VOC分析ツールを導入する前に押さえておきたい条件
VOC分析ツールを選定する際は、まずどのような顧客の声をどこまで収集し、どう分類したいかを整理することが出発点になります。収集範囲と分析精度の両面から条件を洗い出すことで、比較検討の軸が明確になります。
収集対象チャネルの範囲
VOC分析ツールを検討する際は、アンケートやコールセンターの通話記録、問い合わせメールなど、どのチャネルの声を収集対象とするかをあらかじめ整理しておくことが重要です。チャネルごとにデータ形式が異なるため、対応範囲を確認しないまま導入すると、収集したい声を十分に取り込めない可能性があります。
例えば、SNS上の投稿も収集したい場合は、対応する製品が限られる場合があるため、事前の確認が欠かせません。近年はSNSの声を含めて分析するニーズも増えており、対応範囲を要件定義書に明記しておくと選定がスムーズになります。
分析精度と分類ルールの柔軟性
収集した声を自社の業務分類やカテゴリーに沿って整理できるかどうかも、導入条件として確認すべき点です。分類ルールを自由にカスタマイズできる製品であれば、既存の業務フローに合わせた運用がしやすくなります。
一方で、分類ルールが固定された製品では、自社独自のカテゴリー体系を反映しづらい場合があります。トライアル期間中に実際の声を投入し、分類結果が想定と合うかを確認しておくと、導入後のずれを防ぎやすくなります。
セキュリティ・ISMS対応など社内統制面の条件
顧客の声には個人情報や機密情報が含まれる場合があるため、セキュリティ要件や社内統制の観点も導入条件として重要です。特に厳しい情報管理基準を持つ企業では、認証取得状況の確認が選定の前提になります。
セキュリティ要件と認証取得状況
セキュリティ要件が厳しい企業では、VOC分析ツールを選ぶ際にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの第三者認証を取得しているかどうかが判断材料の一つになります。認証取得は情報管理体制が一定の基準で運用されていることを示す指標となります。
加えて、データの保管場所や暗号化の有無、アクセス権限の細かさなども確認しておく必要があります。ベンダーに問い合わせる際は、認証の種類だけでなく、監査の実施状況や委託先の管理体制など、運用体制の詳細まで確認することが望ましいです。
国産ツールを検討する理由
国産のVOC分析ツールを検討する企業には、日本語特有の表現や方言、業界用語への対応が期待できる点、サポート窓口とのやり取りが日本語で完結しやすい点を重視するケースがあります。ただし国産であることが性能を保証するわけではないため、機能面の確認は別途必要です。
比較検討の際は、国産・海外製の別だけでなく、実際の分類精度やサポート体制を個別に確認することが重要です。トライアルで自社データを用いた検証を行うと、実運用に近い評価が可能になります。
API連携・多言語対応など機能面の条件
既存の顧客管理システムや業務システムとの連携、海外拠点や海外顧客への対応が必要な場合は、API連携や多言語対応も導入条件に加える必要があります。機能要件を明確にすることで、比較検討の精度が高まります。
API連携の必要性
CRMやコールセンターシステムなど既存の業務システムとVOCデータを連携させたい場合は、API連携に対応しているかどうかが重要な条件になります。API連携が可能であれば、収集したデータを他システムへ自動で反映させる運用がしやすくなります。
連携が必須の場合は、対応可能なシステムの種類や、連携にかかる開発工数についても事前に確認しておくことが望ましいです。ベンダーによって連携範囲や設定の柔軟性が異なるため、要件を具体的に伝えたうえで、実現可能な範囲を個別に確認することが重要です。
多言語対応の範囲
海外拠点や海外顧客の声も分析対象とする場合は、対応言語の範囲や翻訳精度を導入条件として確認する必要があります。多言語対応をうたう製品でも、対応言語数や解析精度には差がある場合があります。
