電子カルテとは
電子カルテとは、診療経過やバイタルにくわえ、検査結果や画像、看護記録、紹介状など患者に付随する情報を加えて、電子データとして保存したものです。あるいは、紙カルテを電子化してデータベースで管理するシステムを指す場合もあります。電子カルテの導入で、ペーパーレス化やカルテの管理、検索が容易になります。
また、検査結果の取り込みやレセプトの作成など、業務全体が効率化する機能を備えたシステムも多くあります。そのため医師はもちろん、看護師や検査技師、医療事務など複数の関係者が利用できるシステムです。
電子カルテは、厚生労働省が定めた電子保存の3原則「保存性」「真正性」「見読性」を満たす必要があります。 3原則の詳細は以下のとおりです。
- 保存性
- 保存性とは、記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること
- 真正性
- 真正性とは、正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所在が明確であり、故意または過失による虚偽入力、書き換え、消去および混同が防止されていること
- 見読性
- 見読性とは、電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできること
参考:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 5.2版|厚生労働省
電子カルテの普及率
厚生労働省は、医療においてもICTを活用して情報化を推進しています。具体的には、医療分野の情報化に関するガイドラインの整備などを実施しています。2020年の電子カルテの普及率は一般病院で57.2%で、年々普及率が上がっているといえるでしょう。ただ、病床規模別にみると400床以上だと91.2%ですが、200床未満になると48.8%とやや普及率が低い傾向といえます。小規模な病院では、電子カルテの導入コストがネックとのようです。
そこで、経済産業省管轄の「IT導入補助金」を活用すれば、コスト面のハードルは下がるでしょう。IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の課題やニーズにあったITツールを導入して、業務効率化や売上アップを目指す場合に、経費の一部を補助する制度です。医療機関も該当し、助成対象となる電子カルテ製品もあるため、制度を利用した導入の検討もおすすめです。
参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省
参考:IT導入補助金|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
電子カルテの種類
電子カルテには、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類にわけられます。病院の規模や使用用途により適した形が異なるため、特徴をもとに自院にあう提供形態を選択しましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型電子カルテとは、自院でサーバーや専用機器を設置してデータを保存する電子カルテのことです。院内でデータ管理をするため、情報漏えいのリスクが低くカスタマイズもしやすいのがメリットです。
一方で、メンテナンスやアップデートなど運用も自院で実施するため、専門知識のある人員を設置する必要があるでしょう。また、サーバーや専用機器を導入するコストもかかります。
クラウド型
クラウド型電子カルテとは、インターネットを利用して提供会社が用意するサーバーにアクセスして使用する電子カルテのことです。導入コストが安価で、メンテナンスやアップデートも提供会社が実施します。インターネット環境があれば、どこからでも電子カルテを利用できるため、在宅医療にも適しているといえるでしょう。
しかし、インターネット上に患者の情報を保管するため、オンプレミス型と比較し情報漏えいのリスクがあります。十分なセキュリティ対策が求められるでしょう。
近年では、セキュリティ対策が実施されているクラウド型電子カルテも多く登場しています。以下のページでは、クラウド型電子カルテの特徴を比較しているため、ご覧ください。
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電子カルテのメリット
電子カルテの導入により、医師ごとの属人的な管理を防止できるなど、さまざまな効果を得られます。ここでは、紙カルテと比較し、電子カルテを活用するメリットを紹介します。
リアルタイムでの情報を管理できる
電子カルテでは、リアルタイムで情報を参照できる点がメリットのひとつです。紙のカルテの場合、情報の編集や確認する際に膨大な量のカルテを探す時間を要するでしょう。しかし、電子カルテでは検索機能で該当の患者情報を見つけられます。また、診療履歴や処方における情報なども確認できるため、迅速な対応が可能です。
正確に情報を共有できる
電子カルテは、定められた箇所にわかりやすく情報が表示されているため、正確な共有が実現するでしょう。紙カルテの場合、患者の話を聞きながら記入するため、走り書きになり文字が読みにくいケースもあります。看護師や事務員への指示が正しく届かず、ミスの原因になる場合もあります。電子カルテは、誰もが読みやすいため、意思疎通がスムーズでミスの防止につながるでしょう。
カルテ保管場所の削減
電子カルテは、サーバーにデータ保存をできるため保管場所が必要ありません。紙カルテは、長年の診療や患者の増加によりカルテ保管場所を要します。過去の情報を参照したい場合は、膨大な量のカルテから探す必要もあるでしょう。電子カルテの導入により、保管場所の削減が実現します。また、電子カルテ導入前の紙カルテデータを電子化するサービスもあるため、保管スペースは不要です。
文書作成や会計業務を効率化
