電子カルテの普及率
近年、医療現場において電子カルテの普及率が向上しています。しかし、無床クリニックや大病院など、規模によって普及率の違いがあるでしょう。ここでは、普及率の推移や普及状況について解説します。
電子カルテ普及状況の推移
電子カルテ普及状況の推移について、厚生労働省が調査をし発表しています。令和2年の電子カルテの普及率は、一般病院では57.2%の普及率です。平成29年に比べ普及率が向上し、約半数を超えています。病床規模別の普及状況は、400床以上で91.2%、200~399床で74.8%、200床未満では48.8%です。規模が大きい病院では、ほとんどの医療機関で電子カルテを利用しています。一般診療所の電子カルテ普及率は49.9%で、大規模病院と比べ、小規模の病院や無床診療所の電子カルテ普及率は半数を下回っています。しかし、平成29年以前と比べると確実に普及率は向上しているといえるでしょう。
参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省
電子カルテが普及しない理由
小規模な病院や無床クリニックでは、電子カルテの普及率があがっているものの半数程度です。普及率が上がらない理由としては、システム導入コストがネックといえます。従来の電子カルテは、院内にサーバーや専用機器を設置する必要がありました。電子カルテ導入には、システム構築も含め多大なコストがかかります。
また、電子カルテはメンテナンスや法改正によるバージョンアップ、システム障害時の対応など、運用に大きな手間が発生します。電子カルテ運用の担当者が必要なため、人員の確保が困難な点も普及しない理由のひとつでした。
しかし近年では、クラウド型電子カルテなど導入コストが安価で、メンテナンスも院内で実施しなくてもよい製品が登場しています。そのため、小規模な病院や無床クリニックでも電子カルテの導入が加速すると考えられるでしょう。
電子カルテの課題
電子カルテは、運用やコストの負担が大きな課題といわれています。ここでは、電子カルテの課題と解決に向けた取り組みを紹介します。
運用負担が大きい
電子カルテは、スムーズな業務ができるように運用しなければいけません。定期的なメンテナンスやシステムバージョンアップが求められます。また、万が一システム障害が発生した場合は、対応する必要があります。システム停止などのトラブルが発生してしまうと、さまざまな業務に影響を及ぼすでしょう。そのため、電子カルテの運用負担は大きく大変といわれています。
しかし近年では、メンテナンスやバージョンアップ、トラブル対応なども提供会社において実施する製品が増加傾向にあります。専門知識も不要で、電子カルテの運用における負担は大幅に軽減されているといえるでしょう。
コストがかかる
電子カルテの導入コストは、製品購入費用やサーバー構築代など高額な場合が多く、小規模な医療機関では導入が困難でした。また、電子カルテに対応したパソコンなど端末導入費もあわせて発生します。費用対効果が予測しづらく、コスト面は課題です。
しかし、クラウド型電子カルテなどでは、初期費用が安価で既存のパソコンを利用できる製品が多く登場しています。無料プランのある電子カルテもあるため、少額なコスト負担で利用できます。
検索機能が弱い
従来の電子カルテでは、情報量が多いため、必要な内容を確認したい時に見つけられないケースがありました。
近年の電子カルテは、検索機能が強化されているため、情報を探しやすいといえます。ふせん機能では、重要と判断した情報にタグ付けが可能です。AI(人工知能)が搭載された製品では、学習機能でよく利用する文章や処置内容を登録できます。
情報漏れの危険性がある
カルテに入力されている情報は個人情報が多く、流出の不安がありました。データの消失におけるリスクもあるでしょう。情報漏えいの課題解決のために、電子カルテの提供会社では、セキュリティ対策の強化をしています。国際規格のセキュリティ対策を取得している電子カルテなどもあるため、従来に比べ安心して利用ができるでしょう。
電子カルテ導入のメリット
電子カルテは、現場での課題に対して対策している製品が多く登場しています。電子カルテを導入すると、情報の管理や業務効率はもちろん、診療の精度向上などさまざまな効果を実感できるでしょう。ここでは、電子カルテ導入のメリットを紹介します。
情報共有の円滑化
電子カルテの導入でペーパーレス化されるため、物理的な管理が不要になるでしょう。必要な情報の確認の際は、カルテを探しに行かなくとも検索するだけで閲覧できます。また、転院の場合などでは、患者の症状や処置履歴を他の医療機関とスムーズな共有が可能です。
診療内容の精度向上
電子カルテの活用で、患者の診断・処置内容を正確に把握できます。治療履歴をひとつの画面に表示させながら診察できるため、丁寧な診療につながるでしょう。紙カルテの場合は、劣化で読みにくい場合や膨大な診療履歴をすべて確認するのは困難な場合もあります。電子カルテの活用で、スピーディーで適切な処置が実現するため、診療精度が向上するでしょう。
業務の効率化
電子カルテの導入でカルテ作成が効率化します。紙カルテの場合、詳細情報を漏らさず記録するには、整理しながら手書きで対応するため、時間を要するでしょう。また、カルテの劣化や記入の仕方が担当者により異なるなど、読解が困難なケースもあります。電子カルテは、用意されたテンプレートへ入力やよく使用する言葉などを活用できるため、簡単にカルテ作成が可能です。また、誰が作成しても読みやすいといえます。電子カルテの活用は、情報整理の時間が大幅に短縮できるため、業務効率化につながるでしょう。
電子カルテは、他にもさまざまな機能によりメリットがあります。以下のページでは、製品の特徴を比較しているため、電子カルテ導入の参考にしてください。
課題を克服した電子カルテが登場している
近年では、新型コロナウイルスの流行により在宅医療やオンライン診療の需要が増加傾向にあります。インターネット環境があればどこでも利用できるクラウド型電子カルテは、在宅医療に最適です。電子カルテはタブレット端末で利用できる製品も多く、紙カルテの持ち出しや、往診先で記入をする必要はありません。
また従来の電子カルテでは、コストや運用負担の課題が問題視されていました。しかし、近年の電子カルテは、初期導入費用が安価で、メンテナンスやアップデートも提供会社が対応している製品も多くあります。電子カルテ運用担当者の人員を配置する必要がないため、小規模な病院や無床クリニックでも、利用しやすいといえるでしょう。
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自院にあう電子カルテ導入で効果的な活用をしよう
電子カルテは、コストや運用の負担が大きく、情報の検索やセキュリティ面などさまざまな課題がありました。そのため、小規模な医療機関では電子カルテの普及が進みませんでした。しかし近年は、安価なコストでメンテナンスも対応し、情報を管理しやすい電子カルテが多く登場しています。在宅医療のニーズが高まっているため、今後普及率はさらに向上するでしょう。
さまざまな電子カルテがありますが、自院にあう製品を導入すれば、業務の効率化が実現します。電子カルテの特徴を比較し、業務改善に役立ててください。