特にアジア圏や欧米圏など、自社が重視する地域の言語に対応しているかを個別に確認することが重要です。トライアルの際は、実際の海外顧客データを用いて分析結果を検証しておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でVOC(顧客の声)の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入形態・費用面で確認すべき条件
VOC分析ツールにはクラウド型とオンプレミス型があり、費用体系も製品によって異なります。自社の予算やシステム環境に合った形態を選ぶことも、導入条件を整理するうえで欠かせない観点です。
クラウド型かオンプレミス型か
クラウド型は初期費用を抑えて短期間で導入しやすい一方、オンプレミス型は自社のセキュリティポリシーに沿った運用がしやすいという特徴があります。どちらを選ぶかは、社内のシステム管理方針やセキュリティ要件によって異なります。
クラウド型を選ぶ場合でも、データの保管場所や委託先の管理体制を確認しておくことが重要です。オンプレミス型は自社での保守運用の負担が発生するため、体制面の準備も併せて検討する必要があります。
費用体系と社内リソース
費用体系は、初期費用と月額料金の組み合わせや、データ量・ユーザー数に応じた従量課金制など製品によってさまざまです。費用だけでなく、運用にかかる社内リソースも含めて総合的に比較することが重要です。
分析結果を活用するには、担当者の稼働時間や分析知識も必要になる場合があります。導入時にはツールの費用だけでなく、運用体制を整えるための教育コストや人員配置も合わせて見積もっておくと、導入後のギャップを防ぎやすくなります。
運用体制・活用フェーズでの条件
VOC分析ツールは導入して終わりではなく、収集した声を業務改善に生かす運用体制があってはじめて効果を発揮します。活用フェーズを見据えた条件整理も、導入前に行っておく必要があります。
分析結果を活用する体制
収集・分析した顧客の声を、商品開発や顧客対応の改善にどう反映させるかを担当する体制があるかどうかも、導入条件の一つとして確認しておく必要があります。分析結果を見るだけで終わってしまうと、ツール導入の効果が限定的になる場合があります。
関連部署との情報共有フローや、定例会議での報告体制をあらかじめ設計しておくと、分析結果を実際の改善活動につなげやすくなります。担当者の役割分担も事前に明確にしておくことが望ましいです。
定着に向けた運用ルール
ツールを継続的に活用するには、データの入力ルールや分類基準の見直し頻度など、運用ルールをあらかじめ定めておくことが重要です。ルールが曖昧なままだと、部署ごとに運用が異なり、分析結果の精度に影響する場合があります。
また、導入初期は想定通りに運用が進まない場合もあるため、一定期間ごとに運用状況を見直す機会を設けることが望ましいです。ベンダーのサポート体制を活用しながら、段階的に定着させていく進め方が現実的です。
収集チャネルと分類機能で選ぶVOC分析ツール
ここまで解説した収集チャネルの範囲、分類ルールの柔軟性、多言語対応、コールセンター音声の活用といった観点をもとに、それぞれの条件に対応する製品を紹介します。自社が重視する収集チャネルや運用スタイルと照らし合わせて参考にしてください。
クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)
- アンケートで収集したデータから次なるアクションを割り出す
- 顧客の声を多角的かつリアルタイムで取得し、素早く分析できる
- 各種ツールと連携して適切な担当者にアクションを割り当てる
クアルトリクス合同会社が提供する「クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)」は、アンケートやレビュー、コールセンターの音声データなど複数のチャネルから顧客の声を収集し、一元的に分析できるCXプラットフォームです。多言語でのアンケート配信や海外拠点を含むグローバル展開に対応しており、収集したデータをダッシュボードで可視化して部門横断で共有できます。分析結果をもとに改善アクションへつなげる運用を支援する機能も備えています。
見える化エンジン
- SNS/アンケート/コールログなどあらゆる顧客の声 (VoC)を一元化!
