開発ツールの要件が規模で変わる理由
開発ツールは、ソフトウェア開発の工程を支える仕組みの総称です。タスクや課題の管理、ソースコードの管理、テストやリリースの記録などを扱います。まず、規模によって何が変わるのかを押さえておきましょう。
規模とともに変わる条件
開発に関わる人数が増えると、同時に扱うプロジェクトの数、管理する課題の件数、関係する部署の範囲が広がっていきます。管理の対象が増えるため、必要な権限設定や情報の見せ方が変わってきます。
もう一つ変わるのが、ツールを管理する側の体制です。少人数のチームでは開発者が兼任で設定を行うことが多く、規模が大きくなるほど専任の担当や運用のルールを整える必要が出てきます。機能の多さだけでなく、管理を担える体制もあわせて考えることが求められます。
人数だけで判断しない考え方
同じ人数でも、開発の進め方や扱う情報によって求められる水準は変わります。受託開発で顧客ごとに情報を分ける必要がある場合、少人数でも細かい権限設定が必要になることがあります。
また、取引先や親会社から一定の管理体制を求められている場合は、その要件が判断の基準になります。まずは自社が管理したい対象と、外部から求められている条件を書き出しましょう。人数はあくまで目安の一つと考え、実際の条件に置き換えて比較することが大切です。
少人数のチームで確認したい条件
開発者が10名から30名程度のチームでは、専任の管理担当を置かないことが多く見られます。この規模では、導入と運用にかかる手間をどこまで抑えられるかが検討の中心になります。
導入と運用にかかる手間の見積もり
開発ツールは導入して終わりではなく、プロジェクトの追加やメンバーの入れ替えにあわせて設定を見直す作業が続きます。兼任の担当者が対応する場合、この作業にどれだけ時間を割けるかを先に見積もっておきましょう。
確認しておきたいのは、プロジェクトを1つ新しく作るまでの手順と、メンバーを追加するまでの操作数です。デモやトライアルで実際に試すと、資料だけでは分からない負担が見えてきます。設定を他のプロジェクトから複製できる機能があると、立ち上げのたびに一から設定する手間を減らせます。
無料プランと有料プランの線引き
開発ツールには、一定の人数や容量までを無料で使える製品があります。少人数のうちは無料の範囲で足りることもありますが、どこから有料になるかを把握しておく必要があります。
確認しておきたいのは、無料で使える人数の上限、保存できる容量、利用できる機能の範囲です。あわせて、上限を超えた場合にどうなるかも聞いておきましょう。データが読み取り専用になる、機能が制限されるなど扱いは製品によって異なります。人数が増える見込みがあるなら、その時点での費用も試算しておくと安心です。無料の範囲で試してから判断できる製品であれば、実際の使い勝手を確かめたうえで有料プランへ移る進め方も選べます。
中規模のチームで確認したい条件
開発者が50名から100名程度になると、複数のプロジェクトが並行し、関わる部署も広がります。誰にどこまで見せるかという整理が必要になる点が、この規模の特徴です。
権限設定と情報の見せ方
プロジェクトが増えると、すべての情報を全員に見せる運用では支障が出る場合があります。プロジェクトごとに閲覧できる範囲を分けられるか、役割に応じて編集の可否を変えられるかを確認しておきましょう。
受託開発を行っている場合は、顧客の情報が別の案件の関係者から見えない構成にできるかが重要になります。権限を細かく設定できるほど管理の手間は増えるため、自社の体制で維持できる粒度かどうかもあわせて判断することをおすすめします。
複数プロジェクトの並行管理
同時に進むプロジェクトが増えると、全体の状況を把握することが難しくなります。複数のプロジェクトを横断して進捗や課題の件数を確認できる画面があるかを確かめておきましょう。
あわせて、メンバーが複数のプロジェクトを兼務する場合の扱いも確認します。担当している作業を一覧で確認できると、負荷の偏りに気付きやすくなります。集計の条件を保存して繰り返し使えるかも、定例の確認にかかる時間に関わる項目です。
記録の蓄積と引き継ぎ
規模が大きくなると、担当者の異動や交代が起こります。過去の経緯を後から追える状態にしておくと、引き継ぎにかかる時間を減らせます。
課題のやり取りや決定の理由を記録として残せるか、過去のプロジェクトを検索できるかを確認しておきましょう。あわせて、記録の保存期間や、終了したプロジェクトの扱いも確かめておきます。データを出力して別に保管する運用ができるかも、長期の管理を考えるうえで役立ちます。出力できる形式と項目の範囲は製品によって異なるため、契約前に確かめておくと安心です。
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大規模開発やグループ全体で確認したい条件
開発者が300名を超える組織や、複数の会社をまとめて管理する場合は、動作の速さと運用ルールの統一が課題になります。規模が大きいほど、設定のばらつきが生じやすくなる点にも注意が必要です。
動作の速さと同時利用への対応
登録する課題の件数や同時に使う人数が増えると、画面の表示に時間がかかる場合があります。公開されている性能の目安は測定の条件が製品ごとに異なるため、単純な比較はできません。
確認したいのは、自社の実際の規模に近い条件での動作です。想定する課題の件数と同時利用者数を伝えたうえで、検証の機会を設けられるか相談しましょう。件数が増えた状態での一覧表示や検索の速さは、日々の作業時間に直結するため確かめておくことをおすすめします。
拠点をまたぐ運用ルールの統一
