開業時に電子カルテを導入すべき理由
電子カルテなどのITシステムは導入や維持にかかるコストが大きいので、導入に迷うこともあるでしょう。開業するにあたって資金とのバランスを考えるのは重要ですが、紙カルテで運営した場合はさまざまな問題が発生します。
ここでは、紙カルテで運営した場合の問題を紹介しながら、なぜ電子カルテを導入すべきなのか解説します。
院内設計に大きく関わる
紙カルテの場合、保管に場所をとるだけでなく、個人情報を含むので配置場所にも慎重にならなければなりません。また、紙カルテは探し出すのに時間がかかり、患者の待ち時間に影響する可能性もあります。
電子カルテならカルテの保管に場所をとらないので、設計段階で院内の通路の幅を広くしたり診療室を増やしたり、空間を有効活用できます。さらに、電子カルテはシステム上で管理され検索もしやすいので、診察がスピーディーになるでしょう。
紙カルテから移行する場合は負担が大きい
仮に紙カルテを使った状態で開院した後に電子カルテを導入する場合、フロー変更によるスタッフの負担とコストがかかる可能性を考えておきましょう。紙カルテの情報を読み取る作業とデータベースの設置などを、業務と並行して行う負担は非常に大きいです。そのため、開業前に電子カルテの機能やコストなどを比較し、自院にあったものを調べておくことをおすすめします。
開業医院に合った電子カルテの選び方
電子カルテは、導入する医療機関によって求められる機能は異なり、実際に使う人に合ったシステムでないと効果的な活用には繋がりません。ここでは、電子カルテを選定する際に意識すべきポイントを紹介します。
自院の専門分野についてベンダーが知識を持っているか
院内にITシステムを導入する際、システムの性能だけで判断することは避けたほうが良いでしょう。なぜならば、システム機能自体がいくら高性能でも、医療現場に関する基本や、その病院の専門分野の話が通じないベンダーに、サポートを依頼するのは困難だからです。
例えば、整形外科医院を開業したいのに、内科クリニックにとって便利な院内システムを提案されては困ります。また、導入後にシステムに関するトラブルがあった場合、サポートを依頼しても専門用語が理解してもらえないと、その度に説明が必要になるので対応が遅れてしまうかもしれません。
システムに関して詳しいことは当然ですが、システムの運用担当者が医療に関する専門知識を最低限持っているか、この点が実は電子カルテ導入にあたって重要です。
連携機能を備えているか
特に、部門が複数ある病院では、電子カルテに連携機能が搭載されているか確認しましょう。
基本的に診療・看護・薬局・会計事務という部門から構成されていることが多いです。それぞれの部門で個別に導入しているシステムと電子カルテが対応していることは当然ですが、部門同士の連携機能が充実していない場合があります。
例えば、内科と薬局の連携がうまくできない、あるいは連携順序が適切でないことも考えられます。機能追加などのカスタマイズができても運用開始まで時間がかかることもありますので、事前にデモなどで連携機能を確認し、導入後のトラブルを防止しましょう。
人気の電子カルテをランキングで比較
ここで、ITトレンドでお問い合わせの多い電子カルテ製品をランキング順に紹介します。
CLIUS (クリアス) の比較ポイント
- 無料トライアル&オンラインデモンストレーション受付中
- カルテ入力時間を短縮できるUI・UX。オンライン診療機能あり
- iPadでも操作可能!コストを抑えた柔軟な診療に役立ちます
株式会社Donutsが提供する「CLIUS (クリアス)」はITトレンド2020年上半期ランキング1位にランクインしたクラウド対応の電子カルテです。無床クリニック、在宅医療向けの製品です。
ORCA(日医標準レセプトソフト)と連携しており、受付から診療、会計までを一貫して効率化できます。また、標準搭載の機能で、グループ医院での利用や複数医院をまたがった働き方に対応でき、地域医療との連携も可能です
Medicom-HRf の比較ポイント
- 豊富な機能のカスタマイズでクリニック独自のオリジナルカルテ
- 一体型の強みを生かした各種チェック機能が充実
- 全国展開かつ地域密着で安心のサポート体制
「Medicom-HRf」はPHC株式会社が提供するITトレンド2020年上半期ランキング2位にランクインした無床クリニック向けの電子カルテです。
医療機器や外注検査など、約170社の他社機器と連携が可能です。また、全国120拠点の販売代理店と80拠点の保守サービス会社の常駐エンジニアによるサポートがあるので、万が一トラブルが生じても安心でしょう。
BrainBoxVⅢ の比較ポイント
- シンプルも多機能も両対応したインターフェース
- 各種医療データを取り込んで診察の精度をアップ
- 医薬品データベースを参照して処方箋に潜むリスクを軽減
株式会社ユヤマが提供する「BrainBoxVⅢ」はITトレンド2020年上半期ランキング3位にランクインした高機能ながらシンプルに使うこともできる電子カルテです。無床クリニックに対応しています。
診察で取得したレントゲン画像や、患者の状態を逐次観測したバイタルサインなど、医療に関するあらゆるデータと連携できます。そのほか、医薬品の関連データベース「MDbank」と連携して適切な処方をサポートしてくれます。
BrainBoxCloud の比較ポイント
- データ分析・予測が可能なAI INSIGHT機能搭載
- 一目で患者の状態が把握できる診察パネル搭載
- 医薬品データベースMDbankVⅢ搭載(歯科対応不可)
おなじく株式会社ユヤマが提供する「BrainBoxCloud」はITトレンド2020年上半期ランキング4位にランクインした医事会計一体型のクラウド電子カルテです。無床クリニックに対応しています。
他院での処方管理も連携し、まとめて表示するので、患者の状態をひと目で把握できます。また、院内にサブサーバを設置して同期させることで、障害に備えられるので安心して利用できます。
m-KARTE の比較ポイント
- 富士通とLSIメディエンスの技術とノウハウを融合
- 診療報酬改定や制度改革にも迅速に対応する万全のサポート
- クラウドを活用したサービスにも対応できる高信頼なシステム構成
「m-KARTE」は株式会社LSIメディエンスが提供するITトレンド2020年上半期ランキング5位にランクインした万全のサポート体制が強みの電子カルテです。有床、無床クリニックと在宅医療に対応しています。
専門担当員によるサポートやシステム担当員によるリモートメンテナンスがあるので、はじめての導入でも安心です。見やすさと使いやすさにこだわったユーザーインターフェースも特徴です。診療業務のほか、会計業務、検査支援システムの3つの機能を搭載しています。
最新のランキングは以下から確認できます。新しい製品が随時追加されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
電子カルテ の製品を調べて比較
資料請求ランキングで製品を比較!
今週のランキングの第1位は?
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自院に適した電子カルテの導入を検討しよう
本来、電子カルテシステムそのものは、どの病院も同規格であることが望ましいと言われてきました。なぜならば、医療情報化のメリットは広範囲での情報共有なので、カルテ構成やデータ形式の均質化は、医療情報インフラとなり得るためです。ただ、カルテシステムへのニーズの度合いが違うと規格も異なってきますから、統制を取ることは難しいかもしれません。
それでも、地域ごとにネットワーク・インフラが整備され始めている事例が増え、いい傾向が見て取れます。例えば、地域の中で一番大きい病院と、それ以外の中小病院が規格を合わせ、大規模病院のシステム機能をシェアするという形で運用するという事例などがあります。
救急搬送のたらい回しなどが社会問題とされてきましたが、救急システムの地域連携が実現すれば、最短最速での救急対応で多くの命を救えるかもしれません。今後の展開に注目していきましょう。