Webサイト翻訳ツールを導入しても属人化が解消しない理由
Webサイト翻訳ツールは、多言語化の作業を仕組み化する手段のひとつです。しかし、導入しただけでは、特定の担当者に作業が集中する状態が続く場合があります。属人化が解消しない主な理由を3つ紹介します。
ツールの導入自体が目的になっている
「翻訳ツールを入れれば属人化が解消する」と考えて導入すると、誰が何を担当するかの見直しが行われないまま運用が始まる可能性があります。結果として、導入を進めた担当者だけが操作方法を知っている状態が残ります。
ツールは作業を効率化する手段であり、作業の分担や引き継ぎの仕組みは別に整える必要があります。導入の目的を「担当者以外も翻訳の確認と公開ができる状態にする」のように具体的に決め、その目的に沿って体制を設計しましょう。
判断基準が共有されていない
翻訳ツールの操作は覚えられても、判断が担当者の経験に頼っていると、他の人は作業を進めにくくなります。例えば「どの訳語を使うか」「どのページを人が確認するか」といった判断です。判断が必要な場面で担当者に確認が集中し、属人化が続く可能性があります。
対策として、訳語の決め方や確認対象のページ、修正の基準を文書にまとめましょう。用語集に訳語の理由をメモとして残せる機能があれば、判断の経緯も共有できます。判断基準が共有されると、複数人で作業を分担しやすくなります。
アカウントが担当者1人に限られている
料金を抑えるためにアカウントを1つだけ契約すると、管理画面を操作できる人が1人に限られます。担当者が不在の間は、翻訳の修正や公開ができない状態になる可能性があります。
アカウント数によって料金が変わる製品では、必要な人数と費用のバランスを検討することが大切です。少なくとも、主担当と副担当の2名が操作できる状態にしておくと、不在時の対応が可能です。アカウントを共用すると操作の履歴が追えなくなるため、個人ごとに発行しましょう。
手作業の多言語ページからの移行で失敗する原因
これまで言語ごとに手作業でページを作っていた会社が、Webサイト翻訳ツールへ移行する際には、既存のページや訳文の扱いが課題です。移行でつまずく主な原因を3つ紹介します。
既存ページとURLが整理されていない
手作業で作った多言語ページは、日本語ページとの対応関係が整理されていない場合があります。どのページが最新か分からないまま移行すると、古い情報のページが残ったり、同じ内容のページが重複したりする可能性があります。
また、翻訳ツールでURLの形式が変わると、検索結果や外部サイトからのリンクが古いURLを指したままになるおそれがあります。移行前に既存ページを一覧にし、残すページと削除するページ、新しいURLへの転送設定が必要なページを整理しましょう。
既存の訳文を引き継げない
手作業で作った訳文には、時間をかけて整えた表現が含まれています。翻訳ツールへ移行した際に、既存の訳文を取り込めず、機械翻訳の結果で上書きされてしまう可能性があります。
移行前に、既存の訳文を翻訳ツールに取り込めるか、取り込む場合の形式や手順を確認しましょう。取り込みが難しい場合は、重要なページの訳文だけを手作業で登録し直す方法も考えられます。既存の訳文から用語集の候補を抜き出しておくと、移行後の品質を保ちやすくなります。
二重管理の期間が長引く
移行の途中では、手作業のページと翻訳ツールのページが並行して存在する期間が生まれます。この期間が長引くと、更新をどちらに反映すべきか混乱し、作業量がかえって増える可能性があります。
移行の計画を立てる際は、どのページをいつ切り替えるかの日程を決め、並行期間をできるだけ短くしましょう。ページ数が多い場合は、アクセスの多いページから順に移行する方法もあります。切り替えのたびに、関係者へ周知することも大切です。
誤訳や翻訳の抜け漏れが減らない原因
Webサイト翻訳ツールを導入しても、誤訳や翻訳の抜け漏れが思ったほど減らない場合があります。その原因は、翻訳エンジンの精度だけでなく、用語の管理や翻訳対象の設定、確認の工程にも関係します。主な原因を3つ紹介します。
用語集が整備・更新されていない
用語集に自社の製品名や専門用語が登録されていないと、機械翻訳は辞書どおりの意味で訳すため、専門用語の誤訳が残る可能性があります。導入時に登録しても、新製品や新しい用語が追加されないまま運用が続くケースもあります。
用語集は導入時に一度作って終わりではなく、継続的に更新する必要があります。新製品の発表やサイトのリニューアルの際に、用語集を見直す手順を決めておきましょう。誤訳が見つかったときに、用語集へ反映する流れを作ることも大切です。
翻訳対象外の要素が残っている
翻訳の抜け漏れは、翻訳ツールの対象外となる要素がページに含まれている場合に起こる可能性があります。例えば、画像内の文字、PDFの中身、外部サービスから読み込む部品、JavaScriptで後から表示される文章などです。
どの要素が翻訳されるかは製品や導入方式によって異なります。翻訳ページを実際に開き、日本語のまま残っている箇所を洗い出しましょう。対象外の要素は、画像の差し替えやテキストへの書き換えなど、別の方法での対応を検討します。
公開前の確認工程がない
機械翻訳の結果を確認せずに公開する運用では、誤訳がそのまま公開される可能性があります。特に、製品の仕様や価格、契約条件など、誤りの影響が大きい情報は注意が必要です。
サイト内のページを1件ずつ人が確認するのは負担が大きいため、確認するページの範囲と優先順位を決めましょう。翻訳ツールに承認の機能があれば、確認が済んだページだけを公開する設定にできます。確認者の負担が偏らないよう、複数人で分担することも大切です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でWebサイト翻訳ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
