無料で使えるゼロトラスト・セキュリティとは
無料で使えるゼロトラスト・セキュリティとは、費用をかけずに認証やアクセス制御、端末確認などを試せる製品や仕組みです。主に無料プラン、無料トライアル、オープンソースソフトウェアの3つがあり、利用目的や社内の運用体制によって適した方法が異なります。
無料プランを利用する
無料プランは、利用人数や機能を限定して継続利用できる料金体系です。ユーザー認証やシングルサインオン、社内システムへのアクセス制御など、ゼロトラストの一部機能を試せる製品があります。
期限を設けずに利用できる場合があるため、小規模な部署での運用や概念実証に適しています。ただし、ログの保存期間やサポート、連携先の数などに制限が設けられているケースも少なくありません。
無料トライアルを利用する
無料トライアルは、有料製品の機能を一定期間試せる仕組みです。実際の業務環境に導入し、認証の流れや管理画面の操作性、既存システムとの連携可否を確認できます。
トライアル期間は製品ごとに異なるため、検証項目と担当者を事前に決めておきましょう。設定だけで期間を使い切らないよう、対象ユーザーや検証するアプリケーションを絞ることも重要です。
オープンソースを活用する
ソースコードが公開されているソフトウェアを組み合わせ、認証やネットワーク制御の環境を構築する方法もあります。ライセンス費用を抑えやすく、設定を柔軟に変更できる点が特徴です。
一方、設計や構築、脆弱性への対応は自社で行う必要があります。専門知識をもつ担当者がいない場合は、運用負担やセキュリティ上のリスクが大きくなるため注意してください。
資料請求やデモを活用する
無料プランがない製品でも、資料請求やオンラインデモを通じて機能や料金を確認できます。自社環境へ導入する前に、対応範囲や必要な構成を把握したい場合に有効です。
ゼロトラスト製品は、認証を中心とするものやネットワーク接続を保護するものなど、対応領域が異なります。複数製品の資料を比較すると、自社に不足している対策を整理しやすくなるでしょう。
無料のゼロトラスト・セキュリティでできること
無料版でも、ユーザー認証の強化やアクセス先の制限、接続状況の確認といった基本機能を試せます。ただし、利用できる機能は製品によって大きく異なります。無料という条件だけで判断せず、解決したい課題に対応しているかを確認しましょう。
ユーザー認証を強化する
パスワードに加えて確認コードや認証アプリを利用する多要素認証を試せます。パスワードが第三者に知られた場合でも、別の認証要素を求めることで不正なログインを抑える仕組みです。
複数のクラウドサービスを利用している企業では、シングルサインオンに対応する製品も候補になります。一度の認証で複数サービスへログインできるため、安全性と利便性の両立を検証できます。
アクセス範囲を制御する
ユーザーの所属や役職、接続元、利用端末などの条件に応じて、アクセスを許可する仕組みを試せます。例えば、経理部門の従業員だけに会計システムへの接続を許可する設定が可能です。
必要なユーザーに必要な範囲だけを許可する考え方は、最小権限アクセスと呼ばれます。無料版では設定できるルール数が限られる場合があるため、主要な業務から検証しましょう。
社外からの接続を保護する
社内システムやクラウド環境へ、社外から安全に接続する機能を試せる製品があります。接続のたびにユーザーや端末の状態を確認し、条件を満たした場合だけアクセスを許可します。
従来型の仮想専用ネットワークを利用している企業は、接続速度や運用方法の違いを比較できます。テレワークや複数拠点での利用を想定し、実際の通信環境で検証してください。
ログや利用状況を確認する
誰が、いつ、どのサービスへ接続したかをログで確認できる場合があります。通常とは異なる時間帯のログインや、許可されていない端末からの接続を把握する際に役立ちます。
ただし、無料版ではログの保存期間や検索機能が限定されることもあります。監査やインシデント調査に利用する場合は、必要な保存期間と出力形式を確認しましょう。
| 確認できる項目 | 主な検証内容 |
|---|---|
| ユーザー認証 | 多要素認証やシングルサインオンの設定方法、利用者の操作負担を確認します。 |
| アクセス制御 | ユーザーや端末、接続元に応じて、適切にアクセスを許可できるか確認します。 |
| リモート接続 | 社外から業務システムへ接続した際の速度や安定性を検証します。 |
| ログ管理 | 接続履歴の確認方法や保存期間、検索や出力の可否を確認します。 |
| 外部連携 | 利用中のクラウドサービスや人事システム、端末管理製品との連携を試します。 |
