ソーシャル分析の連携性を確認する前の整理
連携性は、連携できるツールの名前だけでなく、連携の方式や目的によって評価が変わります。まずは、方式の種類と確認の順序を整理しておきましょう。
| 連携の方式 | 特徴 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 標準の連携機能 | 製品が用意した連携先と接続する | 連携できる項目と更新の頻度 |
| API連携 | プログラムでデータをやり取りする | 提供範囲、契約プランの条件、開発の負担 |
| CSV出力 | ファイルで書き出して取り込む | 出力できる項目、期間、件数、文字コード |
連携の目的に応じた方式の決め方
連携の目的は、分析データを別のシステムに渡す場合と、別のシステムのデータを分析に取り込む場合で異なります。目的が分からないまま連携先を探すと、必要のない連携に費用をかけてしまう場合があります。連携の目的は、利用する部門とも共有しておきましょう。
まず、誰が、どのデータを、どの頻度で使いたいのかを書き出しましょう。月に1回の報告用なら、CSV出力で足りる場合もあります。目的を言葉にしておくと、ベンダーへの質問も具体的にできます。
標準連携とAPI連携とCSV出力の違い
標準の連携機能は、設定のみで接続できるため、開発の手間が少ない方式です。ただし、連携できる先や項目は製品が用意した範囲に限られます。
自社の使うツールが対象に含まれているかを、最初に確認しましょう。連携できる項目の更新頻度も見ておくと安心です。
API連携は連携できる項目の幅を広げやすい一方、開発や保守を担う人材が必要です。CSV出力は手軽ですが、取り込みの作業を人が行う場合は手間が残ります。複数の方式を併用できる製品もあるため、自社の体制にあう方式を選びましょう。
SNS側の仕様変更が連携に与える影響
ソーシャル分析の連携は、製品とSNSの接続、製品と連携先の接続という二重の関係で成り立っています。SNS側のAPIの仕様や利用規約が変わると、取得できるデータの範囲が変わり、連携の内容にも影響する場合があります。
そのため、連携の可否を一度確認して終わりにせず、仕様変更があった際にベンダーがどう案内し、どう対応するかも確認しておきましょう。連携先のツール側の更新が、分析に影響する場合もある点に注意が必要です。
SNS管理ツール・CRM・MAツールとの連携性
自社の運用に近いツールとの連携は、分析結果を施策へつなげる役割を持ちます。ツールごとに、連携の内容と確認すべき点を見ていきましょう。
SNS管理ツールとの連携で運用を支える
SNS管理ツールは、投稿の予約や、自社アカウントの運用を支援するツールです。分析ツールと連携すると、投稿への反応と、世の中の話題をあわせて確認できる場合があります。
連携の範囲は、データを閲覧できるだけの場合と、分析結果から投稿の計画に反映できる場合があります。どのデータが連携されるのか、更新の頻度はどの程度かを確認しましょう。自社アカウントと競合の両方のデータを扱えるかも、比較のポイントです。
CRMとの連携で顧客情報と結びつける
CRMとの連携では、SNS上の反応と、顧客の購買や問い合わせの履歴を関連づけて分析できる可能性があります。顧客の声を営業やサポートの対応に生かす用途が考えられます。
ただし、SNSの投稿者と自社の顧客を結びつける場合は、個人情報の取り扱いに注意が必要です。利用目的の通知や同意の取得が必要かを、法務や個人情報の担当部門に確認しましょう。連携する範囲を、必要最小限に絞る考え方もあります。
MAツールとの連携で施策につなげる
MAツールとの連携では、SNSでの反応にもとづいて、メール配信や広告の対象を分けるといった活用が考えられます。分析の結果を、具体的な施策に反映しやすくなる点が利点です。
連携の実現方法は製品によって異なり、標準機能で対応する場合と、APIでの開発が必要な場合があります。自社が使うMAツールとの接続実績があるかを、ベンダーに確認しておくと安心です。連携後に、配信の対象を自動で更新できるかも見ておきましょう。
BIツールとCSV出力による連携性
ソーシャル分析のデータを、売上やアクセスなど他のデータと一緒に見たい場合は、BIツールとの連携やCSV出力が役立ちます。確認すべき点を整理します。
BIツールにデータを渡す方法
BIツールとは、社内のさまざまなデータを集めて、グラフや表で可視化するツールです。ソーシャル分析のデータを渡せば、売上や広告の成果と並べて確認でき、施策の効果を多角的に検討できます。
渡す方法には、専用の連携機能、API、CSVの取り込みがあります。更新が自動で行われるのか、人が手作業で取り込むのかによって、日々の運用の負担が変わります。データの更新が遅れる場合の影響も、あわせて考えておきましょう。
CSV出力の柔軟性の比較
CSV出力は基本的な機能ですが、出力できる項目や条件の柔軟性には製品で差があります。出力できる項目を選べるか、期間を指定できるか、一度に出力できる件数に上限があるかを確認しましょう。
文字コードの違いで、表計算ソフトで開いたときに文字化けする場合があります。投稿の本文に改行や記号が含まれていても、崩れずに出力されるかも試して確かめましょう。あわせて、出力したファイルの容量が大きい場合の扱いも確認しておくと安心です。
定期出力と自動化の可否
