IaaSの運用体制で確認したい基本の視点
体制別の選び方を見る前に、運用体制によって選定基準が変わる理由と、どの体制でも共通して確認したい基本の観点を整理しておきます。
運用体制で異なる選定基準
IaaSに求める機能は、運用を担当する人数や拠点数、システムの利用範囲によって変わります。担当者が少ない体制では管理のしやすさが重視されやすく、拠点数が多い体制では一元管理の仕組みが重視されやすい傾向があります。
そのため、他社の運用体制をそのまま参考にするのではなく、自社の担当者数や拠点構成、今後の組織変更の可能性にあわせて、必要な機能を洗い出すことが選定の出発点になります。組織変更が予定されている場合は、変更後の体制も見据えて確認しておくと後の調整がしやすくなります。将来的に担当者が増える可能性がある場合は、複数人での管理を想定した権限設定に対応しているかもあわせて確認しておきたい点です。
少人数運用で確認したいポイント
運用担当者が少ない体制では、管理画面の操作が複雑すぎないか、初期設定を代行してもらえるかが基本的な確認項目になります。専門知識がなくても扱える設計かどうかは、比較段階で実際に画面を確認しておくと判断しやすくなります。
あわせて、障害発生時に自動で通知が届く仕組みや、問い合わせ窓口の対応時間帯も確認しておきたい点です。担当者が同時に複数の業務を抱えている場合、通知の見落としを防ぐ仕組みがあるかどうかも運用のしやすさに影響します。あわせて、操作履歴を後から確認できる機能があれば、原因の切り分けや引き継ぎの際に役立ちます。
情シス担当が少ない体制で確認したいポイント
情シス担当が1人、またはいない体制では、日常の運用負荷をどこまで軽減できるかが選定の中心的な視点になります。
情シス担当が1人の体制で欠かせない代替体制
情シス担当が1人の企業では、担当者が休暇や体調不良で対応できない場合の代替手段を確保しておくことが欠かせません。操作手順が文書化しやすい管理画面かどうかも、引き継ぎのしやすさに関わる確認項目です。担当者の異動や退職があった場合でも運用が滞らないよう、複数人が設定内容を確認できる体制を整えておくことも欠かせません。
また、担当者1人に業務が集中しないよう、定型的な作業を自動化できる機能があるかも比較しておきたい点です。加えて、緊急時に相談できるサポート窓口の対応範囲を事前に確認しておくと、担当者への依存を減らしやすくなります。運用マニュアルを整備し、後任者が同じ手順で対応できる状態にしておくことも、属人化を避ける一助になります。
情シスがいない体制で受けたい導入支援
専任の情シス担当がいない企業では、初期設定から運用開始までの支援をどこまで受けられるかが重要な確認項目です。設定作業を代行してもらえるサービスかどうかは、契約前に確認しておく必要があります。
あわせて、トラブル発生時に自社で一次対応できる範囲と、ベンダーに相談すべき範囲を整理しておくことも欠かせません。専門用語の少ない管理画面であれば、担当者が変わった場合でも対応しやすくなります。導入時のオンボーディング支援があるかどうかも、初めてIaaSを扱う企業にとっては比較しておきたい項目です。
多拠点・本社一括管理で確認したいポイント
拠点が複数ある企業では、各拠点からのアクセス状況と、本社での一括管理のしやすさが選定のポイントになります。
多拠点からのアクセスで生じやすい遅延
複数拠点から同じ基盤にアクセスする場合、拠点ごとの通信環境によって体感速度が変わることがあります。拠点間のネットワーク遅延がどの程度業務に影響するかを、導入前に確認しておくことが望まれます。
また、拠点によって利用できる回線の種類や速度が異なる場合、想定していた性能が出ないケースもあります。導入前に試験的な接続確認を行える環境が用意されているかも、比較材料になります。あわせて、拠点によって回線契約が異なる場合は、契約変更が必要になるかどうかを事前に確認しておくと計画が立てやすくなります。
本社一括管理で重視したい把握のしやすさ
本社で全拠点のシステムを一括管理する場合、拠点ごとの利用状況やリソースの割り当てを一つの画面で把握できるかが確認したい視点です。拠点ごとに異なる権限設定を柔軟に反映できるかも重要です。加えて、新しい拠点を追加する際に、既存の設定をテンプレートとして流用できる仕組みがあると、展開作業の手間を減らしやすくなります。拠点数の増加が見込まれる場合は、追加にかかる期間や手続きの流れも事前に確認しておくと計画が立てやすくなります。
あわせて、拠点で障害が発生した際に本社側で状況を把握できる仕組みや、対応履歴を一元的に確認できる機能があると、対応の遅れを防ぎやすくなります。拠点ごとの担当者と本社の情シス部門との連絡ルートを明確にしておくことも、初動対応の遅れを防ぐ一助になります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でIaaSの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
グループ会社の統合管理で確認したいポイント
グループ会社を持つ企業では、各社のシステムを統合して管理するか、個別に運用を続けるかで確認すべきポイントが変わります。
グループ会社統合管理で整理したい費用配分
グループ会社のシステムを統合管理する場合、各社の利用状況を横断的に把握できる管理画面と、グループ内での費用配分の仕組みが確認したい視点になります。会社ごとに異なるシステム要件がある場合は、統合の範囲を見極める必要があります。