米国国立標準技術研究所は、ゼロトラストをネットワークの場所ではなく、ユーザーや資産、リソースを中心に保護する考え方として整理しています。無料版を試す際も、一つの機能の有無ではなく、利用者や端末、情報資産を継続的に確認できるかが重要です。
参考:SP 800-207, Zero Trust Architecture|National Institute of Standards and Technology
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無料のゼロトラスト・セキュリティの制限
無料版は導入前の検証に役立つ一方で、ユーザー数や連携先、ログ管理、サポートなどに制限があります。制限を確認せずに本番運用を始めると、必要な対策が不足する可能性もあるでしょう。無料版で補えない範囲を事前に整理することが大切です。
利用人数や端末数が限られる
無料プランでは、登録できるユーザー数や端末数に上限が設定される場合があります。検証対象が少人数であれば問題ありませんが、全社展開では上限を超える可能性が高まります。
従業員だけでなく、業務委託先や取引先のアカウントも管理する場合は注意が必要です。将来の利用人数を見込み、上限を超えた際の料金体系も確認してください。
連携できるサービスが少ない
無料版では、シングルサインオンやユーザー情報の連携先が限定されることがあります。主要なクラウドサービスには対応していても、自社開発システムや古い業務システムとは連携できない場合があります。
利用中のサービスを一覧化し、認証方式や接続方法を確認しましょう。無料版で連携できない場合は、上位プランや別の製品を検討する必要があります。
高度な制御や分析が使えない
端末の安全性や接続場所、利用時間などを組み合わせた動的なアクセス制御は、有料機能として提供されることがあります。脅威の検知や行動分析、データ持ち出し対策も同様です。
無料版では基本的な認証を検証し、高度な制御はデモやトライアルで確認する方法があります。自社が想定する攻撃や情報漏えいの経路を整理し、必要な機能を判断しましょう。
サポートや保証が限定される
無料プランでは、問い合わせ方法がWeb上の情報やコミュニティに限られる場合があります。障害時の対応時間やサービス品質の保証が、有料プランと異なることもあるでしょう。
本番業務で利用する場合は、問題発生時の影響範囲を考慮してください。停止が事業へ大きく影響するシステムでは、サポート体制や復旧目標を含めた比較が欠かせません。
- ■ユーザー数の上限
- 従業員や委託先を含め、必要なアカウントを登録できるか確認します。
- ■ログの保存期間
- 監査や原因調査に必要な期間まで、接続履歴を保存できるか確認します。
- ■連携可能なサービス
- 利用中のクラウドサービスや社内システムへ接続できるか確認します。
- ■アクセス制御の条件
- 端末や接続場所、ユーザー属性を組み合わせて制御できるか確認します。
- ■サポート範囲
- 設定支援や障害対応の方法、受付時間、対応言語を確認します。
独立行政法人情報処理推進機構は、ゼロトラストへの移行では、自組織に実装するための検討手順やソリューションの導入順序を整理する必要があると解説しています。無料製品を個別に追加するだけでなく、全体構成を意識して検証を進めましょう。
参考:ゼロトラスト移行のすゝめ|独立行政法人情報処理推進機構
無料のゼロトラスト・セキュリティが向いている企業
無料版は、小規模な利用や導入前の概念実証、担当者の学習に向いています。一方、多数の拠点や機密情報を扱う環境では、無料版だけでは管理やサポートが不足する可能性があります。利用目的と対象範囲を明確にして判断しましょう。
小規模な環境で試したい企業
少人数の企業や一部部署で利用する場合は、無料プランのユーザー上限内で運用できる可能性があります。クラウドサービスへのログインをまとめたい場合や、多要素認証を試したい場合にも適しています。
まずは情報システム部門や特定のプロジェクトで利用し、設定や運用の課題を洗い出しましょう。全社展開を想定している場合は、検証結果をもとに費用や導入手順を見積もります。
導入前に操作性を確認したい企業
製品の候補を絞り込んだ後、管理画面や利用者側の操作を比較したい企業にも向いています。認証の手順が複雑すぎると、問い合わせの増加や業務効率の低下につながる恐れがあります。
管理者だけでなく、実際に利用する従業員にも試してもらいましょう。ログインの手間や接続速度、エラー発生時の案内がわかりやすいかを確認すると、導入後の混乱を抑えられます。
概念実証を行いたい企業