繁忙期にWebサイト翻訳ツールの処理が遅くなることはあるか
セールやキャンペーン、新年度の情報公開など、更新が集中する時期には、翻訳ページへの反映に時間がかかる場合があります。処理が遅れる要因と、事前にできる備えを解説します。
処理が遅れる要因
繁忙期に処理が遅れる要因には、自社の更新量の増加、翻訳ツール側で他の利用者の処理と重なること、契約プランの処理上限などが考えられます。元のサイトへのアクセスが集中して表示が遅くなると、翻訳ページの表示にも影響する場合があります。
また、CDNの一時保存の設定によっては、翻訳が完了していても古いページが表示され続ける可能性があります。どの要因が関係しているかは状況によって異なるため、遅れに気付いた際は、元のサイトと翻訳ページの両方を確認しましょう。
遅延に備える確認と対策
導入前に、大量の更新を行った場合の反映時間の目安や、処理の上限をベンダーに確認しておきましょう。繁忙期の予定が分かっている場合は、事前にベンダーへ伝えておくと安心です。
運用面では、更新を数回に分ける、重要なページを先に反映させる、公開日の前に翻訳を済ませておくといった工夫が考えられます。遅延が起きた際に状況を確認できる管理画面の表示や、障害情報の公開ページがあるかも確かめておくと、対応を判断しやすくなります。
失敗を防ぐために導入前に確認したいこと
ここまでのつまずきを踏まえて、Webサイト翻訳ツールを導入する前に確認したい項目を整理します。社内での検討やベンダーとの商談の際に活用してください。
- ■導入の目的と担当体制
- 導入の目的を具体的に決め、主担当と副担当がそれぞれ操作できる体制を整える
- ■既存ページと訳文の扱い
- 既存ページの一覧化、URLの転送設定、既存の訳文の取り込み方法を確認する
- ■用語集と確認工程
- 用語集の更新手順と、公開前に人が確認するページの範囲を決める
- ■翻訳対象外の要素と処理の上限
- 翻訳されない要素の有無と、大量更新時の反映時間の目安を確認する
小さな範囲で試験導入する
チェック項目を確認したら、いきなりサイト全体に導入するのではなく、一部のページや1つの言語から試験的に始める方法が有効です。小さな範囲で運用すると、想定外の作業や翻訳対象外の要素を早い段階で見つけられます。
試験導入の期間中に、作業時間や確認の手間、閲覧数の変化を記録しておきましょう。記録をもとに、運用ルールの見直しや、対象ページの拡大を判断できます。試験導入の結果は社内で共有し、本格導入の判断材料にすることが大切です。
導入後の評価指標を決める
導入の成果を判断するには、導入前に評価指標を決めておくことが大切です。指標がないと、運用がうまくいっているかを判断できず、課題に気付くのが遅れる可能性があります。
指標の例として、翻訳ページの更新にかかる時間、確認待ちのページ数、誤訳の指摘件数、翻訳ページの閲覧数や問い合わせ数が挙げられます。導入前の数値を記録しておくと、導入後の変化を比べられます。指標は四半期ごとなど時期を決めて振り返り、運用の改善につなげましょう。
導入後の成果につなげるための翻訳ツール候補
属人化や誤訳の残存といったつまずきを避けるために、導入前に比較しておきたい製品を紹介します。どの作業をツールに任せ、どこを人が確認するかを決めながら検討しましょう。
Autolingual
- 最短3分!だれでもカンタンに、どんなサイトでも多言語化
- 独自の最新AIを使用し、ネイティブレベルの自然な翻訳
- シンプルなUIで他言語がわからない担当者でも安心して使用可能
株式会社Enjuが提供する「Autolingual」は、Webサイトを多言語化するSaaSです。手作業で作った多言語ページからの移行を考えている場合に、社内で多言語化を進める手段として検討できます。翻訳先の言語がわからない担当者でも使えるよう画面がシンプルに設計されています。独自AIによる翻訳、動的コンテンツへの対応、画像差し替えの機能を備えています。提供形態はクラウド・SaaSで、対応する企業規模は限定されていません。
WOVN.io (Wovn Technologies株式会社)
- Webサイトの種類を問わずワンストップで多言語化を実現
- エンジニアを介さずに運用できるローコードシステム
- 1万8000サイト以上の導入実績
TradosStudio (SDLジャパン株式会社)
- 用語の一貫性を保ち、再翻訳作業を削減。
- ハイブリッド翻訳ワークフローで大量案件に対応。
- 多様なファイル対応でワークフロー導入障壁を低減。
DeepL (DeepLGmbH)
- テキストやPDFを高精度に翻訳。
- 用語集・文体設定で自社や用途に合わせて翻訳可能。
- ブラウザ拡張・アプリ連携でどこでも利用可能。
Transifex (Transifex, Inc.)
- 主要リポジトリと連携可能。
- AI翻訳エンジン統合
- 翻訳メモリと用語集で品質を維持
まとめ
Webサイト翻訳ツールを導入しても成果が出ない場合、複数の要因が関係している可能性があります。主な要因は、属人化、移行時の整理不足、用語集や確認工程の不足、繁忙期の処理の遅れです。導入前に目的と体制を決め、既存ページの扱いや翻訳対象外の要素、処理の上限を確認しておくことが大切です。小さな範囲で試してから広げる進め方も有効です。自社の課題にあう製品を探す際は、資料請求で複数の製品を比較してください。

