病院タイプ別電子カルテの違い
電子カルテとは、患者のあらゆる情報を電子化し管理するシステムです。リアルタイムの情報共有など業務効率化につながります。電子カルテは、病院や診療所、在宅診療などさまざまなタイプがあるため、導入方法や提供会社の違いを理解する必要があるでしょう。ここでは、病院タイプ別にどのような点が異なるのか解説します。
導入までの期間が異なる
ベッド数が多い大規模な病院では、医師や看護師、医療事務や検査部門などで情報の共有や意思疎通がスムーズに遂行できることが大切です。そのため、それぞれの部門における意見をまとめて、最適な電子カルテを選ぶ必要があります。多くの意見を収集する必要があるため、運用開始までに時間を要する場合があるでしょう。
一方、診療所や無床クリニックなど小規模な場合は、大規模な病院と比べ収集する意見が少ない傾向にあります。そのため、電子カルテ導入検討から運用開始までの期間が大規模な病院と比べ短いといえるでしょう。
システムベンダーが異なる
大学病院などの大規模な病院向けの電子カルテを得意とするベンダーと、診療所や無床クリニックなど小規模向けのシステムにおける実績が豊富な提供会社は異なります。電子カルテを選定する際は、対象規模やタイプの確認が大切です。さらに、どのような診療科が導入しているかなどの実績もあわせて確認しましょう。
電子カルテ導入のメリット
電子カルテの導入により、適切なデータ管理や情報流出のリスクが軽減するなどさまざまなメリットがあります。さらに、患者の満足度向上などの効果も得られるでしょう。ここでは、電子カルテ導入のメリットを紹介します。
情報の共有
患者の医療情報は、医師はもちろん看護師や医療事務、検査士などさまざまなスタッフが閲覧・管理をする必要があります。紙カルテの場合は、保管場所まで取りに行く必要や、受け渡しをしなければいけません。さらに、カルテを使用中は他の人は閲覧できないなど、不便を感じる場面もあります。電子カルテにより、リアルタイムな情報共有や管理が可能です。検査結果のスムーズな取り込みや診療から会計までの時間短縮など、あらゆる業務の効率化につながるでしょう。
カルテの紛失や流出リスクの軽減
電子カルテは、さまざまなトラブルに対するリスクを軽減できます。長年の診療や患者の増加により、カルテの量も膨大な量となるでしょう。患者の来院時に、カルテが見つからないなどのトラブルが発生する場合もあります。また、間違えたカルテを渡してしまうなどのミスの可能性もあります。電子カルテの導入により、カルテの紛失や渡し間違いなどミスを防止できるでしょう。
診療の質が向上
電子カルテは、診療履歴をひとつの画面に表示できます。そのため、患者の病歴などを把握し診療できるため、質が向上するといえるでしょう。また、地域医療との連携もできれば、他院や他診療科の履歴も確認できます。投薬情報なども閲覧できるため、患者に適した診療につながるでしょう。
診療環境の変化に対する迅速な対応
新型コロナウイルスの流行に伴い、在宅医療やオンライン診療などのニーズが高まりました。電子カルテは、院外でも使用しやすい製品が多くあります。電子カルテの導入により、さまざまな環境の医療に対して迅速な対応ができるでしょう。
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中小病院向け電子カルテ
ここでは、有床クリニックや300床未満の病院規模に適した電子カルテを紹介します。電子カルテは、病院や診療所、在宅診療などさまざまなタイプに適した製品があります。電子カルテを効果的に運用するためには、自院に適したシステムの導入が重要といえるでしょう。
《Medicom-CK》のPOINT
- シンプルで使いやすい操作性。中小規模病院に特化した機能性
- チーム医療に必要な機能を搭載!環境に合わせた使い方を実現
- Web型電子カルテなので、離れた場所でも情報共有が可能
「Medicom-CK」は、ウィーメックス株式会社が提供しているWeb型電子カルテシステムです。一般・療養型中小規模病院の医療に適したバイタルや食事管理などの機能が搭載されています。使い慣れたブラウザやタブレット・スマートフォンから利用できます。カルテ入力の文例があり新たに作成する必要がないため、運用開始までの時間が短縮できるでしょう。
提供形態 |
SaaS |
無料トライアル・デモ |
オンラインデモあり |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
Medicom-CKのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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医療事務の仕事をしていくなかで、レセプト業務になくてはならないのがメディコムの電子カルテです。良い点はシステム操作がシンプルなところです。初めてでも分かりやすく、操作に戸惑うことがあまり無く一度覚えれば困ることもなく使用できると思います。また、サポートも充実しているため不具合が出た際の対応も安心してお願いすることができます。
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Medicom-CKの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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今でも十分利用しやすいのですが、1つ改善してほしいところが漢字の登録数が少ないように感じるところです。レセプト作業のなかで文字を打つ場面が特に多く、中でも電子カルテでは患者様のお名前、病名など漢字を取り扱う場面が多いのですが…例えば【﨑】、【髙】など異体字?旧字体が登録されていないことが多く不便に思うことが多々あります。
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製品・サービスのPOINT
- 在宅、外来、入院機能を標準搭載
- 万全なサポート体制が好評
- 多様な部門システムとの連携実績