ゼロトラストの仕組みが自社環境で機能するかを確認する概念実証にも、無料トライアルを活用できます。認証基盤や端末管理、業務システムを限定して接続し、想定したルールが適用されるかを検証します。
検証では、正常なアクセスだけでなく、未登録端末や権限のないユーザーが拒否されるかも確認してください。成功条件を数値や判定基準で定めておくと、製品を比較しやすくなります。
専任担当者がいる企業
オープンソースソフトウェアや複数の無料製品を組み合わせる場合は、設計や設定を担える担当者が必要です。更新情報や脆弱性を継続的に確認し、問題があれば自社で対応しなければなりません。
社内に知識をもつ担当者がいない場合は、初期費用だけで判断しないことが重要です。運用工数や障害対応を含めると、サポート付きの有料製品のほうが負担を抑えられる場合もあります。
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無料から有料へ切り替える判断ポイント
利用人数の増加や全社展開、監査対応が必要になった場合は、有料製品への切り替えを検討しましょう。料金だけでなく、管理工数や障害対応、セキュリティ事故が発生した場合の影響も含めて判断することが重要です。
利用対象が全社へ広がる
検証対象が一部部署から全社へ広がると、アカウント数や端末数が無料枠を超えやすくなります。入社や異動、退職にあわせた権限変更も増え、手作業での管理が難しくなるでしょう。
人事システムと連携し、アカウントの作成や停止を自動化できる製品を選ぶと、管理負担を抑えられます。組織変更が多い企業では、ユーザー情報の同期方法も確認してください。
複数の対策を統合したい
認証だけでなく、端末管理やネットワーク接続、クラウドサービスの利用状況までまとめて管理したい場合は、有料製品が候補です。管理画面が分散すると、異常の発見や原因調査に時間がかかります。
ただし、すべての機能を一つの製品でそろえる必要はありません。既存製品を活用しながら、不足する領域を補えるかも含めて比較しましょう。
監査や法令対応が必要になる
監査でアクセス履歴の提出が求められる場合は、ログの保存期間や改ざん防止、出力機能が重要です。無料版では保存期間が短く、必要な記録を残せない可能性があります。
個人情報や機密情報を扱う企業は、データの保管場所や暗号化、管理者権限の記録も確認してください。自社のセキュリティ規程や取引先から求められる基準に対応できる製品を選びます。
運用負担が増えている
無料製品を複数組み合わせると、設定変更や更新、問い合わせ対応が増える場合があります。ライセンス費用を抑えられても、担当者の作業時間が増えれば、総費用が高くなることもあるでしょう。
有料版を比較する際は、製品料金に加えて、構築費用や教育、日常運用に必要な時間を含めて検討します。ベンダーによる導入支援や運用代行の有無も判断材料です。
| 判断項目 | 有料版を検討する状況 |
|---|---|
| 利用規模 | ユーザー数や端末数が無料プランの上限を超える場合 |
| 外部連携 | 人事システムや自社開発システムとの連携が必要な場合 |
| アクセス制御 | 端末状態や場所、リスクに応じた細かな制御が必要な場合 |
| ログ管理 | 長期間の保存や監査向けの出力、詳細な分析が必要な場合 |
| サポート | 障害時の迅速な対応や導入支援、運用支援を求める場合 |
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無料で試せるゼロトラスト・セキュリティ製品
ゼロトラスト・セキュリティ製品のなかには、無料プランや無料トライアルを提供しているものがあります。認証方法や管理画面の操作性、既存環境との連携を確認できるため、本格導入前の比較に役立ちます。利用期間や対象機能を確認したうえで試しましょう。
GMOトラスト・ログイン
- 多要素認証で不正アクセスを防止
- シングルサインオンで安全性と利便性を両立
- 条件付きアクセスで利用環境に応じた認証を実現
GMOグローバルサイン株式会社が提供する「GMOトラスト・ログイン」は、シングルサインオンや多要素認証、条件付きアクセスに対応するクラウド型のID管理サービスです。無料プランと無料トライアルがあり、クラウドサービスへのログイン管理や認証強化を試せます。ID管理を起点にゼロトラスト環境を整備したい企業に適しています。
Cygiene
- 社内外問わず、インターネットアクセスを保護、不正な通信は遮断
- 時系列データ&ユーザー情報を取込み、ふるまいベースで不正検知
- 国産/自社開発だから提供できる、個社別のカスタマイズサービス
