電子カルテとレセコンの違い
レセコンと電子カルテの違いとしてまず挙げられるのは、主にシステムを利用する人が誰なのかという点です。医師や医療スタッフを対象にしているのが「電子カルテ」であり、会計スタッフを対象にしているのが「レセコン」です。対象者によって、システムの内容も以下のように異なります。詳しく見ていきましょう。
電子カルテとは
電子カルテとは、従来紙カルテで管理していた情報を電子化するシステムです。紙カルテの情報だけでなく、看護記録や検査画像など、診療に必要なデータをまとめて管理します。また、保存した情報をもとに紹介状や診断書を作成するなど、医療事務をサポートする機能も搭載されています。病院やクリニックの規模によって適した製品があり、新規開業時には必ずといっていいほど導入されているのが現状です。
また、電子カルテを導入するメリットは次のとおりです。
- ●情報検索や入力作業などの業務効率化
- ●保管場所が不要になる
- ●文字の視認性があがり意思疎通が円滑になる
実際に導入した医院の声を聞くと、「カルテを複数名が同時に見られるようになった」「スタンプを押すように入力が素早く的確にできる」など利便性や業務効率化向上の声が多く挙がっています。
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watch_later 2021.06.03
電子カルテとは?紙カルテの違いやメリット・デメリットを解説
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レセコンとは
レセコンとはレセプトコンピュータの略称で、レセプトを作成するソフトウェアのことです。レセプトとは、診療・治療内容をもとに算出した診療報酬を記した明細書です。
もともとレセプトの作成は、高度な知識と計算が求められる煩雑な作業でした。そのため、医療現場におけるIT化が始まってからまもなく誕生したのがレセコンです。複雑な計算と明細書の作成をコンピュータが行うことで、医療事務の業務は大幅に円滑化しました。今ではレセコンの普及率は95%と、ほとんどの医療機関や薬局が導入しています。
また、レセコンを導入するメリットは次のとおりです。
- ●診療報酬の自動計算など、受付業務を効率化できる
- ●レセプト作成業務の負担軽減
- ●記入データを自動で点検し、ミスを防ぐ
レセプトの作成を電子化すると業務の負担を軽減できます。例えば、続紙の貼付や編綴が不要になるでしょう。また、レセコンはミスの防止にも役立ちます。人が計算するよりも正確なうえ、必要事項の記入漏れなどはシステムが自動で点検します。そのほか、診療報酬の制度改定に自動で対応するシステムも存在し、制度が改定するたびにスタッフが手を煩わせることはありません。
したがって、会計業務の効率化を行いたいならレセコンを、医師の診察業務を中心に患者情報管理の効率化を行いたいのなら電子カルテの導入が必要です。
参考:レセプト請求形態別の請求状況(令和3年7月診療分)|社会保険診療報酬支払基金
電子カルテとレセコンは連携させるとより効果的
どちらも単体で使えるシステムですが、多くは連携して使われたり、最初から一体型となっています。それは、相互に連携していれば受付から診療、会計業務までの情報を一元管理できるからです。例えば、レセプト作成時にあらためてカルテの情報を入力する必要がなくなります。そのほか、データの変更や追加も一度で済むでしょう。
また電子カルテやレセコンの導入を検討する際には、まず電子カルテから決めることをおすすめします。電子カルテは製品によって連携できるレセコンが限定されているためです。また、レセコンはデータ移行がしやすいため、開業後別のレセコンに変更するのも比較的容易でしょう。
電子カルテ・レセコン一体型システムのおすすめ製品
電子カルテとレセコンが一体型となっていると、情報の整合性が保ちやすく、メンテナンスもしやすいので、新規開業時に多く導入されています。ここでは一体型システムのおすすめ製品を紹介します。製品はすべて無料で資料請求できるので、比較のうえ自社にあうものを検討してください。
《Medicom-HRf》のPOINT
- 豊富な機能のカスタマイズでクリニック独自のオリジナルカルテ
- 一体型の強みを生かした各種チェック機能が充実
- 全国展開かつ地域密着で安心のサポート体制
電子カルテ・レセコンシェア1位のPHC株式会社が提供する「Medicom-HRf」は、レセプトチェック機能を搭載した無床クリニック向けの電子カルテです。シンプルな画面設計なのでカルテの操作性を重視する医師におすすめです。さまざまな提供形態にも対応し、利用環境にあわせた利用や緊急時の切替が可能で、全国に販売代理店と保守サービス会社があり、業界最高レベルのサポート体制が整っています。
提供形態 |
パッケージソフト / ハードウェア / サービス / オンプレミス / クラウド |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《CLINICSカルテ》のPOINT
- 【グッドデザイン賞受賞】ORCA内包型電子カルテで事務作業を削減
- オンライン診療と連携「患者とつながるカルテ」