セコム医療システム株式会社が提供する「セコム・ユビキタス電子カルテ」は中小規模の病院向け電子カルテシステムです。外来や入院機能だけではなく、在宅医療にも標準対応しています。セコムならではのセキュリティ対策が高い管理で、安心して運用できるでしょう。他院や連携施設でカルテ情報の共有や、患者自身も診療情報の確認ができるため、セカンドオピニオンでも利用できます。
提供形態 |
クラウド / パッケージソフト / ASP / サービス |
無料トライアル・デモ |
オンラインデモあり |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
セコム・ユビキタス電子カルテのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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医療機関では様々な職種との連携が大切です。電子カルテを導入したことで、すぐに患者さんの既往歴や病歴を出すことができるようになったので便利です。
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業種 |
医療 |
従業員規模 |
250名以上 500名未満 |
セコム・ユビキタス電子カルテの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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献立作成中に違うページを確認したいときに、一度献立を保存してページを消さないといけないのが見にくい。また、献立を見ながら過去の献立を見られたり出来たらありがたい。
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無床クリニック向け電子カルテ
無床クリニックとは、病床をもたず、外来診療のみに対応する施設のことです。無床診療所とも呼ばれています。ここでは、無床クリニックに適した電子カルテを紹介します。
《CLINICSカルテ》のPOINT
- ITトレンド年間ランキング1位(電子カルテカテゴリ)
- 日医標準レセプトソフト「ORCA」を内包、事務作業が半分に!
- オンプレミス型と比べて圧倒的な「低価格」
「CLINICSカルテ」は、株式会社メドレーが提供するクラウド電子カルテです。CLINICS予約やCLINICSオンライン診療と連携できるため、予約導線の一元管理や検査結果を患者に送信、キャッシュレス決済などに対応できます。ORCA(日医標準レセプトソフト)と一体型で、レセコン作成ができるほか予約・受付・会計も対応しています。国際標準規格に適合するISMSクラウドセキュリティ認証を取得しているため、安心した運用が実現するでしょう。
提供形態 |
クラウド |
無料トライアル・デモ |
ー |
参考価格 |
【初期費用】現状のカルテ状況による【月額】約40,000円/月 ※5年契約(1年や3年契約もあり) |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
CLINICSカルテのいい点 |
★ ★ ★ ★ ☆ 4
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勤務先の医院で導入している。患者さんの予約・キャンセル管理が容易だと感じる。保険証の写真を患者さんにご自身でアップロードしていただくことで、非接触で保険確認できるので、コロナ禍の今非常に助かっている。
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CLINICSカルテの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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予約管理にて、予約患者の一覧がもっと見やすくなると予約確認の漏れが起こりにくく、運用がしやすいと感じています。
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《CLIUS (クリアス)》のPOINT
- 【無料】WEB予約・問診・在宅・オンライン診療全て追加料金なし
- カルテ入力時間を短縮できるUI・UX。初心者でも使いやすい
- iPadでも使える!訪問診療や院内での持ち運びに役立ちます
株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、クラウド型の電子カルテです。無料プランでは、開業したばかりのクリニックや連携が不要な場合に最適です。ORCA(日医標準レセプトソフト)と連携もできるため、受付から会計まで一連の業務が効率化できます。基本プランのサポートサービスでは、リアルタイムに遠隔操作ができるため、はじめての電子カルテでも運用しやすいでしょう。
提供形態 |
クラウド |
無料トライアル・デモ |
トライアルあり(31日間) |
参考価格 |
【セルフ導入プラン】初期費用0円/30円~(月額カルテ枚数に応じた金額)【基本プラン】初期費用20万円/月額12,000円 ~ |
在宅医療向け電子カルテ
在宅医療とは、通院せずに自宅で診療を実施することです。ここでは、在宅医療向けの電子カルテを紹介します。
《エムスリーデジカル》のPOINT
- 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
- 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
- 金融機関・政府機関も利用する安全技術
「エムスリーデジカル」は、エムスリーデジカル株式会社が提供する電子カルテです。在宅医療、往診の実績が豊富で、タブレットなどでカルテ入力がしやすいと定評があります。iPad上に手書き入力できるため、紙カルテになれた医師でも使用しやすいといえるでしょう。AI(人工知能)の学習機能により、入力時間の短縮ができます。
提供形態 |
クラウド |
無料トライアル・デモ |
トライアルあり(機能制限あり) |
参考価格 |
【ORCA連動型】月額9,800円 【一体型】月額19,800円 ※5年ごとの買換え不要 |
《セコムOWEL》のPOINT
- 充実した在宅機能、スムーズな外来管理機能を搭載!