- 15年連続シェアNo.1のテキスト解析×AIで不満の原因・感情を可視化
- 40種超の分析機能×1,900社の導入実績・専任コンサルの伴走支援
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「見える化エンジン」は、アンケートやコールセンターの記録、SNS上の投稿など多様なチャネルの声をテキストマイニングで分析する国産のVOC分析ツールです。自社の業務分類に合わせて分類ルールをカスタマイズできる点が特徴で、収集した声を商品開発や顧客対応の改善に活用しやすい設計になっています。国内企業によるサポート体制のもとで運用できる点も特徴です。
MiiTel Call Center
- リアルタイムトークアシストとFAQ表示で自己解決率を向上
- AIコーチングと自動フィードバックで応対品質を平準化し育成
- 全通話の要約とVoC抽出を自動化!多角的な音声解析を実現
株式会社RevCommが提供する「MiiTel Call Center」は、コールセンターの通話内容を録音・文字化し、顧客対応の内容を分析できるクラウド型のコミュニケーションツールです。通話データをテキスト化して蓄積することで、顧客からの問い合わせ内容や要望を後から検索・分析しやすくなります。CRMなど他システムとの連携にも対応しており、既存の業務フローに組み込んだ運用がしやすい点が特徴です。
Flyle(フライル)
- 生成AIによる高精度の文脈理解、分析工数の大幅削減
- 部門別に最適化できるワークフロー機能
- 分析支援AIエージェントで誰もが手軽にインサイトを抽出
株式会社フライルが提供する「Flyle(フライル)」は、営業やサポート部門に寄せられた顧客の声や要望を一元的に蓄積し、社内で共有・活用するためのクラウド型ツールです。声の内容をタグやカテゴリーで整理できるため、部署ごとに異なる分類基準を反映しやすく、商品開発や既存機能の改善につなげる運用に向いています。関連部署との情報共有をスムーズにする機能も備えています。
YOSHINA (株式会社レトリバ)
- 音声データだけで分析が可能
- 導入から運用・分析まで手厚くサポート
- 多彩な分析手法で顧客ニーズを正確に把握
EmotionTechCX (株式会社EmotionTech)
- 体験感情を分析・可視化する独自技術を搭載(特許取得)。
- CX専門コンサルタントによる伴走支援
- 大手企業を中心に300社以上のCX改善を支援
コンタクトログマネジメント (Vectra AI Inc.)
- AIタグでVOCを分類し全量データを構造化・可視化
- ログ解析を自動化し継続的なVOC分析を容易化
- 改善提案から実行支援までPDCAを伴走提供
YOMEL (株式会社PKSHA Infinity)
- PCを通じて行った会話のすべてが対応履歴として可視化可能
- 対話は自動的にテキスト化され、要約まで自動で作成
- お客様からの質問集も自動で生成!ニーズ等を簡単に抽出
VOC(顧客の声)に関するFAQ
VOC分析ツールの導入を検討する際によく挙がる疑問について、確認しておきたい観点をまとめました。
- Q1:ISMSに対応したVOC分析ツールはありますか?
- ISMSなどの第三者認証を取得しているベンダーは存在します。認証の有無だけでなく、データの保管方法やアクセス権限の管理体制も併せて確認することが重要です。
- Q2:SNS上の顧客の声も収集できますか?
- SNSの投稿を収集対象とする製品もありますが、対応範囲は製品によって異なります。収集したいSNSの種類を明確にしたうえで、対応可否を個別に確認する必要があります。
- Q3:情報漏えいのリスクはどう確認すればよいですか?
- 特定の事例を前提にするのではなく、暗号化の有無やアクセス権限の設定、委託先の管理体制など、一般的な確認観点に沿ってベンダーに確認することが有効です。
- Q4:導入にかかる費用はどのくらいですか?
- 初期費用と月額料金の組み合わせや従量課金制など、費用体系は製品によって異なります。データ量や利用人数によっても変動するため、複数製品の資料を比較して確認することをおすすめします。
まとめ
VOC分析ツールの導入条件は、収集チャネルの範囲やセキュリティ要件、API連携の可否、分類ルールの柔軟性、多言語対応など多岐にわたります。自社の目的と運用体制を整理したうえで、複数製品を比較検討することが重要です。要件を明確にしてから資料を取り寄せると、より的確な選定につながります。