- SSL暗号化通信+証明書認証により安心・安全のセキュリティ
「CLINICSカルテ」は株式会社メドレー提供の無床クリニック向けのクラウド型電子カルテです。ORCA(日医標準レセプトソフト)を内包しています。「患者とつながる史上初の電子カルテ」として、予約システムやオンライン診療との連携を強化し、患者のもつアプリと検査結果や予約データの共有が可能です。また、国際標準規格に適合するISMSクラウドセキュリティ認証を取得。堅牢なシステムで安心して利用できるでしょう。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
初期費用有料 基本料金月額40,000円(5年契約の場合) |
《BrainBoxCloud》のPOINT
- データ分析・予測が可能なAI INSIGHT機能搭載
- 一目で患者の状態が把握できる診察パネル搭載
- 医薬品データベースMDbankVⅢ搭載(歯科対応不可)
株式会社ユヤマのクラウド版電子カルテ「BrainBoxCloud」は、無床クリニックに適しています。院内にサブサーバを設置して、万が一の障害時にも通常どおり行えるのが特長です。 診察の待ち時間などの予測が行える「AI INSIGHT機能」や医薬品データベースとの連携機能があります。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《BrainBoxVⅢ》のPOINT
- シンプルも多機能も両対応したインターフェース
- 各種医療データを取り込んで診察の精度をアップ
- 医薬品データベースを参照して処方箋に潜むリスクを軽減
「BrainBoxVⅢ」は株式会社ユヤマ提供のパッケージソフト型電子カルテで、無床クリニックに適しています。簡単操作に定評のある独自のインターフェース「ユヤマ・キーパッド」が特徴です。レセプト会計システムと一体になっているため、日々の会計業務やレセプト作成も安心でしょう。また、医薬品の関連データベースと連携できるのも魅力の一つです。
提供形態 |
パッケージソフト / ハードウェア |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
製品・サービスのPOINT
- シンプル画面で入力カンタン!操作方法も短時間で習得可能
- 受付・診察・会計、すべての業務が行える完全一体型システム
- データは3箇所保存で安心!障害時でもカルテの参照や印刷が可能
アイネット・システムズ株式会社が提供する「AI・CLINIC(エーアイ クリニック)」は無床クリニック向けの電子カルテです。受付からカルテの入力や管理、レセプト業務まで効率化する一体型システムです。マニュアルを見なくても簡単に操作できるのが特徴で、機械の操作に不安がある医師におすすめします。所見や病名等をパターン化しているので、スタンプを押す感覚でカルテに入力できます。訪問やオンライン上でのデモで実際の画面を確認することも可能ですので、ぜひ活用してみましょう。
提供形態 |
パッケージソフト / オンプレミス |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《m-KARTE》のPOINT
- 富士通とLSIメディエンスの技術とノウハウを融合
- 診療報酬改定や制度改革にも迅速に対応する万全のサポート
- クラウドを活用したサービスにも対応できる高信頼なシステム構成
「m-KARTE」は株式会社LSIメディエンスが提供する、有床クリニックや在宅診療向けの電子カルテです。オンラインレセプト請求や、レセプト博士NEOエンジンによるレセプトチェックなど、レセコン機能を搭載しています。シンプルで見やすい画面はレイアウトが自在で、利用者に優しいインターフェースも魅力。富士通の技術とノウハウを融合した高信頼のシステム構成で、診療報酬の改定など、システムの仕様変更にも迅速に対応可能です。専門担当員のサポートやリモートメンテナンスも充実しています。
提供形態 |
パッケージソフト / ハードウェア |
対象施設 |
有床クリニック向け / 無床クリニック向け / 在宅向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《Qualis Cloud》のPOINT
- 多機能なのに直感的な使い心地
- 各種システムとの連携も充実
- BMLだからできる、安心のサポート
株式会社ビー・エム・エルが提供する「QUALIS」は、無床クリニック向けのレセコン一体型電子カルテです。リモートアクセスによるサポートで、電子カルテの導入に不安な医師にもおすすめです。ほかにも、障害対策やセキュリティ対策などのサポートも充実しているのが特徴でしょう。また、ログイン者ごとに好みの画面レイアウトを設定でき、画面の見やすさや使いやすさを重視した作りです。
提供形態 |
オンプレミス / クラウド / SaaS |
対象施設 |
無床クリニック向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《blanc》のPOINT
- どこでも使える!在宅訪問時でも院内と同じカルテが利用可能
- クラウドを利用したバックアップでデータ保管も安心!