- Windows/MacOS対応で端末を自由に選べる!
- 豊富な動画マニュアルと手厚いサポートで安心利用!
セコム医療システム株式会社が提供している「セコムOWEL」は、クラウド型電子カルテシステムです。小規模診療所や在宅クリニック向けに特化し、あらゆる場面から電子カルテへのアクセスが可能です。操作性にこだわったシンプルなカルテ画面設計が特徴で、丁寧なヘルプガイドや動画マニュアルもあるため、誰でも操作がしやすいといえるでしょう。セコムならではの高水準な、データセンターや通信のセキュリティが特徴です。
提供形態 |
クラウド |
無料トライアル・デモ |
トライアルあり(1か月) |
参考価格 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
セコムOWELのいい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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他の電子カルテとは違い、在宅医療でここ欲しかった!と言ってしまいたくなるポイントが押さえられている。カルテを開くだけで患者の要介護度など必要な情報が一目で分かるようになっているので、レセプトコメントを付ける際にも助かっている。スケジュール管理や患者のKPの家族やケアマネの連絡先なども登録しやすく大変有難い。
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セコムOWELの改善してほしい点 |
★ ★ ★ ★ ★ 5
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外来患者と訪問患者がそれぞれ仕分けできるようになると大変ありがたい。売り上げ集計を外来と訪問で分けて立てることができないのが残念。
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以下のページでは、さらに多くの製品を比較しています。病院の規模にくわえ、診療科別に電子カルテを紹介しているため、電子カルテ選びの参考にしてください。
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2023.09.11
【2023年最新】電子カルテ比較38選!診療科目や規模別に紹介
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電子カルテ導入の普及率
厚生労働省の調査によると、令和2年の電子カルテ普及率は、一般病院で57.2%です。病院規模別の普及率は、400床以上で91.2%、200~399床で74.8%、200床未満で48.4%というデータが出ています。小規模病院での普及率は、半分に到達していません。費用対効果の判断が困難な点と、導入・運用を担当する人員が不足している点が原因とされています。
しかし、地域における医療機関の連携が求められ、電子カルテを中心とした医療現場のICT化は進められています。低価格な電子カルテや誰でも運用できる操作性のよい製品も登場しているため、今後も普及率は高まるといえるでしょう。
参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省
電子カルテ導入の注意点
電子カルテのメリットを最大限に発揮するためには、導入の際に注意すべきポイントがあります。ここでは、電子カルテを導入する際に気を付けるべき点を紹介します。
目的を明確化する
最適な製品を選ぶためには、どのような機能を求めているのかを明確化することが重要です。電子カルテの導入でペーパーレス化を推進できますが、一番の目的は業務の効率化です。ペーパーレス化が実現しても、効率化できなければ導入の意味がありません。
電子化することで、カルテの管理を効率化できます。業務時間の短縮や患者との時間を確保し医療サービスの質を向上させるなど目的を明確化しましょう。目的を遂行するために必要な機能を明確化し、製品を選ぶのが重要です。
スタッフの協力を求める
電子カルテを導入しても、利用するスタッフの協力がなければ効果的な運用はできません。電子カルテの導入により、業務内容を変更する場合もあるでしょう。医師はもちろん、看護師や医療事務などカルテに関わる医療スタッフの同意を得る必要があります。電子カルテの運用で、改善する業務や導入目的の説明が求められます。また、操作説明会や研修会の実施も効果的な運用につながるでしょう。
地域で導入率の高い製品を選ぶ
電子カルテシステムは、地域にある他の医療機関と情報をやり取りする際にも力を発揮します。医療機関や介護施設などの連携は、多くの地域で取り組んでいます。地域の医療機関と患者情報を共有することで、二重投薬や重複する検査を省略できるなどのさまざまな効果が期待できるでしょう。将来的な連携のために、地域で多く使用されている電子カルテを選ぶのもおすすめです。
連携や一体型など会計事務機能に注目する
現在使用しているレセコンと連携できる製品を導入するか、もしくはレセコン機能一体型電子カルテに切り替えるか、選択が必要です。電子カルテとレセコンが連携できないと、カルテ入力と会計業務で業務が増えるおそれもあります。電子カルテの選定では、会計事務機能においてもあわせて比較しましょう。
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自院に適した電子カルテの導入を検討しよう
電子カルテは、病院の規模や診療内容などタイプ別にさまざまな製品が登場しています。また、地域医療やレセコンとの連携も重要な選定ポイントです。自院の目的や診療内容、規模にあう電子カルテの導入により効果を発揮するでしょう。機能や提供形態、サービスを比較して、自院に適した電子カルテシステム導入を検討してください。