差分バックアップとは
差分バックアップの概要を見ていきましょう。
すべての更新データをバックアップすること
差分バックアップは、完全バックアップとの差分をバックアップする方式です。例として、以下のケースで考えてみましょう。
- ■5月1日に完全バックアップ
- ■5月5日にデータAを作成
- ■5月6日に差分バックアップ
- ■5月10日にデータBを作成
- ■5月11日に差分バックアップ
5月6日の差分バックアップでは、データAのバックアップが保存されます。続いて、5月11日に差分バックアップする際は、データAとBのバックアップが保存されます。このとき、Bのバックアップだけが作成されるわけではない点に注意しましょう。
復元のスピードが速い
差分バックアップは、復元時に読み込むデータが完全・差分バックアップの2種類で済むため、時間がかかりません。
先ほどの例で5月15日にデータを復元する場合、読み込むデータは5月1日・5月11日のものだけです。5月6日に保存した差分バックアップは5月11日のバックアップに含まれているため、読み込む必要はありません。
バックアップの容量が大きく時間がかかる
差分バックアップでは、初回の完全バックアップからの差分をすべてバックアップ対象とします。つまり、完全バックアップから時間が経つほど、1度の差分バックアップで保存するデータの容量が大きくなります。徐々に処理時間が長くなるので気をつけましょう。
また、同じ理由でバックアップ先の容量の消費が大きくなる点にも要注意です。定期的に古いバックアップデータを削除しましょう。
その他のデータバックアップ方法
差分バックアップ以外のバックアップ方法を見ていきましょう。
増分バックアップ
増分バックアップとは、前回のバックアップとの差分を保存する方式です。初回の完全バックアップとの差分ではない点に注意しましょう。例として、以下のケースで考えてみましょう。
- ■5月1日に完全バックアップ
- ■5月5日にデータAを作成
- ■5月6日に増分バックアップ
- ■5月10日にデータBを作成
- ■5月11日に増分バックアップ
5月6日の増分バックアップでは、データAのバックアップが保存されます。そして、5月11日の増分バックアップでは、データBのみバックアップされます。差分バックアップの場合はAとBの両方を作成するため、増分バックアップのほうが容量が小さく済むのが特徴です。
ただし、増分バックアップを復元する際は大量の保存履歴をさかのぼる必要があり、時間がかかります。保存が速いのが増分バックアップ、復元が速いのが差分バックアップといえるでしょう。
フルバックアップ
フルバックアップは、すべてのデータをバックアップすることです。時間がかかるうえ、バックアップ先の容量を大きく圧迫するでしょう。サーバの処理にも時間がかかるため、ほかの業務に影響が出るかもしれません。毎回フルバックアップを行うのは非効率的です。
しかし、差分バックアップの場合も増分バックアップの場合も、初回はフルバックアップする必要があります。そのほか、重要性の高いデータを完全な形で保存したい場合にも用いられます。
フル・差分・増分の使い分けポイント
フルバックアップは、初回のバックアップや重要性の高いデータの保存に用いられます。逆に、それ以外のケースではほとんど採用されません。日常的なバックアップは差分・増分バックアップのいずれかになります。
差分バックアップが適しているのは、世代管理を手動で行っている場合です。最新の世代を復元すれば初回からの増分をすべて復元できるため、時間がかかりません。
一方、増分バックアップは保存や復元の作業を自動化している場合に適しています。この方法の弱点は復元時に大量の履歴をさかのぼる必要があることですが、自動化していればあまり問題になりません。差分バックアップよりも保存時の負担が少ないというメリットだけを享受できます。
差分バックアップを含めて適切な方法でバックアップを行おう
差分バックアップとは、完全バックアップからの差分のみを保存する方法です。以下の特徴があります。
- ■復元速度が速い
- ■一度のバックアップ容量が増えていく
差分バックアップ以外には、増分バックアップとフルバックアップがあります。増分バックアップは前回との差分のみを保存、フルバックアップは全データを保存する方式です。これらの特徴を踏まえ、適切な方法でバックアップを行ってください。