ミラーリングとは
「ミラーリング」とは、2台以上のハードディスク(HDD)やSSDに、同じデータをリアルタイムで同時に書き込む技術です。鏡(ミラー)のようにまったく同じ状態を複製することから、この名前がついています。
主な目的は、システムの可用性を高めることです。万が一、片方のHDDが故障しても、もう片方が稼働を続けるため、システムを停止させることなく業務を継続できます。
ミラーリングの仕組み
ミラーリングでは、データの書き込みや更新が発生すると、瞬時にすべてのディスクに同じ内容が反映されます。これにより、常に複数のディスクが同一の状態に保たれます。
この仕組みによって、ハードウェア障害に強いシステムを構築できます。サーバーやNAS(Network Attached Storage)などで広く利用されており、事業継続計画(BCP)の観点からも重要な技術の一つです。
RAID1の基礎知識
ミラーリングは、複数のHDDをまとめて1つのドライブのように認識させる「RAID(レイド)」という技術の一種です。特に、ミラーリングは「RAID1」というレベルに該当します。
RAIDにはほかにも、処理速度を向上させる「RAID0(ストライピング)」や、速度と耐障害性のバランスがとれた「RAID5」などのレベルがあります。それぞれに特徴がありますが、データの完全な複製による冗長化を目的とする場合は、RAID1(ミラーリング)が用いられます。
ミラーリングのメリット・デメリット
ミラーリングの特性を理解するために、メリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット:システム停止を防げる(BCP対策)
最大のメリットは、高い耐障害性を実現できることです。HDDの物理的な故障が発生しても、システムは停止しません。もう一方の正常なディスクで稼働を続けられるため、業務への影響を最小限に抑えられます。
24時間365日稼働が求められるサーバーなどでは、この可用性の高さが事業継続において重要な役割を果たします。
デメリット:コスト増・データ破損も同期される
デメリットとしては、まずコストが挙げられます。常に2台以上のディスクが必要になるため、1台で運用する場合に比べて導入コストが増加します。
また、前述のとおり、人的なミスやウイルス感染によるデータ破損からはデータを守れません。あくまでハードウェア障害への備えであり、データそのものを過去の状態に戻す機能はないことを理解しておく必要があります。
ミラーリングとデータバックアップの違い
ミラーリングとバックアップは、データを複製するという点で似ていますが、その目的や得意な場面が根本的に異なります。両者の違いを理解するために、関連する用語である「クローン」も交えて比較表にまとめました。
| 項目 | ミラーリング(RAID1) | バックアップ | クローン |
|---|---|---|---|
| 目的 | システムの可用性向上(止めない) | データの保全(復旧する) | ストレージの複製(移行する) |
| データ更新のタイミング | リアルタイム(即時同期) | 定期的(スケジュール設定) | 任意の一時点 |
| 復旧できるトラブル | ストレージの物理故障 | データ破損・誤削除・ウイルス感染 | ストレージの物理故障・システム移行 |
| 復旧スピード | 瞬時(自動切り替え) | 時間を要する(データ転送が必要) | 時間を要する(データ転送が必要) |
目的の違い
ミラーリングの主な目的は「可用性の確保」です。これは、システムを停止させずに稼働し続ける能力を指します。例えば、サーバーのHDDが1台故障しても、もう1台のHDDが即座に処理を引き継ぐため、業務への影響を最小限に抑えられます。
一方、バックアップの目的は「データの保全」です。何らかの理由でデータが失われたり破損したりした場合に、過去の正常な状態に復旧させることを目指します。あくまでデータを「元に戻す」ための備えであり、システムの無停止稼働を保証するものではありません。
復旧できるトラブルの違い
ミラーリングが効果を発揮するのは、HDDの経年劣化や初期不良といった「物理的な故障」です。片方が壊れても、もう片方にまったく同じデータが残っているため、システムは動き続けます。
しかし、ミラーリングは「論理的な障害」には対応できません。例えば、誤ってファイルを削除したり、ランサムウェアによってデータが暗号化されたりすると、その変更は即座にもう一方のHDDにも同期されてしまいます。つまり、破損したデータが複製されるだけで、正常なデータは失われてしまうのです。
このような論理障害からデータを守るのがバックアップの役割です。バックアップは特定の時点のデータを別媒体に保存しておくため、データが破損する前の状態に復元できます。
クローン(複製)やイメージバックアップとの違い
クローンとは、OSやアプリケーション、各種設定を含め、ストレージの中身を丸ごと別のストレージに複製する作業です。主に、古いHDDから新しいSSDへシステム環境をそのまま移行する際に利用されます。ミラーリングと違い、一度きりの作業であり、リアルタイムでの同期は行いません。
また、バックアップ手法の一つに「イメージバックアップ」があります。これは、OSなどを含めたシステム全体を一つのファイル(イメージファイル)として保存する方法です。特定の時点のシステム状態を丸ごと保存する点でクローンと似ていますが、イメージバックアップは定期的に取得し、複数の世代を管理できるのが特徴です。
以下の記事では、おすすめのデータバックアップサービスを紹介しています。あわせて参考にしてください。
データを確実に守るにはミラーリングとバックアップの併用が必須
ミラーリングとバックアップの特性をふまえると、企業のデータを守るためにはどちらか一方を選ぶのではなく、両者を組み合わせた対策が不可欠です。
- ●ミラーリング:ハードウェア障害によるシステム停止を防ぐ
- ●バックアップ:人的ミスやウイルス感染時にデータを復旧する
この2つを組み合わせることで、ハードウェア障害とデータ破損の両方のリスクに備えられます。日々の業務はミラーリングで止めないようにし、万が一のデータ消失にはバックアップで対応する、という多層的な防御が重要です。
ITトレンドでは、多様なバックアップ製品を取り扱っています。実際に、多くの担当者が導入検討時に資料請求を行っており、効率的に比較検討を進めています。「どのシステムが自社に合うのか分からない」「費用感をまとめて知りたい」といった場合でも、複数製品の情報を一括で閲覧・比較できるため、スムーズに候補を絞り込めます。
自社に合うバックアップ製品の選び方
バックアップ製品を選ぶ際は、自社の環境や要件を明確にすることが大切です。例えば、以下の点を考慮するとよいでしょう。
- ●バックアップ対象(サーバー、PC、クラウドサービスなど)
- ●データ量と増加予測
- ●復旧にかかる時間や頻度
- ●運用コストや管理の手間
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まとめ
ミラーリングとは、2つのHDDに同じデータを保存することです。片方のHDDが故障してもシステムは停止することなく稼働できます。したがって、耐障害性を高める方法として有効です。データバックアップの方法としてミラーリングを利用するケースもあるようですが、データが上書き保存となってしまうのでバックアップとしては機能しないでしょう。
データを守り、システムを安定して稼働させたいなら、ミラーリングとデータバックアップを併用するのが望ましいといえます。それぞれの特徴を理解して、万が一に備えましょう。



