健康管理システム導入前に検討したいこと
導入を検討する段階では、自社がどの業務を効率化したいのかを明確にすることが出発点になります。目的があいまいなまま進めると、必要な機能が不足したり、現場が使いこなせないまま形だけの導入になったりする場合があります。
対象範囲と管理項目の整理
健康管理システムが扱う情報には、定期健診の結果、ストレスチェック、面談記録などさまざまな項目があります。すべてを一度に導入しようとすると、運用が複雑になり現場が混乱するおそれがあります。管理項目が多いほど入力の手間も増えるため、現場の負担も考慮した設計が求められます。
自社にとって優先度の高い項目から段階的に導入範囲を広げる進め方も選択肢の一つです。従業員数や事業所数によって管理の複雑さも変わるため、自社の規模に見合った範囲設定を検討することが望ましいといえます。複数拠点がある場合は、拠点ごとの運用差も踏まえて設計するとよいでしょう。将来的な事業拡大や拠点増加も見据えて、拡張性のある設計を検討しておくと安心です。
既存の労務・勤怠システムとの関係整理
健康管理システムは、勤怠システムや人事システムと連携させて使うケースがあります。連携範囲が明確でないまま導入を進めると、データの二重管理が発生し、更新の手間や入力ミスが増える可能性があります。
どの情報をどちらのシステムで管理するかをあらかじめ整理しておくと、運用開始後の混乱を防ぎやすくなります。連携の可否や対応範囲は製品によって異なるため、選定時に確認しておくことが重要です。連携できない項目がある場合の代替運用も、あわせて検討しておくと安心です。
健診・ストレスチェックデータの管理方法
健康情報は機密性の高いデータです。管理方法を誤ると、情報漏えいや不適切なアクセスにつながるおそれがあるため、システムの機能だけでなく運用ルールもあわせた慎重な検討が求められます。
アクセス権限の設計
健康情報を扱う担当者の範囲は、人事や産業医、上長など複数にまたがることがあります。誰がどの情報にアクセスできるかを明確にしておかないと、意図しない範囲まで情報が共有されるおそれがあります。
権限設定は職種や役職に応じて細かく分けられる製品もあるため、自社の運用ルールに合わせて設定できるかを確認することが望ましいといえます。設定後も定期的に権限の見直しを行う運用が求められます。異動や退職があった際に権限を速やかに変更できる運用フローも整えておくと安心です。
データの保管期間と管理ルール
健診データやストレスチェックの結果は、労働安全衛生法などの関連法令にもとづいた保管が必要になる場合があります。保管期間や取り扱いのルールは法令や社内規程を確認しながら整理することが求められます。
システム内でデータの保管期間を設定できる製品もあるため、法令上の要件を満たせるかどうかを導入前に確認しておくと安心です。不明な点は社会保険労務士など専門家に相談する方法もあります。保管期間を過ぎたデータの削除ルールも、あわせて決めておくことが望ましいといえます。
産業医・保健師との連携体制
健康管理システムを活用するうえで、産業医や保健師との連携体制も重要な検討事項です。システムの機能だけに頼らず、人による確認や判断が必要な場面もあるため、連携を円滑にするための考え方を紹介します。
面談記録の共有方法
産業医面談の記録をシステム上で一元管理できると、過去の経緯を踏まえた対応がしやすくなります。紙やメールでのやり取りが残っていると、情報が分散し、必要なときにすぐ確認できない場合があります。過去の対応履歴が確認できないと、同じ説明を繰り返す手間も発生しやすくなります。
記録の共有範囲は、プライバシーに配慮しながら必要な担当者に限定することが望ましいといえます。産業医が非常勤の場合は、リモートでも記録を確認できる仕組みがあるかも確認しておくとよいでしょう。共有範囲を誤ると従業員の信頼を損なうおそれがあるため、運用ルールを事前に明文化しておくことも大切です。
ハイリスク者へのフォロー体制
健診結果から健康リスクが高いと判断された従業員へのフォローは、システムだけで完結するものではありません。アラート機能で該当者を把握できても、実際の対応は産業保健スタッフや人事部門の連携が必要になります。
システムの通知機能を活用しつつ、フォローの手順や担当者をあらかじめ決めておくことで、対応の抜け漏れを防ぎやすくなります。対応状況を記録として残しておくと、担当者が変わった場合の引き継ぎもしやすくなります。
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健康管理システムの社内定着を進める工夫
システムを導入しても、従業員が使い方に不慣れなままでは効果を発揮しにくくなります。入力率が低いまま運用が続くと、データにもとづいた分析も難しくなるため、定着を進めるための工夫を紹介します。
従業員への周知と操作案内
健康情報を入力する従業員向けに、操作方法や入力の目的をわかりやすく周知することが大切です。目的が伝わっていないと、入力の後回しや記入漏れにつながり、データの精度が下がる場合があります。
