組み込みソフトウェアとは?
組み込みソフトウェアは何に搭載されているのでしょうか。また、組み込みソフトウェアはどんな機能を持つソフトウェアなのでしょうか。以下で詳しく解説します。
組み込み機器内で動作するソフトウェアのこと
組み込みソフトウェアは、ある用途・機能に特化した組み込み機器に搭載されます。組み込み機器の内部に搭載された電子回路などが組み込みソフトウェアにあたります。
なお、組み込み機器には、録画・撮影に特化したデジタルカメラや、映像を映し出すことに特化したテレビなどがあります。
必要最低限の機能をもつハードウェアに組み込まれる
組み込み機器は限られた用途・目的を果たすものです。そのため、組み込みソフトウェアの機能も限られます。つまり、必要最小限のソフトウェア・ハードウェアで構成されることにより、低コストでの提供が実現します。
一方、パソコンはさまざまな機能を実現できる汎用性が高い機器です。多くの機能をこなすために搭載されるCPUも高機能なものになります。そのため、組み込み機器と比べると高価になるのは否めません。
組み込みソフトウェア開発の特徴
組み込みソフトウェア開発は通常のソフトウェア開発と異なる特徴があります。ここでは、組み込みソフトウェア開発に見られる2つの特徴を解説します。
一般的にC言語などを使って開発する
C言語は「CPU」や「メモリ」などを動かすために使用される言語です。
CPUやメモリなどを動かすには機械言語と呼ばれる「アセンブリ」で命令を出す必要があります。しかし、アセンブリでプログラミングすると特定のCPUにしか命令を出せません。
一方、C言語は複数のCPUに命令できて処理速度も高速なため、リアルタイムで制御を行う必要がある組み込みソフトウェア開発に最適です。そしてアセンブリと同等の処理が行えるため、多くのOSやシステムがC言語やC++で開発されています。
なお、現在でもアセンブリは開発現場で使われており、必要性が低いわけではありません。また、C言語のほかにはJavaも組み込みソフトウェアによく使われます。
開発環境と動作環境が異なる
組み込みソフトウェア開発はパソコンで行います。パソコン上でプログラミングやデバッグを行いながら、プログラムを作成します。
開発したプログラムは組み込み機器に移設し、組み込み機器上で動作の検証を行い、その結果をパソコン上に表示させるのです。組み込み機器の動作・制御のため、ICEやJTAと呼ばれる機器を利用してパソコンと通信します。
このように開発環境と実行環境が異なる開発をクロス環境と呼び、組み込み開発で一般的に見られる方法です。
組み込みソフトウェア開発に必要なこと
組み込みソフトウェア開発の特徴を見てきましたが、開発においてほかに何が必要なのでしょうか。必要とされる2つの知識・技術を解説します。
プログラミングに関する知識や技術
組み込みソフトウェアでハードウェアの制御を行うため、プログラミングスキルは必須です。プログラムが正確に記述されていないとハードウェアは動きません。障害にも対応できる臨機応変さも求められ、幅広い知識と経験が必要になるでしょう。
組み込みソフトウェア開発で主に使用される言語はC言語とアセンブリ言語です。この2つの言語を習得できれば、組み込みソフトウェア開発に問題なく臨めるでしょう。
コンピュータや電子基板に関する知識や技術
組み込みソフトウェアはさまざまな家電や電子機器に搭載されているため、開発にはそれらに関する知識や技術が必要です。
組み込みソフトウェア開発と並行して、電子基板の設計も行います。電子基板には限られたスペースしかなく、必要な機能を搭載するには豊富な知識と経験が求められます。
ほかにも、組み込み機器に搭載する機能の検討も行います。IT技術は日々進化し続けるため、家電や電子機器に関する最新の知識が欠かせません。市場を読み解くスキルがあれば、今後どのような機能が必要とされるか考える際に役立つでしょう。
組み込みソフトウェアを理解し、開発の幅を広げよう
最低限の機能を搭載した組み込み機器に、組み込みソフトウェアが搭載されます。組み込み機器として、デジタルカメラや電子レンジなどが挙げられます。
組み込みソフトウェアは開発環境と動作環境は異なり、開発には主にC言語を使用します。開発にはプログラミングの知識や技術だけでなく、コンピュータ・電子基板に関する知識や技術も必要です。以上のポイントを理解して、製品開発の幅を広げましょう。