- 早く・安価に導入可能!サーバー購入や構築もなく素早く導入
「blanc」は、JBCC株式会社提供のクラウド型電子カルテです。オーダーの期間重複チェックや薬剤投与時の禁忌チェックなど、各種チェック機能が充実しているほか、カルテデータから文書の自動作成も可能。さらにクラウド型なので、カルテデータを複数人で共有でき、院内でも訪問先でも活用できます。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
中小病院向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《エムスリーデジカル》のPOINT
- 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
- 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
- 金融機関・政府機関も利用する安全技術
エムスリーデジカル株式会社提供の「エムスリーデジカル」は、最新のテクノロジーを活用した電子カルテです。全患者の学習を反映したり、よく使う処置行為のリストがあらかじめセットされたりと、AIによる自動学習機能がポイントです。またiPad上にペンで書いた内容がシステムに反映されるので、手書きを好む場合や写真撮影シェーマを使う場合にも活用しやすいでしょう。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
ー |
参考価格 |
一体型:月額19,800円、ORCA連動型:月額9,800円 |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
レセコンと連携できるおすすめ電子カルテ
つづいて、レセコンとの連携が容易な人気の電子カルテを紹介します。
《CLIUS (クリアス)》のPOINT
- 【無料】WEB予約・問診・在宅・オンライン診療全て追加料金なし
- カルテ入力時間を短縮できるUI・UX。初心者でも使いやすい
- iPadでも使える!訪問診療や院内での持ち運びに役立ちます
株式会社Donutsが提供する「CLIUS (クリアス)」は、ORCAと連携したクラウド型電子カルテです。無床クリニック、在宅医療に適しており、ITトレンドの年間資料請求ランキングで1位を獲得している人気製品でもあります。少ない動作で直感的に動作できるのが特長で、グループ医院での利用にも対応できます。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
無床クリニック向け / 在宅向け |
参考価格 |
基本プラン:月額12,000円、初期費用200,000円 セルフ導入プラン:カルテ枚数に応じた課金/月、初期費用0円 |
製品・サービスのPOINT
- クラウド型 導入実績No.1
- 在宅、外来、入院機能を標準搭載
- 医科対応(歯科対応不可) 端末ライセンスフリー
セコム医療システム株式会社提供の「セコム・ユビキタス電子カルテ」はクラウド型電子カルテの中で高い導入実績を誇ります。セキュリティ分野で有名なセコムならではのハイレベルなデータセンターで患者情報を管理できるのが強みです。iPadやiPhoneからのカルテの閲覧・記載も可能です。また、在宅診療や入院診療機能など、診療サービスの追加にも柔軟に対応しています。
提供形態 |
クラウド / パッケージソフト / ASP / サービス |
対象施設 |
中小病院向け / 有症クリニック向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
《セコムOWEL》のPOINT
- クラウド型電子カルテ
- 医科対応(歯科対応不可) 簡単操作
- 在宅クリニック向け機能も充実
「セコムOWEL」はセコム医療システム株式会社提供のクラウド型電子カルテで、無床クリニックや在宅診療といった小規模な施設に適しています。シンプルな画面設計と操作性のよさから、これまで電子カルテの機能を十分に使いこなせなかった方にもおすすめです。また、検査結果の連携やタスク管理機能など、機能が充実しているのも魅力です。約1か月の無料お試し環境を利用できるため、操作に不安のある方でも安心でしょう。
提供形態 |
クラウド |
対象施設 |
無床クリニック向け / 在宅向け |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
▼ほかに、眼科や歯科に特化したレセコンが一体化した電子カルテもあるので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
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【22年最新】電子カルテを診療科目・規模別に比較!口コミも紹介
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電子カルテ・レセコンの連携で、さらなる業務効率化!
電子カルテとレセコンの概要や連携するメリット、一体型の製品を紹介しました。電子カルテとレセコンを連携することで、カルテの作成からレセプトの作成までがシームレスにつながります。人の手を介する作業を自動化するため、業務に必要な労力や時間だけでなくミスも減らせるでしょう。ぜひ、電子カルテとレセコンをうまく活用して、さらなる業務の効率化を目指してみてください。