周知の際は、システム導入によって従業員自身にどのようなメリットがあるかもあわせて伝えると、協力を得やすくなります。操作に不安がある従業員向けに、簡単な操作ガイドを用意しておくのも有効です。導入初期は問い合わせ窓口を明確にしておくと、疑問点をすぐに解消しやすくなります。
運用担当者の負担軽減
健康管理システムの運用担当者は、人事や総務部門が兼任するケースが多く見られます。他業務と兼任する担当者に負担が集中すると、確認作業が滞ったり、対応の優先順位づけが難しくなったりする可能性があります。
定型的な確認作業を自動化できる機能があるかを製品選定時に確認しておくと、担当者の負担を軽減しやすくなります。複数人で分担できる体制を整えることも、運用の継続には欠かせません。担当者が孤立しないよう、上長や他部署がサポートできる体制も検討しておくとよいでしょう。
健康経営の観点から見た活用方法
健康管理システムは、日常の業務効率化だけでなく、健康経営の取り組みを進めるための基盤としても活用されています。データを継続的に蓄積することで、経年での変化も把握しやすくなります。
データにもとづいた施策の検討
システムに蓄積されたデータを分析すると、部署や年代ごとの健康傾向を把握しやすくなります。感覚だけに頼らず、データにもとづいて施策を検討できる点は活用のメリットの一つといえます。傾向が見えてくれば、優先的に取り組むべき課題も絞り込みやすくなります。
ただし、データから読み取れる傾向はあくまで参考情報であり、個々の従業員の状況を確認せずに施策を決めることは避けるべきです。分析結果は現場の声とあわせて検討することが望ましいといえます。データだけに頼らず、実際に現場で働く従業員の意見を聞く機会もあわせて設けるとよいでしょう。
継続的な改善サイクルの構築
健康経営の取り組みは一度実施して終わりではなく、継続的に効果を確認しながら改善していく姿勢が求められます。年に一度など決まった周期で施策の効果を振り返る機会を設け、次年度の計画に反映していくとよいでしょう。
振り返りの結果は経営層にも共有し、必要な予算や人員配置の検討につなげることで、取り組みを継続しやすくなります。改善の成果を社内に発信することで、従業員の理解や協力も得やすくなります。
健康管理システムの主な製品
健康診断やストレスチェックなどのデータ管理を効率化する、代表的な健康管理システムを紹介します。
Carely(ケアリィ)健康管理クラウド
- 健康労務管理の工数75%削減
- 健康情報のデータ化・可視化 により健康リスクを予防
- 国際規格のセキュリティ認証「ISO27018」を取得
株式会社iCAREが提供する「Carely(ケアリィ)健康管理クラウド」は、健康診断結果やストレスチェック、長時間労働のデータをクラウド上で一元管理できる健康管理システムです。産業医や保健師との面談調整、就業判定までの一連の業務をシステム上で完結でき、産業保健スタッフの業務負担軽減と従業員の健康リスクの早期把握を支援します。
mediment
- 点在する多様な健康データをまとめて管理し、工数を大幅に削減
- 誰でも簡単に多彩な分析が可能!個人・組織の健康状態を可視化
- 健康リスクの早期把握&幅広い支援で従業員フォローの均一化
メディフォン株式会社が提供する「mediment」は、健康診断結果やストレスチェック、過重労働データを一元管理する健康管理システムです。独自のOCR技術により多様なフォーマットの健診結果を高精度にデータ化できるほか、産業医面談の設定から就業判定までのやり取りをシステム内で完結できます。健診予約や受診勧奨など定型業務の効率化に活用されています。
健康管理システム「HealthCore」
- タスクや実施状況を一目で把握でき法定業務の抜け漏れをなくせる
- 多重リスク管理機能でリスク予備軍をいち早くフォローアップ
- 充実したストレスチェック、エンゲージメントサーベイを標準搭載
株式会社ヒューマネージが提供する「健康管理システム『HealthCore』」は、従業員の健康診断結果やストレスチェック、時間外労働のデータを一元化し、健康経営の実践を支援するシステムです。複合的なデータ分析によりリスクの高い従業員を早期に把握できるほか、ストレスチェックやエンゲージメントサーベイを標準機能として備えています。
アルコールチェッカーFA-900 (株式会社藤田電機製作所)
- 5秒簡単測定、PC不要で99件メモリー
- 脱着式マウスピースで衛生的、市販ストローも利用可能。
- 半額で高精度センサー交換サービス
Envital (株式会社大林組)
- スマホ不要、リストバンドでバイタルデータを簡単送信。
- 心拍数とWBGTで暑熱ストレスをリアルタイム監視。
- 閾値超過でアラート通知、熱中症予兆に対応。
まとめ
健康管理システムの導入では、対象範囲の整理、データ管理のルール、産業医との連携、社内定着の工夫まで幅広く検討することが求められます。段階的に運用を整えていくことで、健康経営の取り組みにもつなげやすくなります。導入して終わりにせず、継続的に見直しを重ねていく姿勢も大切です。自社に合う製品を比較したい方は、資料請求を活用して検討を進めてください。