また、統合にあわせて既存システムからのデータ移行が発生する場合、移行にかかる期間や作業範囲を事前に把握しておくことが、計画的な統合につながります。グループ会社ごとに担当ベンダーが異なる場合は、窓口を一本化できるかも確認しておきたい点です。あわせて、統合作業中も既存業務が止まらないよう、段階的な移行計画を立てておくと混乱を避けやすくなります。
統合後の運用ルール整備で決めておきたい基準
統合後は、グループ各社で異なっていたセキュリティポリシーや運用ルールをどこまで揃えるかを整理しておく必要があります。最低限そろえる基準を先に決めておくと、各社との調整がしやすくなります。
あわせて、権限設定や責任範囲があいまいにならないよう、統合後の運用体制を明文化し、関連会社の担当者と共有しておくことが、混乱を防ぐ一助になります。定期的に運用ルールを見直す機会を設けておくと、統合後の体制を継続的に改善しやすくなります。
情シスと開発部門の分業で確認したいポイント
情シス部門と開発部門で役割を分けて運用する場合、権限の分離と情報共有の仕組みが選定のポイントになります。
権限分離の設計で分けておきたい操作範囲
情シスがインフラ全体を管理し、開発部門が個別の環境を利用する体制では、部門ごとに操作できる範囲を分けて設定できるかが確認したい視点です。誤って本番環境に影響が及ばないよう、権限の境界を明確にしておく必要があります。開発部門が検証のために作成した環境が、意図せず本番環境と同じネットワークに接続されないよう、構成上の分離も確認しておきたい点です。
あわせて、開発部門が独自に環境を追加する際に、情シス側で利用状況を把握できる仕組みがあると、管理が行き届きやすくなります。想定外のリソース利用が発生した場合に、上限を設定して通知を受け取れる機能があるかも確認しておきたい項目です。
分業後の情報共有で防ぎたい対応遅れ
役割を分業すると、部門間での情報共有が不足し、対応が遅れる場合があります。設定変更やリソース追加の履歴を双方が確認できる仕組みがあるかどうかは、分業体制での運用を左右する観点です。
また、障害発生時にどちらの部門が一次対応を担うのか、責任範囲を事前に整理しておくことが、対応の遅れや責任の所在が不明確になることを防ぐ一助になります。定期的な情報共有の場を設けておくと、分業体制でも状況の把握漏れを減らしやすくなります。
運用体制の負荷を抑えるIaaS製品は?
ここでは、情シス担当者が少ない体制や多拠点・グループ会社での一元管理を想定した体制でも運用しやすいIaaS製品を紹介します。自社の運用体制と照らし合わせながら比較検討する際の参考にしてください。
Nutanix基盤のIaaS miteneCloud
- バックボーン回線に直接接続し、冗長を備えた高速で安定した通信
- 転送量に応じた課金は発生しないので、コストを気にせず利用可能
- 最適な地域でバックアップ用途として、DR/BCP対策にも活用可能
ミテネインターネット株式会社が提供する「Nutanix基盤のIaaS miteneCloud」は、Nutanixのハイパーコンバージド基盤を採用したIaaSです。仮想サーバやストレージを一つの管理画面で組み合わせて利用できるため、専任の情シス担当者が少ない体制でも運用状況を把握しやすい構成になっています。国内データセンターでの運用に対応しています。
地域エッジクラウド タイプV
- 定額・シンプルなVMware採用クラウド
- 国内法に準拠した高信頼のクラウド基盤
- 豊富なネットワーク接続メニュー
NTT東日本株式会社が提供する「地域エッジクラウド タイプV」は、地域データセンターを拠点としたIaaSです。拠点ごとの利用状況を把握しながら基盤を構築できるため、多拠点にまたがる運用体制や、本社で各拠点をまとめて管理したい企業の選択肢になります。必要なリソースを組み合わせて構成できる点も特徴です。
株式会社USEN ICT Solutionsのクラウドプラットフォーム
- ライセンスの発行から環境構築及び運用監視まで提案可能
- SaaS型のファイルサーバやバックアップとのサービス比較ができる
- 貴社に最適なクラウドサービスをご提案いたします
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「株式会社USEN ICT Solutionsのクラウドプラットフォーム」は、企業のシステム基盤をクラウド上に構築できるIaaSです。情シス部門と開発部門で利用範囲を分けて運用したい場合や、グループ会社での統合的な利用を想定した構成にも対応しており、体制にあわせたリソース調整ができます。
さくらの専用サーバPHY (さくらインターネット株式会社)
- 複数ネットワーク接続、オンプレミス構築が可能
- サーバー購入から設定までワンストップ処理
- 全モデルで電源・ネットワークスイッチ冗長化、障害に強い構成
Z.com Cloud (GMOインターネット株式会社)
- 多彩なサーバー・ネット機能で多様なシステム構成に対応します。
- Googleの無料タスク管理。カレンダー等と連携。
- 法人向け高度セキュリティと年中無休のサポートを提供
まとめ
IaaSの選び方は運用体制によって確認したいポイントが異なります。情シスが少ない体制では管理のしやすさ、多拠点や本社管理では一元把握のしやすさ、グループ統合では運用ルールの整理、分業体制では権限分離と情報共有が判断材料になります。自社の運用体制にあわせて必要な項目を整理したうえで、資料請求を活用しながら比較検討を進めてみてください。体制は今後の組織変更で変わる可能性もあるため、拡張性のある選び方を意識しておくと将来の見直しがしやすくなります。運用体制の変化を見据えて、定期的に選定基準を見直す機会を設けておくことも有効です。


