準生産計画とも呼ばれます。計画は毎週あるいは毎月立てます。
中日程計画の基となるのは大日程計画や実際の受注量です。週あるいは日単位でどの製品をどのくらい作るのか決めます。
中日程計画の具体的な目的は、原料・人員の手配や工数計画、外注計画、在庫計画を立てることです。実需を考慮して、大日程計画で準備した資源の割り振りを決める段階と言えます。
小日程計画:仕事の割り振りと納期の設定を行う
小日程計画とは、1週間~1ヶ月程度の短期的な日程計画のことで、作業日程計画や作業指示とも呼ばれます。計画は毎日あるいは毎週立てます。
小日程計画の基となるのは、中日程計画や実際の注文です。中日程計画では何をどのくらい作るのか定めているため、小日程計画ではそれを実現するための詳細な作業計画を立てます。
小日程計画の具体的な目的は、部門や作業員のアサインです。設備や人員の能力を考慮したうえで作業指示を出します。品目と数量、生産順序、完了日を記した作業指示書を作成し、粒度の細かい指示を行います。
日程計画を効率よく作成する方法
日程計画を効率化する方法を2つ見ていきましょう。
PERT図やガントチャートを使用する
日程計画は視覚的に分かりやすいことが求められます。そこでよく利用されるのが、PERT図やガントチャートです。
PERT図とは、丸印で示した工程を矢印で結び、その関連性を明らかにする図のことです。工程同士の先行関係が明確化し、何を優先して行うべきか分かりやすいのが特徴です。各工程に要する期間を見積もれば、PERT図から具体的な日程を算出することも可能です。
一方、ガントチャートは横軸に時間、縦軸に製品別の工程をとった棒グラフのことです。PERT図のように工程同士の関係性は示せませんが、作業の日程が一目で分かるのが特徴です。小規模な生産計画で使いやすいほか、従業員全体でスケジュールを共有するのにも適しています。
工程管理システムを使用する
工程管理システムとは、その名のとおり工程管理を行うためのITシステムです。
日程計画は、多数の製品が複数の工程を同時並行し、それらがが複雑に関係し合っているため、大規模工場になるほど立てるのが大変です。外注工程を含み多数の工程が関わる場合、正確なスケジュールを共有するだけでも困難でしょう。
工程管理システムは、これらの課題を解決するうえで有効です。全体の状況をシステムで把握できるため、現況に応じたスケジューリングが可能になります。システムにアクセスするだけで最新の計画を確認できるため、認識の齟齬も生じません。
工程管理システムを導入して効率よく日程計画を作成しよう!
日程計画とは、納期を守るために立てる計画のことです。以下の3種類に大別されます。
- 大日程計画
- 資源の用意
- 中日程計画
- 作る製品の種類・数量の決定
- 小日程計画
- 作業の割り振りと納期の設定
日程計画を手動で行うと大変ですが、工程管理システムを使えば効率化できるうえ、日程の共有も簡単です。ぜひ、工程管理システムの導入を検討し、効率的な日程計画作成を実現してください。