拠点やチームごとに設定を行うと、課題の分類方法や進捗の呼び方がばらつき、全体の状況を比べにくくなります。共通の設定をまとめて適用できる仕組みがあるかを確認しておきましょう。
あわせて、チームごとに例外の設定が必要な場合に、その範囲だけを変えられるかも確かめます。すべてを同じ設定にすると業務に支障が出るチームもあるため、共通の方針と個別の調整を両立できる構成が求められます。変更の履歴を確認できるかも、管理を続けるうえで役立ちます。
監査や報告への対応
上場している企業やグループ全体を管理する場合、開発の進め方や変更の経緯を説明する場面が定期的に発生します。求められる記録の内容と保存期間を確認し、製品側で対応できるかを確かめておきましょう。
監査で確認される項目は、業種や取引先との契約によって異なります。まず自社に求められる要件を整理し、その内容を各社へ同じ形で質問すると回答を比較できます。判断が難しい部分は、監査部門や外部の専門家とあわせて確認を進めることをおすすめします。
規模にかかわらず確認したい条件
ここまで規模ごとの条件を見てきましたが、どの規模でも共通して確認しておきたい項目があります。導入後に使い続けられるかに関わる部分です。
既存ツールとのつながり
開発ツールは単体で完結せず、ソースコードの管理やビルドの自動化、チャットでの連絡といった仕組みと組み合わせて使われます。現在使っているツールとつなげるかを確認しておきましょう。
標準の連携が用意されている相手であれば設定作業だけで済む場合があります。用意されていない場合はAPIによる接続が候補になりますが、開発の工数や保守の担当を確保する必要があります。つなぎたい相手を一覧にして各社へ同じ内容で質問すると、対応の差を比較しやすくなります。連携が止まった際に管理者へ通知されるか、失敗した処理を再実行できるかもあわせて確かめておきましょう。
費用の見積もり方
費用は、利用する人数、保存する容量、選ぶプランによって変わります。規模が大きくなるほど人数による部分の比重が増える傾向があります。
見積もりを比較する際は、想定する利用者数、プロジェクト数、必要な機能を同じ条件で各社へ伝えましょう。条件をそろえると、プラン構成の違いによる金額差を把握できます。人数が増えた場合の扱いや、契約期間と更新時の条件もあわせて確認しておくことをおすすめします。
規模にあわせて選べる開発ツール
チームの人数や開発の対象にあわせて構成を選びやすい製品を集めました。少人数での立ち上げから、部門をまたぐ開発まで検討の材料としてご覧ください。
楽々Framework3
- EOL(サポート終了)を気にせず長く使える開発基盤
- 部品活用で高品質・標準化されたシステム開発
- 開発から運用保守まで支え、継続改善と内製化を実現
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Framework3」は、業務システムを開発するためのWebアプリケーション開発基盤です。画面や帳票、データベース処理といった業務アプリに共通する部分をあらかじめ用意し、設計情報をもとに生成する仕組みを備えています。開発の作法をそろえられるため、担当者が入れ替わっても保守を引き継ぎやすい構成を目指せます。基幹系の業務システムを自社で作り込みたい企業の選択肢になります。
JUST.DB
- 【完全ノーコード×生成AI】マウス操作と"ことば"でシステム開発
- 【多彩な標準機能】高い拡張性により、全社DXをJUST.DB1つで実現
- 【同時ログインライセンス】全社展開してもコストを抑制
株式会社ジャストシステムが提供する「JUST.DB」は、業務アプリケーションをノーコードで作成できるクラウド型のサービスです。表計算ソフトで管理していた業務データをもとに、入力画面や一覧、集計を画面上の操作で組み立てられます。プログラムを書かずに構築できるため、情報システム部門に専任の開発者がいない企業でも着手しやすい構成です。部門ごとの小さな業務から段階的に広げる使い方も検討できます。
Magic xpa Application Platform
- 【クロスプラットフォーム】ワンソース・マルチデバイス
- 基幹業務システムの運用基盤としてグローバルで40年の実績
- 【超高速開発!】CやJavaの10倍の開発生産性
マジックソフトウェア・ジャパン株式会社が提供する「Magic xpa Application Platform」は、業務アプリケーションを短期間で開発するためのローコード開発基盤です。画面や処理をあらかじめ用意された部品の組み合わせで定義でき、作成したアプリケーションをパソコンやモバイル端末など複数の環境へ展開できます。開発の規模が広がった際にも同じ基盤で作り続けられる点が検討の材料になります。
GitHub (ギットハブ・ジャパン合同会社)
- 自由にデータを改変できるフォーク機能
- プルリクエストで上質なプログラムへカスタマイズ
- マージ機能で迅速なバージョンアップ
GitLab (GitLab合同会社)
- DevOpsのライフサイクルを導入
- マネジメント機能でシステム全体を可視化
- 豊富な機能で製品開発を徹底サポート
Visual Studio (日本マイクロソフト株式会社)
- あらゆるソフト開発の基盤を担う万能ツール
- 高性能な診断能力で不具合を瞬時に解明
- 分散型コード管理システムと併用して機能性を向上
まとめ
開発ツールの選定では、人数を目安としながらも、並行するプロジェクトの数、権限を分ける必要性、扱う情報の性質に置き換えて条件を整理することが大切です。少人数では運用の手間、中規模では権限と記録の管理、大規模では動作の速さとルールの統一が焦点になります。自社の条件を整理したうえで、資料請求により対応範囲を確かめ、比較検討を進めてみてください。

