最大のメリットはコスト削減!
紙の帳票(帳簿と伝票:帳簿書類※のこと)を電子化することによる一番のメリットは、コスト削減が叶うということです。帳票の出力に必要とされていた用紙代が削減できることはもちろん、インクやトナーといったプリンタ関連の消耗品代も不要なります。
伝票(請求書や領収書)など、出力した帳票の一部は取引先に届ける必要がありましたが、電子データをネットワークを介してやりとりできるようになれば、郵送代も必要ありません。取引先が多い業態では大きなコスト削減になります。
また、その保管コストについても劇的に削減できます。税法では7年※、商法では10年と、長期の保管が法令によって義務づけられてきた紙文書。多くの企業がその保管に大きなコストを費やしてきました。PCの中にデータの形で保管する電子帳票であれば、倉庫などの補完スペースは事実上、不要となります。
社会全体がエコロジーを目指すなか、紙を削減し、輸送や保管といった作業を省くことでCO2排出削減を実現できる帳票電子化は、大きなメリットがあります。電子帳票システムを導入することは、企業にとっても環境への取り組みをアピールする、良い材料となります。
※「帳簿」と取引等に関して作成又は受領した「書類」(伝票など)を併せて「帳簿書類」という
※平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長
出典:国税庁「帳簿書類等の保存期間及び保存方法」 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5930.htm
電子データならではの機能で業務効率化
文書の「保管」だけに目を向けると、紙から電子データへの移行にすぎない電子帳票システムですが、電子データを活用することで、業務上の大きなメリットが生まれます。
これまで、必要な書類を探し出すためには、「保管場所に赴き」「該当ファイルを探し出し」「書類の束を1枚ずつ、めくって目当てのものを見つけ出す」という手順が必要でした。もちろん、この手順を実現するためには、書類作成時に適切なファイリングと保管がなされていることも前提です。
電子化された書類では、検索機能を用いて該当書類を瞬時に見つけ出すことができます。電子帳票の「検索性」は、帳票の管理業務に圧倒的なスピードをもたらします。
電子帳票をネットワークでやりとりすることにより、発送の手間と時間を削減できるという点も、業務を大きくスピードアップさせます。数百枚、場合によっては数千枚の帳票を印刷、封入、宛名書き(宛名ラベル貼り)する作業は、月末や月初など短い期間に集中することもあり、非常に大きな負担となっていました。
また、帳票を郵送でやりとりしていたこれまでの方法では、発送から到着まで数日間のタイムラグがありました。ネットワークを介して即時に送ることができる電子帳票システムであれば、このようなタイムラグを発生させることはありません。これにより、帳票送信後の対応まで含む業務全体を短期化することが可能になります。
こうした業務効率化を一歩進めた例に、生保・損保業界のある企業があります。電子帳票システムによるワークフロー機能を活用したこの企業では、これまで1ヶ月以上かかっていた契約書発行までの期間を半分以下に短縮することに成功しました。顧客の満足度も向上させることができたのです。
アクセス制限やバックアップ作成でリスクマネジメント強化
電子帳票システムでは、帳票へのアクセス制限を容易に設定できるのもメリットです。これまで、重要度の高い文書は金庫に保管するなどの必要がありましたが、ユーザーIDによるアクセス制限で、簡単に権限を管理できるようになります。また、こうした制限は閲覧に限るものではなく、印刷、編集、削除など、さまざまな操作について制限をかけることができるのです。
さらに、電子帳票のアクセスログを活用することで、「誰が」「いつ」「どんな」操作を行ったかが一目瞭然となります。トラブルが発生した際でもその原因を容易に追跡することが可能となるのです。帳票データへのアクセス制限やログ保存などの機能は、情報保全の観点から企業のリスクマネジメント強化につながります。
地震や火災といった災害リスクに対しても、電子帳票システムは大きなメリットを持っています。膨大な紙文書を非常時に持ち出すことは、現実的には困難です。しかし、電子データであれば、普段からバックアップを作成して分散管理をしておくことができ、緊急時にも速やかに事業を再開させることができるのです。
電子帳票システムを導入することにより、コスト削減はもちろん、業務効率化やリスクマネジメント強化など、企業にとってさまざまなメリットが得られます。法令も整った今こそ、電子帳票システムの導入を考えるのに好機であるといえるのです。