eNPSとは?指標の基本を理解する
eNPSはEmployee Net Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤルティを測るNPSを従業員向けに応用した指標です。まずは言葉の意味と、なぜ推奨度という切り口で測るのかという基本の考え方を押さえましょう。
eNPSの意味と推奨度で測る考え方
eNPSは「あなたは現在の職場を親しい友人や知人にどの程度すすめたいですか」という問いに、0から10の11段階で答えてもらい、その回答を集計する指標です。単なる満足の有無ではなく、他者にすすめられるかという踏み込んだ視点で職場への信頼度を測る点に特徴があります。
人に自社をすすめる行為には、給与や制度だけでなく、仕事のやりがいや人間関係、将来への期待など複数の要素が反映されます。そのため推奨度は、従業員が組織に抱く総合的な気持ちを一つの数値で捉えやすく、経営や人事が現状を共通認識として持ちやすい指標だといえます。
従業員満足度・エンゲージメントスコアとの違い
従業員満足度は待遇や職場環境に対する満足の度合いを測るのに対し、eNPSは他者への推奨という行動意欲まで踏み込んで測る点が異なります。満足していても他者にはすすめない場合があり、eNPSはより深い愛着や貢献意欲を映し出します。
エンゲージメントスコアは仕事への熱意や組織への貢献意欲を多面的に評価する指標で、eNPSはその一部を端的に表す位置づけです。両者は対立するものではなく、eNPSで全体傾向をつかみ、詳細な設問で要因を深掘りするという組み合わせが実務では有効です。目的に応じて使い分けましょう。
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eNPSの計算方法とスコアの読み解き方
eNPSは回答者を三つのグループに分け、割合の差から算出します。ここでは分類の基準と具体的な計算式、そして算出した数値をどう読み解けばよいかを、日本企業の傾向も踏まえて説明します。
推奨者・中立者・批判者への分類
0から10の回答は、9から10を付けた人を推奨者、7から8を中立者、0から6を批判者の三つに分類します。推奨者は職場に強い愛着を持ち周囲にも良い影響を与える層で、批判者は不満や不信を抱え離職につながりやすい層と位置づけられます。
中立者は現状に大きな不満はないものの、積極的にすすめるほどではない層です。この三分類により、単純な平均点では見えにくい従業員の温度差を可視化できます。特に批判者の割合と、その背景にある理由を把握することが、後の改善に向けた出発点となります。
スコアを求める計算式と手順
eNPSは「推奨者の割合(%)から批判者の割合(%)を引いた値」で求めます。仮に推奨者が30%、批判者が40%なら、30から40を引いてマイナス10がスコアです。理論上はマイナス100からプラス100の範囲を取り、数値が高いほど組織への推奨意欲が強い状態を示します。
手順としては、まず全回答を三分類し、それぞれの人数を集計します。次に推奨者と批判者の割合をそれぞれ算出し、その差を計算します。中立者は計算式に直接は含めませんが、批判者へ傾くか推奨者へ育つかを左右する層のため、割合の推移を継続して観察することが大切です。
日本企業の平均値とマイナスになりやすい理由
日本企業のeNPSはマイナスの値になりやすい傾向が知られています。これは日本の回答文化として中央付近の点数を選びやすく、推奨者に該当する9や10が付きにくいことが一因です。マイナスであること自体を過度に問題視する必要はありません。
重要なのは絶対値の高低よりも、自社の数値を継続して測り、時間の経過や部署ごとの差を比較することです。前回より改善したか、特定の部署だけ低くないかといった相対的な変化に注目すると、施策の効果や課題の所在を判断しやすくなります。業界の傾向も参考にしながら解釈しましょう。
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eNPS調査の質問設計と実施手順
eNPSを有効に活用するには、中心となる推奨度の設問だけでなく、理由を掘り下げる工夫や実施方法の設計が欠かせません。ここでは質問の組み立て方から実施頻度、回答を集める際の配慮までを解説します。
中心設問と理由を尋ねる自由記述
調査の軸は推奨度を問う中心設問ですが、数値だけでは背景がわかりません。そのため「その点数を付けた理由は何ですか」という自由記述をあわせて用意し、従業員が感じている具体的な要因を言葉で集めることが重要です。
自由記述で得られた声は、批判者が何に不満を抱えているのか、推奨者が何を評価しているのかを知る貴重な材料です。設問を増やしすぎると回答負担が高まり回答率が下がるため、中心設問と理由の記述を基本形とし、必要に応じて職場環境や上司との関係など少数の補助設問を加える構成が扱いやすいでしょう。
実施頻度と匿名性の確保
eNPSは一度きりの調査ではなく、定期的に測定して変化を追うことに価値があります。四半期や半期ごとなど無理のない頻度を定め、同じ設問で継続的に実施すると、施策の前後で数値がどう動いたかを比較できます。頻度は組織の規模や体制に合わせて決めましょう。
正直な回答を引き出すには、匿名性の確保が前提です。回答者個人が特定されると本音が集まりにくくなるため、集計は部署単位などまとまった形で扱い、個人が識別されない仕組みを明示します。安心して答えられる環境を整えることが、信頼できるデータを得る土台となります。
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回答を集める際の周知と工夫
