業種によってWebサイト翻訳ツールの失敗要因は異なる
同じWebサイト翻訳ツールでも、ある業種ではうまく機能し、別の業種では課題が残る場合があります。その違いは、翻訳するコンテンツの性質や更新の頻度、読み手が求める正確さによって生まれます。まずは業種による違いの背景を整理します。
専門用語の量と正確さへの要求
製造業や医療、行政のように専門用語が多い分野では、機械翻訳が文脈を読み違え、意図と異なる訳語を選ぶ可能性があります。一般の辞書にない社内用語や略語は、特に誤訳が起こりやすい語です。
また、これらの分野では、訳語の誤りが取引や手続きに影響する場合があります。そのため、専門用語の多いサイトでは、用語集の整備と人による確認を前提に運用を設計することが大切です。機械翻訳の結果をそのまま公開する範囲を、業種の特性にあわせて決めておきましょう。
更新頻度と情報の性質
観光・宿泊業のように季節ごとに情報が変わる業種や、自治体のように緊急情報を発信する業種では、更新の速さが重要です。日本語ページの更新が翻訳ページに反映されるまでに時間がかかると、古い情報が表示される可能性があります。
一方で、教育機関のように年度単位で同じ情報を掲載する業種では、PDFや画像の資料を使う場合があります。その結果、翻訳の対象外となる情報が残るケースも考えられます。自社の情報が「速さ」と「正確さ」のどちらを優先すべき性質かを整理すると、注意すべき点が見えてきます。
製造業で誤訳が実用上の課題になるケース
製造業のWebサイトには、製品仕様、型番、技術資料など、正確さが求められる情報が多く掲載されています。誤訳が残ると、海外の取引先からの問い合わせ対応や、仕様の誤解につながる可能性があります。起こりうるケースと対策を解説します。
型番や単位が意図せず変換されるケース
型番には、英字と数字、記号が組み合わさったものが多くあります。機械翻訳では、型番の一部が単語として訳されたり、記号の位置が変わったりする可能性があります。数値の区切り記号や単位の表記が、言語の慣習にあわせて書き換えられることも考えられます。
型番や数値の誤りは、見積もりや発注の誤りにつながるおそれがあります。翻訳ツールに、特定の文字列を翻訳対象から外す機能があるかを確認しましょう。仕様表など数値が多いページは、公開前に人が原文と照合する手順を設けると安心です。
技術用語の訳ゆれが残るケース
訳ゆれとは、同じ技術用語がページによって別の訳語で表示されることです。用語集が整備されていない場合や、複数の担当者が個別に修正している場合に起こる可能性があります。読み手は、別の部品や機能を指していると誤解するおそれがあります。
対策として、社内で使う技術用語と、取引先が使う訳語を一覧にし、用語集に登録しましょう。業界団体の用語集や既存の英文資料を参考にすると、訳語を決める手間を減らせます。登録後は、主要なページで訳語が統一されているかを確認することが大切です。
誤訳を減らすための翻訳除外と確認の手順
製造業で誤訳を減らすには、機械翻訳に任せる部分と、人が管理する部分を分けることが大切です。型番や製品名、規格名などは翻訳対象から外し、原文のまま表示する設定を検討しましょう。
あわせて、仕様表や安全上の注意書きなど誤りの影響が大きいページを洗い出し、公開前に技術部門が確認する手順を決めます。確認で見つかった誤訳は用語集に反映し、同じ誤りが他のページで繰り返されないようにします。確認の担当者は複数人にしておくと、担当者の不在時も手順を続けられます。
観光・宿泊業でWebサイト翻訳ツールがうまく機能しないケース
観光・宿泊業では、訪日外国人が予約や来訪の判断をする際に、翻訳ページを参照します。予約までの流れの途中で言語が切り替わったり、情報が古かったりすると、利用者が手続きを中断する可能性があります。起こりうる2つのケースを紹介します。
予約システムの画面が翻訳されないケース
宿泊施設や観光施設のWebサイトでは、予約の受付に外部の予約システムを使っている場合があります。予約システムの画面は別のドメインやサービス上にあるため、Webサイト翻訳ツールの対象外になるケースがあります。
その結果、施設紹介のページは外国語で表示されるのに、予約ボタンを押すと日本語の画面に切り替わる状況が起こる可能性があります。導入前に、予約システム側の多言語対応状況を確認しましょう。対応していない場合は、予約方法の案内ページを翻訳しておくなどの補い方も検討できます。
季節情報の更新が反映されないケース
観光・宿泊業では、季節のプランやイベント情報を頻繁に更新します。日本語ページを更新しても、翻訳ページへの反映に時間がかかったり、人が修正した古い訳文が残ったりする可能性があります。
要因としては、更新を検知する間隔、修正済みの訳文の扱い、CDNの一時保存の設定など、複数の要素が考えられます。料金や日付が変わる情報は、更新後に翻訳ページを開いて確認する手順を決めておきましょう。掲載期間が終わった情報を、翻訳ページからも確実に削除できるかも確認したい点です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWebサイト翻訳ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
官公庁・自治体の運用で起こりうるトラブル
官公庁・自治体のWebサイトは、外国籍の住民が行政手続きや生活情報を調べる際に利用されます。情報の誤りが生活に影響する可能性があるため、運用上のトラブルへの備えが求められます。起こりうる2つのケースと対策を解説します。
