CS・ESとは
「CS」と「ES」は、何を表す指標なのでしょうか。どちらも「満足度」を指しますが、対象が異なります。内容をしっかりと理解しておきましょう。
CS:顧客満足度とは
「CS(Customer Satisfaction)」は、顧客満足度を指します。商品・サービスを顧客が利用した際の満足度を指標化したものです。
顧客の購買行動は商品・サービスの品質や価格、企業への信頼度など、複数の要素から成り立ちます。商品・サービスに満足すればリピーターとなり、第三者にも購入を勧めるかもしれません。さらに、企業への信頼度が増すと、他の商品・サービスの購入に至ることもあります。つまり、CSの向上は企業にとってさまざまな好循環をもたらすのです。
CSは、アンケートを実施して商品・サービスの満足度を数値化します。なお、CSは「知覚水準(商品・サービスの満足度)」と「期待水準(商品・サービスへの期待度)」のバランスが大切です。知覚水準が期待水準を上回ったときこそ、CSは向上するのです。
ES:従業員満足度とは
「ES(Employee Satisfaction)」は従業員満足度を指します。業務内容や職場環境、人間関係などに対する従業員の満足度を指標化したものです。これが高いと従業員のモチベーションアップだけでなく、企業の業績アップにもつながります。なぜなら、最適な職場環境は従業員のパフォーマンスを向上させ、商品・サービスの品質や生産量の向上につながるからです。
ESはさまざまな項目から満足度を評価します。調査時の項目は以下のとおりです。
- 【職場環境】
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- 【業務内容】
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- 【人間関係】
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2023.09.08
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CSとESの関係性と違い
従業員が最適な職場で高いモチベーションを維持して業務に臨めば、それだけ質の良い商品・サービスを顧客へ提供できます。それを購入した顧客は品質の高さなどに満足し、同商品・サービスをリピートするでしょう。また、商品・サービスの良さは口コミとして広がり、顧客の創出へとつながります。
その結果、企業の業績は向上して給与や福利厚生の改善を図れます。この流れが上手く継続すれば、企業は好調な業績を維持し続けることが可能になるでしょう。
このように、CSとESは業績アップの鍵を握る、いわば車の「両輪」みたいなもので双方が常に揃っていないといけません。
CSとESの違い
CSとESは満足度の測り方に違いがあります。CSは顧客満足度として数値として指標化が可能ですが、ESは数値化で測れないため、従業員によって回答が異なります。
CSは、商品やサービスに対して顧客がどのくらい満足しているかを指標化したものです。
サービスの品質や、価値、企業に対する信頼性も含まれています。例えば顧客に「商品が満足か?」と質問をしたら満足か満足ではないかのどちらかになるため、判定が明確です。
ESは、給料や福利厚生だけではなく、従業員がどの程度今の職場に満足しているかを指します。ESはCSと異なり判定が明確ではないため、回答があいまいになりやすいです。例えば「今の職場は満足ですか?」と質問されると回答に迷ってしまう従業員の方が多いでしょう。
ESを施策につなげる場合は、意見しあえる環境づくりと、会社側と従業員側の終着点の擦り合わせが大切です。
したがってCSとESは、満足度の測り方に違いがありますがお互いに深く関係しています。従業員が満足した状態で仕事に取り組むことにより、サービス向上につながるのです。
ES低下のリスク
従業員のESが低下すると、以下のようなリスクが起こる可能性が高くなります。従業員のモラルの低下や会社の業績不振に繋がります。
ESによって一度業績が低下してしまうと、さらに低下する可能性が高くなります。自社の現状を定期的に見直しながら重要度と優先度を検討しましょう。
■顧客満足度の低下
■勤務態度の悪化
■モラルの低下
顧客満足の低下
ESの満足度の低下によって、不満を抱えた従業員が増えてしまうため顧客満足度が下がってしまいます。
会社へ貢献しようという意識が下がっているため、顧客対応やサービスを向上しようという気持ちが薄くなってしまうからです。結果として、顧客からの依頼が減少し、競合他社に乗り換えられることが想定されます。
勤務態度の悪化
勤務態度が悪化して、業務自体が停滞してしまいます。業務が滞ると、周囲にも伝染してしまい悪循環がおきるからです。
「他の人がやっているからいいや」と周りに影響されてしまうと、いざ注意されたときに「どうして自分だけ注意されないといけないのか」と不満が募ります。
したがって、1度従業員の勤務態度が悪化してしまうと、改善までに多くの時間を要します。
モラルの低下
従業員の勤務態度が悪化してしまい「このままで問題ない」といった意識のままでいると、不正が起こる可能性があります。
顧客の個人情報や社内機密の漏えい、ハラスメントが横行するなど、会社にとって大きな損害につながるからです。取り返しがつかないほどの最悪な事態を避けるために、ESの低下を防ぐ必要があります。
ESを向上させる方法
ESを向上させるためには、待遇の改善や会社のビジョンを共有するなど、社員が働きやすくなるための環境調整が必要です。3つの方法をそれぞれ紹介しますので、参考にしてみてください。。
福利厚生を整える
福利厚生が充実していると、従業員は企業から大切にされていると感じやすいです。特に、衣食住に関する金銭的な補助はES向上に効果的です。制服の支給や家賃補助、食堂の併設などは生活費の削減につながり、従業員から喜ばれます。生活の基盤が整うことで仕事への意欲が向上し、業務の質がアップするでしょう。
ビジョンの共有をする
従業員が企業のビジョンを認識すると、企業の一員である自覚や、連帯感が生まれやすいです。帰属意識にもつながり、納得して仕事に取り組めるようになるため、ESの向上にも効果的です。
そこで、トップダウンでビジョンの共有を行い、従業員の意識改革に努めてください。そして、ビジョンを部署やチーム単位にまで落とし込みましょう。業務の目的が明確になれば従業員のモチベーションアップが見込めます。
なお、ビジョンの共有は従業員に強制してはいけません。強制してしまうと「やらされている感」が強くなり、従業員は負担を感じやすいからです。そうなるとESが低下してしまい、ビジョン共有そのものがデメリットになるため注意しましょう。
コミュニケーションを促進する
コミュニケーションの活性化は人間関係を円滑に保ち、モチベーションの向上につながります。企業のコミュニケーション量が少なく、殺伐とした職場環境ではビジョンの共有も困難でしょう。
そこで、社内SNSを利用したりフリーアドレス制を導入したりして、コミュニケーションの基盤作りに努めてください。上司や部下の垣根を超えたコミュニケーションが可能になれば、働きやすい職場環境の構築につながるからです。さらに、世代を超えたコミュニケーションにより、新たな「気付き」に出会えるかもしれません。
限られた部署やチームでは気付けなかった新しいものの見方に触れられ、ESの向上が期待できます。
またESが向上したか確かめる方法として、従業員満足度調査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
仕事内容や人間関係、労働環境や待遇に、従業員が満足しているかを調査します。調査を導入することで組織力の強化や業績の向上につながるため、実施する企業が増えています。
下記の記事では実際に従業員満足度調査サービスを比較しています。気になる方は確認してみてください。
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ES・CSについて理解し、まずは労働環境の改善を!
ESは従業員満足度を、CSは顧客満足度を表す指標です。双方の関係性は深く、CSの向上にはESの向上が欠かせません。そんなESを向上する方法は以下のとおりです。
- ■福利厚生の整備
- ■ビジョンの共有
- ■コミュニケーションの活性化
ES・CSの違い・関係性を正しく理解し、CSを向上させるためにもまずは労働環境の改善に努めましょう。