従業員規模によってクラウドメールの選び方が変わる理由
クラウドメールは規模を問わず利用できますが、必要な機能や管理の負荷は従業員数によって変化します。まずは小規模企業と中規模企業それぞれで確認したい条件を整理します。
10名前後の小規模企業で確認したい基本条件
従業員10名程度の企業では、情報システム部門を専任で置いていない場合があります。設定作業を最小限に抑えられるか、初期費用や月額料金が予算に見合うかを確認することが選定の出発点になります。
例えば、管理画面の操作が直感的で、マニュアルを見ながら担当者が自分で設定できる製品であれば、外部への設定代行を依頼せずに導入を進められる場合があります。サポート窓口への問い合わせ方法もあわせて確認しておくと、運用開始後の不安を減らせます。無料トライアルやオンラインマニュアルの有無も、小規模企業にとっては導入判断の材料になります。
30名から50名規模に適した管理機能の考え方
30名から50名程度になると、部署ごとにメールの利用状況が異なってきます。部署単位でのアカウント管理や、退職者・異動者のアカウント整理を効率化できるかが検討軸になります。
この規模では、管理者が複数のアカウントをまとめて設定・変更できる機能があると、担当者の作業負担を抑えられる場合があります。あわせて、迷惑メールフィルタの精度や容量の上限も、部署ごとの利用実態にあわせて確認しましょう。営業部門と管理部門で添付ファイルの利用頻度が異なる場合は、部署単位で容量やオプションを調整できるかも確認すると安心です。
100名前後の企業でのクラウドメール導入の進め方
従業員が100名前後になると、複数部署にまたがる導入プロジェクトとして進める企業が増えてきます。運用体制と移行手順の両面から準備を進めることが求められます。
100名規模で必要になる運用体制
100名規模では、情報システム部門やIT担当者が中心となり、部署ごとの窓口担当を決めて運用ルールを周知する体制が必要になる場合があります。全社に一斉展開する前に、一部の部署で試験的に運用を始める方法も選択肢になります。
試験運用の期間中に、迷惑メールの検知状況やモバイル端末からの利用感を確認しておくと、全社展開後のトラブルを減らせる場合があります。運用ルールはマニュアル化し、担当者が代わっても引き継げるようにしておくことも重要です。試験運用の対象部署を選ぶ際は、メール利用量の多い部署と少ない部署の両方を含めておくと、幅広い利用状況を確認できます。
導入時に整理しておきたい移行手順
既存のメールサーバーからクラウドメールへ移行する場合、過去のメールデータやアドレス帳の移行方法を事前に確認する必要があります。移行期間中に送受信が滞らないよう、並行運用の期間を設ける方法も検討しましょう。
移行スケジュールは、繁忙期を避けて計画することが望ましいといえます。ベンダーによっては移行支援のメニューを用意している場合があるため、対応範囲を事前に確認しておくとスムーズです。移行後にメールが届かないなどの不具合が起きた場合に備え、旧環境への切り戻し手順もあわせて準備しておくと安心です。
300名以上の大規模組織で求められるアカウント管理機能
従業員が300名を超える組織や上場企業では、大量のアカウントを一括で管理できるか、内部統制の観点から操作ログを確認できるかが重要な検討項目になります。
大量アカウントを扱う際の設定・権限管理
アカウント数が多くなるほど、一人ひとりの設定を手作業で行う負担は大きくなります。CSVなどでアカウントをまとめて登録・変更できる機能や、部署ごとに管理者権限を分けられる機能があるかを確認しましょう。
権限設定を誤ると、本来アクセスできないはずの情報が閲覧できてしまう場合があります。権限の付与ルールをあらかじめ定め、定期的に見直す運用を組み込むことが望ましいといえます。人事異動が多い時期は権限変更の申請が集中しやすいため、申請から反映までの流れを簡素化しておくと担当者の負担を抑えられます。
上場企業で意識したい内部統制やログ管理
上場企業では、メールの送受信履歴や設定変更の操作ログを一定期間確認できることが、内部統制の観点から求められる場合があります。監査対応を見据えて、ログの保存期間や出力形式を確認しておきましょう。
ログ管理の仕組みは製品によって範囲が異なるため、必要な項目が標準機能に含まれるか、追加のオプションが必要かを事前に確認することが重要です。情報システム部門と監査担当部門が連携して要件を整理する進め方も有効です。監査時に求められる項目をあらかじめリスト化しておくと、必要なログが不足していないかを早い段階で確認できます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でクラウドメールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
グループ会社を横断して管理する際の考え方
複数の法人やドメインを持つグループ企業では、各社ばらばらにメール環境を運用するよりも、一元的に管理できる仕組みを検討することで運用負担を抑えられる場合があります。
複数法人・複数ドメインの一元管理
グループ会社ごとに異なるドメインを使っている場合でも、1つの管理画面から複数ドメインのアカウントをまとめて管理できる製品があります。管理者を分けたい場合は、法人ごとに管理権限を切り分けられるかも確認しましょう。
一元管理を導入する際は、既存の運用ルールが法人ごとに異なるケースが多いため、事前にすり合わせを行う必要があります。統一ルールを作る過程で、各社の担当者を巻き込みながら合意形成を進めることが望ましいといえます。合意形成に時間がかかる場合は、まず共通で守るべき最低限のルールから決め、段階的に統一範囲を広げる進め方も選択肢になります。