調査を実施しても回答率が低ければ、組織の実態を正しく反映できません。調査の目的や結果の活用方法を事前に丁寧に伝え、従業員が答える意義を理解できるようにすることが回答率の向上につながります。回答時間の目安を示すのも有効です。
また、集めた結果を放置せず、把握した課題にどう向き合うかを従業員へ共有する姿勢も欠かせません。回答が改善につながる実感が持てれば、次回以降の協力も得やすくなります。調査と改善を一続きの取り組みとして設計することが、継続的な実施を支えます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で従業員満足度調査(ES調査)の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
eNPSを高めるための改善アプローチ
eNPSは測定して終わりではなく、数値の背景を読み解き具体的な行動につなげることで価値が生まれます。ここでは批判者への対応と推奨者を増やす取り組みという二つの観点から、改善の進め方を解説します。
批判者の不満要因を特定して手を打つ
スコアを引き下げる最大の要因は批判者の存在です。自由記述や補助設問から、批判者が何に不満を感じているかを丁寧に読み取り、要因を整理します。労働時間や評価制度、上司との関係など、課題は組織によって異なるため、思い込みで判断しないことが大切です。
特定した要因のうち、影響が大きく着手しやすいものから優先して改善します。すべてを一度に解決するのは難しいため、取り組む課題を絞り込み、対応の進捗と結果を次回の調査で確認する流れをつくります。批判者の声を起点に改善を重ねることが、数値の底上げに直結します。
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推奨者を増やし良い体験を広げる
批判者への対応と並行して、推奨者を増やす視点も重要です。推奨者が自社の何を評価しているかを把握し、その良さを他の従業員にも広げられないかを考えます。優れた職場文化や働きやすさの要素を組織全体に展開することが、推奨意欲の底上げにつながります。
また、中立者を推奨者へ育てる働きかけも効果的です。中立者は大きな不満はないため、あと一歩の魅力や納得感があれば推奨側へ動く可能性があります。良い体験を意図的に増やし、従業員が自社を誇れる要素を積み重ねることで、eNPSは着実に改善していきます。
eNPSを継続的に測定・改善する運用の考え方
eNPSの効果を引き出すには、一度の調査で完結させず、測定と改善を繰り返す運用が欠かせません。ここでは単発で終わらせない仕組みづくりと、ツールを活用して運用を効率化する考え方を説明します。
単発調査で終わらせない仕組みづくり
eNPSは継続して測ることで初めて変化が見えます。年に一度だけの調査では、施策の効果や課題の推移を追いにくく、数値が改善したのか悪化したのかを判断できません。あらかじめ実施の時期と担当、結果の共有方法を決めておくと運用が安定します。
測定、分析、改善、再測定という循環を組織の定例業務に組み込むことで、eNPSは一過性の調査ではなく組織を良くする継続的な仕組みへと育ちます。経営層と現場が同じ数値を見ながら対話する場を設けると、改善への納得感も高まり、取り組みが定着しやすくなります。
ツールを使って分析と改善を効率化する
回答の収集や集計、部署別の比較を手作業で行うと、担当者の負担が大きく継続が難しくなります。専用のツールを使えば、回答の自動集計や経時的な変化の可視化、自由記述の整理などを効率化でき、分析にかける時間を確保しやすくなります。
ツールによっては、eNPSに加えてエンゲージメントを多面的に測る機能や、改善のヒントを示す支援機能を備えるものもあります。自社の体制や測りたい範囲に合わせて必要な機能を見極め、無理なく続けられる仕組みを選ぶことが、継続的な運用を支える助けになります。
eNPSの測定・改善に役立つ製品
eNPSを本格的に運用するなら、測定から分析、改善支援までを担うツールの活用が現実的です。ここでは従業員エンゲージメントの測定に対応した製品を紹介します。自社の目的や体制に合うかどうかを、資料などで確認しながら検討してください。
Wevox
- 月額9万円〜全機能利用可能!初期費用・契約期間の縛りなし。
- AIサポートや他社比較など、データの分析に役立つ機能が豊富。
- 実名閲覧やセキュリティ設定、活用支援...多様なオプションあり
株式会社アトラエが提供する『Wevox』は、短時間で回答できるパルスサーベイを通じて従業員エンゲージメントを可視化するツールです。eNPSという調査手法を用いて組織の状態を測定し、回答結果はリアルタイムで自動集計されます。エンゲージメントを複数の指標に分けて表示するため、組織の特徴や課題を把握しやすい設計です。蓄積したデータの分析やAIを活用した改善サポート機能も備え、測定から次の一手までを支援します。
EmotionTechEX (株式会社エモーションテック)
- 従業員の声分析によるEX改善策の提案。
- NPS®︎を用いた従業員満足度調査
- 専門チームが伴走し、EXマネジメントを継続支援。
まとめ
eNPSは、従業員が自社を親しい人にどの程度すすめたいかを数値化し、組織への愛着や信頼を測る指標です。推奨者と批判者の割合の差で算出し、従業員満足度やエンゲージメントスコアとは測る視点が異なります。日本企業ではマイナスになりやすいため、絶対値より継続的な変化に注目することが大切です。質問設計や実施方法を工夫し、批判者の不満と推奨者の評価の双方に向き合いながら測定と改善を繰り返すことで、組織の状態は着実に良くなります。運用を続けやすくするためにも、自社に合ったツールの活用を検討してみてください。


