ミラーリングとは

ミラーリングの概要を見ていきましょう。
データを2つのHDDに同時に書き込む仕組み
ミラーリングとは、常に2台のHDDに同じデータを保存して、どちらかが故障してもシステムを安定稼働させられる仕組みのことです。もう一方にデータが残っていれば、故障したものを新しいものに変えるだけで済みます。
HDDのデータ復旧は簡単ではありません。故障の程度にもよりますが、10万円以上かかることも珍しくないでしょう。
ミラーリングであれば、そのような復旧作業の必要はありません。故障前に常に予備を取っておく方式なのでシステムが停止することはなく、コストを抑えて耐障害性を高められます。
RAIDレベルの1つ
RAIDとは「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」の略です。日本語に訳すと「冗長性のある低価格なディスクの配置」となります。つまり、安価な複数のディスクを組み合わせることで、データの安定化を図るという意味です。
データを確実に守るためには、高額な外部メモリを利用するのが一般的です。しかし、ディスクを複数組み合わせることで、価格を抑えてその安定性を実現できます。
外部メモリの価格が下がった現在では、昔ほどのメリットはありません。それでも、ビジネスシーンを中心に、今なお有効な耐障害性を高める方法として知られています。
なお、RAIDはディスクの組み合わせ方などによっていくつかの方式に分けられますが、ミラーリングはそのうちの1つです。
ミラーリングとデータバックアップの違い
ミラーリングもデータバックアップも、万が一に備えてデータの消失を防ぐための方法というイメージがあるので同じものと考える方は多いでしょう。しかし、データ保存のやり方が違います。
ミラーリングは2台のHDDに同じタイミングで同じデータを上書き保存します。片方のHDDが故障した場合にはデータを復元できますが、同じタイミングで同じデータを上書きしているので誤ってデータを改変してしまうと復元できません。
対して、データバックアップはデータを上書きせずに複製して、バックアップをとった時点ごとにデータを保存します。そのため、データを削除してしまっても削除前の時点に戻って復元することが可能です。
つまり、ミラーリングはHDDの故障によるデータ消失を防ぐための方法であり、耐障害性を高める方法なので、データバックアップとはデータ保存のやり方や目的が異なります。操作ミスなどによってデータを削除してしまった場合には効果がないため、データバックアップと併用すると良いでしょう。
ミラーリングの注意点
ミラーリングの場合、どちらか1つのHDDが故障しても、もう片方が稼働していればシステムが停止することはないでしょう。
しかし、一方が壊れた状態のまま使い続ければ、稼働している方も故障してデータを失うおそれがあるので気をつけましょう。一方のHDDが壊れた時期を目途に、HDDを交換するのが賢明です。
ミラーリングの特徴を踏まえて最適な備えを!
ミラーリングとは、2つのHDDに同じデータを保存することです。片方のHDDが故障してもシステムは停止することなく稼働できます。したがって、耐障害性を高める方法として有効です。データバックアップの方法としてミラーリングを利用するケースもあるようですが、データが上書き保存となってしまうのでバックアップとしては機能しないでしょう。
データを守り、システムを安定して稼働させたいなら、ミラーリングとデータバックアップを併用するのが望ましいといえます。それぞれの特徴を理解して、万が一に備えましょう。