権限分掌とセキュリティポリシーの統一
グループ会社を横断して管理する場合、どの担当者がどの範囲まで設定変更できるかを明確にしておくことが重要です。権限が曖昧なままだと、意図しない設定変更が行われる可能性があります。
セキュリティポリシーについても、パスワードの強度や多要素認証の要否などをグループ全体で統一しておくと、法人ごとの管理水準のばらつきを防ぎやすくなります。定期的な見直しの機会を設けることも検討しましょう。子会社によって情報システム部門の体制が異なる場合は、統一ルールの運用支援を親会社側が担う形も検討に値します。
企業規模が拡大する際に見直すべき運用ポイント
企業の成長にあわせてアカウント数が増えていくと、導入時の設定のままでは運用が追いつかなくなる場合があります。規模拡大を見据えた見直しのタイミングを整理します。
アカウント増加に伴うコストと運用工数
アカウント数が増えるほど、月額料金だけでなく、設定変更や問い合わせ対応にかかる工数も増加する傾向があります。契約プランがアカウント数の増加に対応できるか、追加費用の体系もあわせて確認しておきましょう。
運用工数を抑えるためには、申請から設定変更までの手順をテンプレート化しておく方法が有効な場合があります。あわせて、担当者が退職や異動をしても引き継げるよう、手順書を整備しておくことも重要です。複数人で運用を分担できる体制にしておくと、特定の担当者に依存せずに対応できる場合があります。
規模拡大を見据えた製品選定の視点
導入時点の従業員数だけでなく、数年後の増員計画も踏まえて製品を選ぶことが望ましいといえます。アカウント数の上限や、他システムとの連携範囲が拡張できるかを確認しておくと、将来的な移行の手間を減らせる場合があります。
製品によって拡張性の考え方は異なるため、契約前にベンダーへ将来的なプラン変更の可否や条件を確認しておくと安心です。複数の製品を比較しながら、自社の成長スピードに合う製品を検討しましょう。増員のペースが読みにくい場合は、最小契約単位が小さく、必要に応じてアカウントを追加しやすい料金体系かどうかも確認材料になります。反対に増員が緩やかな見込みであれば、大口契約による単価の下がり方も比較検討の材料になります。
企業規模別に検討したいクラウドメールサービス
ここまで解説した企業規模ごとの検討ポイントを踏まえ、小規模企業から大規模組織まで幅広い規模で導入実績のあるクラウドメールサービスを紹介します。自社の従業員数や運用体制にあわせて比較検討する際の参考にしてください。
KAGOYA MAIL
- ユーザー数無制限の月額定額制!圧倒的なコストパフォーマンス
- 安全運用が可能!メール運用に伴うセキュリティ対策をカバー
- 専門知識は不要!シンプル設計で誰でも使える
カゴヤ・ジャパン株式会社が提供する「KAGOYA MAIL」は、国内データセンターで運用されるクラウドメールサービスです。管理画面からアカウントの追加や設定変更をシンプルな操作で行えるため、専任の情報システム担当者を置きにくい小規模企業でも運用しやすい設計になっています。迷惑メールフィルタやウイルスチェックなどの基本的なセキュリティ機能も備えています。
IIJセキュアMXサービス
- 送受信時に求められる複数セキュリティをワンストップで提供
- メールボックス機能でメールのフルアウトソースを実現
- 独自セキュリティ機能を実装したWebメール
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「IIJセキュアMXサービス」は、法人向けのメールセキュリティサービスです。迷惑メールやウイルスメールのフィルタリングに加え、送受信メールのログを一定期間確認できる機能を備えています。内部統制やログ管理が求められる大規模組織・上場企業での利用に適した製品です。既存のメール環境と組み合わせて導入できる点も特徴です。
Microsoft 365 with IIJ
- Microsoft 365のメールセキュリティを強化
- Microsoft 365とIIJの二重防御でスパム対策
- Microsoft 3655導入についてのお悩みを解消
株式会社インターネットイニシアティブが提供する「Microsoft 365 with IIJ」は、Exchange Onlineを中心としたMicrosoft 365をベースにしたサービスです。IIJのサポートを受けながら利用できる点が特徴です。CSVによるアカウント一括登録や部署ごとの権限設定など、アカウント数が多い組織向けの管理機能を備えており、グループ会社を横断した運用にも対応しやすい構成になっています。
BIGLOBEクラウドメール (ビッグローブ株式会社)
- 1IDでメールアドレス1つ無料。
- メールボックス容量は5GBです。
- 迷惑メールブロックサービスが無料提供
Microsoft Exchange (日本マイクロソフト株式会社)
- メール、予定表、連絡先、タスク管理を一元化で円滑に業務連携
- クラウド版は自動更新・セキュリティ対応、最新機能利用可。
- オンプレミス版にも対応。自社サーバ運用や既存システム連携も
まとめ
クラウドメールは企業規模によって重視すべき条件が異なります。小規模企業では設定のしやすさ、100名前後では運用体制の整備、300名を超える組織ではアカウント管理や内部統制への対応が検討の中心になります。自社の規模と将来的な拡大計画を踏まえ、複数の製品を比較しながら検討を進めましょう。規模にあった機能を丁寧に見極めることが、無理のない運用負担での導入につながります。