毎月の報告のたびに、手作業で出力して整える運用は、担当者の負担になりやすい作業です。出力を定期的に自動で行えるか、指定の場所へ保存や送信ができるかを確認しましょう。出力の時刻を指定できると、報告の締め切りにあわせられます。
自動化できない場合は、手作業の頻度と所要時間を見積もっておくと、運用の負担を判断しやすくなります。作業の手順書も、あわせて用意しておくと安心です。担当者が変わっても同じ作業を続けられます。
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APIによる連携性を見きわめる観点
自社独自のシステムや、標準で対応していないツールと接続するには、APIの利用が選択肢です。APIの条件を確認する観点を整理します。
APIの提供範囲と契約プランの条件
APIで取得できるデータの種類や、操作できる範囲は製品によって異なります。画面上で見られる情報のすべてが、APIで取得できるとは限りません。
契約のプランによってAPIの利用が制限される場合や、呼び出しの回数に上限が設けられている場合があります。利用の想定量を見積もったうえで、条件を確認しましょう。
上限を超えた場合の対応や費用も聞いておきましょう。画面上の機能と、APIで使える機能の差も確認項目です。
認証の方式と仕様変更への対応
APIを利用する際には、アクセスを許可するための認証の仕組みが必要です。認証の方式や、情報を安全に扱うための管理方法が、自社のセキュリティ基準にあうかを確かめましょう。
APIの仕様は、機能の追加や変更によって更新される場合があります。変更の事前の通知や、古い仕様の提供期間について、ベンダーの方針を確認しておくと安心です。仕様変更の情報をどこで確認できるかも、聞いておきましょう。
開発の負担と体制の見積もり
APIを利用した連携では、開発の担当者と、動作を確認する工数が必要です。自社に開発の人材がいない場合は、ベンダーや外部の開発会社に依頼する方法があります。依頼先によって、費用と対応できる範囲が異なります。
開発して終わりではなく、保守の負担も見込みましょう。連携先のシステムが更新された際に、連携の動作を確認し、必要に応じて修正する体制を考えておくことが大切です。保守の費用が別途かかる場合もあるため、見積もりで確認しましょう。
連携性を踏まえて導入を進める手順と注意点
連携は、契約前の確認と、導入前の検証が欠かせません。最後に、確認の手順と、運用で注意する点を整理します。
- ■目的の整理
- 連携するデータと使う部門、頻度を書き出す
- ■方式の選択
- 標準機能、API、CSVから自社の体制にあう方式を選ぶ
- ■事前の検証
- トライアルで、実際のデータを使って連携を試す
- ■運用の準備
- 担当者、保守の方法、仕様変更への対応を決める
実際のデータで連携を事前に検証する
資料や説明だけでは、連携の動作を正確に判断することは難しいものです。トライアルやデモの機会に、自社のデータを使って、連携が想定どおりに動くかを検証しましょう。個人情報を含むデータを使う場合は、検証用に加工したデータの利用も検討します。
検証では、連携できる項目、更新にかかる時間、データの件数が多い場合の動作を確認します。結果を記録しておくと、複数の製品を比較する材料にできます。うまくいかなかった場合の原因は、製品側、自社側、連携先側に分けて整理しましょう。
個人情報とアクセス権限を整理する
連携すると、データが複数のシステムに保存され、閲覧できる人が増える場合があります。連携先も含めて、保存の期間や閲覧できる担当者を整理しておきましょう。
SNSの投稿には、個人が特定できる情報が含まれる場合があります。連携先のシステムでも、社内の個人情報に関する方針にあう運用ができるかを確認しておくことが大切です。連携を解除したときに、データが削除されるかも事前に確かめておきましょう。
連携後の運用と見直しを進める
連携は、設定して終わりではなく、運用の中で見直しが必要です。連携が止まっていないか、データが想定どおりに更新されているかを、定期的に確認する担当者を決めましょう。
SNS側や連携先のシステムの仕様が変わった場合の連絡の経路も、あらかじめ決めておくと安心です。見直しの結果は記録に残し、契約の更新時の判断材料として活用しましょう。連携の効果が見えない場合は、方式の変更も検討できます。
他システムとの連携を前提に選ぶソーシャル分析製品
ここでは、APIや他のシステムとの連携、データの出力といった、連携性に関わる情報のある製品を紹介します。
Brandwatch
- 1.7兆件以上の信頼性の高いデータをリアルタイムに活用
- 消費者をより深く理解し、マーケティング戦略構築に貢献
- SNSアカウント運用全般に対応し、工数削減・業務効率化を実現
株式会社ブレインパッドが提供する「Brandwatch」は、消費者の声の収集分析と、SNS運用の管理を行うソーシャルスイートです。APIに対応し、製品ページには、CRMやサービスデスクと連携する情報が掲載されています。アップロード機能で自社のサポート履歴などの顧客データを取り込み、SNSのデータとあわせて管理することも可能です。連携できる範囲や方法は利用条件によって異なるため、個別に確認しましょう。
見える化エンジン
- SNS/アンケート/コールログなどあらゆる顧客の声 (VoC)を一元化!