スカイゲートテクノロジズ株式会社が提供する「Cygiene」は、クラウドサービスの利用管理や安全なWeb接続、情報持ち出し対策、ログ分析などを一元的に行う国産のゼロトラスト・セキュリティ製品です。1か月間の概念実証に対応しており、通信制御や不正検知が自社環境にあうかを検証できます。
Okta Workforce Identity
- リソースへのアクセスに必要な認証と認可を実施
- エンドポイントやネットワークセキュリティなどとも連携が容易
- ユーザーライフサイクル管理、APIへのセキュアなアクセスを提供
Okta Japan株式会社が提供する「Okta Workforce Identity」は、従業員のIDを一元管理し、業務システムやクラウドサービスへのアクセスを制御する製品です。無料トライアルを利用して、シングルサインオンやユーザー管理、認証時の操作性を確認できます。複数のサービスに分散したID管理を見直したい企業の候補です。
SeciossLink(セシオスリンク)
- シングルサインオンであらゆるサービスに連携
- IDの一元管理で業務効率化
- FIDO認証や証明書認証などの多要素認証で認証を強化
株式会社セシオスが提供する「SeciossLink(セシオスリンク)」は、シングルサインオンや多要素認証、ID管理、アクセス制御をまとめて利用できるクラウドサービスです。無料トライアルでは、利用中のクラウドサービスとの連携や認証方法、管理画面の使いやすさを検証できます。認証基盤とID管理を一体的に整備したい企業に向いています。
AppGuard
- 定義ファイル不要の「OSプロテクト型」
- 未知・既知を問わず、高度なサイバー攻撃による侵害を未然に防止
- 端末に対して悪いコトをさせず、「攻撃の無効化」を実現
DAIKO XTECH株式会社が提供する「AppGuard」は、マルウェアの種類を判定するのではなく、端末上で不正な動作を制御するOSプロテクト型のセキュリティ製品です。30日間の無償トライアルがあり、業務端末への導入方法や既存環境への影響を確認できます。端末を起点とした防御を強化したい企業に適しています。
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ゼロトラスト・セキュリティの無料利用に関するFAQ
ゼロトラスト・セキュリティの無料利用を検討する際に、よくある疑問をまとめました。無料版を本番環境で利用できるか、どの機能から試すべきかなどを確認し、自社での検証計画に役立ててください。
- Q1:無料版だけでゼロトラストを実現できますか?
- 無料版だけで、ゼロトラストに必要なすべての対策を実現するのは難しい場合があります。ゼロトラストは、ユーザー認証や端末管理、アクセス制御、ログ監視などを組み合わせる考え方です。まずは自社の課題に関係する機能を試し、不足する領域を有料製品や既存の仕組みで補いましょう。
- Q2:無料プランを本番環境で利用してもよいですか?
- 提供元が本番利用を認めており、自社の利用人数やセキュリティ要件を満たす場合は利用できます。ただし、ログの保存期間やサポート、サービス品質の保証を確認してください。停止時の影響が大きい業務では、有料プランを含めて比較することが重要です。
- Q3:最初にどの機能を試すべきですか?
- まずは、多要素認証やシングルサインオン、社内システムへのアクセス制御から試す方法があります。利用者と対象システムを限定し、正常な接続と拒否すべき接続が想定どおりに処理されるか確認しましょう。
- Q4:無料トライアルで確認すべき項目は何ですか?
- 管理画面の操作性や利用者の認証手順、既存サービスとの連携、接続速度、ログの見やすさを確認します。あわせて、導入支援や問い合わせ対応、トライアル終了後の設定やデータの扱いも確認してください。
- Q5:無料版と有料版はどのように比較しますか?
- 料金だけでなく、利用人数や必要機能、ログ保存期間、サポート、運用工数を比較します。無料版を使い続けるために手作業が増える場合は、有料版へ切り替えたほうが総費用を抑えられる可能性もあります。
まとめ
ゼロトラスト・セキュリティは、無料プランや無料トライアルを利用することで、認証やアクセス制御、リモート接続などを検証できます。ただし、利用人数や外部連携、ログ保存、サポートには制限があるため、本番運用では自社の要件を満たすか確認が必要です。
まずは対象部署やシステムを絞って試し、検証結果をもとに必要な機能を整理しましょう。複数製品の対応範囲や料金、支援体制を効率よく比べたい方は、ITトレンドから資料請求して比較してください。