電子カルテには、テンプレートを利用したカルテの入力補助機能や、処方や注射のオーダー機能などが搭載されている製品が多くあります。また、タブレットなどに紙カルテのように手書きをしてテキストを読み取る機能も搭載された電子カルテでは、パソコンが苦手な医師でも、操作できるため業務負担を軽減します。さらに、日医標準レセプトソフトと連携した電子カルテもあるため、算定漏れといったミスが減り会計業務も効率化するでしょう。さまざまな業務が効率化すると、患者の待ち時間が削減され、診療時間を多くできます。
検査結果の取り込みがしやすい
電子カルテでは、検査会社に検査を依頼した場合、結果をすぐに共有できます。紙カルテの場合は、検査結果が届いてから紙カルテを探し記入しなければいけません。電子カルテシステムに直接取り込むのにくわえ、依頼先に指示を出すのも可能です。
電子カルテには、製品によりさまざまな機能が搭載されています。以下のボタンより気になる製品を無料で一括資料請求できるので、ぜひご覧ください。
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電子カルテのデメリット
メリットが多い電子カルテですが、電子化することでデメリットも生じます。電子カルテのデメリットを把握し、対策を実施することで、効果的な運用が実現するでしょう。
導入から定着するまでの負担
電子カルテを導入しても、自院が使用できるように設定する必要があります。よく処方する薬剤名などをあらかじめ入力することで使用しやすくなりますが、準備が負担となる場合もあるでしょう。また、使い方がわからず慣れるまでスムーズに業務が進まない可能性もあります。紙をベースに実施してきた運用を電子化するには、多くの変更を要するでしょう。
使用しやすい設定においては、サポートサービスを実施している提供会社を選ぶのがおすすめです。また、使用者全員に勉強会や練習の実施をすれば、効果的な運用につながります。
停電時に利用できない
災害発生時など停電時には、電子カルテの利用はできません。自家発電装置を備える病院もありますが、断線や接続不良などシステムダウンする危険性もあります。提供会社には、災害時などの備えや対応方法を事前に確認しましょう。また、紙媒体で対応できる仕組みも準備する必要があります。
セキュリティ対策が必要
ウイルスによる攻撃に気を付けなければならないのはもちろんのこと、内部不正にも注意しなければなりません。カルテをデータ化した場合、USBメモリなどを用いれば簡単に大量のデータを外に持ち出せます。ログの管理やアクセスの制限などのセキュリティを厳重にしましょう。提供会社がどのようなセキュリティ対策を実施しているか、事前の確認が大切です。
コストがかかる
電子カルテの導入や運用には、紙カルテと比較してコストがかかります。変更や機能の追加が必要になった際には、カスタマイズ費用もかかるでしょう。費用対効果を考慮し、初期費用とランニングコストの予算を立てた運用をおすすめします。また、補助金を利用できる場合もあるため、事前に確認しましょう。
紙カルテのメリット・デメリット
紙カルテのメリットは、コストが安い、災害や緊急時に強い点があげられます。電子カルテの運用には、コストがかかりますが、紙カルテは紙とペンさえあれば利用できます。また、電源を必要としないので停電やシステムの故障で使用できないリスクはありません。災害時に強い方法といえるでしょう。
一方で紙カルテのデメリットは、他の人が使用している時に閲覧できない、保管場所が必要といったことがあげられます。また近年では、水害によって紙カルテの汚損や閲覧ができなくなるなどの問題も発生しています。災害に強いとされてきた紙カルテですが、電子カルテで対策を施し運用するのが最適といえるでしょう。
災害やセキュリティ対策など、電子カルテにはさまざまなサービスや機能があります。以下のページでは、製品の特徴を比較しているので、ぜひご覧ください。
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電子カルテの導入方法
電子カルテを効果的に運用するには、適切な導入手順があります。ここでは、電子カルテを導入する方法を紹介します。
1.自院にあう電子カルテシステムを選択
電子カルテには、さまざまな製品がありますが自院にあうシステムの選択が大切です。紙カルテで記載している項目に対応しているか、課題解決につながる機能が搭載されているかなどを確認しましょう。また、初期費用だけではなくランニングコストについても注意が必要です。業務効率化による人件費削減などをふまえ、無理のない支払いができるように予算を立てましょう。
2.電子カルテの研修を実施
便利な機能が搭載している電子カルテを導入しても使いこなせないと効果を発揮できません。また、電子カルテは医師・看護師・医療事務などさまざまな人が使用します。電子カルテを利用するすべての人を対象とした研修会や勉強会の実施をしましょう。また、実際に操作する場も設けて、スムーズな運用ができるようにするのがおすすめです。
3.紙カルテのデータをシステム入力
紙カルテにあるデータをシステムに入力します。スムーズな運用のためにも、現場スタッフが実際に入力するのがおすすめです。紙カルテの量が多くない場合は、一斉に入力作業をしますが、膨大な量がある場合は少しずつ実施します。わけて入力する場合は、通常業務の妨げにならないように目標を定めて作業しましょう。
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電子カルテの導入で業務改善を実現しよう
電子カルテとは、患者のあらゆる情報を電子化して管理するシステムのことです。電子カルテには、リアルタイムで正確な情報を共有・管理でき、紙カルテのような保管場所の確保が不要となるメリットがあります。定着や災害時の不安、セキュリティリスクも考えられますが、適切な対策により効果的な運用が実現するでしょう。
紙カルテはコストがかからないメリットがありますが、近年では水害の被害なども報告されています。自院にあう電子カルテを選択し、研修会の実施や効率的な入力など適切な方法を理解すると、業務効率化につながるでしょう。電子カルテのメリットを理解して、システムの導入を検討しましょう。