- 15年連続シェアNo.1のテキスト解析×AIで不満の原因・感情を可視化
- 40種超の分析機能×1,900社の導入実績・専任コンサルの伴走支援
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「見える化エンジン」は、ソーシャルメディアの声を収集、分析、共有できるデータ活用プラットフォームです。社内の売上金額や販売個数といった定量情報と、SNS上の声を連携させる分析ができます。APIの利用には事前の仕様確認が必要なため、連携の方法は個別に確認しましょう。取り込む売上データの形式や更新の頻度、連携にかかる準備の手間も、あわせて確かめておくと安心です。
SocialDog
- 予約投稿・分析・キャンペーン・レポート作成が1つで完結
- 複数のSNSアカウントをチームで一元管理
- キーワードを指定してユーザーの投稿や口コミを収集・分析
株式会社SocialDogが提供する「SocialDog」は、SNS運用の効率化と分析を行うクラウドのツールです。ビジネスチャットのSlackとの連携が製品ページに掲載されており、キャンペーンの抽選結果はCSVファイルでダウンロードして集計や共有に使えます。連携できる範囲は個別に確認しましょう。連携の設定を自社で行えるのか、支援を受けられるのかも、他のツールへ渡すデータの項目とあわせて確認しておきたい点です。
ソーシャルインサイト (株式会社ユーザーローカル)
- 主要SNSを横断分析します。
- 投稿作成から効果測定まで一元管理。
- 競合比較、自動レポート、炎上/異常検知アラート搭載。
Facelift Data Studio (Facelift brand building technologies GmbH)
- 複数SNSデータの一元管理と分析が可能
- 指標やダッシュボードを自在にカスタマイズ。
- レポート作成・配信の自動化機能を搭載
ソーシャル分析に関するよくある質問
ソーシャル分析の連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:CSV出力だけでも、他のツールとの連携はできますか?
- A:月に1回の報告用など、更新の頻度が低い用途であれば足りる場合があります。ただし、取り込みを人が行う場合は手間が残ります。出力できる項目や件数の上限も確認しましょう。
- ■Q2:CRMと連携するとき、注意すべき点はありますか?
- A:SNSの投稿者と顧客を結びつける場合は、個人情報の取り扱いに注意が必要です。利用目的の通知や同意が必要かを、法務や個人情報の担当部門に確認しましょう。
- ■Q3:SNS側の仕様が変わると、連携が使えなくなりますか?
- A:取得できるデータの範囲が変わり、連携の内容に影響する場合があります。仕様変更があった際にベンダーがどう案内し対応するかを、契約前に確認しておきましょう。
- ■Q4:API連携には、自社に開発の担当者が必要ですか?
- A:開発や動作の確認、保守の担当者が必要になる場合があります。自社にいない場合は、ベンダーや外部の開発会社に依頼する方法もあります。保守の費用も見込みましょう。
まとめ
ソーシャル分析の連携性は、連携の目的を決めたうえで、標準の連携機能、API、CSV出力のどれが自社の体制にあうかを確かめることが大切です。SNS管理ツールやCRM、MAツール、BIツールとの連携では、連携できる項目と更新の頻度、個人情報の扱いを確認します。SNS側の仕様変更の影響も踏まえ、複数の製品を資料請求して比較してみてください。