機械翻訳の誤訳に関する問い合わせ
行政の文章には、制度の名称や手続きの用語など、機械翻訳で意味が伝わりにくい表現が含まれます。誤訳や分かりにくい訳文が公開されると、窓口や電話での問い合わせが増える可能性があります。
対策として、翻訳ページに機械翻訳であることと、正確な内容は日本語ページで確認してほしい旨を示す免責文を掲載する方法があります。あわせて、手続きの案内など重要なページは人が確認する体制を整えましょう。問い合わせの内容を記録し、誤訳が多いページから優先して修正すると効果的です。
防災情報など緊急時の反映の遅れ
災害や感染症の流行など緊急時には、日本語ページの情報が短時間で何度も更新される場合があります。翻訳ページへの反映が遅れると、外国籍の住民に必要な情報が伝わるまでに時間がかかるおそれがあります。
平常時のうちに、緊急情報のページを優先して翻訳する設定や、手動ですぐに反映させる方法を確認しておきましょう。緊急時の担当者と手順を決め、訓練の機会に実際に操作しておくと安心です。翻訳ツールに加えて、やさしい日本語での発信をあわせて検討する自治体もあります。
教育機関の留学生向けページで起こりうる表示の不具合
大学や専門学校などの教育機関では、留学生向けに入学や生活の情報を発信します。Webサイト翻訳ツールを使った際に起こりうる表示の不具合と、その要因、確認の方法を紹介します。留学生にとって入学や生活に関わる情報は重要なため、丁寧な確認が求められます。
レイアウトの崩れや文字の欠けの要因
翻訳後の文章は、言語によって日本語より長くなる場合があります。ボタンやメニュー、表の枠に文字が収まらず、文字が途中で切れたり、配置がずれたりする可能性があります。
要因は翻訳ツールだけでなく、サイトのデザインが日本語の文字数を前提に作られていることにもあります。導入前に、主要なページを翻訳して、パソコンとスマートフォンの両方で表示を確認しましょう。崩れが見つかった場合は、短い訳語を用語集に登録する方法や、サイトのデザインを調整する方法を検討します。
PDFや画像の情報の翻訳漏れ
教育機関のWebサイトでは、募集要項や履修案内、奨学金の情報をPDFで掲載している場合があります。Webサイト翻訳ツールによっては、PDFの中身や画像内の文字は翻訳対象外です。
その結果、ページ本文は外国語で読めても、肝心の手続き情報が日本語のまま残る可能性があります。導入前に、留学生向けの重要な情報がどの形式で掲載されているかを洗い出しましょう。PDFの翻訳に対応した製品を選ぶか、重要な情報をWebページのテキストに書き直すなどの対応が考えられます。
留学生の目線での表示確認
表示の不具合は、管理者の画面では気付きにくい場合があります。留学生が実際に使うスマートフォンやブラウザ、言語設定で翻訳ページを開き、表示や操作に問題がないかを確認しましょう。
可能であれば、在学中の留学生に協力を依頼し、分かりにくい訳文や見づらい箇所を指摘してもらう方法も有効です。指摘された内容は一覧にまとめ、翻訳ツールの設定で直せるものと、サイトのデザインで直すものに分けて対応します。年度の切り替え時など、定期的に確認する時期を決めておくと安心です。
業種特有のつまずきに備えて比べたい翻訳ツール
専門用語の誤訳や案内ページの表示の不具合など、業種ごとの注意点を踏まえて比較したい製品を紹介します。自社の発信内容で確認したい点を整理してから資料を見比べましょう。
Autolingual
- 最短3分!だれでもカンタンに、どんなサイトでも多言語化
- 独自の最新AIを使用し、ネイティブレベルの自然な翻訳
- シンプルなUIで他言語がわからない担当者でも安心して使用可能
株式会社Enjuが提供する「Autolingual」は、Webサイトを多言語化するSaaSです。画像の差し替えに対応しているため、観光施設の案内図や教育機関の告知バナーなど、画像内の文字を言語別に用意したいページで確認したい製品です。動的コンテンツへの対応と独自AIによる翻訳の機能も備えています。表示に不具合が出ないかは、自社のページで事前に確かめましょう。提供形態はクラウド・SaaSで、対応する企業規模は限定されていません。
TradosStudio (SDLジャパン株式会社)
- 用語の一貫性を保ち、再翻訳作業を削減。
- ハイブリッド翻訳ワークフローで大量案件に対応。
- 多様なファイル対応でワークフロー導入障壁を低減。
DeepL (DeepLGmbH)
- テキストやPDFを高精度に翻訳。
- 用語集・文体設定で自社や用途に合わせて翻訳可能。
- ブラウザ拡張・アプリ連携でどこでも利用可能。
Myサイト翻訳 (株式会社高電社)
- 20年以上の信頼と実績を積んだWebサイト翻訳!
- AI翻訳と文法翻訳の2種類を提供できます!
- 最大121言語に対応した翻訳機能!
GTranslate (GTranslateInc)
- Webサイトの多言語化が容易に。
- AIによる自然で高品質な翻訳
- API連携で既存システムに組み込み可能
まとめ
Webサイト翻訳ツールのつまずきは、業種ごとのコンテンツの特徴と運用方法によって起こり方が異なります。製造業は型番と技術用語の管理、観光・宿泊業は予約システムと更新の反映が注意点です。自治体は免責表示と緊急時の手順、教育機関は表示の確認とPDFへの対応を確認しましょう。自社の業種で起こりうるケースを想定したうえで、対応できる製品を比較することが大切です。資料請求で各製品の対応範囲を確認してみてください。

